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2025/01/11

ヒャクニチソウの花蜜を吸いながら排尿するオオタバコガ【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 



2023年10月中旬・午後15:30・晴れ 

ヒャクニチソウ(百日草)の色とりどりの品種が咲き乱れる花壇に私が戻ってくると、オオタバコガHelicoverpa armigera armigera)がまた訪花していました。 
本種は訪花中も翅を小刻みに震わせ続けて飛び立つための準備運動(アイドリング)をしています。 
その翅をよく見ると、この個体は右の翅頂が欠けていて、30分前に観察したオオタバコガ♀とは別個体であることが分かりました。 

吸蜜後にクルクルと丸めて縮めた口吻が、オレンジ色の花粉にまみれていました。 
次の花に移動する前に身繕いして、顔や触角に付いた花粉を落としています。 
舌状花の花弁が散った後の筒状花でもオオタバコガは貪欲に吸蜜していました。 

オオタバコガが訪花中に240-fpsのハイスピード動画に切り替えたら(@1:14〜)、面白いシーンがたまたま撮れていました。 
吸蜜しながら腹端から透明な液体を1滴排泄したのです。(@1:25〜) 
本種の排尿シーン(おしっこ)は初見です。 
花蜜を大量に吸い、余分な水分を排泄して飛ぶために体重を軽量化したのでしょう。

 

2025/01/09

真冬の雪山を夜に1〜2頭で歩き小便でマーキングするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年1月下旬〜2月上旬

シーン0:1/30・午後12:54・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:1/30・午後13:38・晴れ(@0:04〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
根雪の積もった里山で、スギ植林地に残されたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで見張っています。 
今季は異常な暖冬で降雪量が少ないのですが、林床の溜め糞は雪で覆われ、雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 
画面の手前から奥に向かって斜面を見上げるアングルになっています。 

1〜2頭で行動するホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:1/31・午前1:03(@0:14〜) 
深夜にタヌキの先頭個体が、スギ立木の木の下を通って左から右へ斜面を横切りました。 
雪面は固く凍結していて、タヌキが歩いても足跡が残りません。 
雪面の匂いを嗅ぎながら右の渓谷へ向かいました。 

50秒後に、後続個体♂が左から足早に登場しました。 
雪面から突き出た細い落葉灌木(樹種不明)の小枝をくぐる際に、排尿マーキングしました。 
そこは、以前にもタヌキが通りすがりに排尿マーキングした地点でした。 
左後脚を上げて小便したことから、♂と判明。 
そうなると、先行個体はパートナーの♀なのでしょう。 
♂も先行個体♀の後を追って右上の谷へ向かいます。 
ホンドタヌキ♂による排尿マーキングを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:49〜) 


シーン2:2/3・午後21:57・(@1:11〜) 
単独行動のタヌキが晩に画面上を対角線状に(左下から右上へ)横切ったのに、監視カメラの起動が遅れました。 
クラストした雪面にうっすらと新雪が積もり、その上にタヌキの足跡が残されています。 


シーン3:2/3・午後22:38・(@1:18〜) 
45分後、斜面の雪面に新たな足跡が付いていました。 
またもや監視カメラの起動が遅れ、画面の右端にタヌキ?の尻尾がちらっと写っていただけでした。 
タヌキはいつものように、右の谷へ向かいました。 
一瞬の登場シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:21〜) 


シーン4:2/4・午後13:43・晴れ(@1:26〜) 


シーン5:2/9・午後18:27・(@1:33〜) 
6日後の晩に、単独行動のタヌキが珍しく左に向かう姿が写っていました。 
雪面に残った足跡を読み解くと、下から現れ、スギ立木に向かってから左へ逸れて行ったようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/01/05

ニホンアナグマの越冬用巣穴が凍った雪の下に埋もれ、近所のホンドタヌキが安否確認に通う【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬~2月上旬

シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台の自動撮影カメラで見張っています。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のように林床の地面があちこちで露出しています。 

近所のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が1頭または3頭で立ち寄ったシーンをまとめました。 


シーン1:1/29・午前6:01・気温-3℃(@0:04〜)日の出時刻は午前6:43。 
久しぶりにアナグマの越冬用営巣地(セット)に雪が積もっていました。 
まだ真っ暗な夜明け前に、タヌキが単独で現れました。 
雪に埋もれたアナグマの巣口Rの窪みに興味を示し、雪面の匂いを嗅ぎました。 
固く凍結した雪面を歩いて左へ移動すると、巣口Lが雪に埋もれた地点にも立ち寄って匂いを嗅ぎ回ります。 
再び巣口Rに戻ってきました。 


シーン2:1/29・午前6:03(@1:04〜) 
25秒後に監視カメラが再起動すると、タヌキは巣口Rを離れて左へ立ち去るところでした。 
ぐるっと回り込んでから、画面下から再びセットに戻ってきて、またもやアナグマの巣口Rへ向かいました。 


シーン3:1/29・午前6:04(@2:04〜) 
つづけてタヌキは巣口Lを点検してから、またまたしつこく巣口Rに戻りました。 
最後はようやく左に立ち去りました。 


シーン4:1/29・午後21:35・気温-3℃(@2:47〜) 
夜行性のタヌキは、昼間は自分の巣穴で寝て過ごし、晩になるとまた採餌のために外出します。 
今回は3頭が一緒にやって来ました。 
♀♂つがいと子供から成る家族群なのか、それとも3兄弟(姉妹)なのか、私には分かりません。 

奥の林内から来た1頭が、林縁の落葉ミズキの根元に排尿マーキングしたようです。(@3:12〜) 
このとき左後脚を上げたかどうかはっきり見えず、性別不明です。 
その後で、このタヌキがアナグマの巣口Rを塞いでいる凍った雪を前足でガリガリと掘り始めました。 
しかし少し掘っただけで諦め、左へ立ち去りました。


シーン5:1/29・午後21:43(@3:47〜) 
7分後に、右から戻ってきたタヌキがアナグマの巣口Rの左で雪面の匂いを嗅いでいました。 
通りすがりに、雪で埋もれた巣口Lの匂いを軽く嗅ぎました。
左へ回り込んでから奥の林内に立ち去りました。 
途中で凍った雪面に座ると、後脚で痒い体を掻きました。 


シーン6:1/30・午前1:47・気温-5℃(@4:45〜) 
日付が変わった深夜に、単独行動のタヌキが右からやって来ました。 
雪面はクラスト状態で、足跡が残りません。 
凍った雪に埋もれたアナグマの巣口Rをチェックしてから、奥の二次林へジグザグに入って行きました。 
途中で落葉樹の根元で腰を落として、雪面に排尿マーキングしたようにも見えました。(@5:30〜) 
排尿姿勢から、この個体は♀かもしれません。 


シーン7:1/31・午前0:21・気温-5℃(@5:45〜) 
翌日も真夜中にタヌキが単独で右から登場。 
アナグマの巣口Lが雪の埋もれた地点をチェックしてから左へ。 


シーン8:1/31・午後19:48・気温-1℃(@6:11〜) 
同じ日の晩に、奥の落葉二次林へ入って行くタヌキの後ろ姿だけ写っていました。 


シーン9:2/3・午後22:38・気温-5℃(@6:27〜) 
3日後の晩遅くにも、足早に奥の二次林へ入って行くタヌキの後ろ姿が撮れていました。 

数日間雪の下に埋もれていたアナグマの巣口Rがいつの間にか開口していました。 
短い冬眠(トーパー)から目覚めたアナグマが巣内から雪を掘って外に顔だけ出したのかもしれませんが、その様子は撮れていませんでした。 
あるいは、アナグマの呼吸熱や体温で巣口を塞いでいた雪が自然に溶けたのかもしれません。
もしそうなら、アナグマの巣口から寒い冬に白い湯気が立ち昇るはずですが、こんな光景を私はまだ見たことがありません。 

凍結した雪面の上に薄っすらと新雪が積もり、そこにタヌキが残したばかりの足跡が残っています。 
せっかく久しぶりにアナグマの巣口Rが現れたのに、タヌキは立ち寄らずに素通りしていました。 


シーン10:2/5・午前0:45・気温0℃(@6:38〜) 
2日後の深夜、アナグマの巣口Rの開口部が少し拡大していました。 
雪原で地面が少しでも露出すると、晴れた昼間にそこを中心に雪解けが進みます。 

左から来たタヌキが通りすがりにアナグマの巣口Rの匂いを嗅いでから、右へ向かいます。 
この日も雪面は凍結しており、タヌキの足跡は残りません。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
積雪量は少ないのですが、厳冬期で気温が下がり、林床の雪面がアイスバーンのように凍りました。 
アナグマが冬眠している巣穴の入口L、Rは雪の下に埋もれてしまいました。
夜な夜なやって来るタヌキは、見慣れた巣口の消失に戸惑っているようで、何度も調べています。 

こうしたタヌキの行動を童話の世界のように擬人化すると、近所に住むアナグマが無事かどうか、生き埋めにされていないか安否確認(生存確認)に通ってきているように解釈したくなります。 

アナグマの巣口が雪で埋もれて見えなくなった、さらに雪が凍って固く閉ざされた、という事が理解できずに戸惑っているとしたら、雪国の冬を初めて経験する当歳仔のタヌキなのでしょうか? 
巣口Rがあった地点の凹んだ雪面をタヌキは前肢で掘ろうとしたのに固く凍っていて、穴掘りの苦手なタヌキはすぐに諦めてしまいました。 

あるいは、タヌキはアナグマの心配をしている訳ではなく、アナグマの巣穴に居候している野ネズミの残り香を嗅ぎ取って、キツネのように興味を示しているだけかもしれません。
しかしそれだと、アナグマの巣口が再び開口した後にタヌキが興味を失って巣口を素通りするようになった理由が説明できません。

ところで、巣口を雪や氷で塞がれたら、内部で冬眠するアナグマは窒息しないのでしょうか? 
こういうときこそ、予備の換気口(空気穴)が必要です。 
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しかし、その空気穴は監視映像の画角の少し左外にあるために、雪が積もって凍っても開口状態を保って機能しているのかどうか不明です。 
やはりトレイルカメラをもう1台追加して換気口を監視すべきでしたが、他のプロジェクトも同時に並行しているので、カメラが足りず無理でした。




2024/12/28

雪山でニホンカモシカの新鮮な糞を食べるホンドタヌキ♂【トレイルカメラ:暗視映像】食糞行動

 



2024年1月下旬

シーン1:1/28・午後19:47(@0:00〜) 
ニホンカモシカCapricornis crispus)が里山のスギ植林地にある溜め糞場sr1に久々に来て排便する動画を再掲します。 


シーン2:1/29・午前3:14(@0:46〜) 
日付が変わった深夜、カモシカが脱糞してから7時間23分後に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で溜め糞場sr1に現れました。 
小雪がちらつく中、雪面に残されたカモシカの新鮮な糞塊の匂いを嗅いでいます。 
タヌキはその場でクチャクチャと咀嚼したので、カモシカの糞粒を食べたようです。 
食料事情が悪化する厳冬期のタヌキは、食糞するほど飢えているのでしょうか? 
カモシカの新鮮な糞を食べることで、タヌキにとってビタミン補給や腸内細菌の補給になるのかもしれません。 

食糞後のタヌキは、雪山の斜面を登って右奥へ立ち去る間際に、細い落葉灌木に対して排尿マーキングしました。 
左後脚を軽く持ち上げて小便したので、おそらく♂のようです。 
その後は、雪面の匂いをかぎながら右の渓谷へ向かいました。 
雪面が凍結しているようで、タヌキが歩いても足が潜らず、足跡が残りません。 

1.5倍に拡大したうえで、タヌキの食糞行動および排尿マーキングをリプレイ。(@2:13~)


【考察】
今回、私はタヌキがカモシカの糞を直接食べたのだと解釈しました。
夏ならともかく雪山の厳冬期なので、溜め糞場に来た糞虫やハネカクシ、ハエなどの虫をタヌキが捕食した可能性は除外できます。
低温に強い冬尺蛾♂が新鮮な獣糞に飛来して吸汁していたらとても面白い(エキサイティング!)のですが、冬尺蛾の成虫では口吻が退化しているので、あり得ない妄想ですね。
それなら、口吻のある越冬キリガが獣糞に飛来してミネラル摂取のために吸汁する可能性や、セッケイカワゲラが獣糞を食べにくる可能性はどうでしょう?
夏に獣糞(または人糞)トラップを野外に設置すれば、チョウやガ(鱗翅目)がミネラル摂取のために集まってくるのを観察できます。
しかし、厳冬期の雪山に獣糞トラップを設置しても、獣糞がすぐに凍ってしまって誘引効果は薄いかもしれません。
越冬キリガは冬尺蛾と違って冬に交尾しませんから、性成熟のためにミネラル摂取するのは春になってからでも遅くありません。
したがって、越冬キリガが気温の低い夜にわざわざ獣糞に飛来するのは期待できないかもしれません。
逆に、厳冬期の雪山で獣糞に集まる昆虫の観察例がほとんどないのは、誰も今まで真面目に調べていないだけかもしれません。
私もフユユスリカ?が獣糞に集まっていた事例を2回観察しただけです。

タヌキが小便でマーキングしたということは、また食糞に戻ってくるつもりなのかと期待しました。
しかし後日にカモシカの溜め糞場sr1に来たタヌキが、雪に埋もれた糞塊をわざわざ掘り返して食べることはありませんでした。 


2024/12/27

厳冬期に雪山の溜め糞場で夜に排便するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬

シーン1:1/24・午後13:22・晴れ(@0:00〜) 
日中の明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
雪が積もった里山でスギ植林地の上端部にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動撮影カメラで見張っています。 
画面の手前から奥に向かって上り坂の斜面を見上げています。 
林床の雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 


シーン2:1/28・午後19:47(@0:08〜) 
晩にカモシカが左奥から登場したようで、監視カメラの起動時にはすでにスギの木の下に佇み、カメラを正面から見据えていました。 
頭部を左右に回すように身震いしました。 
やがて警戒を解くと、舌をペロペロ出し入れしながら、後脚だけ蹄を少し前に移動させて排便姿勢になりました。 
カメラに尻を向けてくれなかったので、肝心の肛門が見えません。 
それでも、小さな糞粒がポロポロと落ちて雪面に跳ね返り、転がる様子がかろうじて写っていました。 
そのままの体勢で、瞬きひとつしないまま、しばらくじっと静止しています。 
食糧事情が悪化する厳冬期のカモシカは便秘気味なのですかね? 
というか、むしろ逆に繊維質が多くて栄養価の低い餌しか食べてない気がするのですけど。
排便と同時に排尿もしたかどうか、正面からのアングルでは不明です。 
排便体勢のまま目を見開いていたカモシカが、ようやく瞬きしました。(@1:32~) 
残念ながら90秒間で録画が打ち切られ、溜め糞場sr1からカモシカが立ち去るまでの一部始終を動画に記録できませんでした。 



シーン3:1/28・午後19:49(@1:38〜) 
次に監視カメラが起動したときには、カモシカは溜め糞場sr1から居なくなっていました。 
雪面に残る足跡を読み解くと、カモシカは左に立ち去ったようです。 


シーン4:1/28・午後19:47(@1:43〜) 
ニホンカモシカが雪山で排便したシーンを1.5倍に拡大したうえでリプレイしてみました。 
カモシカは下り坂(斜面の谷側)の方を向いて排泄していました。
もしかすると、斜面の山側を向いて排便する方が自然(楽な体勢)なのに、監視カメラの存在を警戒しながら用を足したのかもしれません。 
暖冬で積雪量は少なく、カモシカの蹄はそれほど雪面に潜っていません。 
糞粒が次々に排泄されています。 
雪の斜面を転がり落ちた自分の糞粒がいくつか前足の蹄に触れたようですが、カモシカは気にしていません。


【考察】 
翌日、この溜め糞場sr1で興味深い事件(衝撃の食糞行動)が観察できました。 



結局カモシカはこの1回しか現れず、あまりにも撮影効率が悪いので、この地点から監視カメラを撤去することにしました。 
複数個体のカモシカが冬に同じ溜め糞場sr1を共有しているのかどうか、確かめたかったのですが、計画倒れに終わりました。



2024/12/25

水溜りの泥を舐めてミネラル摂取するツバメシジミ♂

 

2023年9月中旬・午後15:30頃・晴れ

田園地帯の農道に水溜まりができていました。 
その岸にツバメシジミ♂(Everes argiades hellotia)が止まって、乾きかけた泥を舐めていました。 
ツバメシジミの吸水行動は初見です。 
しかし近くにいたキタキチョウ♂の集団吸水の撮影に集中していた私はツバメシジミ♂に気付くのが遅れてしまい、ズームインしたときには口吻を伸ばしていませんでした。 
飛び去る直前に腹端を下げて接地させたのは、排尿行動ですかね? 
地上では翅をしっかり閉じているので、性別不明でした。 
飛び立つ羽ばたきを1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、翅表が紫青だったので♂と判明。

2024/12/15

雪山の塒で小便するニホンカモシカ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後13:12・くもり・気温13℃(@0:00〜) 
里山の斜面に植林されたスギ林で、ニホンカモシカCapricornis crispus)のねぐらをトレイルカメラで見張っています。 
画面の手前から右上奥に向かって斜面が下っています。
記録的な暖冬ですが、また少し雪が積もりました。 


シーン2:1/12・午前3:00頃・気温-4℃(@0:04〜) 
深夜に左から登場したカモシカ成獣の後ろ姿が写っていました。 
スギ立木の方を向いて立ち止まったので、いつものように眼下腺マーキングするのかと思いきや、股間から小便を排泄していました! 
放尿中の滴が光って見えます。 
地面が雪で覆われているためか、放尿音は聞き取れませんでした。 

小便をしただけで、同時に脱糞はしませんでした。 
カモシカがねぐらに排尿するとは意外でした。 
小便によるマーキング(匂い付け)も一種の縄張り宣言だと思うのですが、眼下腺マーキングとどのように使い分けをしているのですかね? 
今回の個体が、以前この塒で寝たニホンカモシカと同一個体とは限りません。
もし別個体なら、塒の主に対してかなり挑発的なマーキング行為ではないでしょうか。(〇〇参上! 〇〇見参!)
この塒から約20〜30m離れた地点に、カモシカの溜め糞場sr2があり、そこで小便跡も見つけています。

用を足したカモシカ♂は、塒の地面(雪面)の匂いを嗅ぐと、振り返ってカメラ目線になりました。 
今回もねぐらで寝てくれず、左にゆっくり立ち去りました。 


1.5倍に拡大した上で、排尿シーンをリプレイしてみましょう。(@1:07〜) 
後ろ姿で排尿するカモシカの股間をじっくり見ても、外性器が見えません。 
がに股で少しだけ腰を落として排尿したので、おそらく♂だろうと推測できます。 
角が細いので、まだ若い個体のようです。 
カモシカ♀および幼獣の排尿シーンを私はまだ見たことがありません。 

関連記事(1、2、10年前の撮影)▶  


落合啓二『カモシカの生活誌:十八歳の夏、僕は初めてアオシシに出会った』によると、
♂は後ろ足を開き気味にし腰を少し低くしておしっこをするが、♀はお尻が地面に着くくらいまで腰をおとす。これが典型的なおしっこスタイルである。(p46〜47より引用)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 排尿声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/12/11

真冬に根曲がり巣穴を内見する雪国のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月上旬〜下旬

シーン0:1/7・午後13:39・くもり(@0:00〜)
平地のスギ防風林でニホンイタチMustela itatsi)の越冬用巣穴a(根曲がり巣穴)をトレイルカメラで見張っています。


シーン1:1/9・午前0:24(@0:04〜)
新年の深夜に雪の積もった奥の林床を獣が右へ走り去りました。 
一瞬の登場シーンを1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、その正体は冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)でした。 

新雪の上に残巣穴aからイタチ(?)が左手前に向かってラッセルした新しい足跡が残っているのに、その出巣シーンを撮り損ねてしまったようです。 
トレイルカメラも万能ではなく、色々と技術的な限界があるのが悩ましいところです。 
新機種に切り替えても、きっと新たな限界が出てきて不満に思うはずです。 


シーン2:1/22・午後12:56・雨(@0:16〜)
異常な暖冬で、1月下旬になっても雪がほとんど積もっていません。


シーン3:1/23・午後22:21・降雪(@0:20〜)
地面には積雪がまったくありませんが、降る雪が風に舞って吹雪のようです。
奥の獣道から登場したテンが立ち止まり、カエルの死骸が置いてあった地面の匂い(詳細は映像公開予定)を嗅いでいます。
方向転換してから根曲がり巣穴を物色したものの、中には侵入しませんでした。
強風で倒伏したスギの根っこに左から回り込みながらよじ登り、天辺で周囲を警戒しています。
地面に飛び降りてからも巣口周辺を右往左往、上下に移動しながら偵察しています。
イタチの空巣をテンが乗っ取って利用するつもりなのでしょうか?


シーン4:1/23・午後22:54・降雪(@1:20〜)
約30分後にホンドテンが再び登場しました。
同一個体が戻ってきたのかな?
死んだカエルの残り香(死臭)が気になるのか、地面の匂いを嗅いでいます。
さっきと同じく方向転換して根曲がり巣穴の入口を点検したものの、中には入りませんでした。
去り際に左後脚を持ち上げながら巣口に排尿マーキングしました。
ということは、♂の可能性が高そうです。(テンは♀でもその体勢でマーキングすることがあるらしい。)
水平倒木の下をくぐって手前へ立ち去りました。
排尿マーキングの様子を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:37〜)


シーン5:1/28・午前6:31・降雪(@1:53〜)
ようやくまとまった量の新雪が積もりました。
気温が低いようで、さらさらの乾雪です。
冬毛の保護色で分かりにくいのですが、ホンドテンが根曲がり巣穴の巣口に頭を突っ込んでいました。
右から来たのだと思うのですけど、雪面の足跡が読み取れません。
今回も巣内には潜り込まず、左へ立ち去りました。


シーン6:1/28・午前6:42・降雪(@2:13〜)
約10分後に監視カメラが再び起動したときには、何も動物は写っていませんでした。
新雪の雪面を奥から手前に向かって駆け下りた足跡が新しく付いていました。
もしかすると、テンが左奥から戻ってきたのかもしれません。


シーン7:1/30・午前8:30・降雪(@2:18〜)
2日後の朝、雪面は溶けかけて湿雪でした。
珍しく明るい時間帯に自然なフルカラーで録画されていました。
ついに根曲がり巣穴に入るテンの後ろ姿(尻尾)が捉えられていました。

約10秒後に内見を済ませたテンが巣口から顔を出しました。
根曲がり巣穴の内部はテンが方向転換できるぐらい広い空間があるようです。
出巣したホンドテンは身震いして左へ立ち去りました。

自然光下で見た冬毛のホンドテンは頭部が真っ白で、残りの体は薄い黄土色でした。

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】
「穴があったら入りたい」テンは果たしてこの後、イタチの巣穴を乗っ取って本格的に住み着いてくれるでしょうか?
また別の解釈として、ここには野ネズミが同居しているようなので、ホンドテンは獲物を狩ろうとして何度もやってきているのかもしれません。




日本の食肉類: 生態系の頂点に立つ哺乳類』の第7章に収録された総説、大河原陽子『ニホンテン』によると、
近年になって、環境条件次第では必ずしも森林のみに固執するわけではないことが明らかになってきた。テン属の環境利用に影響する要因として、餌に対する選好性や餌の資源量、気候条件、地域的な捕食者相の違い、隙間の多い環境(たとえば、樹洞のある大型の樹木や倒木)の有無などがあげられる。隙間の多い環境では、テン属の休息場が多数提供されるだけではなく、(中略)テンが餌を探す際に、倒木の下や岩の隙間などを探索する  (p168より引用)


つづく→


【アフィリエイト】

2024/12/02

雪が降る新年の晩にニホンアナグマ営巣地の横でホンドタヌキ♂が立木に排尿マーキング【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年1月上旬・午後18:25頃・気温-2℃ 

平地の落葉した二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用巣穴2つを1台のトレイルカメラで同時に見張っています。 

雪が降る晩に、単独で来たホンドタヌキ♂(Nyctereutes viverrinus)が奥の林縁をうろついていました。 
ミズキの落葉灌木の根元に通りすがりに排尿マーキングして行きました。 
排尿時に片方の後足を上げたので、♂と分かりました。 
最後は奥の二次林に立ち去りました。 

1.5倍に拡大した映像をまずご覧ください。 
つづけてオリジナル映像でリプレイ。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。



2024/11/09

雪山でニホンカモシカの蹄跡を辿ると溜め糞場を新たに発見!

 

2023年12月下旬・午後13:10頃・くもり 

初冬の雪山でニホンカモシカCapricornis crispus)のアニマル・トラッキングをしたら、嬉しい収穫がありました。 
スノーシューを履いて雪面に残る蹄跡を辿って行くと、里山の通い慣れた山道から外れて横の山林に入って行きました。 

しばらく進むと、スギの木の下に溜め糞場sr2を新たに発見しました。 
周囲はスギ、アカマツ、カラマツなどの混交林で、倒木もゴロゴロあります。 
糞粒の山(糞塊)が辺りに複数あるということは、カモシカが何回にも分けて(時間を空けて)排泄したということを意味しています。
糞粒にうっすらと雪が積もっているのは、少し古い糞塊と分かります。 
雪に埋もれた糞塊の上を踏み荒らして歩いた蹄跡もあるので、(複数個体?の)カモシカが何度も溜め糞場sr2を通っているようです。 

雪を溶かした小便の跡も残されていました。 
カモシカが排尿した跡の雪は茶色に染まっていました。 
小便の跡が見つかるのは積雪期ならではの収穫です。

残念ながら、今回見つけたニホンカモシカの溜め糞場sr2にフユユスリカは群がっていませんでした。 
関連記事(1年前の撮影)▶  

以前から別の地点で見つけていたカモシカの溜め糞場sr1は最近あまり使われなくなっているようなので、トレイルカメラでこっちを定点監視した方がよいかもしれません。

実はここからが本題です。 
溜め糞場sr2から更にカモシカの足跡を辿って行くと…。 







2024/11/03

ニホンカモシカの溜め糞場で見つけた緑色の糞粒と黒色の糞粒

 



2023年12月中旬・午後13:55頃・くもり 

早春までトレイルカメラで定点観察していたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1に久しぶりに来てみました。
里山の山腹に植林されたスギ林の上端部の林床で、すぐ横に渓谷(深くえぐれた沢)があります。
シシガシラという常緑のシダ植物の間に糞塊が2つ見つかりました。 

艶のある深緑色の新鮮な糞粒は、ユキツバキエゾユズリハなど何か常緑灌木の葉をカモシカが食べた後に排泄した糞だと思われます。 
糞分析の専門家(達人)は顕微鏡で検鏡して、未消化の葉の断片から食べた植物の種類を見分けることができるのだそうです。
最近では糞の試料からDNAバーコーディングを分析することで、食べた植物を一気に調べることが(理論的には)できるようになりました。

その隣に残されていた、黒い糞粒の山(糞塊)は少し古い(排便後に日数が経過している)のでしょうか?
採寸代わりに、熊よけスプレー(長さ20cm)を溜め糞の横に並べて置いて写し込みました。 

気温が下がった初冬の時期には、昆虫全般の活動が低下します。
(ほとんどの昆虫が休眠越冬に入るります。)
今回もニホンカモシカの溜め糞sr1に糞虫やハエ類などは1匹も来ていませんでした。

以前は(早春の時期には)スギの木の根元(右下)に、茶色に変色したかなり古い糞塊があったのですが、それはもう分解されて土に還ったようで、探しても見つかりませんでした。

他のプロジェクトで忙しい夏の間は観察できず、空白期間が生じました。
トレイルカメラを再び設置して、溜め糞場sr1に通ってくるカモシカを冬の初め(根雪が積もる前)から監視することにしました。
ニホンカモシカは基本的に群れを作らずに単独で暮らしています。
タヌキのように複数個体のカモシカが溜め糞場srを共有しているのか、それとも同一個体のカモシカが繰り返し使っているのか、という点にとりわけ興味があります。 



2024/11/02

田んぼの農道に残されたタヌキの溜め糞【フィールドサイン】

2023年10月中旬 

砂利が敷かれた農道の端にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場を見つけました。
食べた果実に含まれる種子が消化されないまま排泄され、糞に混じっています。

周囲は稲刈りが進む広大な田んぼです。 
こんな開けた場所に野生のタヌキが通って溜め糞をするとは意外ですが、人通りが少ない過疎地帯の農村なので、夜は特にタヌキの天下なのでしょう。 




 

2024/11/01

雪に埋もれたニホンアナグマの越冬用営巣地を横切り雪面にマーキングするホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月中旬

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地を見張っているトレイルカメラに冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が久しぶりに写りました。 


シーン1:12/17・午前10:50・気温0℃(@0:07〜) 
暖冬でしたが、この日からようやく本格的に根雪が降り始めました。 


シーン2:12/20・午後18:30頃・小雪・気温-1℃(@0:12〜) 
大雪が積もったセットを左から元気に走って来たテンがアナグマの巣口Lの真上を通り過ぎて右へ向かいます。 
赤外線の暗視動画ではホンドテンの冬毛が真っ白に見えます。 

奥のオニグルミ立木の下の雪面でしゃがみ込んで、どうやら排尿マーキングしたようです。 
手前に自生するマルバゴマギの細い落葉灌木が邪魔で、雪上にテンが糞を残したかどうか見えません。 
立木の幹に尿をかけるのではなく、雪面にマーキングしたのは意外でした。 
♀だからですかね? 
テンもタヌキのように排尿姿勢に性差があると仮定していますが、実はよく知りません。
ホンドテンの排尿姿勢に関する具体的な性差についての情報は見つかりませんでしたが、一般的に哺乳類ではオスとメスで排尿姿勢が異なることが多いです。例えば、オスはマーキングのために高い位置に排尿することが多く、メスは地面に近い位置で排尿することが一般的です。ホンドテンも同様の行動をとる可能性があります。(人工知能Copilotによる回答)

ホンドタヌキやホンドギツネ、ニホンイタチなどニホンアナグマ以外にも様々な野生動物が往来するので、ホンドテンも対抗するように匂い付けで縄張り宣言したのでしょう。 
ホンドテン参上!

動画の後半は、1.5倍に拡大した上に自動色調補正を施してリプレイ。(@0:29〜) 


つづく→

脱糞後に枯れ茎から飛ぶジョウビタキ♀(冬の野鳥)

 

2023年11月中旬・午後13:15頃・晴れ 

街なかを流れる川の対岸でクズの群落が蔓延る草むらに生えた背の高い雑草(種名不詳)が枯れた茎に冬鳥のジョウビタキ♀(Phoenicurus auroreus)が止まっていました。 
ときどき尾羽根を上下に震わせていますが、鳴き声は聞き取れませんでした。 
白い糞をポトリと排泄してから、嘴を足元の枯れ茎に擦りつけました。 
最後は手前に向かって飛び立ち、川に飛び降りたようです。 

脱糞および飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:25〜) 


関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ 電線で鳴く♪秋のジョウビタキ♂(冬の野鳥) 


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2024/10/13

農村の舗装路に残されたタヌキの溜め糞【フィールドサイン】

2023年10月上旬・午後 

山間部の農村で舗装された車道の道端にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場を見つけました。 
走行車のタイヤに踏まれたのか、糞塊の形は崩れています。 

糞塊にはカキノキ果実(液果)の種子が未消化のまま大量に含まれていました。 
茶色で扁平の形をした大きな種子なので、素人でもすぐに見分けられます。
したがって、飼い犬が散歩中に残した糞とは考えにくいです。 
カキノキの熟果はタヌキの好物で、種子ごと丸呑みするのです。 

タヌキが里の舗装路に堂々と溜め糞するとは意外でした。 
野生のタヌキが舗装路を獣道として傍若無人に闊歩して溜め糞まで残しているということは、よほど車の交通量が少ない過疎地であることを物語っています。 
車道の外側には土の地面が広がっているのに、タヌキがわざわざ舗装路に排便したのはなぜでしょう?
タヌキも本来なら目立つ場所にサインポストとして溜め糞をしたいのかな?
舗装路の上では糞虫の活動が抑制されます※から、夏も溜め糞が長く残るはずです。
(※ 昼間はアスファルトが日光で熱くなって溜め糞がすぐに乾燥しますし、糞虫が獣糞を地中に埋めようとしても硬いアスファルトによって阻まれてしまいます。)

タヌキによって被食散布された柿の種(種子)が路上に散乱していますが、乾燥したアスファルトの上では発芽できないでしょう。


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2024/10/05

ナツメの種子散布者としてのホンドタヌキ

 



2023年11月下旬・午後12:25頃・晴れ 

平地のスギ防風林に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbc1を定点観察に来ました。 
まるでノウサギの糞のようなコロコロと丸い小さな糞粒が目に付きました。 
時間が経つとタヌキの溜め糞にケカビが生えてきます。 
新鮮な糞塊にベッコウバエ♂(Dryomyza formosa)が来ていました。 
交尾相手の♀を待ち伏せしているのです。(動画公開予定)

イチョウの種子(銀杏)やカキノキの種子が消化されないまま糞と一緒に排泄されていたのは前回と同じです。 
今回は、見慣れない茶色の果皮がほとんど消化されず大量に排泄されていました。 
この時期のタヌキがよく食べている旬の果物は何でしょう? 
私には心当たりがありました。 
近くの民家の庭に植栽されたナツメの果実ではないかと予想したのです。 
(その後、近所の別な地点でもナツメの若い庭木を見つけました。) 





早速、溜め糞場wbcから直線距離で約800m離れたナツメの木を見に行ってみると、完全に落葉した後の枝先に熟した果実が実っていました。 
ナツメの果実は核果に分類されるのだそうです。 
木の下には大量の落果が散乱しています。 
動画に撮りながら、ナツメの落果を手でほぐして、中に含まれている種子を確認しました。 
ほぐした茶色のナツメ果皮が、タヌキの溜め糞場で見つけた未消化物とそっくりです。
ホンドタヌキはナツメの落果(核果)を少し咀嚼しただけでほぼ丸呑みしているようで、消化が悪く、ほとんどそのまま糞と一緒に排泄されていました。

このときは種子を捨ててしまいましたが、後日に再訪してナツメの種子を改めて採集しました。 (写真公開予定)
今後はタヌキの糞分析で見つけた未消化の種子がナツメかどうか、詳細に比較することができます。 

ナツメの種子はタヌキによって被食型の動物散布されていることが分かりました。 
やがてタヌキの溜め糞場からナツメが芽生えてくるでしょう。


今後の課題は次の3点です。
今回はナツメの果皮だけで判断してしまいました。
まず何よりも、タヌキの溜め糞にナツメの種子が含まれることをしっかり確認しないといけません。 (※ 追記参照)
もう一つは、ナツメの木の下で秋に落果を夜な夜なタヌキが拾い食いに来るかどうか、トレイルカメラを設置して確かめる必要があります。
タヌキ以外の野生動物もナツメの種子散布を助けているかもしれません。
最後に、溜め糞から回収した種子の発芽能力を調べたら完璧です。


※【追記】
2023年12月上旬
少し離れた別の溜め糞場ph:スギ倒木横で撮った写真に、未消化のまま排泄されたナツメの茶色い果皮および両端の尖った細長い種子が写っていました。





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2024/10/04

翼の下面が黄色いノスリの謎(野鳥)換羽中?

 

2023年9月中旬・午後15:00頃・晴れ 

山麓の農村部で道端の電柱の天辺にノスリButeo japonicus)が止まっていました。 
周囲の田畑に潜む獲物を眼光鋭く探しています。 
動画の冒頭で被写体に合焦する前に、ノスリが尾羽を上げながら前傾姿勢になり後方に勢い良く脱糞しました。 

白くて柔らかそうな羽毛が毛羽立っているということは、換羽の途中なのかな? 
しかし、あまり羽繕いをしませんでした。 

私がしつこく動画撮影すると警戒して飛び立ち、少し離れた別の電柱に止まり直す、という行動を何度も繰り返します。 
最後も電柱から飛び立つ瞬間を撮り損ねましたが、遠く離れた電柱に向かって飛ぶ様子を流し撮りできました。 
ノスリが飛び去るシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:29〜) 
広げた翼の下面が黄色いノスリを初めて見ました。 
これはノスリ幼鳥の特徴または換羽中の特徴なのかと思ったのですが、『フィールドガイド日本の猛禽類vol.04ノスリ』という専門的な図鑑を紐解いて調べても、そのような記述はありませんでした。 

参考ブログ:ノスリ幼鳥 共通の特徴は | 南紀ロマンチックワールド
虹彩が淡黄色で、翼角近くの暗色パッチ(矢印)が小さくて隙間が多い特徴は幼鳥に共通しています。 また、ノスリ腹巻と言われる腹部の暗色班、幼鳥は縦班だけが集まって腹巻を形成しています。(ブログ記事より引用)

秋の陽射しに照らされる角度によって、たまたま真っ黄色に見えただけとは考えにくいです。 
ヒトの柑皮症(ミカンの食べ過ぎで皮膚が黄色くなる症状)のように、このノスリも何かおかしな餌を食べてしまい、羽根が黄色く染まった可能性もありますかね?
鳥に黄疸の症状が出ることはあるのか?と思いついてネット検索してみると、羽の黄色化(はねのおうしょくか)を解説した小鳥専門病院のサイトがヒットしました。
肝機能障害や高脂血症、甲状腺疾患などに付随して見られる。黄疸の際の色素である黄色い色のビリルビンが羽に沈着して黄色い羽になると言われている。肝機能障害の場合、「嘴の過長」や「嘴、爪の出血斑」が見られる事もある(3兆候)。別名「Yellow Feather Syndrome(YFS)」とも言われる。
インコやオウムの羽根が黄色くなると、腎機能の低下や老化が疑われるそうです。(猛禽でも当てはまるのかどうか不明)
今回のノスリで眼球が黄色くなっていたかどうか、遠くて分かりませんでした。

私はノスリの個体識別ができていませんが、このエリアを縄張りとする顔馴染みの個体のはずです。
翼の下面が黄色い個体に出会ったのは、後にも先にもこのときだけなのが不思議です。
よそ者のノスリが迷い込んできたのかな?

ノスリは羽ばたきと滑空を交互に繰り返して飛び去り、遠くの電柱の天辺にフワリと止まり直しました。 
着陸前に、一旦高度を下げてから急上昇によって減速する様子がいつ見ても格好よくて惚れ惚れします。 
着陸直後は尾羽を少し下げて左右に振り振り。 
今回観察している間にノスリは鳴き声を一度も発しませんでした。 


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2024/09/23

イチョウの種子(銀杏)散布者としてのホンドタヌキ

 

2023年11月上旬・午後12:40頃・晴れ 

平地のスギ防風林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場wbcをトレイルカメラなどで定点観察しています。 
秋も深まり気温が下がったせいか、食糞性の昆虫が集まって来なくなりました。 

タヌキの溜め糞場には様々な種子が未消化のまま含まれていて、雑食性のタヌキが何を食べたのか旬のメニューを推理することができます。 
たとえば、柿の種は形が分かりやすく、素人にも一目瞭然です。 
(ちなみに、糞塊に混じっていたカキノキの種子も1個だけ動画に写っています。)
今回は銀杏(イチョウの種子)が糞塊に多数含まれていました。 
現場はスギ林ですから、溜め糞場の横にイチョウの木はありません。
スギ林の外から銀杏が大量に持ち込まれたことになります。

タヌキの糞塊を棒の先でほぐして、銀杏をほじくり出してみました。 
 硬い殻で守られたイチョウの種子(銀杏)は噛み砕かれておらず、臭い果肉(正確には外表皮)と一緒に丸呑みされたようです。 
イチョウの種子は未消化のまま、糞と一緒に丸ごと排出されていました。 
養分が豊富な溜め糞の中からイチョウの種子が発芽したら、種子散布に成功した(分布を広げた)ことになります。 
ただし、この地点は鬱蒼としたスギ林の暗い林床なので日照が乏しく、イチョウの芽生えは育たないでしょう。 
もしも強風の嵐が吹き荒れてスギの木が風倒すれば、林冠ギャップができて日光が射すようになり、イチョウが育つチャンスも生まれるかもしれません。 







撮影後、周囲にイチョウの木が生えているかどうか、探索してみました。 
次の課題として、イチョウの木の下にトレイルカメラを設置して、銀杏を食べに来るタヌキの証拠映像を撮ってみたくなります。
神社の境内に植栽されたイチョウの大木を見に行ったのですが、地面に落ちているのはイチョウの黄色い落ち葉だけで、銀杏は全く見つかりませんでした。 
近年は悪臭を放つ銀杏が嫌われ、街路樹のイチョウ雌株は次々に伐採されて雄株ばかりになっています。
他には某施設の敷地内で黄葉したイチョウの木を見つけたのですが、部外者は立ち入ることができません。 
おそらくタヌキは夜な夜なそこに忍び込んで、イチョウの落果を食べているのでしょう。 
次に掲載するのは資料用の写真で、11月上旬に全く別の地点で撮影したイチョウの落果(銀杏)です。




関連記事(2ヶ月後)▶ イチョウの種子(銀杏)を拾い集める


イチョウは「生きた化石」と呼ばれ、太古の昔には草食性の恐竜によって被食型種子散布されていたと考えられています。 
恐竜の糞の化石から、銀杏が発見されたからです。 

それにしても不思議なのは、イチョウの外種皮には悪臭(不快な糞便臭)があり、種子にはさまざまな有毒物質が含まれていることです。 
大切な種子が成熟するまで草食動物に果実を食べられないようにイチョウは防御しているのでしょう。
どうしてタヌキなどの野生動物が銀杏を好き好んで食べるようになったのか、不思議でなりません。 
鋭い嗅覚をもつタヌキにとって、銀杏は食欲をそそる匂いなのでしょうか?
wikipediaでイチョウの記事から銀杏の毒に関する記述を引用します。
イチョウの種子が熟すと肉質化した種皮の外表皮が異臭を放ち[128]、素手で直接触れるとかぶれやすい[119]。異臭の主成分は下記の皮膚炎の原因となるギンコール酸である[128]。異臭によりニホンザル、ネズミなどの動物は食べようとしないが、アライグマは食べると言われている[129]。

 

種皮の外表皮には乳白色の乳液があり、それにはアレルギー性皮膚炎を誘発するギンコールやビロボールといったギンコール酸(ギンゴール酸)と呼ばれるアルキルフェノール類の脱炭酸化合物を含んでいる[44][111]。これはウルシのウルシオールと類似し、かぶれなどの皮膚炎を引き起こす[128]。

 

食用とする種子にはビタミンB6の類縁体4'-O-メチルピリドキシン (4'-O-methylpyridoxine, MPN) が含まれている[128][131][132] が、これはビタミンB6に拮抗して(抗ビタミンB6作用)ビタミンB6欠乏となりGABAの生合成を阻害し、まれに痙攣などを引き起こす[128]。銀杏の大量摂取により中毒を発症するのは小児に多く、成人では少ない[115]。大人の場合かなりの数を摂取しなければ問題はない

私はてっきり、タヌキが銀杏の外側の臭い果肉(正確にはイチョウの外表皮)を食べるために種子ごと丸呑みしているのかと思っていました。 (周食型種子散布)
種子散布者のタヌキは種子を噛み砕かずに丸呑みするので、種子に含まれる中毒物質には影響されないのでしょう。
もしもタヌキがイチョウの外表皮を忌避して(取り除いて)種子だけ食べるのだとしたら、硬い殻を噛み砕かないと栄養豊富な仁を消化できませんし、一体なんのために銀杏を丸呑みしているのか、意味が分かりません。
タヌキに銀杏を給餌して食べ方を実際に観察してみないといけません。 

私は飲んだことがありませんが、コピ・ルアクと呼ばれる高級なコーヒーがあります。
ジャコウネコがコーヒーの果実を食べると、種子は消化されないまま糞と一緒に排泄されます。(ジャコウネコによるコーヒーの種子散布)
それをヒトがわざわざ拾い集めて洗浄してから、コーヒー豆として焙煎すると、すばらしい香りがするのだそうです。
(コピ・ルアクを最初に試飲した勇者を尊敬します。)
タヌキの溜め糞から回収した銀杏も、もしかしたら意外な風味が加わり、希少価値のある食材として高級料亭に売りつければ商売になるかもしれませんね。(ビッグ・ビジネスの予感!)
ぜひ誰か勇者が味見してみてください。
タヌキの糞が臭くて駄目だとしても、別の野生動物ならどうでしょう?

つづく→ 


※【追記】
2023年12月上旬
少し離れた別の溜め糞場ph:スギ倒木横で撮った写真に、未消化のまま排泄されたイチョウの種子(銀杏)および黄色い外表皮が写っていました。


ソバの実も溜め糞に含まれていました。




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