2025/11/09
ニホンカモシカ排尿姿勢の性差【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/10/31
アナグマの営巣地を1〜2頭で昼夜うろつくホンドタヌキ:8月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/10/06
アナグマの巣穴に繰り返し忍び込むホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/09/03
アナグマの営巣地に忍び込み排尿マーキングして帰るホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/08/27
樹上で羽繕いし、ペリットを吐き出すモズの幼鳥(野鳥)
2025/08/26
早朝の営巣地に侵入したホンドギツネを追い払うニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】
2025/08/12
林道で大量に吸水しながら排尿するミヤマカラスアゲハ♂
2025/08/06
独りで外出する前に必ず営巣地に匂い付けするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/07/13
モンシロチョウ♀が♂2頭の求愛を拒みながら脱糞?!
- モンシロチョウは成虫になると花蜜しか摂取しませんから固形の糞を排泄することはありない…はずです。 この定説が間違っていたのでしょうか?
- ♀が未成熟の卵を産みかけたのかもしれません。 しかし未成熟だからといって、モンシロチョウの卵に特徴的な紡錘形が異常に歪んだりすることはないらしい。
- 蛹から成虫が羽化して翅を広げる際に使った羽化液(蛹便)が腹端で凝固したのでしょうか? 私はまだモンシロチョウの飼育経験がありませんが、モンシロチョウの羽化液(蛹便)は黄色っぽいらしい。 ところが、今回観察した♀個体は右前翅の翅頂が欠けていて、羽化直後ではなさそうです。
- 花粉などのゴミがたまたま腹端に付着しただけのような気がしてきました。
- モンシロチョウの交尾後、♂の精包(spermatophore)が♀の腹端外部に付着したまま残ることはありません。チョウ類の交尾では、♂が精包を♀の生殖器内部(bursa copulatrix)に挿入・移動させます。精包は、♀の体内の袋状器官(バルサ・コプラトリックス)内に完全に収められ、外部に露出することはありません。やがて精包は♀の体内で消化・分解されますが、殻(外被)は♀の体内に残ります。ウスバアゲハなど一部の昆虫では、交尾後に「交尾栓(スフラギス=sphragis)」と呼ばれる構造物が♀の生殖孔外部に貞操帯として形成されることがありますが、モンシロチョウでは形成されません。
2025/07/04
アナグマの空き巣に昼も夜も訪れ内見を繰り返すホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/07/02
溜め糞場の近くで小便するニホンカモシカ♀【トレイルカメラ】
2025/06/25
アナグマの空き巣を鳴きながらうろつき、巣穴の内見と匂い付けするホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/06/14
ニホンカモシカの溜め糞で糞虫が見つからず分解も遅いのはなぜか?【フィールドサイン】
ニホンカモシカの溜め糞場における糞虫不在現象に関する考察
1. 背景と発端
筆者が調査を行っている山形県の低山・里山域において、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場では、排泄された糞粒が長期間分解されずに残存している現象が確認された。この糞は形状が崩れることなく保持され、キノコ類等の菌類も発生しにくい。加えて、フン虫(糞虫)類の活動痕跡が見られず、掘り起こし・埋設・球状運搬などの典型的なフン虫行動が全く確認されていない。
この状況は「野生哺乳類の排泄物には必ずそれを分解利用するフン虫類が存在する」という従来の昆虫生態学的通説と矛盾する可能性がある。筆者はこの疑問を基点に、以下のような仮説と解釈を考察した。
2. 既知情報と比較
2-1. 家畜ヤギ・野生シカの糞とフン虫
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ヤギの団粒糞(ペレット型)は水分量が少なく、液状糞を好む大型コガネムシ(タマオシコガネ類やオオセンチコガネ)の誘引力が低いことが知られている。
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奈良公園のシカ糞ではセンチコガネ類が活動するが、同じペレット型でも密度・利用頻度の高さが寄与していると推定される。
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カモシカは糞場への再訪頻度・個体密度ともにシカより低く、誘引力・検出確率がさらに下がる可能性。
2-2. ノウサギの糞
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ノウサギ糞もペレット型で、乾燥後は容易に崩壊・土壌化するため、糞虫による積極的な利用は報告例が少ない。
2-3. 捕食性動物(テン、キツネ等)の糞
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肉食獣の糞は乾燥しやすく、植物食獣糞ほど糞虫の利用例は少ないが、特定の腐食性昆虫(ハエ類、シデムシ類)が利用する場合あり。
3. 仮説
仮説1:「カモシカ糞には防虫・抗菌成分が含まれる」
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カモシカの食餌植物由来の二次代謝物(苦味成分、精油成分など)が糞中に残り、フン虫を忌避させている可能性。
仮説2:「フン虫不在型糞リサイクル系の存在」
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山地林内ではフン虫ギルド自体が貧弱であり、主に微生物・土壌動物(ダニ、トビムシ等)や物理風化で分解が進む「フン虫不在型系」が成立している可能性。
仮説3:「ボトルネック効果によるスペシャリスト絶滅」
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過去の狩猟圧でカモシカ個体群が激減した際、カモシカの糞に依存していたスペシャリストのフン虫類が絶滅した可能性。
仮説4:「カモシカ糞の低い誘引力と周辺フン虫相の組成」
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林内フン虫の種数・密度自体が低いため、偶発的にカモシカ糞に到達する個体が稀である可能性。しかし、同所性のタヌキやアナグマの溜め糞、ニホンザルやツキノワグマなどの糞には糞虫が来ていることが説明できない。
4. 思考実験とその考察
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奈良公園のルリセンチコガネ(Geotrupes属)のようなペレット糞適応型フン虫を山形県の低山地に人為的に放虫した場合、カモシカ糞の分解促進が期待できるか?→理論的には可能だが、国内外来種問題や気候・繁殖条件の違いにより定着は難しいと考えられる。
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ノウサギ、カモシカ、ヤギなどペレット糞排泄動物の糞リサイクルは、フン虫が関与しない独自路線を取っている可能性。
5. 今後の調査方針
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カモシカ糞粒の化学成分分析(抗菌・防虫物質の検出)
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冬期雪解け後・春先の糞粒の分解状況調査
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林内フン虫相の再評価(マグソコガネ類等の存在確認)
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飼育下カモシカ糞への野外フン虫誘引実験(無菌下設置)
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他地域(中部、関西、九州)のカモシカ溜め糞場との比較調査
6. 結論
ニホンカモシカの溜め糞場におけるフン虫不在現象は、全国的・生態系的に普遍的な現象である可能性が高まった。ただし、化学的忌避・生息地的隔離・進化史的喪失など複数要因が複雑に絡む未解明分野であり、基礎生態学的価値は高い。
「日本山地林内におけるフン虫不在型糞リサイクル系の存在」という仮説は、今後の生態系モデルに新たな視座を提供する可能性がある。