2025/03/08

ニホンイノシシの採食後に泥濘の湿地帯と化した山腹の草地【フィールドサイン】

 

2023年7月中旬・午前11:00頃・くもり 

山腹にあるカエルの繁殖池の様子を久しぶりに見に来たら(定点観察)、周囲の様子が変わり果てていました。
緩斜面の草地が盛大に掘り返され、そこに沢の水が流れ込んだり雨水が溜まったりして、泥濘と化していました。 
おそらくニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が採食した痕跡(フィールドサイン)だと思われます。 
地中に石があっても、イノシシは鼻面を使って平気で掘れるようです。 
糞便臭のような悪臭も漂っていたので、おそらく最近できたばかりの痕跡で、イノシシは食事だけでなく排泄もして行ったようです。 

もしかすると、泥浴びをするためのヌタ場をイノシシが自分で開墾したのでしょうか? 
それなら横の池で水浴する方が手っ取り早い気がするのですけど、昔一度だけトレイルカメラでその池を監視したときにはイノシシの水浴シーンは撮れませんでした。 
もしイノシシが同じ場所に夜な夜な通って採食するのであれば、トレイルカメラで監視してみたいものです。 
しかし、この現場はトレイルカメラをきわめて設置しにくく、諦めざるを得ませんでした。 

ひどい泥濘なので、長靴を履かないと、ここを歩いて通過できなくなりました。 
イノシシのせいで里山のきれいな草地が荒らされた!と思いがちですが、新しく出来た湿地帯を好む生きものもいます。 

関連記事(同所で半年後の撮影)▶ 警戒して動かないタシギと根比べ(冬の野鳥) 

歩きにくくて見苦しい地形になったという理由で、地元の人が(良かれと思って)ブルドーザーで整地し直すのではないかと心配です。 


【アフィリエイト】 

黄色い菊花の花蜜を吸うキタキチョウ

 

2023年11月中旬・午後13:50頃・晴れ 

民家の庭の花壇に咲いた黄色の菊(園芸品種)にキタキチョウ♀♂(Eurema mandarina)が訪花していました。 
いつものように、翅をしっかり閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
最後にようやくキタキチョウが少し飛んで、隣の花に移動しました。 

他にはオオハナアブ♀♂(Phytomia zonata)、ナミハナアブ♀♂(Eristalis tenax)、ツマグロキンバエStomorhina obsoleta)、シマハナアブ♀♂(Eristalis cerealis)なども多数、訪花していました。 


2025/03/07

死んだニホンアナグマから乗っ取った巣穴を巡るホンドタヌキ同士の争い【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月下旬 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が死んだニホンアナグマMeles anakuma)から乗っ取った営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:3/25・午前1:50・気温1℃(@0:00〜) 
冒頭から2頭のタヌキが巣口R付近をうろついていました。 
(もしかすると、出巣Rした直後なのかもしれません。) 
左の個体aが、2つの巣口LRの中間地点で落枝の匂いを嗅いでから、自分の首筋を擦り付けました。(@0:16〜) 
何か気に入った匂いを自分の身にまとおうとする、「匂い付け」の行動なのでしょう。 
その様子を見ていた右の♂個体bが正面からゆっくり近づいて、互いに鼻先の匂いを嗅いでから、なぜか相手に襲いかかりました。 
喧嘩の鳴き声(唸り声)♪が聞こえます。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


襲いかかった♂個体bが相手aから離れて奥の林内に入り、ミズキ灌木の根本に排尿マーキングしました。 
このとき左後脚を持ち上げたので、性別が♂と判明。 
(冒頭のシーンで、♂bは侵入者aに気づいて出巣Rした直後だったようです。) 

巣外の騒ぎを聞きつけて、別個体cが巣穴Rから外に飛び出してきました。 
タヌキcがゆっくりaに近づいたものの、今度は喧嘩になりませんでした。 
次にcは♂bの方へ近づいて行きました。 
追い払うかどうか、反応が気になるところですが、1分間の録画が打ち切られてしまいました。 

真暗闇で相手が見えませんから、敵か味方(パートナー)か匂いで確認するしかないようです。 
巣穴を巡る縄張り争いなのか、♀を巡る争いなのか、何か小競り合いが生じているようです。 

aが縄張り内で匂い付けの行動をしたこと自体がbへの挑発行動とみなしたようです。 


シーン2:3/25・午前1:52(@1:00〜) 
右に居る2頭が、巣穴の現在の主である♀♂ペアのようです。 
そのうちの1頭♀cが巣穴Rに入りました。 
もう1頭♂bが巣口Rで身震いしてから、♀cの後に続いて入巣Rするかと思いきや、更に別個体dが右下隅の暗がりから登場しました。(@1:15〜) 
そのタヌキdは、麻痺した下半身を引きずって歩く個体でした。 


タヌキ♂bは、背後の「いざりタヌキd」を気にせずにそのまま入巣Rしました。 
巣口LRの中間地点に残った個体aは、巣口Rに近づくと、落葉したマルバゴマギ灌木の根元に首筋を擦り付けて再び匂い付けをしました。 
前回とは匂い付けした対象物が異なります。 
いざりタヌキdと対面しても、互いに知り合いのようで、タヌキcは無反応でした。 
cdは敵対しないので、血縁関係(別の♀♂つがいまたは兄弟姉妹?)なのでしょう。 

その後、いざりタヌキdが♂b♀cペアに入巣Rを許されたかどうか、非常に気になるのですが、残念ながら続きが録画されていません。 
(拒まれたと予想しています。)


【考察】 
2分間の動画で4頭のタヌキが登場する、目まぐるしい展開になりました。 
♂b♀cつがいが、この巣穴Rの新しい主のようです。 
そこへ余所者aが現れて、トラブルになったようです。 

早春はタヌキの繁殖期ですから、♀を巡る♂同士の争いなのか、それとも巣穴を巡る縄張り争いかもしれません。 
♀c♂bは自分の営巣地のあちこちに排尿マーキングして縄張り宣言をしているはずです。 
余所者タヌキaはそのマーキングの匂いを自分の体に擦りつけてから、巣穴に侵入してちゃっかり住み着く作戦だったのかもしれません。(化学擬態) 
ホンドギツネがホンドタヌキの巣穴を乗っ取る前にも、似たような行動が見られました。(タヌキがマーキングした地面に転げ回って匂い付け) 

余所者タヌキaの意図を♂bが見抜いたからこそ、aが縄張り内で匂い付けの行動をしたこと自体がbへの挑発行動とみなしたようです。 

麻痺した下半身を引きずって歩く(いざり歩く)タヌキdも心配です。 
どうやら顔見知りの家族群の中の1頭が(交通事故で?)半身不随になったようです。 
それとも、巣穴を巡る縄張り争いでタヌキ同士が死闘を繰り広げ、大怪我を負ったのでしょうか? 

この2日後(3/27)の晩からセットの端でニホンアナグマの死骸をタヌキが食べ始めました。 
その中の1頭が、「いざりタヌキ」でした。 



路地裏と線路を横切り、枯れたヨシ原に逃げ込む早春のキジ♂(野鳥)

 

2024年3月中旬・午後15:25頃・くもり 


私が郊外の路地裏を歩いていると、前方の刈田で採食していたらしいキジ♂(Phasianus versicolorが横の浅い用水路の中に隠れました。 
立ち止まって動画を撮り始めた私にキジ♂も気づいたようで、走って逃げ始めました。
細い路地を斜めに駆け足で横断したキジ♂は、更にその先の砕石が敷かれた線路(単線のバラスト軌道)も渡り、枯れたヨシ原に隠れました。 
この間、キジ♂は飛んだり鳴いたりしないで、ひたすら走って逃げました。 
この個体は、線路の両側に広がる田んぼを縄張りとしているようです。 

キジ♂の逃走シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
歩行時のキジ♂はハトのように首を前後に振っていますが、走るときには振らなくなります。 


【アフィリエイト】 

2025/03/06

深夜にケージに入って排泄、食餌するイエネコ(キジトラ♂)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年9月下旬・午前3:10頃 

飼い猫の夜の生活を観察するために、トレイルカメラを室内ケージの前に設置しました。 
買ったばかりのトレイルカメラで野生動物を撮る前に、使い方を室内で練習するという目的もあります。 

イエネコFelis silvestris catus)の種類は、去勢したキジトラ♂です。 
便意を催すと、真っ暗な室内でも自分でケージに入ってトイレの砂箱で用を足します。 
排泄後は、皿に入れておいたドライタイプのキャットフードをもりもり食べています。 
満ち足りると、立ち上がって方向転換し、背伸びのようなストレッチ運動をしてから立ち去りました。 
飼い猫はトレイルカメラの存在に気づいていないのか、まったく無視しています。 


※ 食餌の音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

スギ林の幹で休むシロスジナガハナアブ♂

 

2023年9月上旬・午後12:45頃・くもり 

平地のスギ防風林で、アシナガバチの仲間にベーツ擬態したシロスジナガハナアブ♀(Milesia undulata)が根元付近の幹に止まっていました。 
身繕いをするでもなく、翅を開げたまま、ただ休んでいるだけでした。 
飛び立つシーンも一度見れただけです。 
急に慌てて右後脚を動かしたのは、スギの樹皮を徘徊する微小アリに足先を噛まれて振り落としたのかな?(@0:54〜) 

動画とは別にストロボを焚いて写真を撮ると、左右の複眼が頭頂で接していたので、♂と判明しました。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
昼過ぎなのにスギ林床はかなり薄暗いのです。





2025/03/05

巣口を塞いでいた邪魔な小枝を取り除くホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶ 外出前に巣口を念入りに隠蔽するホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】 


2024年3月下旬 

死んだニホンアナグマMeles anakuma)からホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が乗っ取った営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:3/24・午後21:30・小雪・気温4℃(@0:00〜) 
小雪がちらつく晩に、1頭のタヌキが現れました。 
周囲を警戒してから巣口Rに頭から潜り込みました。 
ところが坑道の途中でつっかえています。 
後ずさりで出てきたタヌキの口には少し太い小枝が咥えられていました。 
そのまま営巣地の右へと小枝を捨てに行きました。 

巣口の障害物を撤去した行動を1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:42〜) 
邪魔な小枝を捨てた後で空荷で戻って来るまで見届けたかったのですが、尻切れトンボで録画が打ち切られました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
タヌキのこんな行動を私は見たことがありませんでした。 
外出の際に落枝で巣口Rを厳重に戸締まりし過ぎたのかもしれません。 
この巣穴を掘ったアナグマよりも、タヌキの方が工夫や知性を感じてしまいました。 

この巣穴の新しい主となったタヌキが採餌から戻ってきたのだろうと私は思ったのですが、もしかすると、家主が留守中に余所者のタヌキが侵入を試みたのかもしれません。
だとすれば、落枝を何本も使って巣口を戸締まり・隠蔽した家主タヌキの作戦が見事に成功したことになります。
出没するタヌキの個体識別がしっかりできていないので、何とも言えません。



線路の砕石の下に餌を隠すハシボソガラス(野鳥)貯食行動

 

2024年3月上旬・午後14:35頃・晴れ 

ローカル線の鉄道(単線)が走るバラスト軌道で1羽のハシボソガラスCorvus corone)が何かしています。 
カラスが線路に置き石の悪戯をしているのかと初めは思ったのですが、今回は濡れ衣でした。(※追記参照) 
よく観察すると、ハシボソガラスがバラストの砂利の隙間に何か餌を詰め込んで隠したようです。 
その上に小石を載せて念入りに隠蔽工作しています。 
最後は線路に沿って右へ飛び去りました。 
動画を撮り始めるのが少し遅れてしまったのが残念です。 


※【追記】 
この問題について、Perplexity AIに解説してもらいました。(32件の引用リンクは割愛)
カラスによる線路への置き石は、列車の安全運行に重大な脅威をもたらす問題です。この行為は以下の点で危険性が高いと考えられます: 
1. 脱線事故のリスク: 
置き石は列車の脱線を引き起こす可能性があります[1][4]。2020年5月に千葉県鴨川市でJR外房線が脱線した事故では、線路に置かれた石を列車が踏んだ跡が複数見つかりました[2][3]。 
2. 重大な法的罰則: 
人間が行った場合、置き石は重罪とされ、2年以上13年以下の懲役刑が科される可能性があります[1]。 
3. 運行障害: 
脱線に至らなくても、列車の運行に支障をきたし、遅延や運休を引き起こす可能性があります。 
4. 安全性への不安: 
繰り返し発生することで、乗客や鉄道会社に不安を与え、鉄道の信頼性を損なう恐れがあります。 
カラスによる置き石の動機については、以下のような推測がされています: 
- 石が轢かれて砕ける音を楽しんでいる 
- 光沢のある石を運んでいる途中で置き忘れた 
- 遊びの一環として石を落としている 
- 餌を隠す際に石を動かしている[1][5] 
実際の脱線事故については、2020年の千葉県での事例が報告されていますが、カラスが直接の原因であると断定されてはいません[2][3]。しかし、置き石がその置かれ方と量によっては列車脱線事故につながる可能性があるため、鉄道事業者は警察や地域と協力して対策を講じる必要があります[4]。 対策として、カラスの動きを察知するセンサーの導入や、カラスの警戒音を利用した忌避システムやカラスが忌避する塗料(バードコレンジャー)などが試みられています[1]。また、カラスの行動の根本的な原因(例:エサやり)を取り除くことで問題が解決した事例もあります[5]。 カラスの置き石問題は、列車の安全運行を脅かす深刻な問題であり、継続的な監視と効果的な対策が求められています。

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2025/03/04

クリの落果を手に持ちながら直立二足歩行する若いニホンザル

 



2023年10月上旬・午後12:50・晴れ 

山麓の路上に散乱したクリ(栗)の落果を拾い食いしているニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを撮影していると、直立二足歩行を目撃しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:14〜) 

奥から来た若い個体が両手にクリを拾ったまま後足で立ち上がり、ヒョコヒョコと2〜3mほど二足歩行したのです。 
もしかすると左手を捻挫かなにか怪我していて、痛いから着地しないようにかばいながら3本足で歩いている状態から立ち上がったのかと初めは思いました。 
しかし、そうではなく、「両手に花」ならぬ「両手に栗」の状態だったのでしょう。 
ニホンザルは普通、食べきれない餌を頬袋に詰めて運びますが、今回は両手も食べ物を握っていて歩きにくかったので、直立二足歩行に切り替えたようです。 

「野生のニホンザルが直立二足歩行するのは、どういう時か? 例えば、警戒時に視線を高くして遠くの仲間や天敵の様子を伺うとき、などが考えられる。他にはどんな場合に立ち上がって歩くのか?」とPerplexity AIに質問してみると、以下の回答を得ました。
 (32個の出典URLリンクは割愛)
野生のニホンザルが直立二足歩行をする状況は限られており、通常は四足歩行を主な移動手段としています。しかし、特定の状況下では直立二足歩行を行うことがあります。 
## 直立二足歩行の状況 
**1. 警戒時の視界確保** 
ご指摘の通り、警戒時に視線を高くして遠くの仲間や天敵の様子を伺う際に直立二足歩行をすることがあります。これは、より広い視野を確保し、潜在的な危険を素早く察知するためです。 
**2. 水辺での移動** 
浅い水域を渡る際に、直立二足歩行をすることがあります。これは体の大部分を水面上に保ち、毛皮が濡れるのを最小限に抑えるためです。 
**3. 食物の運搬** 
両手に食物を持って短距離を移動する際に、直立二足歩行をすることがあります。これにより、手を自由に使って食物を運びながら移動できます。 
**4. 威嚇行動** 
群れの中での順位争いや、他の動物との対峙時に、一時的に直立姿勢をとることがあります。これは自身をより大きく見せ、相手を威嚇するためです。 
**5. 好奇心からの探索** 
新しい環境や物体に遭遇した際、より詳しく観察するために一時的に立ち上がることがあります。これは、周囲の状況をより良く把握するためです。 
**6. 人間の影響** 
人間との接触が多い地域では、餌付けなどの影響で、短時間の直立二足歩行を学習することがあります。しかし、これは自然な行動ではありません[1][3]。 
## 二足歩行の限界 
ニホンザルの身体構造は、本質的に二足歩行に適していません。彼らの解剖学的特徴は、四足歩行と木登りに適応しています[1][3]。そのため、直立二足歩行は一時的なものであり、長距離や長時間の移動には使用されません。 研究によると、ニホンザルは訓練によって二足歩行の能力を向上させることができますが、これは自然な行動ではありません[3]。野生のニホンザルにとって、直立二足歩行は特定の状況下での一時的な行動であり、主要な移動手段ではないのです。


この中で、今回のニホンザル個体は「3. 食物の運搬」 のために直立二足歩行したと考えられます。

ヒトの祖先が直立二足歩行を始めた進化の過程にどうしても思いを馳せてしまいますが、ニホンザルは類人猿でもヒトの祖先でもないので、単純な比較は出来ません。

狩猟採集を始めた原始人が食料をたくさん持ち帰るために手に持って立ち上がり二足歩行を始めた、というシナリオは正しくありません。

猿人(アウストラロピテクス)が二足歩行を始めたのが先で、その後で原人(ホモ・エレクトス)が石器や火を使い始め、狩猟採集の生活をするようになったというのが現在の定説です。



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直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足 (文春e-book)

親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る (中公新書)

秋にセイヨウタンポポの花蜜を吸う秋型のキタテハ

 

2023年10月下旬・午前10:40頃・晴れ 

稲刈りの済んだ刈田の農道にまばらに咲いたセイヨウタンポポで秋型のキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
普通種同士のありふれた組み合わせですが、秋に撮ったのは初めてです。 



半開きの翅を忙しなく開閉しながら、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
真上から背側を見下ろす撮影アングルのために翅裏が見えず、性別を見分けられませでした。 

この頭花は花蜜の量がよほど多いようで、なかなか次の花に飛び立ってくれません。 
急ぐ用事のあった私が痺れを切らして近づくと、ようやくキタテハは飛んで逃げました。 

キタテハが吸蜜していたタンポポの頭花をめくって萼の総苞片が反り返っていることを確認し、帰化植物のセイヨウタンポポと判明。

2025/03/03

外出前に巣口を念入りに隠蔽するホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月下旬 

平地の二次林で死亡したニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に住み着いた(乗っ取った)ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の動向を自動撮影カメラで監視しています。 


シーン1:3/24・午後18:23・気温9℃(@0:00〜)日の入り時刻は午後17:58 
小雪がちらつく晩に、巣口L付近でタヌキの♀♂ペアがうろついていました。 
巣口Lの匂いを嗅いだだけで、2頭は相次いで巣穴Rに入りました。 タヌキが巣穴Lに入るのを一度も見たことがありません。 
巣穴Lは住心地が悪くて使われていないようです。 

巣穴Rを内見すると、また外に出てきました。 
タヌキの♀♂ペアは興奮したように(嬉しそうに?)、巣穴Rへの出入りを繰り返しています。 


シーン2:3/24・午後18:27(@0:38〜) 
タヌキの♀♂カップルは、相変わらず巣穴Rへの出入りを繰り返し、はしゃいでいます。 
やがて♀が出巣Rした後、身震いしてから林内へ入り、右へ立ち去りました。 
夜行性のタヌキは、これから♀♂ペアで一緒に採餌に出かけるのでしょう。 

外出する前に、後続の♂が興味深い行動をとりました。 
巣口Rを隠蔽するように周囲から落枝を咥えて集め、巣口Rに置いたのです。 
太い落枝と細い落枝を2本使って、外出前に巣口を隠蔽工作しました。 
しっかり戸締まりをして、留守中に外敵が侵入しにくくしているのでしょう。 
タヌキの知性を感じさせるこんな行動を見るのは初めてです。 

後続個体は更に、営巣地の端でミズキ灌木の根本に排尿して縄張り宣言しました。 
このとき左後足を軽く持ち上げたので、後続個体の性別が♂と判明しました。 
それでも戸締まりが不安になったようで、巣口Rに戻って複数の落枝をさらに組み上げました。 

その間に先行個体♀も画面の右下隅で小便でマーキングしたようですが、排尿姿勢がよく分かりませんでした。(@1:27〜) 
しかもその後、せっかく♂が戸締まりしたばかりの巣穴Rに、戻ってきた♀が潜り込んでしまいました。 


シーン3:3/24・午後18:28(@0:00〜) 
♀はすぐにまた巣穴Rの外に出てきて、いよいよ本当に右へ立ち去りました。 
後続の♂は再び巣口Rを落枝で念入りに隠蔽(戸締まり)してから、先行する♀の後を追って右下へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
タヌキはキツネやアナグマと違って、自分で巣穴を掘れませんから、巣穴はとても貴重な守るべき資源(不動産)です。
繁殖期が近づくと穴居性の野生動物の間で巣穴の熾烈な争奪戦があることを、今回の戸締まり行動は伺わせます。

留守中に巣穴が誰かに奪われるのが嫌なら、♀♂ペアが同時に外出しないで1頭ずつかわりばんこに外出すれば良いと思うのですが、タヌキはそうした解決法(留守番で巣穴を防衛)を取りません。
タヌキは生きた獲物を狩る訳ではないのに、どうして♀♂ペアが一緒に採餌したがるのか、そのメリットが私にはいまいち理解できません。
もしかすると、留守番要員として血縁関係のあるヘルパーが採用されるのかな?




早春のハクモクレン樹上にメジロのペアとコガタスズメバチの古巣(野鳥)

 



2024年2月中旬・午後15:30頃・晴れ 

民家の庭木のハクモクレンの樹上で見つけた コガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を定点観察に来ました。 
見上げて撮影を始めたら、メジロZosterops japonicus)の♀♂ペアが近くの横枝に止まっていることに気づきました。 
小声で鳴き交わしながら♪枝から枝へピョンピョン飛び移り、最後は相次いで飛び去りました。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


前回もここでメジロを見かけた(単独個体)ので、もしかすると、半壊した(くり抜かれた)コガタスズメバチの古巣をメジロ♀♂が樹洞のように夜のねぐらとして使っているのかもしれない、という仮説を思いつきました。 
スズメバチの古巣を再利用してスズメなどの鳥が営巣する事例があったそうです。 

関連ニュース記事(2013年・朝日新聞)▶ スズメバチの巣、スズメが再利用 宮城・南三陸 



その仮説を検証するために暗視カメラで夜に撮影したかったのですが、冬の寒い夜に出かける根性がなくてグズグズと先延ばしにしていたら、機会を逸してしまいました。 
その後も(昼間に)ときどき定点観察を続けていたら、3月下旬にはコガタスズメバチの古巣が撤去されてしまいました。 


【アフィリエイト】 

2025/03/02

早春のスギ防風林で林床をうろつく野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/19・午後14:14・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で風倒木が何本も放置されていて、その「根返りスギ」の根元に掘られた野生動物の巣穴bをトレイルカメラで見張っています。 
早春の林床にまだ残雪があります。 

この時期に野ネズミ(ノネズミ)が活動するシーンをまとめました。 


シーン1:3/20・午後22:37(@0:04〜) 
晩遅くに野ネズミがスギ倒木の上に乗って左を見ていました。 
警戒が解けると、倒木上を右往左往してから、水平倒木の下をくぐって奥へ立ち去りました。 
巣穴bには興味を示さず、出入りすることもありませんでした。 


シーン2:3/19・午後14:06・晴れ(@0:33〜) 
根こそぎ倒れたスギの巻き添えを食って倒れた落葉性の灌木が毎年冬の積雪によって捻じ曲げられながらも、たくましく育ちました。 
その根元に掘られている巣穴aも別のトレイルカメラで監視しています。 
先ほどの巣穴bと、この「根曲がり巣穴a」は2〜3mぐらいしか離れておらず、内部でつながっているのかもしれません。 
地面はうっすらと残雪に覆われています。 


シーン3:3/20・午前2:57(@0:36〜) 
深夜に野ネズミが林床をウロチョロして餌を探しているようです。 


シーン4:3/24・午後19:07(@1:15〜) 
4日後の晩にも野ネズミが林床をうろついています。 
根曲がり巣穴aから外に出てきた直後という可能性もありそうです。


シーン5:3/24・午後19:52(@1:29〜) 
根曲がり巣穴aに入った野ネズミがちらっと写っていました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 


シーン6:3/24・午後23:09(@1:38〜) 
左から野ネズミが登場したものの、根曲がり巣穴aには興味がなさそうです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

雪国の路上で除雪作業をするロータリー除雪車とブルドーザー【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年2月下旬・午後15:55頃・小雪 

郊外の住宅地で、大型車が車道の除雪作業をしていました。 
ブルドーザーとロータリー除雪車の2台が連携・分業しています。 

ロータリー除雪車が路上の雪を飛ばした結果、道端の空き地に巨大な雪山(灰色に汚れた雪)が形成されています。 
隣の民家の2階に届くぐらいの高さまで排雪が積み上げられました。 
この雪山は、近所の子どもたちにとって、格好の遊び場になります。 
(大人からは危ないから雪山に近づくなと怒られるのですが。) 

近くで待機していたブルドーザーが、路上に残った雪を路肩に押し付けるようにどかし始めました。 
ブルドーザーの作業が終わり、ロータリー除雪車が再び戻ってくると、路肩の雪壁を削って左の空き地に飛ばし始めました。 
どうやら積雪で狭くなっていた車道の道幅を広げているようです。 
雪を飛ばす向きや角度を運転者が調節しています。 

ロータリー除雪車が路上に積もった雪を勢い良く飛ばす様子を、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:19〜) 
泥で汚れた重い雪が放物線を描いて遠くに飛んでいきます。 
せっかくスーパースローで見応えのあるテーマだったのに、すぐに終わってしまいました。

雪国の田舎には申し訳程度に整備された小さな公園(空き地)があちこちにあります。
「税金を使ってこんな公園もどきに何の意味があるの?」と疑問に思うのですが、大雪が積もる冬になるとその役割が分かります。
各地域の雪を捨てる空き地を用意しておかないと、トラックでいちいち運び出さないといけなくなるのです。 
他には、融雪溝と呼ばれる水路を街中に張り巡らせて、除雪した排雪を少量ずつ川へ流してしまう方法もあります。 
今季は異常な暖冬のために積雪量が少なくて、除雪作業の頻度や経費も低くて済みました。


【アフィリエイト】 

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