2013/11/02

ガガイモに訪花吸蜜するキンケハラナガツチバチ♀



2013年8月下旬

山地の道端に咲いた蔓植物の見知らぬ花でキンケハラナガツチバチ♀(Megacampsomeris prismatica)が吸蜜していました。

コガネムシ類の幼虫に寄生するはずですが、訪花中に偶然コアオハナムグリとニアミスしても寄主(?)の成虫には興味を示しませんでした。



この蔓植物の名前を知らなかったのですが、図鑑で調べてようやくガガイモと判明。


【追記】
矢追義人『ミクロの自然探検: 身近な植物に探る驚異のデザイン』という植物観察の本を読んでいると、「ガガイモとワイワイ学校」と題した章が設けられていました。
アマチュアの観察グループがガガイモの花の受粉機構を詳細に解明して、植物学の専門誌に論文を投稿するに至ったという話です。
説得力のある接写(および顕微鏡写真)のカラー写真が何枚も掲載されていて、読んでいるだけでも非常にエキサイティングな謎解きでした。
ガガイモの有効な花粉媒介者は、ツチバチ類であることがわかっている。ハチは花びらと蕊柱の間から口を差し込み、花筒の底の蜜を吸う。このとき、雄しべと雌しべの間の隙間が口の通路になる。隙間の真上に花粉塊をつなぐクリップがあり、割れ目が開いている。ハチが口を引き抜くとき、口はこの割れ目に挟まれ、そのまま花粉塊を持ち出す。花粉塊が持ち出されるとクリップの割れ目が閉まり、ハチの口を強く挟みつけ、容易には離れなくなる。 (p96より引用)

Google Scholarで文献検索してみたら、ありがたいことに全文PDFが無料でダウンロードできました。 

Tanaka, Hajime, et al. "Andromonoecious sex expression of flowers and pollinia delivery by insects in a Japanese milkweed Metaplexis japonica (Asclepiadaceae), with special reference to its floral morphology." Plant Species Biology 21.3 (2006): 193-199.
私も次回からは、ガガイモの花粉塊に注目して虫媒の様子を観察してみるつもりです。


ガガイモ花
ガガイモ花・全景

道草を食うニホンカモシカ母子



2013年8月下旬

舗装された山道の前方にニホンカモシカCapricornis crispus)を発見。
カモシカも気づいてこちらを向き、口をモグモグしながら警戒しています。
そこへ右手から幼獣が登場し、そのまま道端の潅木(ミズナラ? クズ?)の葉を採食しました。
残念ながら望遠レンズを外していたので、やや遠い映像です。
母親と思われる成獣は右目が腫れぼったく、角の湾曲がやや左右非対称に見えました。

カモシカの暮らしは縄張りがあるらしいので、5ヶ月前の積雪期にこの近くで会った同じ親子かもしれません。

関連記事はこちら→「ニホンカモシカの親子(白毛の幼獣)

冬に見た幼獣は顕著な白毛でしたが、今回は成獣と同じ毛並みですね。
母親から先に逃げ出すと、幼獣も並走。
急いで追いかけたものの、再会できませんでした。



飛べ!ゴイシシジミ【ハイスピード動画】



2013年8月中旬

笹薮の近くで飛び回るゴイシシジミTaraka hamada)を240-fpsのハイスピード動画に撮りました。
ゴイシシジミが葉に止まっているときは常に翅を立てている(閉じている)ので翅表を見せてくれないのですが、飛翔シーンをスローモーションで見ると翅表は全体が黒っぽいことが判ります。

複数個体を撮影。


2013/11/01

イタドリの花から飛び立つシロテンハナムグリ



2013年8月下旬

用水路の脇に生い茂ったイタドリの群落でシロテンハナムグリProtaetia orientalis submarumorea)らしき甲虫が花に止まって食事中でした。
撮り始めると葉に登ってから飛び去りました。
葉に残った食痕が果たしてこの個体によるものか、疑問です。
(ハナムグリの成虫は葉を食べるのか?)

後半は飛翔シーンを1/8倍速のスローモーションでリプレイにしてみました。
ハイスピード動画ではないので余り上手く撮れていませんけど、前翅(鞘翅)を閉じたまま後翅だけを広げて羽ばたいていることが判ります。

(シロテンハナムグリが属する)Protaetia属等は他のほとんどの甲虫のように鞘翅を展開せず、内側に傾けて腹部との間に隙間を作ってここから後翅を広げる。これによって多くの甲虫に比べて格段に機敏な飛翔をすることが可能になっている。(wikipediaより)





ツルマメを訪花するセイヨウミツバチ♀



2013年8月中旬

湿地帯の草原でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀がツルマメに忙しなく訪花していました。
可憐な花からせっせと吸蜜して回ります。
複数個体を撮影。

他にはトモンハナバチも見かけたのですけど、残念ながら撮り損ねました。



2013/10/31

桑の葉に巣網を張って集団食害するアメリカシロヒトリ若齢幼虫(蛾)



2013年8月下旬

道端に生えたヤマグワの株にアメリカシロヒトリHyphantria cunea)の幼虫が大発生していました。
葉が網目状の葉脈を残すのみで激しく食害されています。
多数の毛虫が吐いた糸で枝葉が覆われ、巣が作られています。

巣網内で集団生活をしながら徘徊・食害する様子を微速度撮影できたら面白そうです。
しかしこの辺りで更に食害の被害が広がると困るので、撮影後は枝ごと切り落として駆除しました。
枝を家に持ち帰って水差しにして飼育しようかと一瞬迷いましたが、アメリカシロヒトリの幼虫はやがて分散するので阿鼻叫喚の惨事(バイオハザード!)になるのを恐れ断念しました。

『アメリカシロヒトリ:種の歴史の断面』p12によると、

どんな植物を加害していても、幼虫はかならず巣をつくる。葉の裏にうみつけられた数百ないし一千個の卵から幼虫がかえると、かれらは糸を吐いて巣網を張り、そのなかで葉を食って集団生活をはじめる。(中略)巣網は、外気の影響を多少は遮断する効果を持っている。



3齢虫までは白い巣網の中で成長する。(wikipediaより)



【追記】
廣岡芳年『アメリカシロヒトリが飛ぶと、匂いが見える』によると、
刺すこともかぶれることもない毛虫なのに、アメリカシロヒトリは嫌われ者の代名詞に使われている。街路樹や庭木を食い荒らし、家の中まで入り込んで迷惑がられ、クワの害虫として養蚕農家から嫌われる (『虫たちがいて、ぼくがいた:昆虫と甲殻類の行動』 第2-3章p77より引用)


【追記2】
渡部仁『微生物で害虫を防ぐ (ポピュラー・サイエンス)』という昆虫病理学の本を読んでいたら、面白いことが書いてありました。
 アメリカシロヒトリの幼虫は雑食性で、クワ、サクラ、ポプラ、ヤナギ、カキなど多くの植物の葉を食害しますが、どの植物の葉で育ったかによって幼虫の核多角体病ウイルスに対する抵抗力ははっきりと違ってきます。クワで育った幼虫の抵抗力が強いのは、クワの葉の栄養価が高く、幼虫が丈夫に育つためと考えられます。アメリカシロヒトリの生育密度が高くなったときに、よく核多角体病が大発生します。これは虫の接触によってウイルスの感染する機会が増えたばかりでなく、餌の奪い合いが起こって、栄養不足になり、ウイルスに感染しやすくなるためなのです。 (p104より引用)





茄子の受粉を助けるクロマルハナバチ♀



2013年8月下旬

家庭菜園の畑でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀がナス(茄子)に訪花していました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けています。
花にぶら下がると腹面に落ちた花粉を脚で掻き集めています。
おそらく胸部の飛翔筋で葯を揺する振動集粉を行っていると思われますが、セミの鳴き声がうるさくて聞き取れません。

近年、世界中でミツバチが激減して大騒ぎになっていますが、マルハナバチも作物の受粉を媒介して育てるきわめて重要な縁の下の力持ちです(送粉者)。
クロマルハナバチはトマトのハウス栽培などで活躍しているそうです。


ナス科植物の花など、花蜜を出さず、豊富な花粉をマルハナバチに与えて花粉の一部を送粉してもらう特殊なマルハナバチ媒花もあります。
(『マルハナバチ・ハンドブック』p40より)



2013/10/30

樹液酒場で争うシロテンハナムグリと小便排泄



2013年8月中旬

柳の幹から滲み出る樹液を巡ってシロテンハナムグリProtaetia orientalis submarumorea)同士で争うシーンをまとめてみました。

喧嘩の初めは脚で蹴飛ばし合い、次第にヒートアップすると頭突きで押し相撲になります。
カブトムシやクワガタムシのような闘争専用の武器こそ無いものの、敗者は幹から追い落とされることがあります。
小競り合いの末に、回り込んでなんとか2匹が共存して同じ樹液スポットから吸汁することもあります。
虫の居所が悪かったのかライバルを頭突きでしつこく幹の上に追い上げたかと思うと、その隙に3匹目が横から登場してちゃっかり漁夫の利を得ることもあり、なかなか興味深いですね。

個体標識して樹液の占有行動や喧嘩の勝敗を克明に記録したらとても面白そうです。
なんとなく眺めている限りでは、勝ったり負けたりを繰り返し「常勝の最強個体」という者は居ない印象を受けました。
発酵した樹液で酔っ払っているのかな?
個体間の序列(力関係)が余りはっきりしないのは、樹液が幹のあちこちから出ているせいでしょうか。
喧嘩に負けても一箇所に固執せずに探し回ればどこかで樹液にありつけるようです。(樹液酒場の質に差があるのかもしれませんけど。)

闘争行動に関連してハナムグリの性別を見分けられるようになりたいのですが、判定法を知りません。
樹液酒場で交尾を始めることはありませんでした。
見られる行動レパートリーは食事(樹液吸汁)か喧嘩、徘徊、飛翔、排泄だけでした。

樹液を舐めながら腹端からピュッと立ち小便するシーンが偶然撮れました!(@4.48)
欲を言えばハイスピード動画でオシッコを記録したかったですけど、暑さで頭がボーッとしてしまい長撮りする根気がありませんでした。




カワミドリに訪花するハラアカヤドリハキリバチの飛翔【ハイスピード動画&HD動画】



2013年8月下旬

山道脇に咲いたカワミドリの群落でハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ、Euaspis basalis)が少なくとも2匹、訪花していました。
花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮影してみました。

普通のハキリバチならスコパ(花粉運搬毛)の有無で性別が分かるのですけど、ハラアカヤドリハキリバチは労働寄生種なので、たとえ♀でも腹面にスコパがありません。



ついでに通常のHD動画でも撮っています。



ちなみに、前年もこの辺りで撮っています。

関連記事→「ハラアカヤドリハキリバチがカワミドリに訪花吸蜜

2013/10/29

ユリズイセンの花で吸蜜するイチモンジセセリ



2013年8月下旬

民家の庭先の花壇に咲いたユリズイセンイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。
長い口吻を伸ばして花蜜を吸っています。



ツルマメを訪花するクマバチ♀



2013年8月下旬

湿地帯のツルマメキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
大きな図体で忙しなく飛び回り、こんな小さな花から丹念に花蜜を吸って回ります。



2013/10/28

ヤブガラシの花蜜を舐めるシロテンハナムグリ?



2013年8月下旬

用水路脇に生い茂ったヤブガラシの群落でシロテンハナムグリらしき甲虫が花蜜を舐めていました。
藪の高所に止まっているため、鞘翅の白点模様をしっかり撮れませんでした。



ブタナを訪花するスミスハキリバチ♀



2013年8月中旬

用水路沿いの土手にヒョロヒョロッと咲いたキク科の黄色い花にスミスハキリバチ♀(Megachile humilis)と思われる蜂が来ていました。
後半、腹面にスコパが見えたので♀と判明。



この花の名前はブタナですかね?


【追記】
この花の名前を長らくオオジシバリだと思い込んでいたのですが、外来種(帰化植物)のブタナと分かったので訂正しておきます。



2013/10/27

アカツメクサの花蜜を吸うヒメアカタテハ



2013年8月下旬

用水路脇に咲いたムラサキツメクサの群落でヒメアカタテハVanessa cardui)が訪花していました。
基本的に翅を閉じて止まり、たまに翅を開閉しながら吸蜜しています。



縄張りを巡回するオニヤンマ♂の飛翔【ハイスピード動画】



2013年8月中旬

里山の真っ直ぐな細い林道の上空をオニヤンマ♂(Anotogaster sieboldii)がパトロールするように往復していました。
交尾相手の♀が飛来するのを待ち構えているようです。
縄張りの端に立って待ち構え、引き返す直前に行う停空飛行(ホバリング)を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。

『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p7によると、

高速飛行のトンボは脚を折り畳んで空気抵抗を減らす。

スローモーションの映像を見ると、確かにその通りでした。
よく見ると、体に引き付けた後脚も羽ばたきのリズムで動いていることが分かります。
前脚、中脚は折り畳んでいます。

『講談社カラー科学大図鑑:トンボ』p31によれば、

オニヤンマが山道の上を飛びながら行ったり来たりするのは、時間も短いですし、範囲もはっきりしないので、縄張りの原始的なものと考えられています。

(てっきりオニヤンマかと思い同定用の写真も撮らなかったのですけど、もしかして別な種類ですかね…?)



ツルマメの花で吸蜜するキンケハラナガツチバチ♀



2013年8月下旬

平地の湿地帯でツルマメに訪花するキンケハラナガツチバチ♀(Megacampsomeris prismatica)を見つけました。
触角が短いので♀です。
ハナバチの仲間ではないので集粉は行わず、花蜜を吸うだけです。
初めは柳の木に巻き付いたツルマメに訪花していました。
引き続き、湿地帯の開けた草地に巻き付いたツルマメに訪花しています



この草本の蔓植物の名前を知りませんでした。
ピンクの花はマメ科に特有の形状(蝶形花)です。
葉の形はヒルガオみたいで、アケビのように3枚組(3小葉)から成ります。
図鑑を調べてようやくツルマメと判明。
現在栽培されている大豆の原種なのだそうです。



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