2022/12/24

雨夜に溜め糞場で排便・マーキングするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年8月中旬・午後20:20頃・雨・気温21℃ 

里山のスギ林道に残された溜め糞場sを2台のトレイルカメラで監視しています。 
夜にニホンアナグマMeles anakuma)が右から登場しました。 
前夜にタヌキが排泄した糞は、糞虫の活躍により、もう残っていないようです。 

アナグマ♂は自分たちアナグマの溜め糞の匂いを嗅いでからスギの根元に向かい、下草2ヶ所に尻を擦り付けて肛門腺および臭腺で匂い付けしました(スクワットマーキング)。 
軽く一回りしてから、左を向いて前進しながら排便しました。 
タヌキと異なりアナグマの糞はいつも軟便で、ダラダラと排泄します。 

脱糞後にガニ股で歩き回る後ろ姿の股間に睾丸が見えたので、♂と判明。 
この溜め糞場sに来るアナグマが♂ばかりなのは不思議です。 
モノクロの暗視映像では体色が分からないのですが、顔の過眼線の黒色が薄く、アルビノじゃないかと疑っています。 
アナグマの老齢個体は白毛(≒白髪)になるのかな? 
アルビノは劣性変異だとすると、出現頻度は低いはずです。 

林道を左に立ち去ったと思いきや、アナグマ♂がすぐに引き返して来ました。 
再びスギの根際の周囲でスクワットマーキングをやり、カメラ真下の死角に消えました。 
カモシカと同様に林道脇の法面を登ったのでしょうか?

続きの行動が別カメラ@ホオノキに記録されていました。 
逆のアングルから狙った映像です。(@0:58〜) 
対面の杉に固定したトレイルカメラは録画終了しており、赤外線LEDは既に消灯しています。 
このとき実は雨が降っていることが分かりました。 
立派に育った杉林では雨が枝葉で遮られて、トレイルカメラ@スギに写りにくいのです。 

アナグマ♂は林道に生えた下草の匂いを嗅ぎ回っています。 
雨で濡れた体を身震いして毛皮の水気を切りました。 
林道上に生えた枯れ茎の匂いを嗅いでからスクワットマーキングを施し、画面右下に姿を消しました。 
これほど念入りにスクワットマーキングをするのは、タヌキの溜め糞が近くにあるからなのでしょうか? 

アナグマの大好物はミミズだと本で読みました。 
雨が降るとミミズが地表によく出てくるようになり、アナグマが捕食しやすくなるとのこと。 
夜の山林で野生のアナグマがミミズを捕食するシーンをいつか撮ってみたいものです。 
林道の地面を掘り返した形跡をあちこちで見かけるので、来季はトレイルカメラで監視してみるつもりです。 
アナグマがいつも下痢気味なのは、ミミズをよく食べるからなのでしょうか? 



溜め糞に群がるキンバエ類を待ち伏せて狩ろうとするアカバトガリオオズハネカクシ

前回の記事:▶ ハネフリバエ科Euxesta属の一種がタヌキの糞を舐め、肉食性ハネカクシ類から逃げ回る

2022年8月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山で廃道状態の細い山道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場fでキンバエの仲間(種名不詳)が群がり、泥状の獣糞から吸汁していました。 
真夏の強い日射しを浴びて緑や青の金属光沢に輝き、マクロレンズで接写するとなかなか綺麗です。(「掃き溜めに鶴」) 
このハエの名前を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。

獣糞上で肉食性のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)がハエ成虫を狩ろうと追い回すものの、逃げられてばかりです。 
狩りの失敗シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
反射神経と敏捷性に優れるハエは易々と飛び去り、虎口を逃れています。
ハネカクシは獲物を闇雲に追いかけずにじっと待ち伏せする方が良い気がするのですけど、ハエの成虫を襲って狩りに成功することがあるのでしょうか? 
専らハエの幼虫(ウジ虫)を襲って捕食するのかな?
だとすれば、獣糞に産卵してくれるハエ♀を追い散らすのは得策ではありません。




2022/12/23

溜め糞場でタヌキ・アナグマの匂いに興味津々のツキノワグマ幼獣【トレイルカメラ】

前回の記事:▶ ツキノワグマの毛に大量の「ひっつき虫」:種子の動物散布【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年8月下旬・午前5:55・気温20℃ (日の出時刻は午前4:57) 

里山でスギ林道にある溜め糞場sを見張っているトレイルカメラに写ったツキノワグマUrsus thibetanus)の記録です。 
朝日が昇り完全に明るくなった林道を2頭の子グマが相次いで左から登場しました。 
毛皮のあちこちに緑色のひっつき虫が付着しています。 
好奇心旺盛な子熊は溜め糞場sに立ち止まって、頻りに匂いを嗅いでいます。 
この溜め糞場を初めて見たのだとしたら、ホンドタヌキとニホンアナグマの匂いを学習しているのでしょう。

そこへ母親が追いつきました。 
母グマは溜め糞場sに興味を示さないどころか、平気で踏みつけて通り過ぎました。 
幼獣の片方は遅れかけたものの、先行する兄弟を走って追いかけました。 
ツキノワグマの親子はそのまま林道を右へ立ち去りました。 

同じ林道を逆側から狙った別のトレイルカメラには、このときなぜか何も写っていませんでした。 
ツキノワグマの母子が一体どこから登場したのか、謎です。 

ツキノワグマ幼獣の撮影に初めて成功しました♪
家族連れの♀も初見です。 
この山域でツキノワグマが繁殖しているという確証が得られました。 
もし登山客などが現場でうっかり子連れの母熊とニアミスしたら、非常に危険です。 
完全な夜行性ならともかく、明るい昼間も山林を出歩いているのが厄介です。 



リョウブの花穂に飛び移り摂食・身繕いするアカハナカミキリ

 

2022年8月中旬・午後16:00頃・晴れ 

里山の斜面に自生するリョウブ灌木にアカハナカミキリStictoleptura (Aredolpona) succedanea)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

食痕(虫食い穴)だらけの葉をせかせかと歩き回り、少し飛ぶと隣の花穂に移動しました。 
飛び立つ瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 

リョウブの白い花穂を徘徊しながら、正当訪花で花蜜や花粉を食べています。 
花粉で汚れた顔や触角を食餌の合間に前脚で拭いました。 
カミキリムシ成虫の食餌を専門用語で後食と呼ぶのですが、ハナカミキリ類の吸蜜行動も後食と呼ぶのかな?

2022/12/22

ニホンアナグマの溜め糞を避けて自分たちの溜め糞場で排便するホンドタヌキ「フサ尾」【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬〜下旬 

里山のスギ林道の溜め糞場sに通うホンドタヌキNyctereutes viverrinus)「フサ尾」の記録です。 
個体識別が未熟な私はタヌキの尻尾が折れ曲がっているか否かで見分けているだけなので、「フサ尾」が実は複数個体である可能性もあります。 


シーン1:8/13・午前00:35・気温25℃ 
動画冒頭から右を向いて排便中でした。 
林道を右へそそくさと立ち去ると、溜め糞場には立派な固形糞が残されていました。 
この個体は「垂れ尾」ではなく、尻尾がフサフサした「フサ尾」です。 


シーン2:8/15・午後21:41・気温24℃ (@0:33〜) 
2日前の糞塊は糞虫によって地中に埋められたり分解されたりして、既に跡形もなく無くなっていました。 
林道を右から登場した「フサ尾」が地面の匂いを嗅ぎながら溜め糞場sに近づくと、前脚でひょいと飛び越えて跨ぎました。 
そのまま左を向いて脱糞。 
健康な固形糞をモリモリと排泄すると、林道を左へ勢い良く駆けて行きました。 


シーン3:8/20・午前1:31・気温20℃ (@1:04〜) 
 5日後。 
「フサ尾」がいつものように頭を下げて地面の匂いを嗅ぎながら右から歩いて来ました。 
アナグマがスクワットマーキングした下草の匂いを嗅いでいます。 
次にタヌキ「フサ尾」はアナグマが残した溜め糞を見つけると、少し匂いを嗅いだだけで迂回しました。 
画面中央にある自分たちタヌキの溜め糞場(糞虫が処理した後)に跨ると、カメラを見上げながら排便しました。 
脱糞時にはフサフサした尻尾を後ろに伸ばして、便が付かないようにしています。 
ここでカメラが一旦録画終了してしまいました。 
20秒後にトレイルカメラが再起動して録画を再開したときには、排便を済ませたタヌキが右に引き返して行くところでした。 
溜め糞場sには新鮮な糞が残されています。 

今回タヌキがアナグマの匂い(溜め糞およびマーキング)を嗅覚で認識したことは間違いありません。
しかし、それに対抗するように自分の糞で覆い隠したり匂い付けするような行動は全く見られませんでした。 
アナグマとタヌキは少しだけ離れた位置に別々の溜め糞を作り、そこで行儀良く排便します。 
互いに干渉しないという紳士協定を結んでいるようです。 
ともに夜行性ですが、溜め糞場に現れる時刻は厳密に決まっている訳ではありません。 
もしタヌキとアナグマが暗闇の溜め糞場で鉢合わせしたらどうするのでしょう? 
小競り合いや追い払う行動(占有行動)があるのでしょうか?
もしも溜め糞場だけでなく営巣地も共有していたら「同じ穴のムジナ」が証明されて最高に面白いのですが、まずは巣穴をどうやって見つけるか考えないといけません。 


シーン4:8/23・午前2:12・気温22℃ (@2:10〜) 
3日後も「フサ尾」が右から登場。 
画面中央にあるタヌキの溜め糞sに跨がると、カメラを見上げながら排便。 
すっきりしたフサ尾は林道を右に戻って行きました。 
この溜め糞場sはタヌキの縄張りの境界線なのでしょう。 
なんとか巣穴の位置を突き止めたいものです。 

イヌツゲ灌木をうろつくシラキトビナナフシ♀

 

2022年8月中旬・午後13:10頃・晴れ 

若い二次林に覆われた里山の斜面で、イヌツゲの枝にシラキトビナナフシ♀(Micadina conifera)を発見。 
生きた状態のシラキトビナナフシを見つけたのは初めてです。 
関連記事(11年前の撮影)▶ シラキトビナナフシ♀の死骸と卵 
雑木林の木洩れ日が眩しくて白飛びしてしまい、虫撮りしにくい条件でした。 
周囲ではエゾゼミ♂がジーと単調にやかましく鳴いています♪ 

意外と活発で、イヌツゲの枝葉をせかせかと歩き回ります。 
シラキトビナナフシ♀はイヌツゲの枝を少し登ったところで静止。 
隠蔽擬態で周囲に上手く紛れたつもりなのでしょうか? 
常緑樹イヌツゲの濃い緑色の葉の上に静止すると、確かに保護色の効果が少しはありそうです。 
しかし、細長い体型が周囲と馴染んでいないので、ばれてしまう気がします。 

岡田正哉『ナナフシのすべて』という本でシラキトビナナフシについて調べると、
単為生殖をする。(♂は未知) 
生息環境:産地のブナ林やブナ科植物(とくにブナ・ミズナラ類)を含む雑木林内。トビナナフシ類のうちで、もっとも高い標高まで分布する種類。 
食植物:ブナ・ミズナラ類など。(p26より引用)
常緑樹イヌツゲはシラキトビナナフシの食樹ではないので、おそらく近くに自生するミズナラやリョウブの木から下のイヌツゲに落ちてしまったのではないか?と推測しました。 
このままでは食事シーンは期待できません。 

頭部をよく見ると、右の触角が根本から欠損している個体でした。 
ナナフシは捕食者に襲われると脚を自切して逃げることが知られていますが、触角も自切・再生するのでしょうか? 
この個体は成虫なので、再生は無理ですね。

静止していたナナフシに軽く触れると、慌てて逃げ出します。 
翅がある成虫なのに、飛んで逃げることはありませんでした。 
採寸代わりに私がしつこく右手の中指を差し出すと、今度は素直に乗り移ってくれました。(手乗りナナフシ♪) 
隣に自生する広葉樹ハルニレ幼木の枝葉にそのまま移してやりました。 

ナナフシを飼育してみたいと長年思っていた私は、採集して持ち帰るか悩みました。 
しかし、この時期はあまりにも忙しくて新たに虫を飼育する余力が無かったので、断念。

2022/12/21

里山の水場に飛び込むトノサマガエル♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年8月中旬・午前11:40頃・晴れ 

オタマジャクシの定点観察をしている山中の泉に行ってみると、黒いオタマジャクシ(アズマヒキガエル幼生)が遂に1匹も居なくなっていました。 
全個体が変態を完了して、子ガエルが上陸したのでしょう。 
しかし、池の周囲にアズマヒキガエルの子ガエルは見当たりませんでした。 

その代わりに、トノサマガエル♂(Pelophylax nigromaculatus)が池畔の苔(種名不詳)の上に静止していました。 
背中の縦線が緑なので♂と分かります。 
カメラのレンズを上から蛙にそっと近づけてもなぜか逃げませんでした。 
エゾゼミ♂が近くの樹上で鳴き始めました♪。 

トノサマガエル♂が跳ぶ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:36〜) 
1回目は前方に跳躍して、私から少し離れました。 
着地したコケの上でスライディング。 
ついでに90°右に方向転換し、池の方を向きました。 
これでいつでも池に飛び込める準備が整いました。 
2回目は水深が浅い池へと自発的に飛び込みました。

この水場でトノサマガエルを見つけたのは初めてです。 
池畔に設置したトレイルカメラにトノサマガエルが写ったことは一度もありません。
トノサマガエルはてっきり平地のカエルだと思っていたので、こんな山中にも生息するとは知りませんでした。

今までここで見てきたオタマジャクシはもしやトノサマガエルの幼生だったのか?と焦りましたが、念の為に調べ直すと、真っ黒なオタマジャクシはアズマヒキガエルの幼生で間違いありません。 
 

ヘリアンサス「レモンクイーン」の花蜜を吸うヤノトガリハナバチ♀

 

2022年8月中旬・午後14:30頃・晴れ 

山麓の農村部で裏庭に咲いたヘリアンサス「レモンクイーン」の群落でヤノトガリハナバチ♀(Coelioxys yanonis)またはその近縁種(Coelioxys sp.)が忙しなく訪花していました。 
本種はハキリバチ科なのに労働寄生種なので、♀でも集粉しません。 
吸蜜するだけです。 
しかし流蜜量が少ないのか、すぐに飛び去ってしまいます。
しかも逆光で撮りにくい条件でした。
胸部の小楯板に突起が見えます。
キクイモと似ているこのキク科の園芸植物の名前を知りませんでした。
ヒトの背丈よりも遥かに高く(>2m)育っていました。
手前に咲いたコスモスの花よりもずっと背が高いです。


2022/12/20

スギ林道を外れて法面を登るニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬

里山でタヌキとアナグマが共有する溜め糞場sがあるスギ林道を自動撮影カメラで見張っていると、通りかかったニホンカモシカCapricornis crispus)がカメラの手前下で長居したり姿を消したりすることがちょくちょくあります。 
監視カメラの死角でカモシカが何をしているのか、ずっと気になってました。 
林道脇の法面がちょっとした崖になっているのですが、その土を舐めてミネラル摂取しているのではないか?と思いつき、それを検証するためにトレイルカメラを新たにもう1台設置しました。 
上手く行けば、野生動物を2つのアングルから同時に撮影することが可能です。 
トレイルカメラ2台の内蔵時計を正確に時刻合わせしておくことが肝心です。

シーン1:8/19・午後18:59・気温21℃ (日の入り時刻は午後18:31) 
日没後の真っ暗な林道をいつものように右から登場したカモシカが、 溜め糞場sの匂いを嗅ぎました。 
細めの角がスラッと伸びている個体です。 
第1カメラを固定したスギの木の真下に近づき、死角に消えました。 

同じ林道を挟んで反対側に立つホオノキに固定した第2のトレイルカメラに、このカモシカの行動が逆アングルからしっかり記録されていました。 
法面の崖の土を舐めているのではないかという私の予想は、大ハズレでした。 
林道を歩いて来たカモシカは林道を外れて法面の崖を登ると、下草の生えた急斜面をゆっくり右上に登って行きました。
蹄のあるカモシカは、急斜面を登るのも苦になりません。 
スギの幹にベルトで固定した第1のトレイルカメラから赤外線投光器が煌々と光っています。 
カモシカの頭上よりもずっと高い位置にあり、カモシカは暗視カメラの存在を気にしていませんでした。
(野生動物の目には赤外線が見えないとされています。) 
カモシカが巡回する獣道は途中で林道を外れていることが分かり、ようやく謎が解けました。 
つまり、ここはカモシカが巡回する獣道の分岐点になっていたのです。
実は冬の積雪期にもカモシカは同様のコースを辿っていたのを思い出しました。 
(第1カメラ@スギを通り過ぎる手前から法面を斜めに登り始める。)
トレイルカメラの存在を嫌がって迂回するようになったのか?と当時は気を揉んでいたのですが、そうではないと分かり安心しました。 


シーン2:8/22・午後23:44 (@0:32〜) 
3日後の深夜にニホンカモシカが再登場。 
第2カメラ(@ホオノキ)の映像です。 
対面の第1カメラ(@スギ)もしっかり起動して赤外線が光っているのに、そちらにはなぜかカモシカが写っていませんでした。 
今回は林道脇の法面を登らず、林道を真っ直ぐに歩き続けました。 


シーン3:8/23・午後14:03・気温28℃ (@0:42〜) 
翌日の明るい昼間にまたカモシカがスギ林道を通りかかりました。 
緩やかな坂道になっている林道を右からゆっくりした足取りで登って来ました。 
タヌキの溜め糞を跨いで通り過ぎます。 
このとき第2カメラ(@ホオノキ)の起動が間に合わず、カモシカの顔が写っていません。 
今回も林道脇の法面を登らず、林道を真っ直ぐ通り抜けました。 
それでも対面の第1カメラ(@スギ)と分担して、前後編の動画でカモシカを記録することができました。 

※ 最後のパート(@0:42〜)だけ動画編集時に自動色調補正を施しています。 

私は未だカモシカの個体識別ができていません。 
(1)繰り返し登場する同一個体が巡回ルートをときどき変更。
(2)林道脇の法面を登るカモシカと林道を真っ直ぐ進むカモシカは別個体。
2つある可能性のうちどちらが正しいのか、興味深いところです。 

獣道に設置したトレイルカメラを1台増やすだけで、格段に実りの多い記録になりました。 
勝手にあれこれ妄想するよりも、まさに百聞は一見に如かず。 
予算が許す限りカメラの台数をどんどん増やしたくなりますが、初期費用だけでなくランニングコスト(電池代)も馬鹿になりません。



木の根から滲み出る樹液を舐めるスジクワガタ♂

 

2022年8月中旬・午前9:40頃・くもり 

里山をつづら折れで登る細い山道で、地面に半ば埋もれた木の根っこ(樹種不明)の下に開いた穴にスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)が潜んでいました。 
初めはただの落枝が埋もれかけているだけかと思いきや、木の根っこでした。
周囲は二次林(雑木林) ですが、どの木に繋がっている根っこなのか、分かりませんでした。

スジクワガタ♂にズームインしてみると、口吻を伸縮させて樹液を舐めていました。 
大顎に細かい木屑が付着しているということは、木の根っこを傷つけて樹液の分泌を促しているのかもしれません。 

動画とは別に写真でも記録したら、穴の左奥に別個体のお尻も写っていました。 (下に掲載した1枚目の写真)
スジクワガタの♀♂つがいだったのかもしれません。 
現場では2匹目の存在に全く気づきませんでした。 
私はクワガタムシの生態について詳しくないのですが、スジクワガタは木の幹の樹液酒場よりも、なぜか木の根っこに好んで集まる習性があるようです。
関連記事(8年前の撮影)▶  
苔むしたコナラの根際で争うスジクワガタ♂ 
コナラの根際でスジクワガタ♂が地面に穴掘り
スジクワガタ♂の他に、クロクサアリLasius fuji)のワーカー♀も木の根っこの樹液酒場に群がっていました。 
周囲ではエゾゼミ♂、ミンミンゼミ♂、ウグイス♂などが鳴いています。 

撮影後に同定するため採集してみるとスジクワガタ♂で、かなり小型の個体でした。 
持ち帰って、2匹のコクワガタ♂と一緒に飼育することにしました。


【追記】
wikipediaではスジクワガタの食性について、以下のように説明しています。
山地ではヤナギ、ミズナラ、白樺などの樹液に集まるが、樹液を出す樹木が少ないため、ヒメオオクワガタのように枝先などで自ら樹皮を削る、もしくはヒメオオクワガタのおこぼれに与るように一緒か、その食痕の樹液を吸っていることもある。樹液目当てに樹皮を削る行動はミヤマクワガタやヒメオオクワガタなどにも見られるように、主にメスが行う。また、樹液だけではなく草の茎をかじって液を吸うことや落下した栗の実の中に潜み、それを食す例もあり樹液以外にも摂食対象としている。都市部の僅かな樹木の生える公園などでも生息できるコクワガタ同様、僅かな量の樹液でも生息するには十分な様で、小さな餌場に多数の個体が群がる光景も時折観察される。なお競合種の多い地域では、他の甲虫類が多く集まる様な大量の樹液が流れる場所ではなく、他の虫が寄り付かない様な少量の樹液の流れる樹木にひっそりと集まる姿も見られ、同所的な棲み分けとも言える行動を取る場合もある。


私の乏しい経験と照らし合わせて納得できたのは、最後の下線部の記述だけです。

スジクワガタは樹液酒場を巡る闘争で弱い(序列が低い)ことが予想されます。 

2022/12/19

羊歯の葉の上で日光浴するニホンカナヘビ幼体

 

2022年8月中旬・午前10:10頃・晴れ 

里山の山腹を流れる沢に近い山道を歩いていると、日向に生い茂る羊歯(種名不詳)の葉の上にニホンカナヘビTakydromus tachydromoides)の幼体が乗って日光浴していました。 
長い尻尾は無傷で、自切痕がありません。 
じっとしていても、胸が早く拍動しています。 
(背側から見ると胸が左右対称に伸縮しているので、心臓の拍動ではなく呼吸の動きなのでしょう。) 
急に右に向きを変え、移動を始めました。 
動き出しの際にペロッと舌を素早く出して葉を舐めました。 
隣接するシダの葉から葉へチョロチョロと渡り歩きます。


関連記事(11日後の撮影)▶ 羊歯の葉を伝って逃げるニホンカナヘビ成体

キャットミントの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2022年8月上旬・午後16:00頃・くもり 

山麓農村部の道端に咲いたキャットミントの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
忙しなく正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
後脚の花粉籠は空荷でした。

2022/12/18

夜の溜め糞場に通い、排便およびスクワットマーキングするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 溜め糞場の下草に臭腺でマーキングするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

2022年8月中旬

トレイルカメラで見張っているスギ林道の溜め糞場sに来たニホンアナグマMeles anakuma)の記録です。 
真夏の夜に二晩連続で登場しました。

シーン1:8/18・午後21:07・気温20℃ 
緩やかな坂になっている林道を右から歩いて登ってきました。 
タヌキの溜め糞の匂いを少し嗅いでから、対面に見えるスギ大木に歩み寄りました。 

スギの幹の根元の匂いを頻りに嗅いでいるのは、2日前にヒト♂(Homo sapiens)が立ち小便したマーキング跡に気づいたのでしょうか? 
スギの幹に前脚をかけて後足で立ち上がり、高い所の幹の匂いも嗅いでいます。 
「縄張りの木に謎の巨大生物が尿でマーキングしてきた!」とアナグマは思っているのでしょうか。
ヒトの立ち小便に対抗してアナグマもマーキングをやり返すかと予想したのですが、意外にもやりませんでした。
ヒトの尿の匂いを嫌がってアナグマが溜め糞場sに来なくなったら困るので、この実験は繰り返しませんでした。
 
アナグマの股間に睾丸がちらっと見えたので、♂のようです。 
林道中央部に戻り、タヌキ溜め糞の匂いを再びチェックしてから、手前の死角に消えました。 


シーン2:8/18・午後21:08・気温27℃(異常値※) (@0:58〜) 
直後にアナグマがまた溜め糞場sに戻って来ました。 
地面の匂いを嗅ぎながら、左前足でタヌキの溜め糞を少し掻きました。 
真夏は糞虫の活動が活発なので、タヌキの糞塊は既に跡形もありません。 
下草の匂いを嗅ぎ回って自分たちアナグマの溜め糞場に向かうと、左を向いて脱糞しました。
立派な固形糞をとぐろ状に大量排泄しました。 
タヌキとアナグマが毎回きちんと各々の排便場所を棲み分けているのが興味深いです。 
画面手前がタヌキの溜め糞、その少し右奥(スギの木の近く)がアナグマの溜め糞です。
排便直後のアナグマはスギ根元の地面を後足で後ろに掻く仕草を繰り返しました。 
イヌも排便後に似たような行動をしますが、アナグマは糞に土をかけたり埋めたりしないで、むき出しのまま溜め糞として残します。 
今回の個体はスクワットマーキングをしないで林道を左に走り去りました。 


シーン3:8/19・午前3:22・気温19℃ (@1:58〜) 
6時間後の未明に再びアナグマが右から登場しました。 
同一個体か別個体なのか、私には識別できません。 
林道の匂いを嗅ぎながら歩いて来ると、6時間前に排泄した(自分の?)糞塊の匂いを嗅ぎました。 
糞の横で林床のスギ落葉に尻を擦りつけ、スクワットマーキングしました。 
アナグマの溜め糞場に跨がると、左を向いて排便開始。 
液状(泥状)の下痢便(軟便)を勢い良く排泄しました。 
タヌキと違ってアナグマの大便はいつも緩い傾向があります。 
食べている餌の違いによるものでしょうか? 
その後はスギの根元の下草に再びスクワットマーキング。 
肛門腺や臭腺で縄張りに匂い付けをするマーキング行動らしいのですが、その知識がなければ、「タヌキと異なりアナグマは排便後に尻を下草で拭き取る習性があるのか?」と誤解しそうになります。 
林道を左に立ち去る際に左後脚が跛行してるようにも見えましたが、スギの落葉が深く積もっているので、たまたま暗闇で後足が潜っただけかもしれません。 


シーン4:8/19・午前3:23・気温25℃(異常値※) (@2:30〜) 
同一個体と思しきアナグマがすぐにまた左から戻って来ました。 
アナグマ溜め糞の周囲の下草にスクワットマーキングし直してから、左に引き返しました。 
タヌキ溜め糞の周囲には特にスクワットマーキングしないのも、「同じかわやむじな」同士で何か相互不干渉の紳士協定がありそうです。 


※ トレイルカメラの録画中は機材の温度がみるみる上昇するので、信頼できる気温データは起動直後だけです。



巣材の泥玉を集めるミカドトックリバチ♀

 

2022年8月中旬・午前7:50頃・くもり 

里山の入山口で、山道の脇の法面がちょっとした崖になっていました。 
そこでミカドトックリバチ♀(Eumenes micado)が巣材集めをしていました。 
滑らかな泥玉を抱えて飛び回っています。 
土が露出した崖に何度か着陸するものの、採土して泥玉を大きくすることなく、すぐに飛び立ってしまいます。 
どんどん右の方へ(斜面の下へ)飛び去ってしまい、姿を見失いました。 
ミカドトックリバチの営巣地を突き止められず、残念無念。 
採土場でじっくり待てば同一個体のミカドトックリバチ♀が通ってくれたかもしれませんが、これから山に登る用事のある私は泣く泣く先を急ぎます。
周囲の山林でミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)がやかましく合唱していました。 
実はほぼ同時にオオハキリバチ♀も崖に来ていたのですが、私を警戒したのか採土せずに飛び去ってしまいました。

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