2024年1月下旬
シーン0:1/22・午後13:46・くもり・気温20℃(@0:00〜)
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。
平地の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)が越冬する2つの巣穴を同時に1台のトレイルカメラで監視しています。
今季は異常な暖冬で積雪が少なく、まるで早春のように林床の地面があちこちで露出しています。
シーン1:1/23・午後20:47・気温-2℃(@0:04〜)
トーパーから覚醒して右の巣穴Rから外に出てきたばかりと思われるアナグマが、右端の林縁に居ました。
ノソノソ歩いて右へ向かいました。
何をしに行ったのでしょう?
シーン2:1/23・午後20:49(@0:20〜)
約2分後に、アナグマが後ろ向きで右から戻ってきました。
前脚で林床の落ち葉を大量に掻き集めながら巣内Rに搬入します。
夏に見られた巣材集めと同じ行動ですが、今回は気温が低いせいか、ピョンピョン跳ぶように後退する動きはしませんでした。
真冬の巣内はよほど寒いのでしょう。
濡れている(凍っている)落ち葉に寝床としての断熱効果があるとは思えないのですが、無いよりましなのでしょう。
自分の体温で落ち葉を乾かしてから寝床として使うのかな?
あるいは、隙間風を防ぐために詰め込む巣材なのかもしれません。
(それなら穴掘りの得意なアナグマは、土で隙間を埋めるかも?)
意外にも、巣材集めを繰り返すことはなく、この1回だけでした。
翌日から再び大雪が降ったので、落ち葉掻きができる最後のチャンスでした。
まさかアナグマに天気予報の能力があるのか?とまたひとつ謎が増えました。
今季は異常な暖冬です。
雪国に生息するアナグマにとって暖冬や地球温暖化が朗報なのかどうか、観察1年目ではまだ判断できません。
積雪による断熱効果が期待できず、巣穴が地中の浅いところに掘られている場合、放射冷却現象の夜明け前などに巣内も零下までひどく冷え込むのではないかと想像しています。
越冬に入ったアナグマは、冬眠の合間にたまに巣外へ出てきても、動きがとにかく緩慢でぼんやりしていました。
今回は珍しく(久々に)、巣材集めという活発な行動を見れてよかったです。
シーン3:1/23・午後21:02・気温-1℃(@1:11〜)
12分後に再び出巣Rしたアナグマが、巣口Rの左で小刻みに震えています(体温を上げるためのシバリング?)。
さっき巣材集めをしたアナグマと同一個体とは限らないので、注意が必要です。
(個体識別ができていません。)
危なっかしい足取りで、巣口Rの横でマルバゴマギ落葉灌木の根元をうろついています。
右の林内へ向かう途中で林縁に座ったのは、スクワットマーキング(縄張りの匂い付け)かもしれません。
この個体が巣材集めに行ったのかどうか、その後の動向がなぜか動画に記録されていませんでした。
シーン4:1/23・午後22:33・降雪・気温-1℃(@2:11〜)
1時間半後、アナグマが巣口Rの左に戻って来ていました。
細いマルバゴマギ落葉灌木の根元をよじ登ろうとしてスリップし、地面に座り込みました。
また緩慢な動きに戻ってしまいました。
擬人化すると、まるで泥酔しているような、足が痺れているような、覚束ない足取りです。
雪がちらつく中、頻りに振り返って監視カメラの方を気にしています。
今回はあえて早回し加工せずに、アナグマの動きが緩慢な様子をお伝えしました。
シーン5:1/23・午後22:42・降雪・気温0℃(@3:11〜)
10分後、アナグマは営巣地(セット)をゆっくり回り込んでから、巣口Rに戻ってきました。
巣口Rの手前で身震いしてから、ようやく中に潜り込みました。
この個体は左右の瞳の大きさが均等だったので、ここで出産・育児した母親♀(右目<左目)ではないことだけは分かりました。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
越冬中のニホンアナグマは、厳密な意味での冬眠ではなく、トーパー(torpor)と呼ばれる状態になります。
トーパーとは、体温を一時的に環境温度近くにまで下げ、代謝を低下させる状態のことです。
冬眠する動物に比べて体温の低下幅は小さいものの、心拍数も通常の半分程度にまで低下します。(AIのGeminiに教えてもらいました。)
ニホンアナグマは冬眠期間中に体温の周期的な低下と上昇がみられ(異温性)、体温が上昇したときに覚醒して巣外活動するのだそうです。
異温性(heterothermy)とは、恒温動物において部位、もしくは生理状態の違いにより体温が大幅に異なることをいう[1]。(wikipediaより引用)