ラベル 造巣 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 造巣 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/12/31

冬眠の合間に追加の巣材を集める雪国のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬

シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台のトレイルカメラで監視しています。 
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のように林床の地面があちこちで露出しています。 


シーン1:1/23・午後20:47・気温-2℃(@0:04〜) 
トーパーから覚醒して右の巣穴Rから外に出てきたばかりと思われるアナグマが、右端の林縁に居ました。 
ノソノソ歩いて右へ向かいました。 
何をしに行ったのでしょう?


シーン2:1/23・午後20:49(@0:20〜) 
約2分後に、アナグマが後ろ向きで右から戻ってきました。 
前脚で林床の落ち葉を大量に掻き集めながら巣内Rに搬入します。 
夏に見られた巣材集めと同じ行動ですが、今回は気温が低いせいか、ピョンピョン跳ぶように後退する動きはしませんでした。 
真冬の巣内はよほど寒いのでしょう。 
濡れている(凍っている)落ち葉に寝床としての断熱効果があるとは思えないのですが、無いよりましなのでしょう。 
自分の体温で落ち葉を乾かしてから寝床として使うのかな? 
あるいは、隙間風を防ぐために詰め込む巣材なのかもしれません。 
(それなら穴掘りの得意なアナグマは、土で隙間を埋めるかも?)
意外にも、巣材集めを繰り返すことはなく、この1回だけでした。 
翌日から再び大雪が降ったので、落ち葉掻きができる最後のチャンスでした。 
まさかアナグマに天気予報の能力があるのか?とまたひとつ謎が増えました。 

今季は異常な暖冬です。 
雪国に生息するアナグマにとって暖冬や地球温暖化が朗報なのかどうか、観察1年目ではまだ判断できません。 
積雪による断熱効果が期待できず、巣穴が地中の浅いところに掘られている場合、放射冷却現象の夜明け前などに巣内も零下までひどく冷え込むのではないかと想像しています。 

越冬に入ったアナグマは、冬眠の合間にたまに巣外へ出てきても、動きがとにかく緩慢でぼんやりしていました。 
今回は珍しく(久々に)、巣材集めという活発な行動を見れてよかったです。 



シーン3:1/23・午後21:02・気温-1℃(@1:11〜) 
12分後に再び出巣Rしたアナグマが、巣口Rの左で小刻みに震えています(体温を上げるためのシバリング?)。 
さっき巣材集めをしたアナグマと同一個体とは限らないので、注意が必要です。
(個体識別ができていません。) 
危なっかしい足取りで、巣口Rの横でマルバゴマギ落葉灌木の根元をうろついています。

右の林内へ向かう途中で林縁に座ったのは、スクワットマーキング(縄張りの匂い付け)かもしれません。 
この個体が巣材集めに行ったのかどうか、その後の動向がなぜか動画に記録されていませんでした。 


シーン4:1/23・午後22:33・降雪・気温-1℃(@2:11〜) 
1時間半後、アナグマが巣口Rの左に戻って来ていました。 
細いマルバゴマギ落葉灌木の根元をよじ登ろうとしてスリップし、地面に座り込みました。 
また緩慢な動きに戻ってしまいました。 
擬人化すると、まるで泥酔しているような、足が痺れているような、覚束ない足取りです。 
雪がちらつく中、頻りに振り返って監視カメラの方を気にしています。 
今回はあえて早回し加工せずに、アナグマの動きが緩慢な様子をお伝えしました。 


シーン5:1/23・午後22:42・降雪・気温0℃(@3:11〜) 
10分後、アナグマは営巣地(セット)をゆっくり回り込んでから、巣口Rに戻ってきました。 
巣口Rの手前で身震いしてから、ようやく中に潜り込みました。 
この個体は左右の瞳の大きさが均等だったので、ここで出産・育児した母親♀(右目<左目)ではないことだけは分かりました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


越冬中のニホンアナグマは、厳密な意味での冬眠ではなく、トーパー(torpor)と呼ばれる状態になります。 
トーパーとは、体温を一時的に環境温度近くにまで下げ、代謝を低下させる状態のことです。
冬眠する動物に比べて体温の低下幅は小さいものの、心拍数も通常の半分程度にまで低下します。(AIのGeminiに教えてもらいました。)
ニホンアナグマは冬眠期間中に体温の周期的な低下と上昇がみられ(異温性)、体温が上昇したときに覚醒して巣外活動するのだそうです。
異温性(heterothermy)とは、恒温動物において部位、もしくは生理状態の違いにより体温が大幅に異なることをいう[1]。(wikipediaより引用)


2024/12/12

暖冬で早く雪が溶けたニホンアナグマの越冬用営巣地で換気口を発見?野ネズミの巣穴?

 



2024年1月上旬・午後14:25頃・くもり 

久しぶりに平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用営巣地(セット)に現地入りしました。 
異常な暖冬のために、林床に積もった根雪がほとんど溶けて地面が露出していました。 

アナグマの巣口Lから少し南に位置する地面に小さな穴が開口していました。 
その穴は斜め下に掘られています。 
積雪期に見つけたときは、アナグマの換気口(空気穴)かと思ったのですが、野ネズミ(ノネズミ)が出入りする巣穴のような気もしてきました。 
雪が積もったときに、この穴の上だけ雪がきれいに丸く溶けているのが不思議でなりません。 
野ネズミの体温や呼気が雪を溶かすほど暖かいことになってしまいます。 
小さな巣口の周囲の雪面に野ネズミの足跡が付いているのも見たことがありません。 
謎の小さな穴から野ネズミが出入りしているかどうか、トレイルカメラをもう1台追加して監視したかったのですが、限られた数の撮影機材で複数のプロジェクトを同時並行で進めているため、諦めざるを得ませんでした。 

折衷案として、たまたま野ネズミが勝手に掘った巣穴がアナグマの居住区画に合流してしまい、意図せずして換気口になってしまったのではないか、と考えています。 
つまり、野ネズミとアナグマが同居しているという説です。 
隙間風が吹き込んで寒いかもしれませんが、大雪が積もってメインの巣口が埋もれてしまったときには、予備の空気穴がないと巣内で冬眠するアナグマたちは窒息してしまいます。 
アナグマが同じ巣穴に居候する野ネズミに対して寛容なのは、そんなメリットがあるのかもしれません。 


つづく→

2024/11/30

雪で埋もれたニホンアナグマの越冬用営巣地で換気口を発見?

 



2023年12月下旬・午後・晴れ 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が越冬する営巣地(セット)を定点観察しています。 
トレイルカメラ2台の電池やSDカードを交換したついでに、根雪で埋もれかけた2つの巣口L、Rの様子を動画に撮りました。 
今季は異常な暖冬で積雪量が少ないです。
雪面の雪質は湿雪(いわゆる腐れ雪)のため、獣道に残る足跡は不鮮明でした。 
巣口付近の雪面は、アナグマが出入りするために黒い土で汚れています。 

巣口Lから2〜3m南の地点の雪面に開口している小さな丸い穴が気になりました。 
謎の穴の横に私の右手を並べて、大きさの比較対象としました。 
動画では眩しい雪面とのコントラストの差が大き過ぎて、穴の奥は真っ暗で何も見えません。 
肉眼で見ると、穴の奥に地面が露出していて、地中に小さな丸い穴が開いていました。

野ネズミの巣穴かと初めは思ったのですが、巣口に出入りする野ネズミの足跡や尻尾の跡が雪面に全く残っていません。
トレイルカメラをもう1台設置して、謎の小穴から野ネズミが出入りしているかどうか監視したかったのですが、限られた数の撮影機材をやり繰りして複数のプロジェクトを同時進行しているために、実現できませんでした。

野ネズミの仕業ではないとすれば、ここだけ地熱が高い理由は何でしょう?
もしかするとアナグマの巣穴の換気口(空気穴)かもしれない、と思いつきました。 
中で冬眠・越冬するアナグマ家族の吐く息が暖かいために、換気口の周囲の雪だけが早く溶けたと考えれば説明できそうです。 
地面の黒い土が雪原に少しでも露出すれば、昼間の太陽光で温められて周囲の雪が更に急速に溶けるでしょう。
雪国では冬に巣口が積雪で埋もれてしまうことがありますから、換気口を別に開けておかないと、巣内のアナグマは窒息してしまいます。 
アナグマが意図的に作った換気口とは限らず、トンネルが地中の浅いところに掘られている場合は、天井の薄い部分がたまたま崩落して小さな穴が開いてしまった可能性もあります。 
寒い冬に謎の小さな穴から白い湯気が立ち昇っていたら換気口だと確信がもてるのですけど、それはまだ見たことがありません。
精密に測定できるサーモグラフィカメラは高嶺の花ですが、もしそれで謎の巣穴を撮ったら、穴居性動物の暖かい呼気を検出できるでしょうか?

謎の穴にファイバースコープを突っ込んで調べてみたいのはやまやまなのですが、越冬中のアナグマ家族を怖がらせたり邪魔したくありません。 
高性能の長いファイバースコープは高嶺の花なので、翌年(2024年)の秋に、一脚の先端に取り付けたハンディカメラを巣口Lにそっと差し込んで巣内を初めて撮影してみました。(映像公開予定) 
一脚の長さが短いために、奥の居住区まで見れませんでしたが、少なくとも巣口Lからトンネル(巣坑)は南に向かって真っ直ぐ伸びていることが確かめられました。 
つまり、雪深い厳冬期に見つけた謎の穴はアナグマの換気口だろうという仮説を私はまだ信じています。






【追記】
実は5日前にもアナグマの越冬用営巣地(セット)に現場入りしていて、このとき初めて換気口らしき謎の小穴を雪面に見つけていました。
写真だけ撮っていたので、載せておきます。
このときも穴の周囲の新雪に小動物の足跡は残っていませんでした。








2024/11/29

畦道に残る謎の巣穴と爪痕【フィールドサイン】

2023年12月上旬

平地の水田が減反でソバ畑となり、ソバの実の収穫も終わりました。 
関連記事(同所で4ヶ月前の撮影)▶ ソバ畑に集まり芽生えを食べるキジバトの群れ(野鳥)

私が畦道を歩いて探索すると、野生動物が残した奇妙なフィールドサインを見つけました。 
古い畦道には、コケのたいが一面に生えていました。 
用水路から水を引いている訳でもないのに、見るからにジメジメした土壌です。 
枯れたソバ畑の周囲は、スギの防風林に囲まれています。 

畦道にときどき小さな穴が開けられているのは別に珍しくないのですが、今回は周囲の黒土に爪痕がくっきり残っていて気になりました。 
小さな穴は、畦道を貫通していました。 
これはモグラが巣穴を掘った跡なのでしょうか? 
それとも、もう少し大きな肉食獣(ネコなどの捕食者)が例えば野ネズミを狩ろうとして巣口を掘り広げた爪痕なのでしょうか? 
アナグマやタヌキがミミズや土壌昆虫を捕食しようとして穴を掘った跡なのかな? 
写真を撮るときに、大きさを伝えるために定規を置いて写し込むのを忘れてしまいました。

トレイルカメラを設置して誰の仕業か突き止めたら面白そうです。
しかし、謎の野生動物が同じ場所に通ってくるとは限らず、次に畦道のどこに穴を掘るのか、予想がつきません。 

水田だった頃は、水を張る前に毎年きれいに畦塗り(畦作り)をして、水漏れしないようにする必要があります。 
野ネズミやモグラが水田の畦に穴を掘ると、水漏れが発生して稲作に深刻な影響が出ます。 
米農家は畦に穴を開けられないように、様々な防除対策を求められるのだそうです。
(この部分はAIのCopilotに調べてもらいました)
・物理的バリア: ネズミやモグラが通れないような細かい金網や防獣ネット、鉄板などを畦道に設置する。 
・防除植物の植栽: モグラが嫌う香りを持つ植物(タイムやローズマリーなど)を畦道に植える。 
・超音波装置: 超音波で小動物を追い払う装置を設置する。 
・電気柵の設置 
・天敵の導入: 野生の捕食者(ヘビやフクロウなど)が活動しやすい環境を作る。
言うは易しで、実際にきっちり対策しようとするとコストが大変そうです。 
例えば流行りの超音波装置を設置すると、当然ながらフクロウやヘビなどの天敵にも忌避効果が出てしまうらしい。
そもそも土壌の中で超音波は伝播しにくく、地中のモグラや野ネズミへの効果は薄いと考えられます。
ちなみに、この農地では周囲のスギ防風林のてっぺんにノスリが止まっているのをよく見かけますし、フクロウもよく鳴いています。
野ネズミなどの小動物を狙って猛禽が狩りに来ているのだろうと予想しています。
(捕食シーンは未見です)


2024/11/28

落葉したハクモクレンの樹上に見つけたコガタスズメバチの古巣



2023年12月下旬・午後15:10頃・くもり 

やや郊外の住宅地で、落葉した庭木の樹上にコガタスズメバチVespa analis insularis)の丸い古巣がぶら下がっているのを見つけました。 
冬芽(つぼみ)の特徴から、営巣木の樹種はおそらくハクモクレンだと思われます。
(春に咲いた白い花で確認できました。) 
ちなみに、ハクモクレンの隣にはシダレザクラが植栽されています。 

気温の低いこの時期(初冬)はコガタスズメバチのコロニーがとっくに解散した後ですから、落ち着いて古巣をじっくり観察することができます。
巣口があったと思われる面の外皮が削ぎ落とされたように壊されていて、中の巣盤の構造がよく分かります。
おそらく蜂の子を捕食した野鳥の仕業だと予想されます。


現場では気づかなかったのですが、撮った写真を拡大すると、興味深い発見がありました。
巣内の巣盤の下に何か謎の昆虫が潜り込んで隠れていたのです。
コガタスズメバチの新女王が古巣で越冬している可能性もありますが、謎の虫は体型が扁平です。
おそらくコガタスズメバチと同居していたゴキブリの一種(ヤマトゴキブリ?)ではないかと予想しています。

関連記事(3、8年前の撮影)▶ 



 

2023年12月下旬・午後14:40頃・晴れ 

2日後に晴れたので、古巣の動画を撮りに出かけました。 
完全に落葉したハクモクレンの枝先に吊り下げられたコガタスズメバチの古巣が風に揺れています。
雨や雪が降ると巣の外皮の上面は濡れる訳ですが、日陰では薄氷のまま溶けずに残っていました。

古巣を下から見上げると、育房の白い繭キャップが破れています。
これはコガタスズメバチの成虫が羽化した痕跡です。
巣盤の隙間に潜んでいた謎の虫の姿は居なくなっていました。
外皮の破損(鳥による食害?)が前回よりも明らかに拡大しているので、今後もときどき定点観察に通うことにします。


現場は交通量の多い車道(子供の通学路)の道端です。
スズメバチの巣が駆除されずに無事にコロニーが解散するまで営巣を全うできたのが奇跡です。
私も夏に何度も横を歩いて通り過ぎていたのに、樹上に生い茂った葉が散るまではコガタスズメバチの巣の存在に全く気づきませんでした。
コガタスズメバチのコロニーは通行人を刺したりしないで、ひっそりと暮らしていたようです。
ヒトとコガタスズメバチが「知らぬが仏」で共存できているという実例がまたひとつ増えました。
夏に大きくなる巣を放っておいても刺傷事故は起きなかった、ということです。
少なくとも当地(雪国の街なか)では、このぐらいの巣(コロニー)の大きさが限界で、これ以上は大きくなれないと分かってきました。
蜂嫌いの人々がすぐ感情的に反論してくるのが予想できるので、観察に基づいた私の主張は注意深く限定され、安易な一般論にしてないことにご注意下さい。
過去にスズメバチに刺された経験があり、次に刺されたらアナフィラキシー・ショックで死ぬと恐れている人は、エピペンを常に携帯していれば安心できます。

庭木のハクモクレンにコガタスズメバチが巣を構えたことで、周囲の様々な昆虫を日々大量に狩って捕食したはずですから、庭や家庭菜園に発生する害虫の数の抑制に貢献してくれたはずです。
益虫、天敵農薬生物的防除生態系サービスなどと様々な言い方に変えても、社会性のスズメバチ類を殲滅してはいけない理由を一般の人になかなか分かってもらえません。
生態系ピラミッド(食物連鎖)の上位に位置する捕食者が絶滅してしばらくすると、初めてその役割やありがたみが身にしみることになります。
ニホンオオカミを安易に絶滅させたせいで現代の山林でニホンシカなどが爆発的に増え、生態系に破壊的な打撃を与えています
年々悪化するシカ問題への対応(駆除や防除など)に未来永劫膨大なコストがかかり、日本経済への負担となっています。
これを教訓として、スズメバチ問題にも活かしてもらいたいものです。


【アフィリエイト】 

2024/10/04

越冬用の巣穴入口からアクセストレンチを四方八方に掘りまくる晩秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬 

シーン0:11/23・午後12:14・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の落葉した二次林でニホンイタチMustela itatsi)の越冬用営巣地をトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:11/27・午前1:13・気温0℃(@0:04〜) 
冷え込む深夜に巣穴Rから勢い良く外に出てきた個体aが巣口Rを見下ろして、巣内の個体bと対峙しています。 
アナグマaは巣口Rの縁を前脚で引っ掻いて掘り始めました。 
なぜかアクセストレンチを新しい方向に掘り始めたようです。 


シーン2:11/27・午前1:20・気温2℃(@1:04〜) 
独りで巣外に居るアナグマが、営巣地(セット)の広場で落ち葉の上に座り込みました。 
林縁でうつ伏せに寝そべると、前脚で地面を掻き始め、そのまま横臥姿勢になりました。 
観察歴の浅い私にはなんとも解釈に苦しむ行動なのですが、掘ったばかりのひんやりした土に触れると気持ち良いのかもしれません。 
しかし暑い夏ならともかく、寒い晩秋の深夜にやることではないと思うのですが…? 


シーン3:11/27・午前1:20・気温2℃(@1:32〜) 
ようやく横臥から起き上がると、新たなアクセストレンチを掘り始めました。 
掘り返したばかりの黒土の上に腹這いになりました。 


シーン4:11/27・午前1:26(@2:31〜) 
巣口Rから外に向かって、なだらかなスロープを作ろうとしています。 
作業の合間に身震いしました。 
座り込んでしばしの休息。 


シーン5:11/27・午前1:32(@3:18〜) 
左から急いで巣口Rに戻ってきたアナグマが短い鳴き声を発しました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、ここだけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

巣穴Rに入りかけたものの、アクセストレンチをまた別方向に掘り始めました。 


シーン6:11/27・午前1:36・気温4℃(@4:18〜) 
アクセストレンチを掘り続ける個体と、それを巣R内から見守る個体(門衛?)が対照的です。 
アナグマの社会(家族群)では分業がしっかり別れているのでしょうか。 
穴掘りはヘルパー♂の担当なのかな? 
体型や顔つきは確かに♂っぽいのですが、越冬前で丸々と太っているために、分かりにくいです。 
巣内で見守る個体の顔つきは♀っぽいのですが、顔馴染みの母親♀(右目<左目)ではありません。(@4:26) 
穴掘り作業を途中で交代することはありませんでした。 


シーン7:11/28・午前7:28・気温3℃(@5:19〜)日の出時刻は午前6:29 
2日後の明るい朝にたまたま撮れたセット(営巣地)の様子を最後にお見せします。 
晩秋の林床は落ち葉に覆い尽くされているのですが、巣口Rの周囲だけが掘り返されて、黒土が露出しています。 


【考察】 
アナグマのアクセストレンチというのは本来、巣穴の奥から掘り出した土砂を外に捨てる際に自然に形成されるスロープや溝のことです。 
今回はトンネル(巣穴)を深く掘る土木工事はしないで、表土を耕すようにアクセストレンチの拡張整備だけに専念していました。 
巣口Rからアクセストレンチを放射状に(四方八方に)伸ばして掘りました。 

巣材(寝床)として使う落ち葉の搬入に続いて、これから深い根雪が積もる前の冬越し準備だと思うのですけど、一体どういう意味があるのか、私にはさっぱり分かりません。 
我々ヒトが野営(キャンプ)する際には、テントを張ってから四方に排水用の溝を掘るのが鉄則です。 
それに対して、アナグマのアクセストレンチが排水を考えて掘られているとは思えません。 
巣口付近が深いすり鉢状になると、大雨が降ったときや春の雪解けで巣内に浸水するのではないか?(まるで城の水攻め)と老婆心ながら心配になります。 
巣口付近を予め整地しておかないと、厳冬期の吹雪が吹き荒れる荒天時に変な吹き溜まりができてしまうのかもしれません。 

タヌキやテン、イタチなどの部外者がセットを訪問することがあまりにも多いので、アナグマが落ち着いて越冬できるように、巣口付近の表土を掘り返してマーキングの匂いを消していた、という可能性はどうでしょう?



2024/09/30

初雪が降った次の晩に巣材の落ち葉を追加で集めて越冬用巣穴に運ぶニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬・午後17:40頃・気温3℃(日の入り時刻は午後16:25) 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用巣穴をトレイルカメラで見張っています。 

初雪が降った翌日の晩に、アナグマが追加の巣材を集めていました。 
めっきり冷え込んで、巣内で寝床(断熱材)の落ち葉が足りないと判断したのでしょう。 
落ち葉が根雪で埋もれてしまう前に、なるべく多く集めておかなくてはいけません。
こんなん、なんぼあってもいいですからね!

林床に積もった落ち葉を前脚で掻き集めながら後退し、巣穴Rに運びました。 
普段なら後ろ向きのまま巣穴の奥まで潜り込んで巣材を搬入するはずです。
しかし今回は珍しく落ち葉を巣口Rに押し込んだだけで、次の作業に移りました。 
すぐに出巣Rして、巣口LRの中間地点からも落ち葉を集めています。 
我々の感覚では、乾いた落ち葉ならともかく濡れた落ち葉は断熱材(寝床)として暖かそうには思えないのですけど、アナグマは気にしません。 

やはり、アナグマがこの巣穴で越冬すると考えて間違いなさそうです。 
タヌキなど他の野生動物もときどきこの巣穴Rに侵入しますが、巣材を搬入することは一度もありません。 
アナグマが巣材集めの作業中にカメラに正面を向いてくれなかったので、この個体が顔馴染みの♀(右目<左目)かどうか区別できませんでした。 


2024/09/20

晩秋の休耕地でニホンアナグマの越冬用巣穴の横に溜め糞場を見つけた!

 



2023年11月下旬・午後13:15頃・晴れ 

休耕地に掘られた巣穴を見張っているトレイルカメラの電池やSDカードの交換に来ました。 
撮れた動画を現場でチェックすると、ニホンアナグマMeles anakuma)が巣材(寝床の枯草)を搬入していたことから、この巣穴で越冬しそうだと分かりました。 
かつてここはホンドタヌキの繁殖用営巣地だったのに、いつしかアナグマが乗っ取ったようです。 

広角で動画を撮りながら枯野を歩いて、巣穴を調べに行ってみました。
クズなどの枯草に覆われた休耕地に獣道が形成されています。 
3つ並んでいる巣口を順に見て回ったのですが、巣穴の主は巣口に顔を出しませんでした。 
日中のアナグマは巣内で寝ているのでしょう。 
巣穴の奥から外に掻き出した土砂が斜面(アクセストレンチ)を形成しています。 

巣穴の近くに溜め糞場を発見したのが嬉しい収穫です。 
黒い泥状の糞が乾いていることから、おそらくアナグマの溜め糞場ではないかと思います。 
アナグマの溜め糞場を巣穴の近くで見つけたのは初めてで、アナグマ関連の本に書いてあった通りでした。 
これまで私は巣穴から離れた位置でしかアナグマ専用の溜め糞場を見つけられず、当地のアナグマは独特の排便習性をもっているのだろうか?と悩んでいました。

糞塊はひとつだけではなく、タヌキの溜め糞らしきものも見つかりました。 
糞に含まれている未消化の種子を観察すると、カキノキソバの実を食べていることが分かります。 
(真面目に糞分析をする余力がなくて、写真から判断しただけです。) 
実際、近くに柿の木が生えていますし、ソバ畑もあります。
アナグマとタヌキが溜め糞場を共有しているのでしょうか? 
あるいは(都合よく解釈すると)、アナグマが巣穴を乗っ取って以来、タヌキの溜め糞は使われなくなったのかもしれません。 
ソバの実などが含まれた溜め糞
カキノキの種子などが含まれた溜め糞
越冬用営巣地の全景

少し遠くから営巣地を監視していたトレイルカメラの設置場所を変更して、巣穴や溜め糞場に通ってくる動物を間近で見張ることにしました。 
三脚を立てて見下ろすように監視カメラを設置したいところですが(ハイアングル)、広い枯野で三脚が目立ってしまうと誰かに見つかりそうです。
撮影機材の盗難や野次馬による野生動物への悪影響など厄介なことになりそうなので、三脚の使用は却下。 
かと言って、枯野の地面に監視カメラをむき出しのまま設置すると(ローアングル)、野生動物が咥えてどこかに持ち去ってしまいそうです。 


そこで重りとして、600mLの水入りペットボトルとホームセンターで購入した園芸用コンクリートブロックを地面に置き、そこにトレイルカメラをワイヤーロックで固定しました。 
カメラが根雪に埋もれてしまう前の短期決戦で挑みます。 




【アフィリエイト】 

2024/09/18

休耕地で越冬用の巣穴に巣材の枯草を運び込むニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬・午後17:10頃・(日の入り時刻は午後16:27) 

日没後30分もすると、辺りはもう真っ暗です。 
休耕地(枯野)にある巣穴からニホンアナグマMeles anakuma)が外に出て来ました。 
巣口でキョロキョロしながら辺りを警戒しています。 

安全を確かめると、アナグマは巣穴の左側エリアで巣材を集め始めました。 
めっきり寒くなってきたので、越冬前にふかふかの寝床(断熱材)を追加するのでしょう。 
休耕地に蔓延っていたクズカナムグラなどの枯れた蔓植物を口で咥えて引っ張り、むしり取っています。 
集めた巣材を両腕に抱えながら後退して巣穴に運んで行きます。 
巣材を搬入してから再び出巣すると、今度は右へ歩き出しました。 

次は手前のエリアから巣材を集めます。 
地面の雑草や落ち葉、枯れ草などを前足で手当たりしだいに掻き集め、獣道を後退しながら巣穴に戻ります。 
営巣地の周辺は広い枯野なので、アナグマは巣材(寝床)となる枯草に困ることはありません。 

この個体は体型や顔つきから♀のようですが、顔馴染みの母親♀(右目<左目)ではありませんでした。 
最後に、越冬前の巣材集め行動を5倍速の早回しでリプレイ(@3:51〜)。 




【アフィリエイト】

2024/08/12

スギ林床で落ち葉を寄せ集めて巣口を隠す野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月下旬〜11月上旬 

平地のスギ防風林でたまたま見つけた野ネズミ(ノネズミ)の巣穴を自動センサーカメラで見張っています。 

シーン0:10/27・午後13:40(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
画面の左上隅に風倒木の朽ち果てた切株があります。 
 この切株の周囲には、野ネズミが食べた後のオニグルミの殻がたくさん捨てられていました。(門歯で殻をくり抜いた食痕つき) 
その手前の溝に、古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。 
ここにニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあり、黒い軟便が残されています。 

杉防風林の林床にはスギの落ち葉が堆積しているだけでなく、広葉樹の落ち葉もあちこちに散乱しています。 
冒頭画面で示した赤丸が、野ネズミの巣穴の位置です。 


シーン1:10/27・午後18:19(@0:06〜) 
晩に落ち葉で隠蔽された巣口から外に出てきた野ネズミが林床で餌を探し回ります。 
フクロウなど上空から襲ってくる夜行性の捕食者が怖いのか、スギ落ち葉の下に隠れながら移動しています。 


シーン2:10/29・午前2:16(@0:32〜) 
深夜にスギ林床の巣口から外に出てきた野ネズミが、以前と同じルートを辿って探餌徘徊。 
アナグマの溜め糞場stmpには興味がなく、素通りしています。 


シーン3:10/29・午後21:41(@0:45〜)
巣口周辺の林床に散乱している落ち葉を口で咥えて引き寄せ、巣口を隠蔽しています。 
広葉樹の落ち葉だけでなく、針葉樹のスギ落ち葉も少しだけ運んで被せました。 
隠蔽工作が済むと、林床をうろつき始めます。 

手押し車のフレーム直下にスギ落葉層の下に潜り込むための穴が開いているのですが、それは隠蔽しようとしないのが興味深いです。 
あの穴は巣口とは違うのでしょう。 


シーン4:10/30・午後18:09(@1:26〜) 
晩に手押し車のフレームの左下でスギ落ち葉の下に野ネズミの白く光る目が動き回っています。 
用心深く地表にようやく出てくると、落ち葉で隠蔽された巣口に潜り込みました。 
入巣の直前にちょっと迷ったのは、仮想敵に対してフェイントを掛けたのか、それとも暗闇で本当に迷ってしまったのか、どちらでしょう? 
巣口の目印として、落ち葉を被せておいた可能性もありそうです。 


シーン5:10/30・午後23:22(@2:05〜) 
深夜に野ネズミが林床で落ち葉を次々に拾い集めて運び、巣口を念入りに隠蔽しています。 
昼間にスギ林床で採餌するシロハラなどの野鳥が落ち葉めくりをして撹乱するため、夜な夜な修復が必要なのかもしれません。(映像公開予定) 
だとすると、巣口に落ち葉を被せる目的はカモフラージュ(隠蔽偽装)ではなく目印のため、という可能性が高まってきたかもしれません。 

その後は珍しくアナグマの溜め糞場stmpに立ち寄りました。 
黒っぽく見える溜め糞そのものではなく、その周囲の落ち葉を調べているようです。 
アナグマの糞の上を歩くことに野ネズミは衛生的に何ら抵抗を感じていません。 
その後は左から回り込んで切株の裏へ向かいました。 


シーン6:10/31・午前1:40(@3:03〜) 
深夜に巣口から外に出てきた野ネズミが、いつもと同じルートで探索しています。 


シーン7:11/1・午後17:24(@3:36〜)日の入り時刻は午後16:44。 
日没後に野ネズミが手押し車フレーム直下の穴から外に出てきました。 
入巣しかけたのになぜか引き返して、スギ落葉層の下に潜り込みました。 
その後は、いつもの決まったルートで探索開始。 


シーン8:11/2・午前5:16(@4:19〜)日の出時刻は午前6:02。 
夜明け前に雨が降っていました。 
画面の左下から走ってきた野ネズミが、落ち葉で隠蔽された巣穴に入りました。 
ところが、わずか9秒後に同じ巣口から再び外に出てくると、右に立ち去りました。 
(別個体の可能性もありますが、個体識別ができていません。) 


シーン9:11/2・午後18:13(@4:46〜) 
同じ日の晩に、野ネズミが巣口から顔だけ外に出して辺りを警戒しています。 
残念ながら、すぐに録画が切れてしまいました。 


シーン10:11/4・午前4:27(@4:53〜) 
未明に餌探しから戻った野ネズミが、巣穴に戻りました。 


シーン11:11/4・午後21:05(@5:00〜) 
珍しくアナグマの溜め糞場stmpに来ていた野ネズミが、スギ林床をウロチョロし始めました。 
やがて広葉樹の大きな落ち葉を口に咥えて運び、巣口に被せて隠蔽工作。 
次は小さな落ち葉を2枚続けて咥えて運び、巣口に被せました。 


シーン12:11/5・午後21:05(@6:01〜) 
野ネズミが巣口の落ち葉をかき分けるように入巣しました。 



最後に、野ネズミが落ち葉を拾い集めて巣口に寄せ集める行動だけをまとめて、1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@6:09〜) 
この行動は野ネズミの知性を強く感じさせて、個人的にとても好きです。
何度見ても飽きません。



2024/08/04

秋の冷え込む夜明け前に落ち葉掻きをして巣材を集めるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月下旬 

シーン0:10/20・午後14:16(@0:00〜) 
シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を見張っています。 


シーン1:10/27・午前4:51・気温4℃(@0:08〜) 日の出時刻は午前5:56。 
明け方はかなり冷え込むようになりました。 
巣穴Rから外に続けて出てきた2頭のアナグマが林縁をうろついたり広場に座り込んだりしています。 
やがて2頭は、相次いで右へ向かいました。 


シーン2:10/27・午前4:52・気温4℃(@1:08〜) 
別アングルで設置した映像に続きが写っていました。 
左から登場したアナグマが地面の匂いを嗅ぎながら慎重に巣穴Lに入りました。 
しばらく後に再び巣口Lから顔を出したところで録画が打ち切られました。 
この個体の両目は左右均等です。 


シーン3:10/27・午前4:52(@1:56〜) 
1頭のアナグマがセットから右に立ち去ってしばらくすると、右からアナグマaが後ろ向きで林床の落葉を大量にかき集めながら戻ってきて、そのまま巣穴Rに搬入しました。 
最近、冷え込みが厳しくなってきたので、越冬用の寝床(断熱性の高い巣材)を集めてきたのでしょう。 

そのすぐ後ろからついて来た別個体bは落葉集めを手伝わず、仰向けに寝転がって、毛繕いを始めました。 
ごろんと仰向けになった瞬間の股間を見ても、私には性別を見分けられませんでした。 
乳首がないのは確かです。 
両目の大きさは同じでした。 
個体bが左へ歩き去ると、対面に設置したトレイルカメラの赤外線LEDが点灯しました。 


シーン3:10/27・午前4:54・(@2:46〜) 
なぜか林床で立ち止まっていたアナグマbが右へ立ち去りました。 
戻ってこなかったので、巣材集めではなく、採餌に出かけたようです。 

こんな低温でも造網性のクモが活動しており、レンズの手前を至近距離で横切りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 落ち葉を掻き集める物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


今回登場したのは計3頭だと思うのですが、個体識別ができていません。 
冬越しに備えて丸々と太った幼獣またはヘルパー♂ではないかと想像しています。 


2024/08/01

越冬用の巣穴を分業して掘り広げる秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年10月下旬・午後18:41〜19:31 

シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を監視しています。 


シーン1:10/26・午後18:41(@0:04〜) 連続撮影のため気温表示は異常値。 
出巣L直後と思われるアナグマが巣口L周辺の地面を少し嗅ぎ回ってから、再び巣穴Lに戻りました。 
しばらくすると、前脚で土砂を掻き出しながら後ろ向きで出巣Lしました。 
どうやら冬越しに備えて、巣穴Lを拡張工事し始めたようです。 
何度も往復して巣L内の土砂を外に掻き出す様子を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
巣口Lの左に土砂を毎回捨てるため、アクセストレンチの緩斜面(溝)が形成されます。 

トレイルカメラのレンズのすぐ手前に造網性クモが居座ってしまい、目障りですね。 

さっきまで2頭のアナグマ(幼獣?)が長時間かけて格闘していたのは、穴掘り担当を決める争いだったのでしょうか? 
あるいは、来季のヘルパー♂候補どうしの争いだったのかな? 
取っ組み合いで体力を無駄に消耗したのではないかと素人目には心配になるのですが、穴掘り前に体を暖める準備運動(ウォーミングアップ)だったのかもしれません。 


シーン2:10/26・午後18:42(@0:42〜) 
1頭aが巣口Lで穴掘りしている間に、もう1頭bが辺りをうろつき、作業を見守っています。 
「穴掘り作業をヘルパー♂aに任せる♀b」という定説に当てはめたくなりますが、♀なら左右の目が左右非対称(右目<左目)のはずです。 
外見でこの2頭の性別を見分けられないのですが、今回の個体bは左右の目の大きさが同じなので、少なくとも、春にこの営巣地(セット)で出産した母親♀でないことは確かです。 
私としては、今のところ2頭a,bとも大きく育った幼獣だと考えています。 

しばらくすると、幼獣bも穴掘り作業を手伝い始め、アクセストレンチを整えるようになりました。 
巣穴Lの奥を担当する個体aと、外のアクセストレンチを担当する個体bとが分業しています。 
母親やヘルパー♂(当歳仔の幼獣にとっては1歳年上の兄)の穴掘り作業を見ていつの間にか幼獣たちも穴掘りを覚えたのでしょうか?(それとも本能行動?) 

撮影の邪魔だったクモがようやくどいてくれました。 


シーン3:10/26・午後18:44(@1:42〜) 
 地上を分担していた個体bが作業を中断し、なぜかアクセストレンチ上のとある地点に別の穴を掘り始めました。 
ミミズでも見つけて採食しているのかな? 
やがてアクセストレンチの整備作業に戻りました。 


シーン4:10/26・午後18:46(@2:42〜) 
地中から掘り出した土砂と一緒に地上の落葉もついでに掻き出し、左に長いアクセストレンチを形成しています。 
穴掘り担当個体aは、全身が黒土で真っ黒に汚れてきました。 


シーン5:10/26・午後18:47(@3:42〜) 
ここでなんと、穴掘りの分担を交代しました! 
それまで穴掘りしていた個体aは、アクセストレンチを左に伸ばすようになりました。 
その後は少し疲れた様子で、奥の獣道を右往左往しています。 
立ち止まって身震いしても、体に付いた黒土は落ちません。 


シーン6:10/26・午後18:49(@4:42〜) 
いつものように1頭aが後ろ向きで土砂を巣穴Lの外に掻き出していたら、巣内から別個体bが頭から外に飛び出してきました。 
したがって、トンネル内にはアナグマが方向転換できるスペースがあることがうかがい知れます。 
個体bは身震いしてから右へ立ち去りました。 
「後はお願いね♪よろしく♪」 
採食や排便に出かけたのではないかと思われますが、最寄りの溜め糞場stmpに設置した監視カメラには写っていませんでした。 

残された個体aは穴掘り作業を独りで黙々と続けています。 


シーン7:10/26・午後18:51(@5:20〜) 
残された個体aによる穴掘り作業を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
分業するパートナーが居なくなったので、地中の巣内を掘り広げる作業だけでなく、地上のアクセストレンチ整備も独りでやらないといけなくなりました。 

巣穴Lに出入りする際に後ろ姿の股間を注意深く見ても、外性器がしっかり見えませんでした。 
巣口Lの周辺に蔓延る木の根や落枝が邪魔でよく見えないのです。 


シーン8:10/26・午後18:55(@5:40〜) 
穴掘り作業を続けています。 


シーン9:10/26・午後19:06(@6:04〜) 
疲れてもときどき小休止を挟みながら、一気呵成に巣穴Lを深く広く掘り広げています。 


シーン10:10/26・午後19:24(@6:44〜) 
いつものように、穴掘り個体aが後ろ向きで排土していたら、別個体cが巣口Lから外に出て来ました。 (@6:50〜)
外出していた個体bがいつの間にか戻っていたのかと思いきや、この個体cは目の大きさが左右非対称(右目<左目)の、私には馴染みのある♀でした。 
♀cがいつ入巣Lしたのか、監視カメラに写っていないのですが、単に撮り損ねたのか、それとも未知の巣口がどこかにあるのでしょうか? 
穴掘りの重労働は2頭の幼獣(ヘルパー候補?)に任せて、♀cはずっと巣内に篭もっていたのかもしれません。
巣口Lで母から子に毛繕いしてやり、労をねぎらいます。 
体格では幼獣a<♀cでした。
母親♀cに激励された幼獣aは穴掘りを再開し、♀cは右へ立ち去りました。(採食に出かけた?) 
今度こそ独りになった幼獣aは、黙々と穴掘り作業を続けます。 


シーン11:10/26・午後19:30(@8:00〜) 
ようやく穴掘り作業を終えたアナグマaが、巣口Lの右外に出ていました。 
完成した巣穴にそのまま泊まるかと思いきや、身震いすると右へ立ち去りました。 
空腹になって採食に出かけたのか、あるいは体の泥汚れを落とすため水浴しに行ったのかもしれません。 
(アナグマの水浴シーンをいつか見てみたいものです。)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
越冬に備えた穴掘り作業の一部始終を動画で記録できて大満足です。 
初めは2頭の幼獣が巣内と巣外に別れて分業していたのに、途中から役割を交代し、最後は単独での作業になりました。 
後半は母親♀も現れ、久しぶりに母子が一緒にいる様子観察することが出来ました。 

2024/07/16

秋の夜に古い巣穴を掘り広げるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月中旬 

シーン1:10/16・午後21:23(@0:00〜) 
外出から戻ってきたと思われるニホンアナグマMeles anakuma)が巣穴Rに潜り込みました。 


シーン2:10/16・午後21:30(@0:09〜) 
7分後、アナグマが巣穴Rの奥から掘り出した土を後ろ向きのまま前足で外に掻き出していました。 
その結果、アクセストレンチが手前に延びています。 

 冬ごもりに備えて、巣穴Rの住心地が良くなるように掘り広げているようです。 
この個体の性別が私にはしっかり見分けられませんでした。 
右目が左目よりも小さい♀ではないかと思うのですけど、どうでしょうか。 


2024/07/14

スギ林床で広葉樹の落ち葉を寄せ集めて巣口を隠蔽する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月中旬〜下旬 

スギ防風林の林床で夜な夜な餌を探し回る野ネズミ(ノネズミ)の巣穴が意外な場所に見つかりました。 
落ち葉を寄せ集める謎の行動が繰り返し見られました。
これまで私が撮ってきた野ネズミの動画の中でも、これはかなり重要な発見です。


シーン0:10/20・午後14:45(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
画面の左上隅に朽ち果てた切株があります。 
この切株の周囲には、野ネズミが食べた後のオニグルミの殻がたくさん散乱していました。(食痕つき) 
その手前の溝に古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。 
これを目印として、ニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあり、黒い下痢便が溜まっています。 

杉防風林の林床にはスギの落ち葉が堆積しているだけでなく、広葉樹の落ち葉も散乱していることを覚えておいてください。 


シーン1:10/20・午後18:21・小雨(@0:04〜) 
小雨がぱらつく晩に画面の中央に野ネズミが居座っています。 
スギ林床のこの位置に野ネズミの巣穴の入口(巣口)があることが後に判明します。 
採食中なのか、毛繕いしているのか、よく分かりません。 
やがて右に立ち去りました。 


シーン2:10/20・午後21:54(@0:18〜) 
スギ林床をうろちょろしています。 


シーン3:10/20・午後22:15(@0:49〜) 
画面中央で野ネズミが広葉樹の落ち葉を咥えて横にどけました。 
周囲の落ち葉(スギ以外の広葉樹)を何枚か1箇所に拾い集めていたのに、なぜかその場に放置したまま右へ立ち去りました。 
冬越し用の巣材(寝床)を吟味しているのでしょうか? 
当地は雪国(東北地方日本海側の多雪地帯)ですから、長い冬越しに備えて巣材集め行動の衝動が高まりつつあるのかもしれません。 

 関連記事(1年前の撮影)▶  

別な可能性として、落ち葉で巣口を隠す(カモフラージュ、隠蔽)行動かもしれない、と思いつきました。 


シーン4:10/21・午前4:06(@1:34〜) 
日付が変わった未明に現れた野ネズミが、約6時間前に拾い集めた広葉樹の落ち葉をめくり、その下のスギ落葉層に潜り込みました。 
どうやら巣口があるようです。 


シーン5:10/21・午後23:29(@1:51〜) 
どうやら出巣の瞬間を撮り損ねたらしく、右へ走り去る野ネズミが写っただけでした。 


シーン6:10/22・午前4:26(@1:56〜) 
野ネズミがスギ林床の巣口にスルリと入る様子がしっかり撮れていました。 


シーン7:10/22・午後18:04(@2:03〜) 
出巣直後と思われる野ネズミが右に向かいました。 


シーン8:10/22・午後18:31(@2:11〜) 
広葉樹の落ち葉で隠蔽された巣口から野ネズミが外に出てくる決定的瞬間が遂に撮れていました。 
左へ少し走ると、手押し車のフレーム直下の穴にすぐ潜り込みました。 
スギ落葉層の下に一時的に隠れたり、近道するための穴があちこちに開いていることが分かってきました。 

アナグマの溜め糞stmpを右に飛び越えると、朽ちた切株の右下をうろついています。 


シーン9:10/22・午後18:40(@2:37〜) 
錆びたフレーム直下の穴から顔を出していた野ネズミが、すぐに引っ込んでしまいました。 
スギ落葉層の下を右往左往してから外に出て、右に走り去りました。 


シーン10:10/22・午後18:48(@2:58〜) 
落ち葉で隠蔽した巣口に戻って確認してから、右に向かいました。 


シーン11:10/22・午後18:55(@3:29〜) 
画面中央から、フレーム直下の穴に潜り込むと、スギ落ち葉の下を右往左往。 
アナグマの溜め糞stmpをチェックしてから、その上を渡って朽ちた切株へ向かいました。 


シーン12:10/22・午後18:59(@4:23〜) 
右から来た野ネズミがアナグマ専用の溜め糞場stmpの横を通って切株へ向かいました。 


シーン13:10/23・午前0:19(@4:51〜) 
日付が変わった深夜、右から来た野ネズミが林床で計3枚の落ち葉(落葉樹)を1枚ずつ口に咥えて少し移動させました。 
やはり巣口の位置を隠蔽するカモフラージュ行動のようです。
断熱用の巣材(寝床)として落ち葉を巣穴の中に運び込む巣材集めの行動とは明らかに違います。 

隠した巣口には入らず、左へ移動するとスギ落葉層の下に潜り込んで左下に向かいました。  


シーン14:10/23・午前3:00(@5:25〜) 
手押し車の錆びたフレームの陰、アナグマの溜め糞stmpの縁に野ネズミが来ていました。 
右下エリアをウロチョロしてから、落ち葉で隠蔽した巣口に入りました(入巣)。 


シーン15:10/23・午後18:57(@5:49〜) 
スギ林床をうろついてからフレーム直下の穴に潜り込みました。 
スギ落ち葉の下から野ネズミの白い目が光って見えます。 


シーン16:10/23・午後18:59(@6:24〜) 
林床を横切って右へ立ち去りました。 


シーン17:10/23・午後19:01(@6:34〜) 
右から来た野ネズミが左下へ向かいました。 


シーン18:10/23・午後21:49(@7:15〜) 
落ち葉で隠蔽された巣口に入り、しばらくすると同じ場所から出巣しました。 
右へ立ち去りました。 


シーン19:10/23・午後23:46(@7:34〜) 
慌てたように入巣しました。 


シーン20:10/24・午後17:44(@7:42〜) 
翌日の日没後に野ネズミが探餌徘徊を始めました。 
アナグマの溜め糞stmpを回り込んで朽ちた切株に向かうと、その切株を登り降りしてから左へ。 


シーン21:10/24・午後20:43(@8:19〜) 
左下手前のスギ落葉層の下から野ネズミの白く光る眼がちらっと見えました。 
錆びたフレーム直下の穴から外に出てきて右へ。 


シーン22:10/24・午後20:58(@8:49〜) 
画面の上端から手前へ向かって野ネズミがうろちょろしています。 右へ。 


シーン23:10/25・午前0:35(@9:21〜) 
手押し車の錆びたフレームから朽ちた切株へ向かいました。 


シーン24:10/25・午後18:23(@9:30〜) 
手押し車の錆びたフレームが突き刺さっているスギ落ち葉の穴から野ネズミが現れ、右へ向かいました。 
落ち葉で隠蔽された巣口に潜り込むと、しばらくして同じ巣口から外に出て来ました。 
素早く右へチョロチョロと走り去りました。 


シーン25:10/25・午後21:28(@9:56〜) 
左下エリアをウロチョロ。 


シーン26:10/26・午後17:36(@10:07〜)日の入り時刻は午後16:51。 
探餌徘徊で右へ。 


シーン27:10/27・午前0:03(@10:22〜) 
左下のスギ落葉層の下を潜って朽ちた切株に向かいました。 
今回もアナグマの溜め糞stmpには近寄りませんでした。 



【考察】 
アナグマが溜め糞場stmpに通って排泄する様子を記録しようとトレイルカメラを設置したのに、夜行性の野ネズミが毎晩活発に探餌徘徊するせいでカメラの電池がすぐに消耗してしまいます。 
そんな野ネズミを初めは疎ましく思っていたのですが、撮れた動画をじっくり見直すと、なかなか面白い行動をしていました。 

野ネズミはスギ林床を夜な夜な徘徊して餌を探し回っています。 
野ネズミが好きな木の実などがスギ林床に落ちているとは思えないので、落ち葉の下に隠れている虫やクモなどを捕食していると思われます。 
しかし、野ネズミはアナグマ専用の溜め糞stmpにはほとんど興味を示しませんでした。 
アナグマは主にミミズを捕食するらしいので、タヌキとは違って溜め糞には未消化の種子が含まれておらず、野ネズミにとって食料にならないのでしょう。 
溜め糞場に集まる食糞性の昆虫などを野ネズミが捕食しても良さそうなものですけど、そのような捕食行動はこの時期に撮れていませんでした。 

野ネズミの巣穴の入口を新たに発見できたのはたまたまです。 
落葉樹の落ち葉をときどき拾い集めて巣口の上にかぶせて隠蔽する行動を何度かしていました。 
この森周辺には野ネズミの天敵であるホンドテンやニホンイタチ、ホンドギツネ、フクロウなどが棲息することが分かっています。 
野ネズミの賢さをまたひとつ知ることが出来て感動しました。 
ただし、巣口周辺に野ネズミが落ち葉を拾い集めるのはカモフラージュのためとは限らず、暗闇で巣口の位置を示す目印なのかもしれません。 
これを解明するためには、巣口の上にかぶせた落葉樹の落ち葉をすべて取り除いたり、横に少しずらして置いてみたりして、野ネズミの帰巣行動にどんな影響を及ぼすか観察すれば分かるはずです。 

今回トレイルカメラで見つけた巣穴を根雪が積もる前に発掘調査してみたいものです。 
落ち葉をめくってみれば巣口が見つかるはずです。 
しかし私が現場をズカズカと歩き回ったせいで、巣口の場所が分からなくなってしまいました。 
トレイルカメラによる撮影は病みつきになるほど楽しいのですが、たくさん撮れた動画の確認が追いつかなくなり大変です。 
ようやくこの動画を見たときには時すでに遅く、発掘調査の時期を逸してしまいました。 




【アフィリエイト】 

ランダムに記事を読む