東北地方では、明治時代にサルが乱獲されて個体数が激減した。最近こそ回復傾向にあるが、多くの地域では、猿がいない森林が100年近く続いたことになる。(中略)猿が不在の森や最近サルが新たに進出した森では、糞虫の種多様性が著しく低いことがわかった。 (p157より引用)
東北地方のサルの分布が限られている(中略)大きな理由は、明治期に肉や薬にする目的で盛んに行われた狩猟による、地域的な絶滅だ。(p181より引用)
当地ではニホンザルが昔も今も里山に生息していますが、ニホンカモシカが狩猟圧によって一時期は絶滅に瀕していたのではないか?と想像しています。
特別天然記念物に指定されて保護されたのが奏効し、現在ではカモシカの数が増えて、里山(低山)でもありふれた哺乳類になりました。
このような個人的な妄想をPerplexity AIとブレインストーミングした問答集をレポートにまとめてもらいました。
レポート:カモシカの糞と糞虫分解系に関するブレインストーミング
1. はじめに
本レポートは、山形県多雪地帯の里山フィールドにおけるカモシカの溜め糞と糞虫の関係について、現地観察と素朴な疑問を出発点とし、ブレインストーミングを通じて得られた知見と仮説をまとめたものである。
2. 現地観察の概要
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カモシカの溜め糞が林床に長期間残り、分解が非常に遅い。
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タヌキやアナグマの溜め糞場にはセンチコガネなどの糞虫が集まり、分解が進んでいる。
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カモシカの糞にはカビやキノコなどの分解者もほとんど見られない。
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カモシカの糞粒はほぼ無臭で、タヌキの糞に比べて糞便臭が弱い。
3. 主な仮説と考察
3.1 糞虫の不在・機能的絶滅仮説
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過去の狩猟圧などでカモシカが一時的に絶滅し、それに依存していた糞虫も局所絶滅した可能性。
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カモシカの個体数が回復しても、糞虫は分散能力や気候適応性の制約により戻っていない可能性。
3.2 餌資源としての魅力の低さ
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カモシカの糞は乾燥しやすく、臭気成分が乏しいため、センチコガネなどの糞虫にとって魅力が低い。
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タヌキやアナグマの糞は水分や動物性成分が多く、糞虫を強く誘引する。
3.3 栄養バランス・分解者忌避仮説
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カモシカの糞は繊維質が多く、発酵や微生物の多様性が乏しいため、幼虫の発育に適さない可能性。
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カモシカが抗菌・忌避成分を含む植物を好んで食べている場合、糞中にこれらの成分が残り、糞虫やカビ、キノコの分解を阻害している可能性。
3.4 餌資源の希少性と糞虫の生態
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カモシカの個体数密度が低く、糞の供給量も少ないため、糞虫にとっては「当てにならない」希少な資源であり、専門的に利用する種が成立しにくい。
3.5 糞虫導入による分解サイクル復活の可能性
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オーストラリアの糞虫導入事例を参考に、他地域からカモシカ糞分解糞虫を移植すれば分解サイクルが復活する可能性はあるが、気候適応や生態系リスクの検討が必須。
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多雪地帯では、暖地性糞虫の越冬能力が不足し、定着が困難。
3.6 「もともと分解糞虫がいなかった」可能性の検証
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歴史的文献・標本記録、広域比較調査、気候・環境要因の検討を通じて、当地にカモシカ糞分解糞虫が「もともといなかった」可能性も調べる必要がある。
4. 今後の調査・検証の方向性
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過去の文献・標本調査や、他地域との比較による検証。
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カモシカ糞の化学分析や分解実験による忌避・抗菌成分の有無の確認。
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糞虫導入のシミュレーションや、現地での分解サイクルの実験的再構築。
5. まとめ
本ブレインストーミングを通じて、カモシカの糞分解サイクルが途絶している現象には、動物の個体数動態、糞の性質、分解者の生態、地域環境の多様な要因が複雑に絡み合っていることが浮かび上がった。
今後は、フィールド観察と広域的・歴史的な視点を組み合わせ、糞虫と分解者ネットワークの成り立ちと変遷を明らかにしていくことが重要である。
見落としがちな視点・新しい仮説
あなたの観察と仮説は非常に多角的ですが、さらに検討できる新しい視点や仮説をいくつか挙げます。
1. カモシカの糞の社会的機能と分解抑制仮説
最新の研究では、カモシカの溜め糞がなわばり宣言ではなく、「メスがオスへ発情をアピールするため」に使われている可能性が指摘されています9。
この場合、糞が長期間残ること自体がカモシカの社会的コミュニケーションにとって有利であり、分解されにくい性質(抗菌成分、乾燥しやすさ、無臭化など)が進化的に選択された可能性もあります。
つまり、「分解されにくい糞」は、カモシカ自身の生態的戦略の一部かもしれません。
2. シカとの種間関係・競争の影響
近年、シカ(ニホンジカ)の分布拡大が東北地方でも進んでおり、カモシカとの生息地競争やストレス増加が報告されています1013。
シカの糞虫群集がカモシカの糞虫群集に影響している可能性や、シカの増加によってカモシカの糞虫が駆逐・交替した可能性も考えられます。
また、シカの糞が大量に供給されることで、糞虫がシカ糞に依存するようになり、カモシカ糞は相対的に利用されなくなった可能性もあります。
3. 糞の識別・誤認による調査バイアス
カモシカとシカの糞は外見が非常に似ており、DNA識別法が開発されるまで正確な区別が難しかったことが指摘されています12131415。
過去の糞虫観察記録や分解状況の報告が、実はシカ糞とカモシカ糞を混同していた可能性もあり、糞虫が本当にカモシカ糞を利用していたかどうか再検証が必要です。
4. 微生物・土壌環境の特殊性
糞虫やカビ・キノコが付かないのは、糞そのものだけでなく、**フィールドの土壌微生物群集や環境条件(pH、含水率、他の有機物供給状況など)**が影響している可能性もあります。
例えば、分解者の「種のプール」がそもそも貧弱である場合、どんな糞でも分解が遅れることがあります。
5. 季節性・積雪の影響
多雪地帯では、糞虫や分解者の活動期間が短く、糞が分解される前に積雪で覆われてしまうことで、分解サイクルがリセットされている可能性も考えられます。
春先に糞虫が活動を始める頃には、糞がすでに乾燥・風化していて利用しにくくなっているかもしれません。
6. カモシカ糞の化学的多様性
カモシカの餌植物は季節や地域で大きく異なります。特定の時期や場所だけ分解者忌避成分が強くなる場合もあり、糞の分解難易度が一様でない可能性もあります。
まとめ
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カモシカの糞が「分解されにくい」こと自体が社会的・進化的な適応である可能性
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シカとの種間競争や糞虫群集の変化
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糞の識別誤認による過去データの再検証
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土壌や微生物環境の特殊性
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多雪地帯特有の季節性・リセット効果
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糞の化学的多様性と分解難易度の変動
これらの視点は、今後のフィールド調査や実験計画の新たな切り口となるでしょう。
(参考文献リストは割愛。)
実は翌年(2025年5月上旬)に初めて1匹のオオセンチコガネをカモシカの古い溜め糞場で発見することになります(映像公開予定)。
私の仮説は修正を余儀なくされそうです。
しかし、カモシカの溜め糞に集まる糞虫の数が相変わらず非常に少ないことには変わりがありません。
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