- モンシロチョウは成虫になると花蜜しか摂取しませんから固形の糞を排泄することはありない…はずです。 この定説が間違っていたのでしょうか?
- ♀が未成熟の卵を産みかけたのかもしれません。 しかし未成熟だからといって、モンシロチョウの卵に特徴的な紡錘形が異常に歪んだりすることはないらしい。
- 蛹から成虫が羽化して翅を広げる際に使った羽化液(蛹便)が腹端で凝固したのでしょうか? 私はまだモンシロチョウの飼育経験がありませんが、モンシロチョウの羽化液(蛹便)は黄色っぽいらしい。 ところが、今回観察した♀個体は右前翅の翅頂が欠けていて、羽化直後ではなさそうです。
- 花粉などのゴミがたまたま腹端に付着しただけのような気がしてきました。
- モンシロチョウの交尾後、♂の精包(spermatophore)が♀の腹端外部に付着したまま残ることはありません。チョウ類の交尾では、♂が精包を♀の生殖器内部(bursa copulatrix)に挿入・移動させます。精包は、♀の体内の袋状器官(バルサ・コプラトリックス)内に完全に収められ、外部に露出することはありません。やがて精包は♀の体内で消化・分解されますが、殻(外被)は♀の体内に残ります。ウスバアゲハなど一部の昆虫では、交尾後に「交尾栓(スフラギス=sphragis)」と呼ばれる構造物が♀の生殖孔外部に貞操帯として形成されることがありますが、モンシロチョウでは形成されません。
2025/07/13
モンシロチョウ♀が♂2頭の求愛を拒みながら脱糞?!
2025/07/04
アナグマの空き巣に昼も夜も訪れ内見を繰り返すホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/07/02
溜め糞場の近くで小便するニホンカモシカ♀【トレイルカメラ】
2025/06/25
アナグマの空き巣を鳴きながらうろつき、巣穴の内見と匂い付けするホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/06/14
ニホンカモシカの溜め糞で糞虫が見つからず分解も遅いのはなぜか?【フィールドサイン】
ニホンカモシカの溜め糞場における糞虫不在現象に関する考察
1. 背景と発端
筆者が調査を行っている山形県の低山・里山域において、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場では、排泄された糞粒が長期間分解されずに残存している現象が確認された。この糞は形状が崩れることなく保持され、キノコ類等の菌類も発生しにくい。加えて、フン虫(糞虫)類の活動痕跡が見られず、掘り起こし・埋設・球状運搬などの典型的なフン虫行動が全く確認されていない。
この状況は「野生哺乳類の排泄物には必ずそれを分解利用するフン虫類が存在する」という従来の昆虫生態学的通説と矛盾する可能性がある。筆者はこの疑問を基点に、以下のような仮説と解釈を考察した。
2. 既知情報と比較
2-1. 家畜ヤギ・野生シカの糞とフン虫
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ヤギの団粒糞(ペレット型)は水分量が少なく、液状糞を好む大型コガネムシ(タマオシコガネ類やオオセンチコガネ)の誘引力が低いことが知られている。
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奈良公園のシカ糞ではセンチコガネ類が活動するが、同じペレット型でも密度・利用頻度の高さが寄与していると推定される。
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カモシカは糞場への再訪頻度・個体密度ともにシカより低く、誘引力・検出確率がさらに下がる可能性。
2-2. ノウサギの糞
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ノウサギ糞もペレット型で、乾燥後は容易に崩壊・土壌化するため、糞虫による積極的な利用は報告例が少ない。
2-3. 捕食性動物(テン、キツネ等)の糞
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肉食獣の糞は乾燥しやすく、植物食獣糞ほど糞虫の利用例は少ないが、特定の腐食性昆虫(ハエ類、シデムシ類)が利用する場合あり。
3. 仮説
仮説1:「カモシカ糞には防虫・抗菌成分が含まれる」
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カモシカの食餌植物由来の二次代謝物(苦味成分、精油成分など)が糞中に残り、フン虫を忌避させている可能性。
仮説2:「フン虫不在型糞リサイクル系の存在」
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山地林内ではフン虫ギルド自体が貧弱であり、主に微生物・土壌動物(ダニ、トビムシ等)や物理風化で分解が進む「フン虫不在型系」が成立している可能性。
仮説3:「ボトルネック効果によるスペシャリスト絶滅」
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過去の狩猟圧でカモシカ個体群が激減した際、カモシカの糞に依存していたスペシャリストのフン虫類が絶滅した可能性。
仮説4:「カモシカ糞の低い誘引力と周辺フン虫相の組成」
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林内フン虫の種数・密度自体が低いため、偶発的にカモシカ糞に到達する個体が稀である可能性。しかし、同所性のタヌキやアナグマの溜め糞、ニホンザルやツキノワグマなどの糞には糞虫が来ていることが説明できない。
4. 思考実験とその考察
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奈良公園のルリセンチコガネ(Geotrupes属)のようなペレット糞適応型フン虫を山形県の低山地に人為的に放虫した場合、カモシカ糞の分解促進が期待できるか?→理論的には可能だが、国内外来種問題や気候・繁殖条件の違いにより定着は難しいと考えられる。
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ノウサギ、カモシカ、ヤギなどペレット糞排泄動物の糞リサイクルは、フン虫が関与しない独自路線を取っている可能性。
5. 今後の調査方針
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カモシカ糞粒の化学成分分析(抗菌・防虫物質の検出)
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冬期雪解け後・春先の糞粒の分解状況調査
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林内フン虫相の再評価(マグソコガネ類等の存在確認)
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飼育下カモシカ糞への野外フン虫誘引実験(無菌下設置)
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他地域(中部、関西、九州)のカモシカ溜め糞場との比較調査
6. 結論
ニホンカモシカの溜め糞場におけるフン虫不在現象は、全国的・生態系的に普遍的な現象である可能性が高まった。ただし、化学的忌避・生息地的隔離・進化史的喪失など複数要因が複雑に絡む未解明分野であり、基礎生態学的価値は高い。
「日本山地林内におけるフン虫不在型糞リサイクル系の存在」という仮説は、今後の生態系モデルに新たな視座を提供する可能性がある。
2025/06/13
ツキノワグマの糞塊内に潜むセンチコガネ
2025/06/07
溜め糞場に来て大小便と眼下腺マーキングするニホンカモシカの♀と幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/06/04
タヌキの新鮮な溜め糞から吸汁して飛び去る夜蛾【トレイルカメラ:暗視映像】
山中の水溜りでヒキガエルの幼生を狩って雛に給餌するクロツグミ♀【野鳥:トレイルカメラ】
つがいで縄張りを持ち、♂は木の梢で大きな声でさえずる。主に地上をはね歩きながら採餌する。数歩はねて立ちどまり、ゴミムシなどの昆虫やミミズを捕える。(p445より引用)確かにクロツグミの♀♂つがいが見事に縄張りを防衛しているようで、昼間この水場には他種の鳥がやって来ません。
クロツグミとヒキガエル幼生に関する観察記録と考察レポート
1. 観察の概要
2024年5月下旬〜6月上旬、山形県の里山における水場に設置したトレイルカメラにより、クロツグミ(Turdus cardis)の成鳥が水溜まりで採餌している様子が複数回記録された。観察映像から、以下の行動が確認された:
クロツグミの雌雄ペアが黒色のオタマジャクシを捕獲し、巣に持ち帰る様子
ミミズなど他の餌も同時に採餌し、巣に持ち帰っている
特に注目すべきは、捕獲されたオタマジャクシがヒキガエル(Bufo japonicus, アズマヒキガエル)と推定される種であったことである。
2. ヒキガエル幼生の毒性と鳥類による捕食
ヒキガエル類は成体だけでなく、幼生(オタマジャクシ)の段階から心臓毒であるブフォトキシン(bufotoxin)を含むことで知られている。一般にこの毒素は魚類や一部の昆虫捕食者に対する忌避効果を持つとされるが、鳥類による捕食例も報告されている。
ヒキガエルの幼生は黒一色で地味な体色をしており、警告色(アポセマティズム)を持たないため、視覚的に毒を予測しにくい可能性がある。これは、捕食者に対する隠蔽戦略を主とする進化的適応と解釈できる。
3. クロツグミの給餌行動と雛への影響
今回の記録では、親鳥が複数のオタマジャクシを捕食・運搬しており、巣にいる雛に給餌したと考えられる。毒性のあるオタマジャクシを雛が摂取した場合、以下のような影響が懸念される:
ブフォトキシンは神経・心臓に作用する強い毒性を持ち、哺乳類や鳥類にも有害
雛は成鳥に比べて体重が軽く、1匹でも中毒死するリスクがある
ただし、実際の給餌では、親鳥が複数の雛に分散して餌を与えることが多く、個体ごとの摂取量は限られる可能性がある
トレイルカメラの映像からは巣内の雛の生存状況や健康状態は不明
4. 因果関係の認知と学習可能性
親鳥が自らオタマジャクシを食べて中毒を経験すれば、忌避学習が成立する可能性は高い。しかし、給餌対象が雛であり、かつ雛が体調を崩したとしても、その原因を特定の餌と因果づけて推論することは難しい。これは多くの鳥類において制限されている認知能力の範囲と一致する。
とはいえ、種全体としては、毒を持つオタマジャクシの忌避行動が自然選択的に強化される可能性はある。すなわち、雛に毒を与えてしまう親鳥の子孫は減り、毒餌を避ける親の行動が有利に働く。
5. 警告色を持たない毒幼生の戦略的意味
アカハライモリのように腹部の赤色を見せる"unken reflex"を持つ両生類とは対照的に、ヒキガエル幼生は視覚的警告を欠く。これは、警告色の進化には色素細胞の前適応や環境要因が必要であること、また水中での視覚信号の有効性が限定的であることが理由と考えられる。
6. 結論と今後の展望
今回の事例は、毒性のあるヒキガエル幼生がクロツグミに捕食され、給餌対象として利用されるという興味深い生態的相互作用を示している。親鳥および雛への毒の影響は、摂取量や個体差によって異なると考えられるが、今後さらなる観察や給餌後の巣の状況(生存率など)を追跡することで、鳥類と毒動物の相互作用についてより深い理解が得られるだろう。
2025/05/28
事故物件の空き巣を内見するようになったホンドタヌキ♀♂:5月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/05/25
ニホンカモシカの溜め糞場から生えてきたクズヒトヨタケ?【キノコ】
東北地方では、明治時代にサルが乱獲されて個体数が激減した。最近こそ回復傾向にあるが、多くの地域では、猿がいない森林が100年近く続いたことになる。(中略)猿が不在の森や最近サルが新たに進出した森では、糞虫の種多様性が著しく低いことがわかった。 (p157より引用)
東北地方のサルの分布が限られている(中略)大きな理由は、明治期に肉や薬にする目的で盛んに行われた狩猟による、地域的な絶滅だ。(p181より引用)
当地ではニホンザルが昔も今も里山に生息していますが、ニホンカモシカが狩猟圧によって一時期は絶滅に瀕していたのではないか?と想像しています。
特別天然記念物に指定されて保護されたのが奏効し、現在ではカモシカの数が増えて、里山(低山)でもありふれた哺乳類になりました。
このような個人的な妄想をPerplexity AIとブレインストーミングした問答集をレポートにまとめてもらいました。
レポート:カモシカの糞と糞虫分解系に関するブレインストーミング
1. はじめに
本レポートは、山形県多雪地帯の里山フィールドにおけるカモシカの溜め糞と糞虫の関係について、現地観察と素朴な疑問を出発点とし、ブレインストーミングを通じて得られた知見と仮説をまとめたものである。
2. 現地観察の概要
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カモシカの溜め糞が林床に長期間残り、分解が非常に遅い。
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タヌキやアナグマの溜め糞場にはセンチコガネなどの糞虫が集まり、分解が進んでいる。
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カモシカの糞にはカビやキノコなどの分解者もほとんど見られない。
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カモシカの糞粒はほぼ無臭で、タヌキの糞に比べて糞便臭が弱い。
3. 主な仮説と考察
3.1 糞虫の不在・機能的絶滅仮説
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過去の狩猟圧などでカモシカが一時的に絶滅し、それに依存していた糞虫も局所絶滅した可能性。
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カモシカの個体数が回復しても、糞虫は分散能力や気候適応性の制約により戻っていない可能性。
3.2 餌資源としての魅力の低さ
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カモシカの糞は乾燥しやすく、臭気成分が乏しいため、センチコガネなどの糞虫にとって魅力が低い。
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タヌキやアナグマの糞は水分や動物性成分が多く、糞虫を強く誘引する。
3.3 栄養バランス・分解者忌避仮説
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カモシカの糞は繊維質が多く、発酵や微生物の多様性が乏しいため、幼虫の発育に適さない可能性。
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カモシカが抗菌・忌避成分を含む植物を好んで食べている場合、糞中にこれらの成分が残り、糞虫やカビ、キノコの分解を阻害している可能性。
3.4 餌資源の希少性と糞虫の生態
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カモシカの個体数密度が低く、糞の供給量も少ないため、糞虫にとっては「当てにならない」希少な資源であり、専門的に利用する種が成立しにくい。
3.5 糞虫導入による分解サイクル復活の可能性
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オーストラリアの糞虫導入事例を参考に、他地域からカモシカ糞分解糞虫を移植すれば分解サイクルが復活する可能性はあるが、気候適応や生態系リスクの検討が必須。
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多雪地帯では、暖地性糞虫の越冬能力が不足し、定着が困難。
3.6 「もともと分解糞虫がいなかった」可能性の検証
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歴史的文献・標本記録、広域比較調査、気候・環境要因の検討を通じて、当地にカモシカ糞分解糞虫が「もともといなかった」可能性も調べる必要がある。
4. 今後の調査・検証の方向性
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過去の文献・標本調査や、他地域との比較による検証。
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カモシカ糞の化学分析や分解実験による忌避・抗菌成分の有無の確認。
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糞虫導入のシミュレーションや、現地での分解サイクルの実験的再構築。
5. まとめ
本ブレインストーミングを通じて、カモシカの糞分解サイクルが途絶している現象には、動物の個体数動態、糞の性質、分解者の生態、地域環境の多様な要因が複雑に絡み合っていることが浮かび上がった。
今後は、フィールド観察と広域的・歴史的な視点を組み合わせ、糞虫と分解者ネットワークの成り立ちと変遷を明らかにしていくことが重要である。
見落としがちな視点・新しい仮説
あなたの観察と仮説は非常に多角的ですが、さらに検討できる新しい視点や仮説をいくつか挙げます。
1. カモシカの糞の社会的機能と分解抑制仮説
最新の研究では、カモシカの溜め糞がなわばり宣言ではなく、「メスがオスへ発情をアピールするため」に使われている可能性が指摘されています9。
この場合、糞が長期間残ること自体がカモシカの社会的コミュニケーションにとって有利であり、分解されにくい性質(抗菌成分、乾燥しやすさ、無臭化など)が進化的に選択された可能性もあります。
つまり、「分解されにくい糞」は、カモシカ自身の生態的戦略の一部かもしれません。
2. シカとの種間関係・競争の影響
近年、シカ(ニホンジカ)の分布拡大が東北地方でも進んでおり、カモシカとの生息地競争やストレス増加が報告されています1013。
シカの糞虫群集がカモシカの糞虫群集に影響している可能性や、シカの増加によってカモシカの糞虫が駆逐・交替した可能性も考えられます。
また、シカの糞が大量に供給されることで、糞虫がシカ糞に依存するようになり、カモシカ糞は相対的に利用されなくなった可能性もあります。
3. 糞の識別・誤認による調査バイアス
カモシカとシカの糞は外見が非常に似ており、DNA識別法が開発されるまで正確な区別が難しかったことが指摘されています12131415。
過去の糞虫観察記録や分解状況の報告が、実はシカ糞とカモシカ糞を混同していた可能性もあり、糞虫が本当にカモシカ糞を利用していたかどうか再検証が必要です。
4. 微生物・土壌環境の特殊性
糞虫やカビ・キノコが付かないのは、糞そのものだけでなく、**フィールドの土壌微生物群集や環境条件(pH、含水率、他の有機物供給状況など)**が影響している可能性もあります。
例えば、分解者の「種のプール」がそもそも貧弱である場合、どんな糞でも分解が遅れることがあります。
5. 季節性・積雪の影響
多雪地帯では、糞虫や分解者の活動期間が短く、糞が分解される前に積雪で覆われてしまうことで、分解サイクルがリセットされている可能性も考えられます。
春先に糞虫が活動を始める頃には、糞がすでに乾燥・風化していて利用しにくくなっているかもしれません。
6. カモシカ糞の化学的多様性
カモシカの餌植物は季節や地域で大きく異なります。特定の時期や場所だけ分解者忌避成分が強くなる場合もあり、糞の分解難易度が一様でない可能性もあります。
まとめ
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カモシカの糞が「分解されにくい」こと自体が社会的・進化的な適応である可能性
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シカとの種間競争や糞虫群集の変化
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糞の識別誤認による過去データの再検証
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土壌や微生物環境の特殊性
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多雪地帯特有の季節性・リセット効果
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糞の化学的多様性と分解難易度の変動
これらの視点は、今後のフィールド調査や実験計画の新たな切り口となるでしょう。
(参考文献リストは割愛。)
実は翌年(2025年5月上旬)に初めて1匹のオオセンチコガネをカモシカの古い溜め糞場で発見することになります(映像公開予定)。
私の仮説は修正を余儀なくされそうです。
しかし、カモシカの溜め糞に集まる糞虫の数が相変わらず非常に少ないことには変わりがありません。
【アフィリエイト】