2024年7月中旬・午後21:30頃・気温21℃
夜の営巣地(セット)でニホンアナグマ(Meles anakuma)の母親♀と当歳仔の幼獣3頭がいつものように、のんびり過ごしています。
巣口Lで穴掘りしようとしている母親♀(右目<左目)の横で、構って欲しい幼獣が邪魔しているようです。
関連記事(10日前の撮影)▶ 巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀を手伝おうとして邪魔している幼獣【トレイルカメラ】
そこへ意外な訪問者が来たのです。
ヘルパー♂と思われる別のアナグマ成獣が右から登場しました。
巣口Lで母親♀と顔を合わせると、気まずそうに(遠慮して?)少し離れました。
この侵入者?(ヘルパー♂)に対して幼獣は怯えることはなく、尻の匂いを嗅いで身元を確認しました。
ヘルパー♂はこの幼獣に対他毛繕いをしてやりました。
以前から顔馴染みの家族であることが分かります。
母親♀が威嚇してヘルパー♂を縄張りから追い払ったか訳でもないのに、ヘルパー♂は早足で獣道を右へ逃げて行きました。
しばらくすると、姿を消したヘルパー♂の後を追うように、母親♀と幼獣1頭が獣道を右へ向かいました。
営巣地に戻ってきた母親♀が巣口L、Rを順に点検し、留守中に異常がなかったかどうか確認しています。
しばらくすると、ヘルパー♂らしき成獣も獣道から戻ってきました。
母親♀よりも体格が大きく見えるのは、監視カメラの遠近法のせいではなく、性的二型でアナグマの♂はやや大柄なのです。
営巣地の広場で♀?が幼獣2頭に対他毛繕いしてから、幼獣を連れて右に立ち去りました。
幼獣1頭がセットに居残っています。
【考察】
6月下旬にアナグマの母親♀が子連れでこの旧営巣地に転入してきました。
しばらくは母子家族だけで暮らしていたのですが、ときどきヘルパー♂と思われる別個体の成獣が営巣地に出没し、匂い付けだけして帰りました。
7月中旬になって、ヘルパー♂がようやく母子家族とセット(営巣地)で合流したようです。
トレイルカメラの映像だけを見て素朴に解釈すると、アナグマは一夫一妻のように見えるかもしれません。
今回、久しぶりに父親♂が母子家族と再会できた、という解釈です。
しかし前提として、ニホンアナグマの♀は特定の♂と一夫一妻のつがい関係を結ばないことが分かっています。
たとえ交尾したとしても♂と♀は別居して暮らし、アナグマの父親♂は子育てに参加しません。
その代わりに、前年仔の中から選ばれた息子♂がヘルパーになり、当歳仔を育てる母親♀を助けることがあるのです。(特に巣穴の拡張作業を担当)
下線部についてはまだニホンアナグマ生態の定説となってはいないのですが、私の観察結果の解釈です。
鳥など他の生き物で見られるヘルパーは子育ての練習も兼ねて娘が務めるのが普通ですけど、この点でアナグマのヘルパーは違って独特なのです。
母親♀とたまに同居するアナグマ♂(おそらく父親ではなく前年仔の息子)の役割がヘルパーの定義に当てはまるかどうか微妙だったので、ヘルパー♂が巣穴の掘削以外にも、幼獣に対して対他毛繕いしてやることが観察できたのは大きな収穫です。
登場するアナグマの個体識別を厳密にできていないのが問題です。
全個体の血液を採取してDNA鑑定をすれば正確な血縁関係も分かるはずですが、素人にはとても無理です。
細かい事情を毎回長々と説明するのが面倒なので、新たに合流した成獣♂を今後は本ブログでヘルパー♂と呼ぶことにします。
「定説に反して、実はニホンアナグマもタヌキのように一夫一妻だった!」という解釈でブログを書くこともできそうですが、私はその解釈を採用しません。
最近行方不明になった(迷子?)幼獣1頭がヘルパー♂と行動を共にしているのかと一縷の望みを託していたのですが、そんなことはありませんでした。
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