2022/12/17

ハネフリバエ科Euxesta属の一種がタヌキの糞を舐め、肉食性ハネカクシ類から逃げ回る

前回の記事:▶ 翅紋を誇示しながら林床で身繕いするハネフリバエ科Euxesta属の一種

2022年8月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山の廃道になった山道で私が動き回らずにその場でしばらくじっと待つと、一時避難していた様々な虫がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞fに戻って来ました。 
ハネフリバエ科Euxesta属の一種、キンバエの仲間、アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)、サビハネカクシOntholestes gracilis)の姿が見えます。 

ハネフリバエ科Euxesta属の一種が新鮮な糞の上で吸汁する様子をマクロレンズで接写してみました。 
口吻を伸縮させてタヌキの糞を舐めている間も翅紋誇示を止めません。 
その背後からアカバトガリオオズハネカクシが捕食しようと忍び寄ると、Euxesta sp.は素早く飛んで逃げました。
視野が広いようです。 
ほとぼりが冷めると、横の落ち葉から溜め糞に戻りました。 

次は吸汁中に横からサビハネカクシが襲いかかってきました。 
その攻撃も素早く交わして逃げ切りました。

Euxesta sp.の翅の黒い縁紋を誇示するように翅を振る行動(ディスプレイ)がとにかく気になります。 
下手に目立つ動きをしたら捕食されるリスクが高まるはずと素人考えでは思うのですが、逆に対捕食者戦略になっているのでしょうか? 
同様の翅紋誇示をするミバエ科のとある種類では、天敵ハエトリグモの威嚇誇示(ディスプレイ)を真似することで(行動擬態)、捕食されないように牽制しているのだそうです。
Greene, Erick, Larry J. Orsak, and Douglas W. Whitman. "A tephritid fly mimics the territorial displays of its jumping spider predators." Science 236.4799 (1987): 310-312.
ただし、そのミバエの翅振り行動も特定のハエトリグモ以外の捕食者に対しては全く効果がありません。 
獣糞の周囲でハエトリグモが獲物のハエを待ち伏せしてもおかしくないと思うのですが、私は未だ見たことはありません。 
肉食性ハネカクシ類に対して微小なハエの翅振り行動が抑止効果があるのでしょうか?
ハネカクシの目を幻惑する効果があるのかな? 
逆に、自分はこれほど大胆に振る舞っても天敵から逃れられるという能力の高さを♀に対してアピールしているのでしょうか?(クジャク♂の長い羽根のような性選択)
それとも、いつでもすぐに飛び立てるように飛翔筋をアイドリングしていて、翅振り行動はその副作用(不随意運動)みたいなものでしょうか?




0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む