2025/02/15

早春に雪解けした休耕地で巣穴に出入りする疥癬ホンドギツネ細尾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:08・晴れ・気温27℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
残雪に覆われた休耕地で、疥癬ホンドギツネVulpes vulpes japonica)がホンドタヌキNyctereutes viverrinus)から乗っ取った巣穴Rを自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:3/14・午後12:12・くもり・気温13℃(@0:04〜) 
昼過ぎに、疥癬の症状で尻尾が脱毛しつつあるキツネ「細尾」が写りました。 
右の雪原から来たのか、それとも巣穴Rから出てきたばかりなのか、判断できません。 
手前に回り込むと慎重に巣口Mfの匂いを嗅ぎ、中に潜り込みました。 
この巣穴MfにはこれまでホンドタヌキとニホンアナグマMeles anakuma)が出入りしていて、疥癬キツネ「細尾」が入ったのは初めてです。 
この営巣地は複数の巣口が内部でつながっているような気がするのですけど、確かめる方法が思いつきません。 
強風が吹き、監視カメラを固定した灌木が大きく揺れています。 


シーン2:3/14・午後18:35・気温5℃(@0:20〜)日の入り時刻は午後17:48。 
6時間20分後、すっかり日が暮れた晩に、疥癬キツネ「細尾」が巣穴Mfから外に出てきたようです。 
途中で2回身震いしてから雪原を右へ向かい、餌を探しに行きました。 
うっすらと積もった新雪にキツネの足跡が残ります。 


シーン3:3/19・午後13:16・晴れ・気温26℃(@0:32〜) 
5日後の昼間、監視カメラが誤作動した映像です。 
休耕地の雪解けが、手前から奥に向かって進行中です。 


シーン4:3/20・午前1:51・気温-1℃(@0:37〜) 
なんと6日ぶりに疥癬キツネ「細尾」が現れました。 
深夜に左から来て、巣口LおよびMfの匂いを嗅ぎ回っています。 
巣口Rには立ち寄らず、右へ立ち去りました。

この動画を初めて見た私は「巣口Mfの手前で排尿マーキング?」とメモを残しているのですが、今見返すと、ただ素通りしただけに見えます。 


シーン5:3/20・午後20:42・気温0℃(@1:05〜) 
18時間50分後の晩遅くに、疥癬キツネ「細尾」が左から戻ってきました。 
枯野を横切ると巣口Rの手前で地面の匂いを嗅ぎ、右へ立ち去りました。 


シーン6:3/22・午後19:31・気温0℃(@1:27〜) 
2日後の晩に左手前から来た疥癬キツネ「細尾」が躊躇うことなく巣穴Rに入りました。 


シーン7:3/22・午後21:23・気温-2℃(@1:42〜) 
1時間50分後、疥癬キツネ「細尾」が左から来て巣口Lの匂いを嗅いでいました。 
監視カメラの起動が遅れて、出巣Rする瞬間を撮り損ねたのか、それとも疥癬キツネ「細尾」は実は複数いるのかもしれません。
(辻褄が合わず、まるで狐につままれた気分です。) 
巣口MおよびRの匂いも順に嗅いでから、奥の農道に向かって立ち去りました。 


シーン8:3/22・午後22:05・気温-2℃(@2:07〜) 
40分後、疥癬キツネ「細尾」が軽快な足取りで枯野を左下隅に走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
巣穴Rから外に出てきた直後のようにも見えますが、それだとシーン7との辻褄が合いません。

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
積雪期には雪面がレフ板になってトレイルカメラの赤外線が遠くまで届き、暗視映像がきれいに撮れていました。 
ところが早春に残雪が溶けて地面が露出すると、赤外線が遠くまで届かなくなった結果、非常に暗い暗視動画しか撮れなくなり、もどかしいです。 

疥癬キツネ「細尾」として個体識別していたつもりだったのですが、脱毛の進行度合いが異なる複数個体のホンドギツネが出没している可能性が出てきました。 
もっときっちりキツネを個体識別できるようにならないといけません。 


疥癬キツネ「細尾」がこの営巣地で子育てを始めるのではないかと期待していたのに、残雪が溶けると留守がちになりました。
他にもっと良い営巣地を見つけたのかな?
最近では、たまに休む場所として使っているだけのようです。




早春の畑で掘り出した餌をタマネギの苗を植えたマルチシートの穴に埋め戻して隠すハシボソガラス(冬の野鳥)貯食行動

 

2024年3月中旬・午前11:35頃・晴れ 

窓から外を眺めていたらハシボソガラスCorvus corone)が飛来し、庭木の桜(開花前のソメイヨシノ)の枝に止まりました。 
落葉した小枝を採取して巣材を集めるかと期待して隠し撮りを始めたら、カラスは樹上では何もしないで奥の畑に滑空して飛び降りました。 
(映像はここから。) 

畑の端でハシボソガラスは何か餌を地中から掘り出して食べているようです。 
メニューは不明ですが、ポロポロと崩れやすい餌でした。 
全部は食べずに残りの小さな塊を咥えると、とことこ歩いて持ち去りました。 
野菜の苗を植えた畑に黒いフィルム状のマルチシートが敷かれていて、その上をカラスがずかずかと歩きます。 
苗は葉がひょろっと細長く、おそらく秋に植えたタマネギではないかと思います。  
その奥には葉野菜と残雪が少し見えました。 

苗を植えるために黒いマルチフィルムに開けた丸い穴の中に、カラスは持ってきた餌を埋めて隠しました!  
貯食行動の後は、黒いビニールシートの表面で嘴の土汚れを拭いました。 
一連の行動をまとめると、どうやらハシボソガラスは過去に隠した貯食物を掘り出して一部を食べ、残りを再び別な場所に埋め戻したようです。
隠した餌を誰かに盗まれないように対策しているのでしょう。

そのままトコトコ歩いて、餌を掘り出した初めの地点まで戻って来ました。 
畑の同じ場所にもっと餌が埋めて隠してあるのかと期待したのですが、どうやらハシボソガラスは私が覗いていることに気づいたようです。 
最後は物陰に隠れてしまい、そこから飛び去りました。 


小宮輝之(監修)『鳥の食べもの&とり方・食べ方図鑑:おもしろふしぎ鳥類学の世界』によると、
 貯食をする鳥は、人間の想像をはるかに超えて、どこになにがあるかという認知地図が発達しているといわれています。その証明のように、ときどき貯食したものを掘り返したりして移動し、かくしなおしているという目撃例も多いカラス。その貯食は山の鳥たちとくらべると内容がバリエーションに富んでいることも特徴です。これは、もともと山にすむ鳥で貯食の習性があったハシブトガラスなどが都市部で食生活の幅を広げたことで、かくすものの種類が増えていったのかもしれません。 (p106より引用)

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2025/02/14

早春にホンドタヌキ♀♂がパートナーの発情状態を調べ、ニホンアナグマの冬眠巣穴を何度も内見【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が一緒に登場したシーンをまとめてみました。 


シーン1:3/17・午前4:46・気温-3℃(@0:00〜) 
未明に右から来たタヌキが途中で通りすがりにアナグマの巣口Lの匂いを嗅ぎました。 
やがて後続個体も右から登場し、巣口Lを跳び超えて左へ向かいました。 


シーン2:3/21・午後18:54・気温-2℃(@0:36〜) 
寒の戻りで少し雪が降ったようで、林床にうっすらと雪が積もっています。 
晩にタヌキがセットを左へ通り過ぎました。 
右下から登場した後続個体は、アナグマの巣口R、Lを順に覗き込み、点検して回ります。 


シーン3:3/24・午前4:52・霧(@1:25〜) 
3日後の夜霧が立ち込める未明に、2頭のタヌキが登場。 
1頭は奥の林内へ入り、もう1頭はアナグマの営巣地をうろついて巣口Rを点検。 


シーン4:3/24・午前4:54・霧(@2:25〜) 
手前の獣道を右往左往していた個体aがセットに戻ってきたら、いつの間にか巣穴Rに潜り込んでいた別個体bが外に出てきて出迎えました。 
アナグマが巣内Rで冬眠しているはずなので、「同じ穴のむじな」の状況になっていたことになります。 

タヌキbは巣口Rで身震い。 
タヌキのペアはばらばらに右へ立ち去りました。 


シーン5:3/24・午前5:24・気温0℃(@3:26〜) 
30分後、1頭のタヌキが右に立ち去り、しばらくするともう1頭が出巣Rしました。 
辺りを警戒しながら奥の灌木林へ向かいます。 

明け方に夜霧から雪に変わったようで、林床はっすらと雪化粧していました。 


シーン6:3/24・午前5:24・気温2℃(@4:00〜)日の出時刻は午前5:34。 
日の出前ですが、もう明るくなっていました。 
♀♂ペアと思われる2頭のタヌキが奥の二次林から手前のセットに来て、1頭が迷わず巣穴Rに潜り込みました。 
内見しただけで、しばらくすると外に出てきました(出巣R)。 
尻尾に黒班が無い個体です。 
セットをうろついている間に、もう1匹は二次林に残ったまま待っています。 


シーン7:3/24・午前5:33・気温3℃(@5:00〜) 
20秒後(日の出直前)に監視カメラが再び起動すると、1匹のタヌキは二次林で伏せたまま不動でした。 
もう1匹も奥の林内へ向かう途中で、林縁のミズキ灌木の根元に排尿マーキングしました。(@ 〜) 
このとき右後脚を持ち上げたので、♂と判明。 
♀だと思っていたパートナーは、なぜか♂について行かず、林内に座ったまま見送るだけでした。 


シーン8:3/24・午前6:48・気温0℃(@6:00〜) 
すっかり明るくなった早朝に、2頭のタヌキがアナグマの巣口R周辺をうろついていました。 
一方のタヌキがパートナーに寄り添って、尻(肛門?)の匂いを念入りに嗅ぎました。 (@6:05〜)
おそらく♂が♀の発情状態を確認しているのでしょう。 
♀は嫌がらずに尻尾を少し上げました。
♂が♀の尻の辺りを舐めて毛繕いしているようにも見えます。(対他毛繕い) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
ニホンアナグマが冬眠していた営巣地(セット)にホンドタヌキが♀♂ペアで現れる頻度がなぜか急に上がりました。
巣穴Rを何度か内見しているようです。 
もしかして、空き巣なのでしょうか?

タヌキ♀の発情状態を、付き添う♂がチェックしています。
(先にお伝えしておくと、今季各所に設置したトレイルカメラにホンドタヌキ♀♂の交尾シーンは写っていませんでした。)
タヌキ♀の出産に備えて、アナグマの巣穴を乗っ取るつもりなのでしょうか。 

監視カメラには写っていませんが、実はこの時、巣穴の主であるアナグマの身に極めて重大な事件(死亡・殺害?)が起きていた可能性があります。 
(あー、次の急展開を早く言いたい…。)


網にかかったトンボを捕食中のジョロウグモ♀と交接しようと何度も試みる臆病な♂(蜘蛛)

 

2023年9月下旬・午後12:10頃・晴れ 

里山の急斜面をつづら折れで登る山道の曲がり角(ヘアピンカーブ)で、ジョロウグモ♀♂(Nephila clavata)が同居する馬蹄形円網を見つけました。 
小型の♂は2匹います。 
♀は網に掛かったトンボ(種名不詳)を捕食中でした(獲物を噛んで体外消化)。 

♀の食事中に1匹の♂が網の上から(逆さまにぶら下がった♀の下から)忍び寄って♀の体に触れるものの、交接できずに慌てて逃げてしまいます。 
特に1回目の求愛が最も惜しくて、♂αが膨らんだ触肢を♀の外雌器になかなか挿入できずにもたついている間に、もう1匹の♂βが接近しました。 
♂αはライバル♂βを追い払うのかと思いきや、なぜか諦めて♀の元から立ち去りました。 
♂βに交接権を譲った訳ではなく、♂βも元の位置に戻りました。 
「色気より食い気」の♀は網上でほとんど静止しており、素人目には♀が嫌がって交尾(交接)拒否したようには見えません。 

同一個体の♂αが何度も♀に挑みますが、非常に慎重というか臆病で、なかなか交接してくれません。 
♂は必ず、網で下向きに占座した♀の後方から近づき、♂が逃げるときも必ず上に退散します。 
♂αは♀に共食いされるのをひどく恐れているようです。 
関連記事(15年前の撮影)▶ ジョロウグモの交接と性的共食い 
にもかかわらず、♂が♀に近づく前に網の糸を弾くなど、♀の攻撃性を宥める儀式的な求愛行動は何も見られませんでした。 

クモの種類によっては、♀と交尾(交接)できた♂は自分の触肢を自切して外雌器に残し、♀が次のライバル♂と交接(浮気)できないように物理的にブロックしてしまう者がいます。 
しかし、私が慎重に回り込んでこのジョロウグモ♀の外雌器にズームインしてみても、そのような貞操帯を付けてはいませんでした。 

同じ円網で2匹の成体♂が同居しているのに、交接相手の♀を巡る闘争にならないのが不思議でした。 
この2匹の♂の間では既に順位付けができていて、劣位の♂はライバル♂αが♀に共食いされるまで交接の順番を待っているのでしょう。 
♂αが♀と交尾できそうになったら邪魔して♀を挑発して共食いするようにしむける作戦なのかな?
もしも♂同士が激しく争う動物種なら、♂の方が♀よりも体格が大きくなるという、ジョロウグモとは逆の性的二型になるはずです。
非力なジョロウグモ♂は直接戦わなくても、ライバル♂を♀に早く殺してもらうように交尾を邪魔したり♀を苛立たせたりする作戦を進化させても不思議ではありません。
劣位の♂をよく見ると、触肢が未だあまり発達していないので、少し若いのかもしれません。 
平凡社『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』によると、
ジョロウグモの♀の網には複数の♂がいることが多い。網をはさんで♀と向き合う位置にいる♂がふつういちばん大きく、交尾の優先権をもっている。網の周辺部にいる♂はまったく交尾できないわけではないが、確率は低い。(p18より引用)


関連記事(8年前の撮影)▶  


トンボの他には、1匹のオオハナアブPhytomia zonata)がジョロウグモ♀の円網に掛かって、弱々しく暴れていました(虫の息状態?)。 
多数の真っ黒い食べ滓が網上に残されたままになっています。 
ジョロウグモ♀の網にイソウロウグモの仲間を今回も見つけられませんでした。 

三脚を持参していれば、ジョロウグモ♀♂が交接に成功するまでじっくり長撮り・監視できたのですが、残念です。 
この日の山行でジョロウグモ♀の網を次々に見て回ると、♂が♀の網に同居している例はいくつも見つけたのですが、交接中の♀♂ペアは見つけられませんでした。 


小田英智、難波由城雄『網をはるクモ観察事典 (自然の観察事典 21)』によれば、
ジョロウグモの♂の80%近くが、♀の脱皮の時に、結婚のための交接を行います。のこりの20%は、♀がえさをたべて油断しているときをねらって交接します。こうしたときをえらぶのは、不用意に♀に近づくと、♂だって捕らえられ、たべられてしまうからです。そのために♂はしばらく巣にとどまり交接後ガードを行う。(p22より引用)
ジョロウグモの♂は一生に一回しか交接しません。でも♀は、ほかの♂と、2回目の交接を行うことがあります。(p23より引用)


ところで、この動画を撮影中に周囲の茂みでひっそり鳴いていた虫(直翅目)が気になります。 
コオロギの仲間だと思うのですが、名前が分かりません。 
どなたか教えてもらえると助かります。 


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2025/02/13

早春にニホンアナグマの冬眠用営巣地に来たホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬

シーン0:3/11・午後13:46・気温29℃(@0:00〜) 
シーン0:3/15・午後16:19・気温16℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)をトレイルカメラで監視しています。 
林床の雪解けが進み、地面があちこちで露出しています。 


シーン1:3/15・午後19:08・気温11℃(@0:00〜) 
小雪が風に舞う晩に、右上奥の暗い獣道からホンドテンMartes melampus melampus)がやって来ました。 
アナグマの営巣地にはなぜか近づかず、急に身を翻して奥の林内へ走り去りました。 
短い登場シーンを1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:18〜) 
ニホンイタチならもっと尻尾が短いはずなので、テンだと判断しました。 

獲物となる野ネズミを探し歩いているのでしょう。(探餌徘徊)
実はこの後、同じ監視カメラに野ネズミの活動が何度も記録されていました。(映像公開予定) 


シーン1:3/24・午後23:44・気温0℃(@0:42〜) 
9日後の深夜にもテンが写っていました。 
監視カメラの起動が遅れ、どこから来たのか不明です。 
林縁をうろついてから方向転換して、アナグマの巣口Lの横を通って左下の獣道へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

早春にトウホクサンショウウオの繁殖池をタイムラプス動画で監視してみると…#1:ニホンザルの登場

 

2024年3月上旬〜下旬

山中の湧き水が溜まる浅い池で毎年早春にトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)が繁殖していることが分かっています。

産卵行動を観察・撮影するのが今季の目標です。 
3月上旬に現場入りしてみると、暖冬のためか池は雪に埋もれていませんでした。 
この日は未だヤマアカガエルやトウホクサンショウウオの卵嚢は1つも見つかりませんでした。 
親の姿もまったく見当たりません。 
繁殖期はまだ始まっていないようです。 
(ちなみに、標高の低い山麓の池ではヤマアカガエルの産卵が始まっていました。) 
前年は水中に半分沈んだアカマツの落枝にトウホクサンショウウオの卵嚢が産み付けられていたので、今年は産卵基質として常緑の葉の付いたスギの落枝を池に投入してみました。 
(私のこの行為が、余計なお世話だったかもしれません。)

両生類は変温動物ですから、いくら活発に動き回っても通常のトレイルカメラでは検知できません。 
仕方がないので、次善の策としてタイムラプス専用カメラを設置して繁殖池を監視することにしました。 
明るい昼間のみ1分間隔でインターバル撮影した連続写真をタイムラプス動画に加工しました。 
(トウホクサンショウウオ♀は夜に産卵するのかもしれませんが、この機種では夜間の暗視撮影はできません。)
まる2週間のインターバル撮影で計4.7 GiBのAVIファイルが生成されました。
トレイルカメラの動画撮影と比べると、電池の消費は驚くほど少なくて済みました。

野生動物で唯一写っていたのは、 3/8の夕方(PM 17:10〜17:11)に登場した1頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)だけでした。 
他の季節にこの水場でニホンザルが飲水するシーンがときどきトレイルカメラで撮れていたので、今回も群れで遊動する途中に水を飲んだり水浴するために立ち寄ったのでしょうか? 
雪解け水の冷たい泉にわざわざ入ってジャブジャブ横断したということは、何か餌を探していたのかもしれません。 
早春は樹々が芽吹くまでニホンザルの餌がきわめて乏しい季節ですから、空腹の猿がカエルやサンショウウオの成体や卵嚢を探して捕食する可能性も十分あり得ます。 
しかし、ニホンザルが監視カメラに写ったのは、2週間でこの一度きりでした。 
もし捕食に成功していたら、味をしめて何度も同じ池に通っていたはずです。 
あるいは、カエルやサンショウウオの成体または卵嚢を味見したのに、ニホンザルの口に合わなかった(不味かった)のかもしれません。
ニホンザルの糞を分析して、両生類のDNAが検出できれば捕食した有力な証拠となるでしょう。 

タイムラプス動画を見ると、低山でもときどき寒の戻りで雪が降っていました。 
早春の積雪量は少なく、すぐに溶けてしまいます。 
カメラのレンズに雪が付着しても、晴れると溶け落ちてすぐに視界は良好に戻ります。 
晴れると池の周囲の雑木林の影がまるで日時計のように刻々と移動しています。 

画面の下端に写っている、池畔に自生するスギ幼木の枯れた横枝が邪魔なのですが、上下に日周運動していることが分かりました。 
昼間に晴れると枝が立ち上がり、曇りや雨雪など悪天候になると垂れ下がります。 
つまり死んだ枯れ枝ではなく、生きているようです。 

水中に浸ったスギの落枝はいつまで経っても葉が緑色のままで、茶色に枯れることはありませんでした。 
いくら目を凝らして動画を見直しても、水中のスギ落枝にサンショウウオやカエルが集まって産卵する様子は写っていませんでした。 
たまに岸辺近くの水中で両生類?がウロチョロしていたかもしれませんが、タイムラプスの早回し映像ではあまりにも早すぎてよく分かりません。 

後に現場入りすると、監視カメラの画角の外の、対岸の水面に浮いていたスギの落ち葉にトウホクサンショウウオの卵鞘が少しだけ産み付けられていました。
スギの生葉から水に溶け出したエキスをトウホクサンショウウオが嫌って寄り付かなくなってしまった可能性なども懸念してしまいます。
完全に枯れたスギ枝葉を池に投入すべきだったかもしれません。 

期待外れの結果で残念でしたが、もう少し続行します。




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2025/02/12

ホンドギツネに乗っ取られた巣穴の入口にマーキングだけして立ち去るホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬 

シーン0:3/11・午後13:08・晴れ・気温27℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
残雪に覆われた休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
残雪が溶けて地面があちこちで露出するようになりました。 


シーン1:3/15・午後18:27・降雪・気温18℃(@0:04〜)日の入り時刻は午後17:49。 
小雪が風に舞う晩に、雪が溶けた枯野を♀♂ペアと思われる2頭が縦列で左から登場しました。 

巣口L、M、Rを左から順に訪れて、匂いを嗅いでいます。 
最近ホンドギツネが出入りしている巣口Rで1頭のタヌキ(♀?)が縄張り宣言の排尿マーキングをした(「タヌキ参上!」)ような気がするのですが、どうでしょう。(@0:30〜) 
遠くて赤外線があまり届かず、しっかり見えませんでした。
巣内に入ることはなく、タヌキの♀♂ペアはそのまま右上奥に立ち去りました。 


シーン2:3/19・午後13:16・晴れ・気温26℃(@0:45〜) 
昼間に晴れると、営巣地の残雪がどんどん消え去ります。 


シーン3:3/24・午前3:37・気温0℃(@0:49〜) 
未明に監視カメラが起動すると、濃霧が立ち込めている上に、寒の戻りで吹雪いていました。 

こんな悪天候でも巣口付近で獣の白く光る目が動きました。 
巣穴Rを乗っ取った疥癬キツネ「細尾」なのか、それともタヌキがうろついているのか、まったく見分けられません。 


シーン4:3/25・午前0:03・気温0℃(@1:06〜) 
翌日も深夜に監視カメラが起動すると、夜霧が立ち込めていました。 
白く光る眼が左にゆっくり動き、最後は手前に来ました。 
単独行動のタヌキかアナグマだと思うのですが、五里霧中で分かりません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


菊花に群がるキタテハ秋型が吸蜜しながら液状便を排泄

 

2023年11月中旬・午後13:55頃・晴れ 

民家の庭の花壇に咲いた黄色と白色の菊(園芸品種)にキタテハPolygonia c-aureum)秋型が訪花していました。 
多数のキタテハが菊花に群がって、壮観です。 
秋の日差しを浴びて半開きの翅を緩やかに開閉しながら口吻を伸ばして吸蜜しています。 
翅を広げるのは、隣で吸蜜するハナアブ類に対する牽制(占有行動)の意味もありそうです。 

花壇の下で砂利の表面を舐めているキタテハ個体も居ました。 
おそらく♂が、性成熟に必要なミネラル成分を摂取しているのでしょう。 

カメラをゆっくり横にパンしながらキタテハの群れを次々に撮影していると、2頭のキタテハが吸蜜しながら腹端から濁った液体の滴をポトリと排泄しました。 
キタテハ秋型の脱糞シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:18〜) 
初めの個体は、黄土色の液体を1滴、腹端から排出しました。 
翅に破損がなくきれいな個体だったので、羽化直後の羽化液(蛹便)が体内に残っていた可能性があります。 

キタテハの蛹便の色は、一般的にオレンジ色、赤褐色、茶褐色のように表現されることが多いです。  もう少し具体的に言うと、赤みがかったオレンジ色や、濃いオレンジ色、赤茶色といった色合いで、個体差や蛹の状態によって多少色の濃淡に変化が見られることもあります。 (Gemini 2.0 AIより)

次の個体は、花蜜を吸いながら腹端を少し持ち上げ、白っぽい液体を2滴続けて排泄しました。 
直後に次の花へ飛んだので、飛び立つ前に軽量化したのかもしれません。 

関連記事(4、7年前の撮影)▶  


チョウ類では他に、ヤマトシジミ♀(Zizeeria maha)、ベニシジミLycaena phlaeas daimio)、キタキチョウEurema mandarina)が1頭ずつ訪花していました。 
(キタキチョウについては、映像公開予定) 

この菊の花壇で主な送粉者はハナアブ類です。 
オオハナアブ♀♂(Phytomia zonata)が最も多く、他にはナミハナアブ♀♂(Eristalis tenax)、シマハナアブ♀♂(Eristalis cerealis)、ツマグロキンバエStomorhina obsoleta)などが訪花していました。 

晩秋だから仕方がないのかもしれませんが、ミツバチなどのハナバチ類が全く来てないのが心配です。(生物多様性の低下、送粉者の深刻な減少)

 

2025/02/11

疥癬に感染したホンドギツネ2頭がニホンアナグマの冬眠用巣穴を訪問【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年3月中旬 

シーン1:3/20・午後20:08・気温0℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、小雪がちらつく晩に、尻尾が異常に細いホンドギツネVulpes vulpes japonica)がやって来ました。 
疥癬に感染して脱毛が進行している個体「細尾」です。 

右から来て、アナグマの巣口Lの匂いを嗅いでいます。 
巣口Lを跳び超えて、左へ立ち去りました。 


シーン2:3/20・午後20:51・気温0℃(@0:13〜) 
約45分後に疥癬キツネ「細尾」が、また左から戻ってきました。 
アナグマの巣口L、Rの匂いを順に嗅いでから右へ立ち去りました。 

尻尾の太さに注目すると、脱毛の症状が軽いので、別個体のようです。 
逆に同一個体だとすると、シーン1は尻尾が水に濡れていっそう細く(針金のように)見えただけかな? 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
近くの雪原(休耕地)でホンドタヌキの巣穴を乗っ取った疥癬ホンドギツネが、夜の二次林で餌を探し歩いているようです。 
2回とも、アナグマの巣穴には侵入しないで立ち去りました。 

ところがなんと、疥癬に感染したホンドギツネは1頭だけではありませんでした。 
「細尾」の状態(脱毛症状の進行具合)が異なる2頭がいるのです。 
話がますますややこしくなりそうです…。 
当地のホンドギツネ個体群に寄生虫(ヒゼンダニ)感染症の疥癬が蔓延していることが伺えます。
予後が悪い(死に至る)皮膚病ですから、ホンドタヌキやニホンアナグマにまで疥癬が広がらないことを祈るしかありません。
逆に、生態系の中で野生動物が増え過ぎないように(過密になり過ぎないように)個体数を抑制する重要な働きがヒゼンダニにはあるのです。


つづく→


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雪が溶けた林床で落ち葉をめくって餌を探すカケス【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年3月中旬・午後12:20頃・くもり・気温6℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を見張る自動撮影カメラにカケスGarrulus glandarius)が写りました。 
昼下がりに、二次林の林床でカケスが残雪の上をホッピングしながら右へ移動します。 
画面の右端で立ち止まると、嘴で落ち葉を掻き分けて餌を探し始めました。 
越冬中の虫を探しているのでしょう。 
もしかすると秋に貯食したドングリを掘り出しているのかもしれない、と期待したのですが死角でよく見えず、右に姿を消しました。 

落ち葉めくり行動が見えやすいように、まずは1.5倍に拡大した映像をご覧ください。 
その後にオリジナル(等倍)の全景動画でリプレイ。(@0:47〜) 


つづく→ 


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2025/02/10

スギ防風林で倒木を渡ってきたホンドタヌキがトレイルカメラに気づいて興味津々【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年3月中旬〜下旬 

シーン0:3/19・午後14:06・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で「根返り」スギの根元に掘られた巣穴aを自動撮影カメラで見張っています。 
スギ風倒木の巻き添えを食って倒れた落葉灌木(樹種不明)が、毎年の雪圧に負けずに育って巣口aを取り囲むような「根曲がり」状態になったので、根曲がり巣穴aと呼んでいます。 
まだ林床に残雪が少しあります。

ここで越冬していたニホンイタチMustela itatsi)の姿が見えなくなっても、しつこく監視を続けています。 
春の繁殖期が近づくと、何か野生動物が住み着くのではないかと期待しています。 


シーン1:3/20・午後20:47(@0:03〜) 
春分の晩に、倒木が散乱するスギ林に単独行動のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が現れました。 
手前の水平倒木を左から慎重に渡ってきたタヌキが立ち止まって倒木表面の匂いを嗅ぎ回っています。 
監視カメラの存在に気づいたようで、方向転換して少し離れた位置から匂いを嗅ごうとしています。 
結局、左の獣道に戻ってしまいました。 
根曲がり巣穴aにタヌキは立ち寄りませんでした。 


シーン2:3/25・午後20:37(@1:04〜) 
5日後の晩にはタヌキが♀♂ペアでやって来ました。 
後続個体はしばらく立ち止まっていたものの、根曲がり巣穴aには全く興味を示さず、跨いで通り過ぎました。 

この根曲がり巣穴aは、もはや誰も使っていない偽巣のようです。 
あまりにもあからさまに巣口aを狙う位置に監視カメラを設置しているので、警戒しているのでしょうか?


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




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笹薮のタヌキ溜め糞場に生えたキノコを調べる:オオキヌハダトマヤタケ?

 

2023年6月中旬・午後16:25頃・晴れ 

河畔林でオニグルミ大木の真下にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した最大級の溜め糞場rpを定点観察に来ました。 
周囲の笹藪は、ヒトの背丈よりも高く伸びていました。(>175cm) 
タヌキの新鮮な糞は追加されておらず、糞虫などの活動も見られませんでした。 
糞塊に集まっていた虫は、目視した限りではハエ類とアリ類だけでした。 





溜め糞の横の地面から生えた黄土色のキノコに注目し、引っこ抜いてみました。 
傘の中央部が突出しています。 
傘の裏面にはクリーム色のヒダが発達しています。 
柄にはツバもツボもありません。 
柄を裂いて見せればよかったですね。 
キノコの分類において、柄が中空か中実(柄の内部に菌糸が詰まっている状態)かというのは、重要な識別点なのだそうです。 






もう1本、同種と思われる別のキノコを採取しました。 
傘が大きく開いていて、私が触れると湿った傘の縁がボロボロとちぎれてしまいました。 




タヌキの溜め糞場で見つけたということは、いわゆるアンモニア菌の仲間なのか?と期待しました。
撮れた写真をGoogle画像検索してみると、どうやらアセタケ科のオオキヌハダトマヤタケという種類のようです。 
ムスカリンを含む毒キノコです。
ムスカリンは、あるタイプのアセチルコリン受容体(ムスカリン性アセチルコリン受容体)に結合し、神経伝達物質アセチルコリンの作用を模倣する、副交感神経作用薬である[2]。 ムスカリン中毒は、キノコの摂取後15-30分後に、涙と唾液の分泌増加、発汗が見られることで特徴づけられる。 (wikipediaより引用)
キノコに疎い私は聞き馴染みがなかったのですが、キノコにはアセタケ科やアセタケ属があります。
アセタケの名は、毒性物質ムスカリンを含み、滝のように汗をだすという異常な中毒症状によるとされる[3]。(wikipedia:アセタケ属より引用)

「オオキヌハダトマヤタケは夏〜秋にブナ科の樹木の下に生える」としか図鑑に書いておらず、ごく普通の毒キノコらしい。 
つまり、溜め糞場の近くに生えていたのはたまたま、という残念な結論でした。

遅々とした歩みですが、苦手なキノコも少しずつ種類を覚えていくしかありません。


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2025/02/09

ニホンアナグマが冬眠する巣穴に冬毛のニホンイタチが侵入?【トレイルカメラ:暗視映像】同じ穴の狢

 




2024年3月中旬

シーン0:3/11・午後13:46・気温29℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで監視しています。 
林床の雪解けが進み、地面があちこちで露出しています。 


シーン1:3/14・午前1:53・気温-4℃(@0:04〜) 
深夜にニホンイタチMustela itatsi)が素早く右へ走り去りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:09〜) 


シーン2:3/15・午前5:40・気温-3℃(@0:16〜)日の出時刻は午前5:47。 
翌日は日の出直前にニホンイタチが右下から現れました。 
自然光下でニホンイタチの冬毛がよく見えます。 
イタチは凍った残雪の上を歩いて、アナグマが冬眠している巣穴Rに迷わず向かいました。
巣口Rの匂いを嗅いでから中に潜り込んだようです。 
「同じ穴のむじな」にイタチも含まれるとは驚きました。 
イタチは隙あらばアナグマの巣穴を乗っ取るつもりなのでしょうか?

実は6分後に、隣の巣穴Lを見張っている別アングルの監視カメラが起動したのですが、何も写っていませんでした。 
同一個体のイタチが巣穴Rの内見を済ませて、セットから素早く走り去ったのかもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

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