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2025/12/05

子別れが進む秋に幼獣を1頭だけ連れて久しぶりに帰巣したニホンアナグマ♀が入口の掃除だけして帰る【トレイルカメラ】

 



2024年9月中旬・午前11:00頃・くもり・気温27℃ 

しばらく留守にしていた営巣地(セット)にニホンアナグマMeles anakuma)の母子が久しぶりに帰ってきました。 
先行する成獣の腹面に乳首があるので、母親♀と分かります。
その母親♀が、巣口Lに溜まっていた土砂や落ち葉を外に掻き出してから、別の巣口Rへ向かいました。 
後からついて来た幼獣は、母親♀がさっき掃除した巣口Lの匂いを嗅いだだけで、中には入りませんでした。 

別アングルに設置した自動センサーカメラで続きが撮れていました。 
先行する母親♀は、もうひとつの巣口Rでも保守作業の穴掘りしながら中に入りました。 

せっかく久しぶりに帰巣したのに、居心地がよくなかったのか、長居することはありませんでした。
セットを離れたアナグマの母子は、奥の二次林に向かいました。 
後続の個体(幼獣?)が獣道でちょっと座りました。 
尻を地面に擦り付けはしなかったものの、スクワットマーキングかもしれません。 


【考察】
当歳仔の幼獣は最近まで3頭いたはずなのに、今回は1頭しか登場しませんでした。 
残る2頭の幼獣たちは、どこに行ったのでしょうか? 
一時的に別行動で採食しているのなら良いのですが、母親♀とはぐれたのかな? 
それとも子別れが完了し、残ったのはヘルパー候補の幼獣だけなのかもしれません。 
いつものようにPerplexity AIに相談してみると、

山形県でのトレイルカメラ観察で9月中旬に、3頭いた当歳仔のうち母親と一緒にいる幼獣が1頭だけになったのは、まさに子別れが進行中であると考えて問題ありません。

ニホンアナグマの当歳仔は秋頃(9〜10月)に独立する傾向があるため、9月中旬はちょうど離散が始まる時期にあたり、他の幼獣が巣穴周辺を離れて単独行動を始めた可能性が高いです。残った1頭はまだ母親と同居しているか、協同繁殖的な行動で手伝いをしているメスの幼獣であることも考えられます。

したがって、観察された状況は典型的なニホンアナグマの子別れの過程として理解できます.wikipedia+2

 

​ニホンアナグマの当歳仔は、おおまかに「秋(9〜10月ごろ)」に親から独立し、子別れすると考えられます。wikipedia+2

子別れの時期の目安

  • 繁殖期は春で、出産は春〜初夏、生後2〜3か月で巣穴外に出て行動範囲が広がり、夏には親とほぼ同じ大きさになります。instagram+2

  • 秋になると、冬眠に備えて脂肪を蓄えつつ、この時期が「子別れ」の時期とされ、子は親から独立して単独で採食行動をとるようになります。hollyshit.fc2+2

行動生態的な整理

  • 春生まれ(4〜5月前後)とすると、独立時には生後およそ4〜6か月齢に達しており、体格的には成獣に近く、単独生活に耐えられる状態になっています。wikipedia+2

  • ただし、メスの娘が1頭だけ母親と同居し、翌年の繁殖時に子育てを「手伝う」協同繁殖的なケースも報告されており、全ての当歳仔が完全に離散するとは限らず、特にメスでは親元に残る個体もいます。jglobal.jst+1



来季のヘルパーを務める幼獣は♀が多いらしいのですが、まだ定説として固まっておらず、♂の場合もあるそうです。
私はアナグマ幼獣の性別を外見で見分けられないのですけど、少なくとも当地の個体群では、力が強くて穴掘りが得意な♂がヘルパーになるのではないかという気がしています。

このニホンアナグマ母子にとって、この巣穴はどうやら別宅(別荘)のようで、本宅は別の場所にあるような気がしています。 
複数用意してある巣穴を点々と移動しながら暮らしているのでしょう。
しかしアナグマを一次捕獲して電波発信機やGPSを取り付けない限り、巣穴を見つけるのは難しそうです。 
冬に雪面に残された足跡を辿って行くという雪国ならではの方法(アニマルトラッキング)もあるのですけど、アナグマは冬ごもりしてほとんど活動しなくなってしまいます。 


つづく→

2025/11/22

真夏の昼間に巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年8月下旬・午前11:45頃・晴れ・気温35℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)営巣地(セット)での活動を自動撮影カメラで録画しています。 
それまで幼獣(当歳仔)の相手をして遊んでいた母親♀が、幼獣と別れて独りで巣穴Lに向かうと穴掘りを始めました。 
巣口Lの拡張工事をしているようです。 

今回は母親♀の穴掘りを手伝おうとする幼獣個体はおらず、もうひとつの巣口Rで幼獣同士が遊んでいます。
ときどき軽く吠えるような鳴き声が聞こえますが、おそらく遊んでいる幼獣の鳴き声でしょう。


2025/11/16

巣材の泥玉を作る砂利道で争うスズバチ♀の謎

 

2024年8月下旬・午後15:20頃・晴れ 

川に近い住宅地の外れにある、水田と墓地に挟まれた細い砂利道で、2匹のスズバチOreumenes decoratus)が小競り合いを繰り広げていました。 
低空で飛び回り、ときどきぶつかって肉弾戦を挑んでいます。 
しばらくすると、2匹のスズバチは横に並んで着地すると、地面を掘って巣材の泥玉を作り始めました。 
予め飲んできた水を吐き戻しながら乾いた堅い地面の土を大顎で掘り、泥団子に丸めていくのです。 
フィールドで出会うスズバチの性別を見た目で区別するのは難しいのですが、巣材集めを始めたことから、2匹とも♀と判明しました。 
つまり、♂が♀に交尾を挑む求愛行動ではありませんでした。

なるべく粒子が細かい土質が巣材に適しているようで、あちこち場所を変えながら試掘しています。 
地面から飛び立ったスズバチが接近すると、再び空中戦が勃発しました。 
小競り合いが収まると、今度はだいぶ離れた位置で巣材集めを再開。 

やがてスズバチ♀は、完成した泥玉を抱えて飛び立ちました。 
残念ながら今回もスズバチ♀の営巣地を突き止められませんでした。 
砂利道から飛び去った蜂を流し撮りしても、すぐに見失ってしまいます。 
近くに立っているスギの木へ飛んでいった気がします。 
今思えば、横の墓地に並ぶ墓石にスズバチが作りかけた泥巣があるかどうか、調べればよかったですね。 

スズバチ♀同士の小競り合いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:37〜) 


【考察】 
スズバチ同士の小競り合い(種内闘争)を撮影できたのは、これで2回目です。 
証拠動画を撮るのが難しいだけで、目撃しただけなら何度もあります。

関連記事(16年前の撮影)▶ スズバチの喧嘩 

同じドロバチの仲間でも、エントツドロバチ♀は採土場を仲良く共有できるのに、単独性のスズバチ♀はなぜか非寛容です。
亜社会性のエントツドロバチは、採土場で集合フェロモンを放出しているのか?と疑ったぐらいです。


巣材となる土は無尽蔵にありますから(※)、スズバチ♀が採土場をわざわざ占有する行動にメリットはないはずです。 
しかも同所性のスズバチは、元々血縁関係のある姉妹である可能性が高いはずです。 
もしかして、同種の♀が作った泥玉を強奪する労働寄生があるのでしょうか? 
しかし、スズバチが同種内で労働寄生する事例は報告されていないそうです。 

Perplexity AIに質問してみたところ、以下の回答を得ました。

砂利道でスズバチ2匹の雌が巣材(泥団子)をめぐって小競り合いしていた場合、次のような可能性が考えられます。

巣材の資源防衛・強奪行動の可能性

  • ドロバチ類は泥団子などの巣材を使って巣を作りますが、巣材自体が「限定資源」となる場面は局所的・一時的にだけ見られることもあります。sharing-tech

  • しかし、広く泥や水分が得られる状況では、巣材資源の強い占有や防衛行動は通常あまり観察されません。hachi-kujyo+1

  • 一方、個体によっては巣材を失敬(横取り)する、あるいはすでに作った泥団子を持ち去るといった行動が、極めて稀に観察されることもあり得ますが、これが定常的な「労働寄生」として成立しているという生態学的な報告はドロバチ類・スズバチではみられません。sharing-tech+1

小競り合いの直接的な要因

  • 2個体が泥団子製作・運搬中に至近距離で遭遇した場合、お互いのスペース確保や接触回避、あるいは巣材・巣作りの作業場の「一時的な所有権主張」として小競り合いが発生することがあります。hachi-kujyo+1

  • これは「資源防衛」とまではいかず、むしろ偶発的・局所的な接触による攻撃・排除行動であり、自然界では他の単独性ハチ類にも時折見られます。sharing-tech

巣材強奪=労働寄生?

  • スズバチの成巣や巣材調達の過程で、他個体の産み出した泥団子を本格的に奪って利用する、またはそれが系統的な「種内労働寄生」として認められる現象は、専門文献でも報告されていません。hachi-kujyo+1

  • 観察された争いも、資源強奪型の労働寄生ではなく、たまたま同時に同じ場所で巣材を扱っていた際の短期的な競合や排除行動とみなされます。sharing-tech+1

したがって、「巣材の資源が豊富なのに小競り合いが発生した」のは、局所的な行動圏の重複や一時的なスペース争いが主要因であり、スズバチ種内で「泥団子の労働寄生が生態学的に確立している」という証拠は現在のところありません。稀に一過性の泥団子の強奪が起きることも考えられますが、これはあくまで例外的な偶発行動といえます。hachi-kujyo+1


※【追記】

スズバチの生息環境には巣材の土が無尽蔵にあるという私の認識がそもそも間違っているのかもしれません。

スズバチ♀が作り始めた泥巣から遠くない所で、巣材に適した土が得られる採土地点は意外に限られている可能性があります。

だとすれば、採土場で他の個体が貴重な巣材資源を集めていたら気が気ではなくて、できれば追い払いたくなるのも納得です。

2025/11/14

木造の屋根裏に引っ越してきたモンスズメバチのコロニー(夏に二次巣を形成)

 

2024年8月上旬・午後13:40頃・晴れ 

山麓にある某山寺の古い木造建築の屋根裏にスズメバチが営巣することがあるので、ときどき様子を見に行っています。 

関連記事(8、10年前の撮影)▶  


この日も下山したついでに念のため確認しに来たら、モンスズメバチVespa crabro flavofasciata)が営巣を始めていました! 
年季の入った破風板はふいたに穴が開いていて、そこに多数の蜂が出入りしています。 
触角の長さを見ると、雄蜂♂ではなくて、ワーカー♀のようです。

スズメバチ類は古巣をそのまま再利用することはありませんが、ここでは数年おきに同じ場所に営巣しているのが興味深いです。 
よほどスズメバチの営巣に適した場所なのでしょう。 
数日前に来たときにはスズメバチの巣は無かったので、創設女王が春から営巣しているのではなくて、どこか別の場所にあった初期巣からモンスズメバチのコロニーが女王蜂と一緒に引っ越してきた二次巣と思われます。 
アリと違ってスズメバチの創設女王は、産卵に専念するコロニー拡張期になっても翅を捨てないので、いつでも飛んで新天地に引っ越しすることが出来るのです。
巣の引っ越し(nest relocation) 
モンスズメバチとキイロスズメバチにおいて越冬後の女王蜂によって狭い空間に巣が創設された場合、巣の発達に応じて広い場所に新たな巣を造り移動すること。最初の巣を母巣(primary nest)、後の巣を移動巣(第二次巣:secondary nest)という。 (小野正人『スズメバチの科学』p171より用語の解説を引用)

破風板の裏側がどうなっているのか、横から覗いてみても、巣は見えませんでした。 
私は防護服を持っていないので、下手に近づけません。 
数匹のモンスズメバチが空中を飛び回っています。 

巣口の横の破風板に留まり、ときどき翅を震わせている個体は、警戒しているのでしょう。 
扇風行動のように、持続的に羽ばたいてはいません。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】
8、10年前に同所で営巣したチャイロスズメバチは社会寄生性であり、キイロスズメバチやモンスズメバチの巣を女王が乗っ取ることが知られています。
したがって、当時も元々はモンスズメバチ(またはキイロスズメバチ)の巣があったことが予想されます。


つづく→

2025/11/11

協力して巣穴を掘り広げるニホンアナグマの母子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年8月中旬 

シーン0:8/6・午後12:49・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:8/6・午後13:20・晴れ(@0:03〜) 
平地の二次林にある、ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が住む営巣地(セット)を自動撮影カメラを無人センサーカメラ2台で見張っています。 


シーン1:8/14・午前4:17(@0:05〜) 
未明の巣口Lで2頭のアナグマが一緒に穴掘りをしていました。 


シーン2:8/14・午前4:17(1:05〜)
別アングルの監視カメラでしっかり撮れていました。 
腹面に乳首が見える母親♀が巣穴Lを拡張しようと穴掘りしています。 
奥の獣道付近で幼獣2頭が仰向けで毛繕いしたり探餌徘徊したりしています。 
そのうちの1頭(幼獣)が巣口Lに来て、母親♀の穴掘り作業を邪魔し始めました。 
母親♀の真似をして穴掘りをやってみたいのか、構って欲しいのでしょう。
母親♀の隙を見て巣穴Lに潜り込むと幼獣が穴掘りを始めました。 
巣口Lは狭いので、母親♀は幼獣に穴掘り作業を譲りました。 
と思いきや、一息ついてから再び母親♀は穴掘り作業に戻りました。 

腐葉土となった古い巣材を土と一緒に巣内から前脚で掻き出して、後退しながら左のアクセストレンチに捨てています。 


シーン3:8/14・午前4:18(2:05〜)
見事な連携で親子(母子)が穴掘り作業を続けています。 
アクセストレンチLにずっと転がったままになっている邪魔な倒木を撤去しようとしても、幼獣には重くて手に負えないようです。 
落枝が何かに引っかかっているのかもしれませんが、グイグイ引っ張っても少し横にずれただけで、諦めました。 


シーン4:8/14・午前4:19(3:05〜)
母親♀の背後で幼獣が穴掘り作業の補助をしています。 
巣口Lに転がっている邪魔な落枝をどかそうとするものの、前脚の力ではほとんど動かせません。 
落枝が重過ぎるというよりも、周囲のマルバゴマキ灌木に引っかかっているせいです。 
なんとか落枝を斜めにずらして作業を続けます。 


シーン5:8/14・午前4:20(4:05〜)
メインの穴掘り担当が途中で幼獣に入れ替わりました。 
幼獣が入巣Lすると、母親♀は左に待避して小休止。 


シーン6:8/14・午前4:20(4:55〜)
母親♀が後退しながら前脚で土砂を巣外に掻き出すと、横で見ていた幼獣が今度は巣内Lに入りました。 
幼獣も穴掘りの真似事をやりたいようですが、まだ上手くできないようです。 
すぐにまた役割をスイッチして、母親♀が穴掘りを再開。 
幼獣は土砂を手前のアクセストレンチに掻き出そうと試み、このとき邪魔な倒木(落枝)にぶつかって斜めにずれました。 
邪魔な落枝を意図的に撤去したとは言えないかもしれません。 

幼獣に穴掘りを任せた母親♀は身震いして毛皮についた土を落としてから、独りで獣道を右へ歩き出しました。 


シーン7:8/14・午前4:20(5:55〜)日の出時刻は午前4:50。 
巣口Lに独り取り残された幼獣が、母親♀の行方を探し求めて獣道の奥を見つめています。 
ようやく幼獣も獣道を右に歩き出しましたが、楽しかった穴掘り作業を止めるのが名残惜しいのか、途中で何度も立ち止まっています。 
そしてセットには誰も居なくなりました。 
空腹になって採餌に出かけたのか、それとも巣穴Lのメンテナンス作業はもう充分だと母親♀は判断したのかもしれません。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
ニホンアナグマの母子による初めての協同作業が録画されていました。
交互に巣内に入って土を外に掻き出しています。
やる気に満ち溢れた見習いの幼獣に母親♀が穴掘り作業の実地訓練(研修)を施しているようでした。

この頼もしい幼獣個体の性別を見分けられないのが残念です。 
素人目には幼獣の股間になんとなく睾丸や陰茎があるような気がするのですが、定かではありません。 
この幼獣が♂だとすれば、来季のヘルパー♂として有望な候補です。 

アナグマは不審者が勝手に巣穴に侵入しないように防犯の戸締まりとして意図的に倒木を巣口に放置しているのかと思っていたのですが、明らかに穴掘り作業の邪魔になっていました。
今回は幼獣がなんとか少しだけ邪魔な落枝をずらすことができました。


2025/11/05

初めて巣穴を掘る練習を始めたニホンアナグマの幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年8月中旬

シーン1:8/13・午前11:32・くもり・気温29℃(@0:00〜) 
平地の二次林にある営巣地(セット)で昼前にニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族がぞろぞろと左へ移動しています。
先頭の母親♀が巣口Lを点検してから、頭を中に突っ込んで巣穴Lの拡張工事を始めました。 


シーン2:8/13・午前11:33・くもり・気温28℃(@0:53〜)
別アングルで設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
母親♀が巣穴Lの奥から土と一緒に古くなった巣材を前脚で巣外に掻き出しました。 
巣材(寝床)として運び込まれていた植物の枯れ葉や生葉は、腐葉土と化しています。 
寄生虫が沸かないように、古くなった寝床は外に捨ててしまうのでしょう。 
湿った巣材をときどき外で虫干しするという話をアナグマ関連の本で読んだことがあるのですけど、私はまだそのような行動を実際に観察したことがありません。
私が観察しているニホンアナグマは、一度外に出した巣材を中に戻すことはありません。 

その様子を横で見守っていた幼獣の1頭が仰向けで毛繕いを始めました。 
他の幼獣2頭は、思い思いに林床をうろついて餌を探しています。 

独りで毛繕いをしていた幼獣が、穴掘り中の母親♀の背後から巣口Lに近づいて、ちょっかいをかけています。 
手伝いしたくなったのか、母親♀が巣穴Lから掘り出した排土を幼獣がリレー形式で外に掻き出し始めました。 


シーン3:8/13・午前11:34・くもり(@1:53〜)
母親♀の穴掘りに興味を示していた幼獣が、いつの間にか作業を引き継いだようです。 
この幼獣aの性別は不明ですが、来季にヘルパー♂を務める素質がありそうです。 
別個体の幼獣bが巣口Lに近寄ると、穴掘りしていた幼獣aは奥に潜り込んでしまいました。 
幼獣bも真似して穴掘りに参加したくなったのか、巣口Lの縁の土を前脚で引っ掻いて崩し始めました。 

これまで幼獣は母親♀の穴掘り作業を邪魔するだけでしたが、自分でも穴掘りを始めたのは今季初です。 

穴掘り作業を幼獣に任せた母親♀は、獣道をノソノソと歩いてヒメアオキの群落を突っ切り、採餌に出かけたようです。 
幼獣1頭cも母親♀について行きます。 


シーン4:8/14・午前4:15・気温24℃(@2:53〜)日の出時刻は午前4:50。 
日付が変わった未明にも、幼獣の奇妙な穴掘り行動が記録されていました。 

アナグマの母親♀が獣道で座り込んで、体を掻いたり仰向けになって毛繕いしたりしています。 

幼獣が頭だけ巣穴Lの外に出し、巣口Lの縁を前脚で削り取っています。 
アナグマでこんな穴掘り法を今まで見たことがありません。 
なぜか小声でキャンキャン♪吠えながら、作業しています。 
遊んでいた幼獣が巣口Lでひっくり返ってしまい、なかなか起き上がれずに悪戦苦闘しているだけかもしれません。 
巣口Lを塞いでいた落枝の端を弄んだりしています。 

ようやく幼獣が巣穴Lから外に勢い良く飛び出すと、母親♀の隣へ行きました。 
母親♀が対他毛繕いしかけたものの、幼獣は嫌がって獣道を右へ走り去りました。 


【考察】
ニホンアナグマの母親♀から幼獣(当歳仔)に穴掘り役が初めてスイッチした貴重な記録かもしれません。
 
今季アナグマの母親♀が4頭産んだ幼獣のうち1頭が死亡したのですが、もしも巣穴L内で死んだとすると、そのまま埋葬している可能性もありそうです。 


2025/11/04

ヌスビトハギの葉を切り抜いて巣に空輸するハキリバチの一種♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年8月上旬・午後12:10〜12:45頃・晴れ 

里山で湿地帯に接したスギ植林地の林縁で、蜂の羽音が気になりました。 
下草のヌスビトハギの小群落には、葉をくり抜いた痕跡が多数残っています。 
これはハキリバチの仲間によるしわざです。 



私がその場でじっと待っていると案の定、ハキリバチ♀がヌスビトハギの群落に飛来しました。
ハキリバチ♀は、ハエのようなプーン♪というやや甲高い羽音を立てて飛び回ります。 
クマバチやオオスズメバチが発する重低音の羽音とは明らかに違います。 

ヌスビトハギの小葉に着陸すると羽ばたきを止めます。
鋭い大顎で小葉をチョキチョキと切り始めます。 
丸く切り抜く葉片に跨って丸めながら、切り落とす間際に再び羽ばたき始め、抱えて飛び去ります。

マメ科のヌスビトハギの葉は三出複葉です。 
3枚の小葉のうち、真ん中の柄が明瞭な小葉は頂小葉ちょうしょうようと呼ばれ、残りの2枚の小葉は側小葉そくしょうようと呼ぶのが一般的です。 
ハキリバチ♀は、ヌスビトハギの頂小葉でも側小葉でも特に選り好みしないで切り抜いているようです。 

1枚の小葉から複数の葉片がくり抜かれた跡も残っています。 
緑色の葉だけでなく、黄緑の若葉も切り抜くことがありました。 
葉片の形状は色々で、卵型だったり長楕円形だったり細長く切り抜かれたりしています。 
巣穴の育房に巣材を充填する作業の進捗具合によって、必要な葉片の形状を臨機応変に変えているのでしょう。 
切り取り線は小葉の中央にある主脈を越えたり越えなかったり、まちまちです。 
小葉のどこから切り取り始めるか(葉柄に対して遠位か近位か)についても、特に決まっていないようです。 

巣材の葉片を抱えて飛び去るハキリバチ♀を追いかけようとしても、すぐに見失ってしまいました。 
営巣地がどこにあるのか突き止められませんでしたが、ハキリバチの多くは借坑性ですから、林道脇の針葉樹(スギ?)大木の樹上の虫食い穴などに巣がありそうです。 
隙間や小孔に切り取ってきた葉片を詰め込んで育房を作り、花粉団子を貯食し、その上に産卵し、葉片で育房を仕切ると、また次の育房を作り始るのだそうです。 

関連記事(5年前の撮影)▶ 借坑性ハキリバチ♀の巣の観察:2019年 


おそらく同一個体と思われるハキリバチ♀が数分ごとにヌスビトハギの群落に戻ってきて、せっせと巣材を集めて帰ります。 
蜂が次に着地しそうな葉を狙って待ち構えても、なかなか予想が当たりません。 
私が毎回カメラを近づけて接写しても、ハキリバチ♀は警戒心が薄いのか、嫌がらずに作業を続けてくれました。

林床にはヌスビトハギの他に、フジ(藤、別名:ノダフジ)の葉などもたくさん生えていました。 
しかし、このハキリバチ♀が巣材として集めるのは、ヌスビトハギの葉片だけでした。  

ちなみに、周囲でジーー♪と単調にやかましく鳴き続けているのはエゾゼミ♂(Lyristes japonicus)です。 
ウグイス♂(Horornis diphone)がホーホケキョ♪とのどかにさえずる声も聞こえます。 

ハキリバチ♀がヌスビトハギの葉を切り抜いて持ち去る様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:40〜) 
切り抜き作業中の蜂を横から見ると、腹面のスコパは白い毛が密生しているものの、花粉は付着していません。 

ハキリバチ♀は毎回几帳面に小葉を丸く切り抜く訳ではないようです。 
かなり大雑把に切り取って、クシャクシャに丸めた葉片を持ち去ることもあり、興味深く思いました。 

葉片を抱えて飛び去るハキリバチ♀の姿を流し撮りできると、スーパースローで見応えがあります。 
葉片を完全に切り抜くと、それを抱えたまま蜂は落下します。 
激しく羽ばたいて空中で体勢を立て直すと、ホバリングしながら巣の方向を見定めて、まっすぐ帰巣します。 
おそらく太陽コンパスや周囲の景色から、記憶した巣の方角を読み取っているのでしょう。 
空荷で飛ぶよりも遅くなるのは、運んでいる葉片が重いのではなくて、空気抵抗が大きいせいでしょう。 

ヌスビトハギの茎の先端にはピンクの花序が咲きかけていました。
しかし、巣材集めに忙しいハキリバチ♀がヌスビトハギに訪花することは一度もありませんでした。 
幼虫が食べる餌を集めたり、母蜂自身が栄養補給(吸蜜)する蜜源植物は、また別の場所に咲いているのでしょう。 


2年前からの宿題だった、ヌスビトハギの葉から巣材を集めるハキリバチ♀を実際にじっくり観察できて大満足です。 
巣材集め行動の細かい点でクズハキリバチとの違いを見出せませんでした。 
関連記事(5年前の撮影)▶  


さて、この蜂の名前は何でしょうか?
素人目には特徴が乏しくて、ハキリバチの種類を見分けられません。 
黒い頭楯の両側に白い部分がある(白毛が密生)ことに気づきました。 
『日本産ハナバチ図鑑』と見比べると、ツルガハキリバチ♀(Megachile tsurugensis)が候補として見つかりましたが、顔色だけでは決め手になりません。 
ちなみに、ツルガハキリバチは「本州では最も個体数の多いハキリバチ」なのだそうです。(同図鑑p330より引用) 

例えばクズハキリバチやバラハキリバチなど、好んで葉を切り抜く植物が蜂の名前に付いている種類もいます。 
しかし、ハキリバチ♀が巣材として集める植物は、蜂の種類ごとに厳密には決まっている訳ではないそうです。 
ヌスビトハギの葉を専門にくり抜く「ヌスビトハギハキリバチ」なる和名の蜂は、今のところ知られていません。 

同定のためにハキリバチ♀を採集しようか迷ったのですが、動画撮影を優先していたら、そのうちパッタリと巣材集めに通って来なくなりました。 
育房作りが一段落したのか、それとも活発に働く時間帯が日周リズムで決まっているのかもしれません。


※ 動画の素材は撮影順ではなく、適当に入れ替えています。 
※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

2025/10/27

ニホンアナグマの幼獣が独りで巣穴から出て未明の林内に突進した謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年8月上旬 シーン1:8/3・午前3:56(@0:00〜) 
深夜未明に、ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀(右目<左目)が独りで巣穴Rの拡張工事をしています。 
後ろ向きに巣穴Rから出ながら、前脚で土砂を外に掻き出しています。 
その間、2頭の幼獣は、株立ちしたミズキの木の下で格闘遊びを繰り広げています。 

巣穴Lで独り遊びしていたもう1頭の幼獣が、急に外に出てきてそのまま奥の林内へ突進しました。 
幼獣が一丁前に縄張りへの侵入者を追い払ったのかと思ったのですが、吠えたり鳴いたりする声は聞き取れませんでした。 
おそらく独り遊びで追いかけっこを始めたのでしょう。 
そのまま林内で採食を始めたのかもしれません。 


シーン2:8/3・午前3:58(@1:02〜) 
巣穴Rを掘っていた母親♀が何か異変を感じたのか、突進した幼獣の後を追うように林内へ向かいました。 
最後までセット(営巣地)に残って格闘遊びしていた2頭の幼獣も次々に林内へ行きました。 
殿しんがりの幼獣個体は、株立したミズキの根元をわざわざ木登りのように乗り越えてから行きました。 
家族一緒に採餌に出かけたようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/10/17

ニホンアナグマの母親♀が巣穴のメンテナンス工事する間に、幼獣3頭が遊ぶ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月下旬〜8月上旬

シーン0:7/22・午後13:13・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:7/22・午後13:53・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
 平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子が暮らす営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。


シーン1:7/23・午後16:29・気温30℃(@0:07〜) 
腹面に乳首が見える母親♀が、夕方に巣口Lの拡張工事を始めました。 
しばらくすると左から1頭の幼獣が来て、巣穴L内で穴掘り作業中の♀に背後から近づいたところで1分間の録画終了。 


シーン2:7/23・午後16:30・気温31℃(@1:07〜) 
別アングルの監視映像でも写っていました。 
3頭の幼獣が続々と巣穴Rから外に出てきて、母親♀が穴掘り作業している巣口Lへ移動しています。 


シーン3:8/3・午前3:56(@2:07〜) 
11日後の深夜未明に、アナグマの母親♀(右目<左目)が今度は巣穴Rの拡張工事を始めました。 
巣穴Rから後ろ向きに出ながら、前脚で土砂を外に掻き出しています。 

その間、2頭の幼獣は格闘遊びを繰り広げています。 
巣穴Lで何かしていたもう1頭の幼獣が、急に外に出てきてそのまま林内へ突進しました。 
幼獣が一丁前に縄張りへの侵入者を追い払ったのかと思ったのですが、吠えたり鳴いたりする声は聞き取れませんでした。 
おそらく独り遊びの追いかけっこだったのでしょう。 


【考察】 
最近ヘルパー♂と営巣地で合流したので、重労働の穴掘りはヘルパー♂に任せるかと思いきや、母親♀は相変わらず自分で巣穴の拡張工事(メンテナンス)を行いました。 
そもそもヘルパー♂とは一時的に再会しただけのようで、その後ヘルパー♂とはまったく同居していません。 


関連記事()▶  


2025/09/20

巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀を手伝おうとして邪魔している幼獣【トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶ ニホンアナグマの幼獣同士で匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ】 


2024年7月上旬

シーン0:7/2・午後13:03・くもり・気温33℃(@0:00〜) 
シーン0:7/2・午後13:38・くもり・気温33℃(@0:03〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:7/5・午前7:01・晴れ・気温24℃(@0:07〜) 
朝から母親♀が巣穴Lを掘り広げていました。 
巣内の土を前脚で掻き出しながら、後ろ向きで外に出てきます。 
巣口Lから左に延びるアクセストレンチLに居た1頭の幼獣も母親♀の真似をして土を後ろに掻いています。 
来季のヘルパー候補として有望な個体かもしれません。 

母親♀が巣外で身震いしてから、獣道の方へ歩き出しました。 
入れ替わりで幼獣2頭が相次いで巣内Lに入りました。 
母親♀を手伝ってるつもりで実は穴掘り作業の邪魔になっているのですけど、いかにも幼獣らしくて微笑ましい光景です。


シーン2:7/5・午後16:01・くもり・気温22℃(@1:07〜) 
同じ日の午後にも母親♀がまた巣穴Lを拡張していました。 
今度は広角の映像で穴掘りシーンが撮れています。 

幼獣の個体識別ができていないのですけど、そのうちの1頭が今回も母親♀を手伝ってアクセストレンチLの土を前足で後ろに掻いています。 
2頭の幼獣に穴掘り作業を邪魔された母親♀は、作業を中断してしまいました。 

その間、他の幼獣個体は独りで遊んだり餌を探したりしています。 


シーン3:7/6・午後12:46・気温27℃ (@1:47〜) 
翌日も同様のシーンが繰り返されました。
昼下がりなのに、鬱蒼と葉が生い茂った夏の二次林は日差しが遮られて暗いため、トレイルカメラはモノクロで起動しました。 
照度が閾値以下だと赤外線透過モードに切り替わるのですが、トレイルカメラ自体は赤外線を照射していない(暗視モードではない)ようです。 

母親♀が穴掘り作業のため巣穴Lに入ろうとしても、トンネル内で幼獣たちが閊えているようです。 
仕方がないので、前足で巣口Lの土砂を外に掻き出しました。 
そのお尻に別個体の幼獣が突進してわざとぶつかりました(頭突き)。 
無邪気な幼獣は母親♀に構って欲しいのでしょう。 
まるでヒトの幼児(悪ガキ)が母親に背後からカンチョーして悪戯しているかのようです。 
穴掘りを邪魔されても母親♀は幼獣に対して寛容で、怒ったりしません。
「猫の手も借りたい」と穴掘りの重労働をヘルパー個体に頼るようになるのは、まだ先の話です。


2025/09/11

軒下の巣に外被を増築するコガタスズメバチ♀と巣口を守る門衛:7月上旬

 



2024年7月上旬・午後12:00頃 

軒下に吊り下げられたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣で、1匹のワーカー♀aが新たに外皮を付け足していました。
多数のワーカーが巣材としてそれぞれ好みの地点から色々な樹皮のパルプを集めてくる結果、外被に美しいマーブル模様が現れます。
設計図もないのに、巣全体はほぼ球形を保ったまま少しずつ大きくなります。
外被の外側に巣材を追加して拡大するだけでなく、巣の内側から少しずつ外被を削り取って内部空間を広くしながら、巣盤や育房を作る巣材として再利用しています。
つまり外被の厚さはほぼ一定で、数層の断熱材になっています。
パルプという軽くて丈夫な天然巣材を使って見事に建築する様を観察する度に感嘆してしまいます。

ワーカーの間にも分業があるようで、外皮上をパトロールしているだけの個体♀bもいます。
また別の♀cが門衛として巣口の奥から外界を見張り、帰巣した個体を誰何すいかしています。 

♀aが持っていた巣材のパルプを使い切ると、巣内に戻りました。
♀aの造巣作業が終わるのを待っていたように、待機していた♀bは外被に新しく出来たポケット状の空間を点検しています。
作りたての外被がしっかり乾くまで、自分がポケット内に潜り込んで居座り、外被ポケットが潰れないようにしているのかもしれません。
あるいは、ポケット内は気化熱でひんやり涼しいのかもしれません。


つづく→

2025/08/29

転入した巣穴を拡張し、掘った土と一緒に古い巣材を外に捨てるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/30・午前10:53・気温27℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が暮らす営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
 鬱蒼と生い茂る雑木の枝葉が日光を遮るために昼間でも薄暗い環境です。
トレイルカメラが自然光で撮れる限界照度の閾値付近では、モノクロとフルカラーで交互に録画される症状が出ます。 

巣外で4頭の幼獣が2組に別れて格闘遊びを繰り広げています。 
やがて、母親♀らしき成獣が巣穴Rから後ろ向きで外に出てきました。 
巣内の土や古い巣材を前脚で外に掻き出しているのです。 
手前のアクセストレンチに土を捨てると(排土)、再び巣穴Rに戻って穴掘りを再開します。 

その様子を間近で見学している幼獣個体は、将来のヘルパー♂候補なのかもしれません。 
(私は幼獣の性別を見分けられません。)


シーン2:6/30・午前10:55・くもり・気温27℃(@0:41〜) 
フルカラー録画に戻りました。 
2頭の幼獣が母親♀の後に続けて巣穴Rに潜り込んだせいで、穴掘り作業する母親♀の邪魔になっているかもしれません。 
幼獣はすぐに外へ出てきました。 


シーン3:6/30・午前10:56・くもり・気温28℃(@1:20〜) 
モノクロ録画に戻りました。 
アナグマの母親♀は、腐葉土と化した古い巣材を巣外に掻き出して、手前のアクセストレンチに捨てています。 


【考察】 
穴掘りしている成獣の後ろ姿で股間からブラブラと垂れ下がって見えるのは、♂の睾丸ではなく、♀の乳房です。 

アナグマ♀(シングルマザー)が女手一つで4つ仔を育てるワンオペ育児は大変そうです。 
ニホンアナグマの場合、重労働の巣穴掘り作業はヘルパー♂(同じ母親♀が前年に産んだ息子のうち選ばれた1頭)が分担するらしいです。
ところが、最近この営巣地に転入してきたのは母子(母親♀と当歳仔の幼獣4頭)だけで、男手が足りないのです。 


2025/08/04

引っ越し翌日の昼間に巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬 

前日の晩にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が子連れで転入した営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/23・午後14:07・気温21℃ (@0:00〜) 
冒頭で巣穴Lに入ろうとした幼獣がクンクンキュン♪と鳴きました。(@0:04〜) 
なぜか奥まで入れません。 
途中で閊えている(誰かがトンネルを塞いでいる)ようです。 
しばらくすると、別の幼獣が巣口Lに駆け寄り、遊び始めました。 

やがて巣穴Lの中から後退りしながら外に出てきたのは、母親♀でした。 
どうやら、手狭になった巣穴Lを掘り広げる工事を始めたようです。 
掘った土や古くなった巣材を前脚で掻き出して外に捨てました(排土)。


シーン2:6/23・午後14:08・くもり(@1:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも穴掘り作業が撮れていました。 
計3頭の幼獣が巣口Rから外に出てきて、取っ組み合いや追いかけっこをして遊んでいます。 
その間、残りの幼獣1頭が、巣口Lの中に潜り込もうとしています。 

幼獣全員が巣口Lに合流したら、巣内Lで穴掘り工事をしていた母親♀が後ろ向きで外に出てきました。 
掘った土を巣口Lに捨てると、母親♀は再び巣内Lに戻ります。 
しばらくして再び母親が後ろ向きで排土したところで、1分間の録画が終わりました。 


シーン3:6/23・午後14:08・くもり(@2:00〜) ニホンアナグマ♀+幼獣4@セット+格闘遊び+追いかけっこ遊び+穴掘り:巣穴L拡張 6-23 14:08:34 wDSCF0070 23℃ 〆digging_out 別アングルの映像もフルカラーに戻りましたが、辺りはかなり薄暗いです。 幼獣たちにまとわりつかれながら穴掘り作業するのは大変そうです。 巣口Lから真っ直ぐ後退しながら土砂を何度も掻き出して捨てる結果、アクセストレンチと呼ばれる斜面が形成されます。 これはアナグマ営巣地に特有の地形です。 


※ アナグマの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
真昼間なのに、トレイルカメラによる録画がモノクロ(白黒)になりました。 
これは薄明薄暮など起動時の照度が低いときに起こる症状です。 
初夏の二次林では林冠に葉がびっしり生い茂り、日光が林床までほとんど届かず昼間も薄暗くなります。 
赤外線の暗視映像に切り替えるかどうかという、トレイルカメラ内部で設定された照度の閾値付近では、モノクロとフルカラーで交互に録画されるのです。 
二次林では秋に落葉して林内が明るくなるまで、この症状が続きます。 

前年の観察では、重労働の穴掘り作業はヘルパー♂(前々年に産まれた息子)に任せていました。 
しかし今季は転入後に、ヘルパー♂の姿を一度も見かけません。 

最近転入してきたのは、母親♀と幼獣4頭から成る母子家庭です。 
母親♀は穴掘り作業で全身が泥だらけですが、元から成獣の毛皮は濃い焦げ茶色です。 
一方、幼獣は白っぽい毛並み(薄い茶色)です。 

この巣穴Lの奥には、春に歩けなくなって餓死した「いざりタヌキ」の腐乱死体が長期間放置されていたはずです。 
子連れで転入したアナグマの母親♀が、その白骨化した死骸をどう処分したのか、不明です。 
その場に埋めたのではないかと私は想像しています。
(タヌキの死骸については、かなり後になってから新展開があります。) 


トレイルカメラの近くでクモが網を張り撮影の邪魔をするトラブル【10倍速:暗視映像】

 

2024年6月中旬 

シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に湧き水が年中滲み出す湿地があり、浅い水溜りを水場として利用しに来る野生動物や野鳥を観察するために、旧機種の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/14・午後18:05〜(@0:06〜)日の入り時刻は午後19:06。 
夕方になって監視カメラが起動したのは、至近距離で小さなクモ(種名不詳)が垂直円網を張り始めたからでした。 
10倍速の早回し映像でお届けします。 
変温動物の動きには反応しないはずなのに、センサーの反応性を高感度に設定すると旧機種のトレイルカメラは誤作動してしまうようです。 

クモが巣を作ったのは湿地帯に隣接するスギ植林地の林縁で、スギの木の下に横枝や下生えなどを足場として利用しているようです。 
ピントが全然合っていませんが、クモは粘着性のある横糸を密に張りながら螺旋状に動き、次第に円網の中心に向かっています。 
円網の中心で放射状の縦糸が合流する中心部分をこしきと呼ぶのですが、風で揺れる甑が白くぼんやり見えています。 
横糸を張るクモの螺旋運動の半径がどんどん小さくなります。 

午後18:25には横糸を張り終えて円網が完成したようで、クモは甑に下向きで占座しました。 
垂直円網は風で絶え間なく揺れています。 
日没前の約20分間で横糸を張り終えたことになります。 

クモはなぜこの場所に造網したのでしょうか? 
現場は湿地帯に隣接するスギ植林地の林縁で、風通しは良さそうです。 
スギの木の下に横枝や下生えなどを足場として利用して網を張ったようです。 
夜に赤外線の暗視カメラが頻繁に起動しますが、可視光を発していませんから、走光性の虫は集まってこないはずです。 


シーン2:6/14・午後19:33(@1:24〜) 
辺りが完全に暗くなると、監視カメラが照射する赤外線を反射してクモの円網がとてもよく見えるようになりました。 
クモの巣がレースのように夜風に揺れて美しいのですが、奥の水場に来る被写体がほとんど見えなくなってしまいました。 


シーン3:6/15・午後19:19(@1:40〜)日の入り時刻は午後19:06。 
クモは基本的に毎晩、獲物捕獲装置としての円網を取り壊して張替えます。 
しかし翌日には、クモが網の横糸を張り直す行動がなぜか録画されていませんでした。 
夕方に無風だったのかな?
日没直後に監視カメラが起動したときには、新しく完成した円網が夜風に揺れていました。 
円網の位置が前日から少しだけずれています。 

水場に来たイノシシが立てる物音(泥浴び、ヌタ打ち?)がかすかに聞こえます。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ イノシシの物音が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
昼間にトレイルカメラを設置したときにはクモの網が取り壊されていて無かったので、こんな撮影トラブルはまったく予想できませんでした。 
トレイルカメラのすぐ近くで網を張るクモは撮影の邪魔なので、次回からは造網の足場となりそうな、枯れた横枝や下生えをきれいに取り除きました。 
トレイルカメラの保守作業に通う間隔を開け過ぎてしまうと、こうした予想外のトラブルに対応できず、せっかく長期間設置しても狙った被写体がほとんど撮れていなくて悔しい思いをすることがあります。
夏は植物の成長が旺盛でレンズの手前に覆い被さってしまうことも多いので、特にローアングルでトレイルカメラを設置したときには下草を頻繁に刈る必要があります。

徘徊性のザトウムシ(クモの遠い親戚)にはまた別の問題があり、なぜかトレイルカメラのレンズの上に被さるように長時間居座って、撮影の邪魔をします。

2025/07/29

営巣地に転入直後に巣材を集めて運び込むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/11・午後13:26・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/11・午後14:10・くもり(@0:04〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)に2台の自動撮影カメラを設置して、定点監視しています。 

シーン1:6/22・午後22:50(@0:07〜) 
4匹の幼獣を引き連れて母親♀(右目<左目)が引っ越してきた直後です。 
1頭の幼獣が巣穴Rから外に出てくると、右へ駆け出しました。 

しばらくすると、母親♀が右から巣材を運びながら後ろ向きでセットに戻ってきました。 
どうやら転入直後に新鮮な巣材(寝床)が必要となり、早速集めてきたようです。 
林床の落ち葉を掻き集めながら、後ろ向きで帰巣Rしました。 
落枝を両手で持って効率よく(手際よく)落ち葉掻きしていたのは、果たして偶然でしょうか? 

その様子を付き添って見ていた幼獣も続けて入巣R。 


シーン2:6/22・午後22:54(@0:51〜)
広場の林縁近くに座って体を掻いていた母親♀の元に幼獣が歩み寄ると、幼獣に対他毛繕いしてやりました。 
母親♀は、別個体の幼獣bとすれ違いながら巣穴Rに入りました。 
幼獣2頭が巣外で取っ組み合いの遊びを始めました。 
その間、右上の林縁で別個体の幼獣が単独で採食しています。 

やがて、母親♀が巣内から顔を出すと、巣口Rに溜まっていた落ち葉を中に掻き入れました。(@1:35〜) 


シーン3:6/24・午前11:12:・くもり・気温24℃(@1:51〜) 
2日後の昼前にも巣材集めの行動が撮れていました。 
自然光下では、幼獣の毛皮は白っぽくクリーム色に見えます。 
その一方、成獣(母親♀)の毛皮は焦げ茶色です。 

巣口Lから母親♀が獣道を右上奥へ歩き出すと、1匹の幼獣がその後をついて行きます。 
母親♀が珍しく奥のヒメアオキ群落に分け入ると、落ち葉を掻き集め始めました。 

その間に3頭の幼獣は、帰巣Lしました。 


シーン4:6/24・午前11:14:・くもり(@1:51〜) 
続きが白黒映像に切り替わっていました。 
初夏の二次林は、林冠に葉が生い茂って昼間も日照が乏しいので、トレイルカメラが間違えてモノクロの暗視モードで起動してしまうことがあるのです。 

母親♀は後ろ向きで入巣Lしながら、前足で掻き集めた大量の落ち葉を搬入しています。 


シーン5:6/24・午前11:17:・くもり(@1:51〜) 
次に監視カメラが起動したときには、フルカラーに戻っていました。 
(薄明薄暮で周囲環境の照度が閾値だと、白黒→フルカラー→白黒→…と交互に切り替わります。)

巣口Lにこぼれ落ちていた巣材の残りを、母親♀が巣内に掻き入れています。 
搬入した巣材には、枯れた落ち葉だけでなく、ヒメアオキの青々とした葉も含まれていました。 
もしかすると、常緑樹の葉には清々しいアロマ効果や防虫効果があるのかもしれません。 

再び母親♀が巣口Lに顔だけ出し、巣口Lに残っていたヒメアオキの枝葉を咥えて中に引き込みました。 


シーン5:6/24・午前11:21:・晴れ(@3:21〜) 
母親♀が巣穴Lから左外に出て次の巣材を集めに行くシーンは撮り損ねたようです。 
左から後ろ向きで巣穴Lに戻ってくると、掻き集めた新しい巣材を搬入しました。 
今回の巣材には広葉樹の緑の生葉が含まれていました。(マルバゴマギかな?) 
細長い落枝も構わず一緒に運び込んでいます。 

その間、幼獣たちは巣材搬入作業の邪魔にならないように、巣内に留まっていました。 


※ アナグマの鳴き声や巣材集めの物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/07/19

軒下の巣に出入りし外皮を増築するコガタスズメバチ♀:6月中旬

 



2024年6月中旬・午後14:20頃 

民家の軒下に作られたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を久しぶりに定点観察に来ると、本種の初期巣に特有の細長い巣口はすでに撤去済みでした。 
ワーカー♀が羽化したことがわかります。 
丸い巣の底(下面)に歪な形の巣口が開いていました。 

初ワーカー♀が外皮の造巣作業に従事していました。 
パルプの巣材を薄く引き伸ばしながら、外皮の縁に付け足しています。 
少なくとももう1匹(創設女王? 2匹目のワーカー♀?)が巣に出入りしていました。 

しばらくすると、別個体の♀が帰巣しました。 
外皮にいきなり着陸してから巣口に潜り込みました。 
このとき巣材や肉団子など何か口に咥えていたかどうか、真下から見上げるアングルでは不明です。 

巣内から出てきたコガタスズメバチ♀が巣口から外界を覗き、周囲を警戒しています。 
そのまま飛び立って外役に出かけたので、門衛ではありませんでした。 
それと入れ替わるように、外皮の造巣作業を終えた♀個体が入巣。 


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