2019/11/09

畑の土を舐めてミネラル摂取するモンシロチョウ♀♂



2019年7月下旬・午前9:00頃

野菜を植えた畑をモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が低空で忙しなく飛び回っています。
畑から芽生えた双葉に興味を示しているように初めは見えたのですが、翅表を見ると♂でした。
したがって、産卵が目的ではありません。


畝の端にようやく着陸し、朝露で濡れた黒っぽい土塊に口吻を伸ばすと吸水を開始。
ミネラル摂取しているのでしょう。
タテハチョウ科ではよく見られる行動ですが、シロチョウ科では珍しいです。
実は3年前にモンシロチョウのそれらしき行動を観察しているのですが、口吻をはっきり撮れず結論が出ませんでした。

▼関連記事(3年前の撮影)
畑の土で吸水するモンシロチョウ

今回は口吻を伸ばして土を舐めている様子がはっきり撮れました。
後半はカメラを右に振ると、隣の畝でも別個体のモンシロチョウ♂が飛び回り、土を舐めていました。




【追記】
江島正郎『日本の昆虫6:モンシロチョウ』を紐解いて成虫の吸水行為についての章を読むと、モンシロチョウは他種に比べて吸水性に乏しいと考えられているのだそうです。
全てのチョウが吸水行為を行なうのではなく、日本産チョウ類257種のうち150種(58%)、シロチョウ科に限っても28種中23種(82%)に過ぎない。(中略)
 モンシロチョウ属では、エゾスジグロが最も吸水性に富んでいるようで、特に北海道亜種ssp. nesisは数百頭が集団で吸水しているのが観察されている。しかし、九州では単独で吸水するだけで、スジグロやタイワンモンシロと大差はない。 
 モンシロは、これら3種に比べてはるかに吸水性に乏しく、長崎県で観察された吸水記録589例のうち、12例2.0%に過ぎない。キチョウの99例16.8%に比べると、いかに少ないかわかるだろう。 
 ただし、北海道札幌市の調査では、モンシロで24例の観察があり、うち22例は春に、20例は♀で記録されたので、吸水性に地域性があるのかもしれない。 (p46-48より引用)

チョウの吸水行為をさらに分類すると、吸排水行為(Pumping)、吸い戻し行為(Re-imbibing)、散水行為(Dropping)が報告されているそうです。
以上の行為は、ほとんど♂に集中しており、♀について記録がある種は、単なる吸水行為(Mud-puddling)を含めても50種に満たない。シロチョウ科では、キチョウ、ホシボシキチョウ、モンキチョウ、ミヤマモンキチョウ、モンシロ、スジグロで報告されただけである。 (同書p48-49より引用)



【追記2】
YouTubeのコメント欄にて横室稜さんより性別についてご指摘を頂きましたので訂正します。
動画のモンシロチョウは登場順に♀、♂とのことでした。
吸水する蝶は♂が多いという予備知識や先入観に引っ張られてしまいました…。
紫外線カメラがあればモンシロチョウの性別は一目瞭然で、行動の解釈も楽になるのになー、といつも思います。
話題の新書『カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略』を最近読んで感動しました。
これからは写真だけでなく生物の動画も紫外線で撮ると全く新しい世界が開けそうです。
近年スマホに押され気味のカメラメーカーも生き残りのために紫外線カメラ(動画撮影可能)とか赤外線カメラ(サーモグラフィー)のようなマニアックな機種をお手頃価格で市場に投入して欲しいものです。


モンシロチョウ♀@畑+吸水:ミネラル摂取

オニグルミの木を登るニホンザル♀



2019年7月下旬・午前6:32

早朝の山麓でオニグルミの高木にニホンザルMacaca fuscata fuscata)の若い♀が取り付き、ほぼ垂直に伸びた幹をスルスルよじ登ると、叉の部分に腰掛けました。
隣の灌木(ウワミズザクラ?)の小枝の樹皮をかじったようですが、後ろ姿ではっきり見えませんでした。
顔に掛かる枝葉をうるさそうに払いのけています。
興味津々で私を見下ろしています。
やがて座っていた横枝に立ち上がると、再び幹をよじ登り始めました。
木登りのスキルは流石です。


ニホンザル♀@オニグルミ樹上

訪花中のオオハキリバチ♂に産卵するヤドリバエ♀の早業



2019年7月下旬・午後17:34

夕方、イタドリの花にオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が訪れ吸蜜していました。
ここまでは数日前と同じです。


▼関連記事
イタドリの花蜜を吸うオオハキリバチ♂ @同じ場所で撮影

そこへ飛来したハエが通り過ぎかけたものの、引き返すと狙いを定めてオオハキリバチ♂に素早くぶつかって離れました。
まるで当て逃げのようです。
オオハキリバチ♂は驚いて花から滑落しました。
すぐに立ち直ったようで、イタドリ群落の左下隅の隙間の奥に飛び去るオオハキリバチ♂の姿が映っています。

この一瞬で一体何があったのでしょうか?
思わせぶりなハエの行動を1/10倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。

ハイスピード動画ではないので、カクカクとコマ落ちするのは仕方がありません。
素人目にはなんとなくニクバエ科の一種のようです。
ハエが蜜源植物の群落でライバルを追い払う(占有行動)とは考えにくいでしょう。
吸蜜したいのなら、わざわざ争わなくても辺りには他の花がいくらでも咲いているからです。
それともハエ♂が同種の♀と見間違えて蜂に飛びついたのかな?(誤認求愛)
もしヤドリバエ科(寄生バエ)の一種の♀だとすると、すれ違いざまに驚異的な早業で寄主の体表に産卵したのかもしれません。


▼関連記事
イタドリハムシに寄生産卵するヤドリバエ @10年前の撮影

オオハキリバチの営巣地で寄生者を観察したことが過去に2例ありますけど、巣ではなく成虫の体に直接産卵するハエ(捕食寄生)がいるとは初耳です。

▼関連記事
オオハキリバチvs天敵ツリアブ @捕食寄生:9年前の撮影
オオハキリバチの巣に侵入を試みるハラアカヤドリハキリバチ♀:前編 @労働寄生:7年前の撮影
野外で飛び回っているオオハキリバチを片端から捕獲して体表にヤドリバエの卵が産み付けられているかどうか調べ、被寄生個体を飼育してハエが羽化するまで待てば突き止められそうです。(言うは易し)



2019/11/08

ササゴイが池畔の木々を飛び移る朝(野鳥)



2019年7月中旬・午前5:03

池の畔で立ち枯れした木の太い横枝に早朝からササゴイButorides striatus amurensis)が止まっていました。
足元の枝に嘴を擦り付けています。
もしかすると直前に何か虫を捕食していたのかもしれません。
近くでカワセミが甲高く鳴く声♪が聞こえます。
対岸から撮っている私に気づくとササゴイは警戒して止まり木で向きを変え、神経質そうに尾羽根を上下に動かしました。

左へ飛び降りると、池の水面に張り出した桜の大木の幹に止まり直しました。
それでも落ち着かず、横歩きしてから再び飛び立ち、画面奥の林に姿を消しました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

実はこの直後に再びササゴイを観察しています。

▼関連記事
池に張り出した枝先で魚を待ち伏せするササゴイ(野鳥)

この池に♀♂つがいが生息しているのか、それとも同一個体を続けて二箇所で見たのか、個体識別ができていないために定かではありません。
樹上にあるといわれるササゴイの巣(コロニー)を見つけたいものです。


ササゴイa(野鳥)@池畔:枯木

ホソオビキマルハキバガ(蛾)はジャンプしてから飛ぶ【HD動画&ハイスピード動画】



2019年7月下旬・午後18:10頃

川沿いのコンクリート護岸の隙間から生えたキンギンボク(別名ヒョウタンボク)灌木の群落で見慣れない小蛾が何頭も葉表に止まって休んでいました。
写真を撮って絵合わせしてみると、ホソオビキマルハキバガCryptolechia malacobyrsa)と判明。
顔を撮ったアングルをよく見ると、口元に牙のような下唇鬚が発達しています。

静止画蛾像を撮っただけでは動画ブログのネタにならないので、飛翔シーンを撮ってみましょう。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:25〜)
更に1/5倍速に落とした1/40倍速のスローモーションをご覧下さい。
物を投げつけて飛び立たせると、準備運動なしで即座に飛び立ちました。
興味深いことに、何度繰り返しても、強力な脚力で空中に跳び上がってから羽ばたき始めることが分かりました。
バッタのような逃避行動は以前、プライヤハマキでも観察しています。
小蛾類ではこうしたカタパルト発進が一般的なのかな?

▼関連記事(5年前の撮影)
プライヤハマキ(蛾)はジャンプしてから飛ぶ【ハイスピード動画&HD動画】

緊急避難したホソオビキマルハキバガの飛翔力は弱く、長く遠くまでは飛びませんでした。
慌てて飛び立ってもすぐに近くの枝葉の茂みにぶつかって落下してしまいます。

ところで、ホソオビキマルハキバガ幼虫の食餌植物は未解明のようです。
この日キンギンボク(ヒョウタンボク)の群落で多数の成虫を見かけたのは偶然かもしれませんが、もしかすると食樹の可能性もありそうです。
他にはニセアカシア、ノブドウ、クズなどが近くに生えていました。


ホソオビキマルハキバガ(蛾)@キンギンボク葉
ホソオビキマルハキバガ(蛾)@ヒョウタンボク葉

2019/11/07

クリの樹上で葉を食べていたニホンザルが幹を滑り降りる



2019年7月下旬・午前7:07

山麓でクリ(栗)の樹上に居たニホンザルMacaca fuscata fuscata)が横枝で立ち上がり、右手で頭上の枝葉を引き寄せると、葉を1枚千切り取って食べました。
体を足で掻くと、食後は斜面で斜めに生えたクリの幹を滑りながら(ずり落ちるように)降りていきます。
クリの木なのにサルスベリとは、これ如何に?

「猿も木から降りる!」
なるほど猿はこうやって木から降りるのか。


おそらく若い♀だと思うのですが、どうでしょう?
林床に達すると、茂みに隠れて姿が見えなくなりました。


ニホンザル@クリ樹上+葉採食

ノブドウの花蜜を吸うキボシアシナガバチ♀



2019年7月中旬・午前7:35

川沿いのコンクリート護岸を覆うように蔓延るノブドウの群落でキボシアシナガバチPolistes nipponensis)のワーカー♀が訪花していました。
忙しなく飛び回って吸蜜しています。

意外にもこの組み合わせは初見でした。


キボシアシナガバチ♀@ノブドウ訪花吸蜜

2019/11/06

ウワミズザクラの核果を食べるハシブトガラスの群れ(野鳥)



2019年7月下旬

池畔に植栽された広葉樹の茂みでハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が集まり、バサバサと動いていました。
何事かと思って対岸から観察すると、熟した果実を次々に啄んでいました。
大きな嘴でひと粒ずつ器用に摘み取って食べています。
カラスのような大型の鳥が細い枝先に止まってバランスを取りながら採食するのは大変そうです。
群れには成鳥だけでなく、口の中が赤い幼鳥も混じっています。

飛び去る瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

カラスが居なくなった後で、食べていた木の実をじっくり撮影してみました。
果実が熟すに連れて緑色→橙色→赤色→黒色の順で変色するようです。
カラスは熟した液果を丸呑みして未消化の種子を糞と共にどこか離れた場所に排泄しますから、この木の種子散布を助けていることになります。



夏に赤くて丸い実がなる木を私は知らず、対岸から望遠で撮った写真では樹種がよく分かりませんでした。
5日後、現場に戻って樹種を調べます。
鳥に食べられ果実は減っていましたが、対岸に渡って撮った写真と図鑑を見比べると、オオヤマザクラ(別名エゾヤマザクラ)と判明。
『野鳥と木の実ハンドブック』にも「エゾヤマザクラの実」として写真が掲載されていました。

春に花が咲いたらまた写真を撮りに来るつもりです。




【追記】
翌年の5月上旬に花を見に行くと私の予想は外れていて、エゾヤマザクラではありませんでした。
ソメイヨシノよりだいぶ遅れて白いブラシ状の花が咲いていて、ウワミズザクラと判明。
ウワミズザクラの果実は液果ではなく核果なのだそうです。
という訳で、訂正しておきます。


ウワミズザクラ:熟果
ウワミズザクラ:熟果
ウワミズザクラ:熟果
ウワミズザクラ:葉裏
ウワミズザクラ:幹(樹皮)

ムラサキツメクサを訪花するヒメアカタテハの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2019年7月下旬

水路沿いの道端に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でヒメアカタテハVanessa cardui)が訪花していました。
初めは半開きの翅を開閉していたものの、落ち着くと翅をしっかり閉じて吸蜜しています。

共にありふれた普通種ですが、意外にもこの組み合わせは撮っていませんでした。
そしてこの日が今季のヒメアカタテハ初見日でした。
例年より成虫の出現がかなり早く、過去の記事をチェックしてもかつてヒメアカタテハを7月に見かけたことはありません。
今年は平均気温が例年よりも高いのでしょうか。

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:07〜)
黒っぽいハナアブの一種(種名不詳)がホバリング(停空飛翔)しながらヒメアカタテハの周囲をぐるっと回ってから飛び去りました。
探雌飛翔かな?
ハナアブとニアミスしてもヒメアカタテハは眼中に無いようで吸蜜に夢中でした。
モンシロチョウが飛来した際も互いに無反応でした。(映像なし)


ヒメアカタテハ@ムラサキツメクサ訪花吸蜜

2019/11/05

ニセアカシア樹上で未熟な豆果と若葉を食べるニホンザル♂



2019年7月下旬・午前5:45頃


▼前回の記事
ニセアカシアの木に登り警戒するニホンザル♂

里山の麓で早朝に遭遇した離れ猿♂です。
野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れの本体から数百メートル離れていました。
ニセアカシア(別名ハリエンジュ)の樹上で太い枝に跨っています。
出会ってしばらくは当然かなり緊張していたのですが、しばらくすると警戒を解いてくれました。
このとき股間にちらっと睾丸が見えたので、♂で間違いありません。(映像公開予定)

そっと左手を伸ばすと、下の小枝から未熟な豆果を摘みとって食べました。
口をモグモグさせながら、枝葉の隙間から片目で油断なく私を見下ろしています。
朝食の合間に自分で毛繕いしてノミを取って食べました。

ニホンザル♂がニセアカシアの枝の棘に左手の指でそっと触れて確認している姿が興味深く思いました。
ニセアカシアは草食動物に食害されないように身を守るための手段の一つとして、枝に鋭いトゲを並べました。
いくら木登りが得意な猿と言えどもやはりニセアカシアのトゲトゲが全く平気という訳ではないようです。

次に右手を伸ばしてニセアカシア小枝を引き寄せ、若い小葉を採食しました。
本格的な朝食というよりも、前歯でチビチビと少しずつ噛んでいます。
単に味見しているだけなのかな?

ニセアカシアで採食するニホンザルを見るのは初めてかもしれません。
ネット検索で調べた限り、ヒトが山菜としてニセアカシアを食べる部位は花穂だけのようですが、若い豆果や若葉もちょっと美味しそうに見えました。
野生ニホンザルの採食シーンをこんなに間近に観察できて、静かな感動を覚えました。
手の指の繊細な動きはヒトと何ら変わりません。


ニホンザル♂:離れ猿@ニセアカシア樹上+未熟豆果&若葉採食
ニホンザル♂:離れ猿@ニセアカシア樹上+未熟豆果&若葉採食

ドバトの死骸に通い肉団子を作るシダクロスズメバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)



2019年7月中旬・午前5:00および5:40頃
▼前回の記事
ドバトの死骸を貪り食うハシブトガラスの家族群(野鳥)

カワラバト(=ドバト;Columba livia)の死骸を調べるために私が近づくと、ハシブトガラスの群れは死骸をその場に残したまま逃げていきました。

毟り取られた羽根が風に飛ばされ、池畔に散乱しています。
生前は全体的に白っぽい鳩だったのでしょう。
カラスに腹側をつつかれた結果、胸から腹にかけて血まみれの生肉や臓器が露出しています。
断頭された頭部が辺りに見当たりません。(池の中に落ちてしまった可能性は?)
辺りの地面に血痕が無いので、ここで殺害された(狩られた)のではないと思われます。

大騒ぎしながら屍肉を喋んでいたカラス一家が居なくなった途端に、次に控えていた昆虫の屍肉掃除屋が続々と到着しました。
一番乗りしたクロバエ科のキンバエの仲間(種名不詳)は常連です。
左右の複眼が離れている♀ばかりが集まり、血が滴る傷口を舐めて吸汁したり、産卵したりしています。

クロスズメバチの仲間(シダクロスズメバチまたはクロスズメバチ?)も早々と死骸に集まっていたのが興味深く思いました。
ワーカー♀が血に染まった新鮮な鳥肉を噛み切り、肉団子作りに励んでいます。

鳩胸のいわゆる胸肉と呼ばれる部位なのかな?

朝日が昇って辺りがだいぶ明るくなるまで待って40分後に現場を再訪し、飛び回るクロスズメバチ♀を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:59〜)

(ハイスピード動画は充分な光量がないときれいに撮れないのです。)
クロスズメバチやキンバエが低空で飛ぶと、羽ばたいた風に煽られて死んだ鳩の羽毛がなびきます。
丸めた肉団子を持ってクロスズメバチ♀が飛び立つ瞬間をスローモーションで見ると、餌場の位置を正確に記憶するための定位飛行をしている個体がいました。
定位飛行せずにまっすぐ帰巣した個体は、もう何度も通ってきている個体なのでしょう。

死骸に群がるキンバエを追い散らすものの、積極的に襲って狩ることはありませんでした。
キンバエの方がクロスズメバチよりも俊敏ですぐに逃げてしまうので、狩ろうとしても無理なのでしょう。
キンバエ♀もすぐに舞い戻って来て、少し離れた部位で吸汁を続けています。
肉団子を作っている最中のクロスズメバチの背後でキンバエ♀がホバリング(停空飛翔)すると、羽音を聞いたクロスズメバチ♀が腹部と翅を軽く持ち上げて警戒・威嚇しました。(@6:20)
このとき腹端の毒針を見せつけたかどうか(威嚇誇示)、定かではありません。

クロスズメバチ♀の遅れて着陸した個体が慌てていたのか、先客の個体と衝突することがありました。(ごっつんこ!)(@7:06)
激しい喧嘩に発展しなかったのは、おそらく同じコロニー出身なのでしょう。
餌場の占有行動で体当たりしたのではなさそうです。


鳩肉を食べる、君の名は?
この蜂は、シダクロスズメバチVespula shidai)またはクロスズメバチVespula flaviceps)のワーカー♀だと思うのですが、どちらでしょう?
映像や写真から見分けられる達人がいらっしゃいましたらご教示下さい。
私はスロー再生をいくら見直しても自信が持てませんでした。
クロスズメバチの仲間をしっかり同定するためには顔写真を正面と横から接写しないといけないことは重々承知していたのですが、ドバトの死骸が横たわっているエリアは桜の木の下で立入禁止のロープが張られており、これ以上近づけませんでした。(撮影は公道から)
また、蜂を採集したくてもこの日は捕虫網を持参していませんでした。
クロスズメバチ属ではなく、やや珍しいホオナガスズメバチ属の可能性もありますかね?
現場は自然度の高い平地ですけど、山地性のホオナガスズメバチ属を標高から単純に除外できるのかな?
「スガレ追い」のテクニックを使えば、蜂が通って来る巣の位置を突き止められたかもしれません。


首無し死骸の謎
公園などで野鳥や野生動物の首無し死骸が見つかる度にニュースになり、世知辛い近年は動物虐待する猟奇的な変質者(快楽殺人鬼予備軍)の仕業かと騒ぎになります。

このような記事を何本も書いている私などは圧倒的不審者として真っ先に疑われてスケープゴートにされそうです。
▼関連記事(7年前に撮影した首無しウサギ死体のミステリー)
死んだウサギの骨髄に群がるムネアカオオアリ
しかし狩りをした猛禽類の落とし物かもしれない(自然の営み)という視点が扇情的なマスコミには欠けている気がします。
通報を受けた警察はあらゆる可能性をしっかり捜査するでしょうが、一般人はまさか街なかの公園にワシ・タカやフクロウなどの猛禽類が出没するなど思いもよらないのでしょう。


熊谷勝『カラー自然シリーズ66:ハヤブサ』によると、

・♂親はさいしょに、するどいくちばしでえものの首をきりおとします。
・ほかのワシタカ類が、するどい爪で締め殺すのに対して、ハヤブサのなかまは首を切断して、えものを殺します。(中略)ハヤブサは、えものを殺すと、さいしょにもぎとった首筋から、栄養のある内臓をひきだして食べます。 (p12より引用)


サバンナでライオンが狩った獲物をハイエナの群れが強奪するように、早朝の狩りに成功したチゴハヤブサをカラスの群れが取り囲んで追い払ったのではないか(モビング)と私は想像しています。

ドバトを仕留めたのがもしネコなどの肉食獣なら、傷口に唾液が付着しているはずですから、獲物の死体表面に残ったDNA痕跡を調べれば分かるはずです。
今回は近くに出没するチゴハヤブサなどの猛禽類が仕留めたと私は睨んでいるのですけど、その場合もDNA解析で犯人(捕食者)を突き止められるかな?
もしもハシブトガラスのDNAしか検出されなければ、寿命や病死のドバトをカラスが食べていたということになりそうです。
死骸に集まっていたクロスズメバチやキンバエの種類も傷口のDNA解析で正確に同定できる時代が来れば(ナチュラリストにとって)最高です。



数日後に現場を再訪すると、ドバトの死骸はきれいさっぱり無くなっていました。
生物分解を受けて現場でゆっくりと白骨化する前に、気味悪がった通行人が早々に保健所へ通報してゴミ処分されたのでしょう。
ウジ虫が大量に発生したり真夏に死骸が腐ると悪臭が酷いですから、人通りの多い場所では衛生上仕方がありません。
潔癖症の現代日本で屍肉食性の生き物の生態を調べるのは大変です。
その点、『昆虫記』で有名なファーブルは流石です。

自宅の庭にヘビなど動物の死骸を放置し、次々にやって来る昆虫類をしっかり観察、記録しているのです。
フンコロガシや狩蜂だけでなく、『昆虫記』後半の章では屍肉食性昆虫の営みも紹介しているのが名著たる所以です。
ファーブルを尊敬する私も、鳩の死骸を持ち帰って観察を続ける根性はありませんでした。



クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁・全景
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り

映像から切り出した顔写真


2019/11/04

ヨシゴイ幼鳥の羽ばたき練習(野鳥)



2019年7月下旬・午前9:45頃

溜め池の上をスレスレで飛んできたササゴイButorides striatus amurensis)が、岸辺のヨシの茎に止まりました。
ズームインしてみると、夏の日差しが強くて羽の色が白飛び気味になってしまいましたが、頭部が黒くないので、おそらく♀成鳥だと思います。
再び飛んで少し移動すると、ヨシの茎から茎へ渡り歩き、茂みの奥に消えました。
どうやら巣が奥にあるようです。

直後に別個体(親鳥♂?)が同ルートで対岸のヨシ原に飛び込むのを目撃したものの、動画は撮り損ねました。

しばらくすると、ヨシ原の茂みの奥で羽ばたいている個体を発見。(@0:27)
縦斑が明瞭な幼鳥でした。
巣立ち前後の羽ばたき練習なのかな?
そこへ左からオオヨシキリが飛来し、池畔のヨシの茎に止まりました。

その後、少し大胆になった幼鳥が姿をしっかり現してくれました。
池畔のヨシの茎に止まっていた幼鳥がジャンプすると少し離れた茎に飛び移りました。
もう多少は飛べるようです。
最後は歩いて茂みの奥に消えました。
やはり、巣が奥にあるようです。

今季は他の撮影テーマが手一杯で、この日しかヨシゴイを観察できませんでした。
ブラインドを使わないと営巣・育雛期の撮影は難しそうです。


ヨシゴイ♀(野鳥)@池畔:ヨシ原
ヨシゴイ幼鳥(野鳥)@池畔:ヨシ原

カラスウリの葉を徘徊するクロウリハムシ



2019年7月下旬・午後18:30

道端に蔓延るカラスウリの群落でクロウリハムシAulacophora nigripennis)が数匹集まっていました。
「黒瓜羽虫」という名前のとおり、瓜類はクロウリハムシの食草のひとつで、大好物なのです。
左右の触角を交互に振り立てながら葉の上をウロウロと歩き回っています。

本種の摂食行動はとても面白いのですが、いよいよ始まりそうです。
つづく→クロウリハムシがカラスウリの葉でトレンチ行動を始めるも…


クロウリハムシ@カラスウリ葉+徘徊
クロウリハムシ@カラスウリ葉+徘徊

2019/11/03

コシアキトンボ♂の占有飛翔と縄張り争い【HD動画&ハイスピード動画】



2019年7月中旬

スイレン(睡蓮)池の上をコシアキトンボ♂(Pseudothemis zonata)が飛び回っていました。
その動きを追ってみると、一定の縄張りを巡回する占有飛翔のようです。
ホバリング(停空飛翔)も披露してくれました。

240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:10〜)
1匹のコシアキトンボ♂が対岸の近くを低空で飛び、画面を何度か往復します。
(水面に写る影が紛らわしいかもしれません。)
最後に右隣の縄張りから別個体の♂が侵入すると、猛然と追い払いました。

今回は試しに引きの絵(広角)で撮ってみたら、2年前の撮影よりも少しだけ上手く縄張り争いを記録できました。
カメラの仕様でハイスピード動画撮影は固定焦点になってしまうので、どこに置きピンするか難しいのです。

▼関連記事

コシアキトンボ♂の縄張り占有飛翔【HD動画&ハイスピード動画】


コシアキトンボ♂@スイレン池+縄張り占有飛翔

座って休むニホンザル



2019年7月下旬

若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)が山麓の路肩で早朝から座って休んでいました。
途中で上を見上げたのは、樹上で別個体がバサバサと物音を立てたからです。
斜面の下でカメラを構えている私をチラッと見下ろしても、恐れている素振りはありません。
(逆に私が上から見下ろす立場だと、猿は警戒を強めるようです。)
唇が少し黒っぽい理由はじきに判明します。(映像公開予定)
やがて立ち上がると、群れの仲間を追って路上を右に歩き去りました。


ニホンザル@路上+座位休息
ニホンザル@路上+座位休息+カメラ目線

とても穏やかで神妙な表情をしていて、SONYのウォークマンを宣伝する伝説のCMを連想しました。
こちらはチョロ松(猿回しの猿)とは違って演出や演技指導も一切無く、野生の状態です。




トウネズミモチの花で採餌するクマバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2019年7月上旬

トウネズミモチの生垣でキムネクマバチ♀♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
小さな花筒に忙しなく舌(口吻)を差し込んで吸蜜しています。
腹部や脚が黄色い花粉で汚れているものの、後脚の花粉籠は未だ空荷です。
もう1匹の♀とニアミスしました。

▼関連記事(3年前に撮影)
トウネズミモチの花で採餌するクマバチ♀


今回は240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:43〜)
クマバチ♀がトウネズミモチの花から飛び立つ瞬間の羽ばたきをスローモーションでお楽しみ下さい。
クマバチの飛翔はいつ見ても体が重そうです。

ちなみに、日が当たると葉脈の主脈も側脈も裏側から透けて見えるのがトウネズミモチの特徴です。


クマバチ♀@トウネズミモチ訪花採餌
クマバチ♀@トウネズミモチ訪花採餌

ランダムに記事を読む

  • 電線に群れるムクドリを牽制するハシブトガラス(野鳥)20/12/2017 - 0 Comments
  • 波状に滑翔するトビの謎(野鳥)ディスプレイ飛翔?18/09/2023 - 0 Comments
  • 飼育コカマキリ♀に牛乳を与える【冬の代用食】18/01/2012 - 0 Comments
  • アオハムシダマシの食事@ハルジオン訪花02/02/2011 - 0 Comments
  • キオビトビノメイガ(蛾)の吸水と身繕い17/12/2010 - 0 Comments