2017年8月上旬・午前4:12〜5:25 (日の出時刻は午前4:49)
▼前回の記事
朝ムクドリの大群が高圧線鉄塔の集団塒から飛び去るまで【中編:野鳥】
高圧線鉄塔#30および下の電柱、電線で一夜を過ごしたムクドリ(Sturnus cineraceus)の大群が、夜明けとともに集団塒内で上下に移動したり、少しずつ塒から飛び去る様子を、10倍速の早回し映像に加工してみました。
黒い点々のように見えるムクドリの塒内分布や時間変化に何か法則やパターンが見出せたら面白いですね。
鉄塔の背景となる西の空を流れる雲の動きも味わい深いです。
動画編集した結果、無音となり、せっかくの音声情報(ムクドリの鳴き声)が失われてしまいました。
シリーズ完。
【おまけの映像】
早回し速度を少し落とした6倍速映像をブログ限定で公開します。
このバージョンには、ムクドリの鳴き声などの音声も含まれています。
2017年8月上旬
蓮池でハグロトンボ♀(Calopteryx atrata)がハス(蓮)の葉に止まって翅を開閉していました。
ハグロトンボが地上で翅を繰り返し開閉するのは、縄張りを主張する誇示行動なのだそうです。
開いた翅は褐色のはずなのに、所々にドット欠けのように抜けている点がありました。
胴体が黒いので♀ですね。
ときどき蓮の葉から素早く飛び立つものの、すぐに元の場所や隣の葉に舞い戻ります。
口をモグモグ動かしているので、飛んでいる小さな昆虫を空中で捕食しているのでしょう。
ハイスピード動画に撮ってみれば良かったですね。
▼関連記事
川沿いで捕食活動するハグロトンボ♀♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年9月下旬・午後12:14
湿地帯の遊歩道で昼下がりにシロオビノメイガ(Spoladea recurvalis)が日光浴していました。
死んでいるのかと思いつつ、私が近づくと蛾は飛んで逃げました。
路面を舐めていた可能性もありますかね?(ミネラル摂取)
横から見ても口吻は動いていませんでしたし、路面は乾いていたので、その可能性は低いと思います。
2017年8月上旬・午前4:12〜4:50(日の出時刻は午前4:49)
街中にそびえ立つ高圧線鉄塔#30に塒としてムクドリ(Sturnus cineraceus)の大群が賑やかに鳴いているのを前夜に確認しています。(映像公開予定)
この鉄塔に昨年の夏から秋にかけてムクドリの大群が塒入りするのを観察していますが、気紛れなのか、毎日塒として使われるとは限りません。
早朝にムクドリが集団塒から飛び去る(離塒)までの一部始終を撮影するために、夜明け前の深夜から再訪しました。
晴れた夜空にほぼ満月が出ていました。(月齢17.7)
現場で撮影アングルや画角を決めるのが難しく、苦労しました。
前夜にロケハンしたものの、どうしても高圧線や電線が邪魔になってしまいがちです。
個人的には国策として電柱の地中化を早く進めて欲しいのですけど、電柱や高圧線鉄塔を利用している野鳥を観察している身としては、ジレンマもあります。
道端に三脚を立て、鉄塔の東から狙うことにしました。
朝日が昇ると順光になるはずです。
広角レンズが欲しくなりました。
映像の冒頭はほとんど真っ暗で、遠くからムクドリの鳴き声だけが聞こえます。
住宅地でこんなに喧しく一晩中鳴き続けるのでは、確かに近所迷惑ですね。(騒音公害)
白々と夜が明けて次第に明るくなると、高圧線の鉄塔だけでなく、その直下の電柱および電線にもムクドリが鈴なりに群がっていることが分かります。
日の出を待ちかねた個体が、この集団塒内を飛んであちこち移動し始めました。
群れ全体として見ると、鉄塔に居た個体が木の葉落としのように下へ下へ(低い電線に)移動しているようです。
ハシボソガラス(Corvus corone)はムクドリよりも早い時刻に離塒するようで、どこか近くの塒から三々五々と飛来したカラスが高圧線に止まりました。
カラス同士で鳴き交わしていますが、ムクドリの大群に遠慮しているような印象を受けました。(多勢に無勢)
一方ムクドリは、カラスの存在をあまり気にしていないようです。
後半になると、画面右下のケヤキ並木の樹冠に飛び込む個体が続々と増えてきました。
この動きは昨年の夕方にムクドリが塒入りするときに見た群れの運動と似ています。(今回ムクドリはなぜかこのケヤキ並木に塒入りしませんでした。)
しかしケヤキ並木に集まっていた群れが何かに驚いて飛び立ち、近くの電線や鉄塔に避難しました。(@34:43)
(もしかすると、通行人や走行車に対する驚きや警戒ではなくて自発的な衝動に駆られた飛翔行動かもしれません。)
ちなみに撮影地点でときどき測定した気温データは、以下の通りです。
午前4:07 気温22.5℃、湿度70%
午前4:19 気温21.2℃、湿度77%
午前4:44 気温20.2℃、湿度87%
つづく→中編
2017年8月上旬
小高い山になった鎮守の森の薄暗い林床で、真っ昼間にヤマトゴキブリ♀(Periplaneta japonica)を発見。
短翅の♀成虫です。
腹端に卵鞘はぶら下げてはいませんでした。
せかせかと歩いて逃げ、地面に空いた穴に潜り込みました。
アリの巣穴だとしたら好蟻性昆虫ということになって面白いのですが、中からアリが出てきたり、ゴキブリを撃退したりしませんでした。
空巣なのか、それとも穴を掘った主はまた別の生き物なのかもしれません。(セミの幼虫?)
まさかヤマトゴキブリが自分で掘った穴とは思いません。(だとしたら大発見!)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2016年10月中旬
湿地帯の遊歩道沿いに咲いたセイタカアワダチソウの群落でキタキチョウ(Eurema mandarina)が訪花していました。
風で揺れる花穂で翅を閉じたまま吸蜜しています。
セイヨウミツバチ♀とニアミスすると、少し飛んで移動します。
2017年8月上旬
大通り沿いの民家の庭に咲いたヤナギハナガサ(別名サンジャクバーベナ)にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
大きな図体なのに小さな花に丹念に口吻を差し込んで吸蜜しています。
後脚の花粉籠は空荷でした。
後半は花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:43〜)
重量級のクマバチが花に止まると、その重みで三尺バーベナの茎が大きくしなります。
ときどき個々の花が落下するのは、スローモーションで見直さないと気づきませんでした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
イラガ(蛾)の飼育記録#2016-15
2016年10月上旬・午後13:49〜午前00:12
▼前回の記事
プラスチックの壁面で繭を作り損じたイラガ(蛾)終齢幼虫b【100倍速映像】
プラスチック容器の壁面で作りかけた繭が破れてしまったイラガ(Monema flavescens)の終齢幼虫bをメタセコイアの小枝に移してやりました。
営繭に適した場所を探してゆっくりワンダリング(徘徊)する幼虫をよく見ると、腹面が黄緑からオレンジ色に変色していました。
やはり、この変色は営繭の前兆と考えても良さそうです。
『イモムシハンドブック』や『繭ハンドブック』に掲載されたイラガ終齢幼虫の体長は24〜25mmですが、この個体は体長が著しく萎縮しているのが気がかりです。(と言いつつも、微速度撮影を優先して体長を実測するチャンスを逃してしまいました…。)
営繭に一度失敗したので、絹糸腺が枯渇してしまったのではないかと心配です。
食餌を再開して栄養をつけてから営繭し直すのかと思いきや、繭作りのプログラムが一旦始動してしまうと生理的に後戻りは出来ないようです。
斜めに立てた小枝(メタセコイア)の上面で足場糸を紡ぎ始めました。
イラガの繭がよく作られる小枝の二又部分をわざわざ選んで与えてやったのに、イラガ幼虫は私の親心を知らず、またもやY字状になった部分を営繭場所に選ばなかったのが不思議でなりません。
白い絹糸を吐いて小型な繭を順調に紡いでいます。
粗い網状の繭を作り終えると、次は繭内で回転しながらマルピーギ管に蓄えられていたシュウ酸カルシウムを含んだ白い液体を排泄しました。(@2:41)
次は褐色の液体(硬化剤タンパク質)を口から分泌するも、なぜかイラガ繭に特有の縞模様が形成されません。
コーヒー豆と似た状態のままで、繭の硬化・黒化が進みます。
繭が小さ過ぎて、幼虫が繭内で自在に動き回れなかったのでしょうか?
あるいは、シュウ酸カルシウムまたは硬化剤タンパク質の分泌量が少なかったのかもしれません。
営繭に一度失敗した直後なので、素材の消耗が激しかったのでしょう。
作り直したせいか、完成した繭はとても小さな物でした。
表面の縞模様も全体的に不明瞭です。
密閉容器に移した繭を外気に晒して越冬させました(冬の低温をしっかり経験)。
おそろしく矮小化した成虫が羽化するかと期待していたのですけど、翌年になっても残念ながら成虫は羽化してきませんでした。
原因は不明です。
私が晩秋に野外からイラガ幼虫を何匹も採集してきても、飼育下ではなかなか繭を正常に作ってくれない、ということがここ何年も続いています。
営繭する前に萎んだように死んでしまう幼虫が多いのです。
その原因として、素人は素人なりに仮説を考えてみました。
秋も深まると食樹植物の葉に含まれる毒物(シュウ酸など)の量が増えて栄養価が下がるのではないでしょうか?
つまりイラガ幼虫は、食べても食べても栄養失調の状態なのかもしれません。
イラガ幼虫は体内のマルピーギ管に溜め込んだシュウ酸カルシウム(毒物)の量が限界(臨界点)に達すると自家中毒になり、栄養状態や絹糸腺の発達があまり良くなくても営繭のスイッチが入り毒物を排泄するのではないでしょうか?
この仮説が正しければ、もっと季節の早い夏に第一化の幼虫を飼育すれば、繭の歩留まりが向上するでしょう。
(夏のフィールドではイラガ幼虫の個体数が少ないようで、私にはなかなか見つけられないのです。)
イラガの繭作りや縞模様のパターン形成のタイムラプス映像はダイナミックで美しく、見ていて飽きません。
いつかまた再挑戦するつもりです。
つづく→#16
【追記】
CiNiiで文献検索してみると興味深い論文を見つけました。
野外におけるイラガ繭の色斑二型の出現要因. 古川 真莉子 , 中西 康介 , 西田 隆義. 環動昆 27(4), 133-139, 2016. Jpn. J. Environ. Entomol. Zool. 27(4):133-139(2017)
日本語要旨を引用すると、
イラガは固い繭を樹木の幹や枝に形成する.この繭の色斑には大きな変異があり,縞模様型(全面が鮮明な白黒模様)と不鮮明型(不鮮明な縞模様,または全体的に不鮮明な茶褐色)に大別される.しかし,繭の色班型の違いに関わる環境条件について知見は乏しかった.そこで本研究では,イラガ繭の色班型の出現頻度と環境条件との関係を,野外調査により明らかにすることを目的とした.調査対象とした 47 種の樹種のうち,17 種でイラガの繭が見つかり,94 個の繭を採集した.縞模様型の繭は,そのうち 9 種の樹種から 33 個採集した.縞模様の有無に対する,繭形成樹種,繭を形成した場所の地面からの高さおよび枝・幹の太さとの関係を解析したところ,繭が形成された部分の枝の太さと負の関係があり,細い枝ほど縞模様型の割合が高いことがわかった.また,同じ樹種で行なわれた先行研究の結果と比較すると,縞模様型の割合は地域によって異なることが示された.
この研究によれば、私が今回飼育した繭が全体的に不鮮明型の色班になったのは、与えた小枝が太かったからということになります。
しかし繭を新たに作り直した影響の有無は検討の余地があると思います。
私としては今のところ自分で観察した例数が少な過ぎて、未だ何とも言えません。
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13:49 pm |
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17:02 pm |
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20:33 pm |
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翌日 00:12 am |
【おまけの動画】
同じ素材で再生速度を落とした60倍速映像とオリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開します。
じっくり見たい方はこちらをご覧ください。
2017年6月中旬
郊外の交差点で信号待ちしている間に撮影。
必死に飛んで逃げ回るノスリ(Buteo japonicus)をハシボソガラス(Corvus corone)が単独で追い回しています。
なかなか迫力のある空中戦が続きますが、見上げたときの電線が邪魔で、どうしても前ピンになりがちです。
後半は攻守が逆転して、ノスリがカラスを追い回す形になりました。
映像では高度の遠近感が分からないのですが、おそらくカラスが失速した結果、高度を保ったノスリが有利になったのでしょう。
カラスが堪らず空域を離脱し、ノスリは青空で弧を描く帆翔を続けています。
実はこの辺りは高圧線鉄塔#21に営巣していた番の縄張りです。
ちょうどこの日は最後の雛が巣立った日でしたが、親鳥は天敵の猛禽類が縄張りに侵入するのを許さず、単独モビング(擬攻撃)で追い払っているのでしょう。
▼関連記事
巣立ち後のハシボソガラス親鳥の行動(野鳥)
イラガ(蛾)の飼育記録#2016-14
2016年10月上旬・午前5:33〜9:49
朝に様子を見ると、イラガ(Monema flavescens)の終齢幼虫bが夜の間に食樹植物から自発的に離れて飼育容器のプラスチック壁面に静止していました。
てっきり脱皮前の眠かと思い、微速度撮影で監視を始めました。
100倍速の早回し映像をご覧ください。
壁に静止していても背脈管(昆虫の心臓)の激しい拍動が見られます。
脱皮前の眠かと思い込んでいたら、しばらくすると、その場で足場糸を張り巡らせて営繭開始。
イラガ幼虫はプラスチック容器の中でも表面がザラザラに加工してある部分を営繭場所に選びました。
背景が白いと、白い絹糸が見え難いですね。
この個体は営繭前に体色変化も見られませんでした。
採集時には一番小さな個体だったのに、飼育下では食欲旺盛で仲間をごぼう抜きして営繭を始めたのです。
イラガの終齢幼虫bは白い絹糸で自分の体の周りに粗い網目状の繭を順調に紡いでいたのに、途中でなぜか薄い繭が破けてしまいました。
幼虫の肉角が作りかけの繭を突き破ってしまったのかな?
絹糸と接着するプラスチック素材の相性が悪かったのかもしれません。(営繭場所の選択ミス)
もはや繭は修復不能らしく、体が外に出てしまった幼虫は困っているようです。
これ以上放置すると大量の絹糸を無駄に使うだけなので、小枝に移すことを決意しました。
今思うと、失敗作の繭を食べて絹糸のタンパク質を再利用していたのかもしれませんが、確認していません。
本を読むと、イラガは平面にも繭を作ることが出来るらしいのですが、失敗の原因は不明です。
(細い枝に作る時と比べて平面上の繭は縞模様が変わるらしい。)
もしプラスチック容器を横に寝かせて水平にしておけば、失敗事故は避けられたでしょうか?
この間、ときどき記録した室温は以下の通り。
午前6:26 室温22.3℃、湿度62%
午前7:22 室温21.0℃、湿度72%
午前8:54 室温21.5℃、湿度72%
つづく→#15:小枝に繭を作り直したイラガ(蛾)終齢幼虫b【100倍速映像】
【おまけの動画】
同じ素材で再生速度を落とした60倍速映像とオリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開します。
じっくり見たい方はこちらをご覧ください。
2017年7月下旬・午前6:50
朝の蓮池に飛来したスズメ(Passer montanus)が水面を覆うハス(蓮)の葉に着陸しました。
体重が軽いので、沈まずに水面に浮いていられます。
葉から葉へときどき走り回って、何か虫を捕食しているようです。
もう1羽は初め、大きな蓮葉の下で休んでいました。
まるで大きな日傘をさしているようです。
スズメは長い茎にも器用に止まることが可能です。
蓮の葉は高い撥水性を持つため、スズメが動くことで葉に付いていた大きな水滴が玉のように動きます。
▼関連記事
水を弾き泥汚れも付かないハスの葉の秘密:ロータス効果の実演
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ハンディカムで撮ったので、画質や望遠性能がいまいちです。
2016年10月上旬
山麓の果樹園で洋梨(ラ・フランス)の枝になったまま熟した(腐りかけた)果実に秋型のキタテハ(Polygonia c-aureum)が何頭も集まっていました。
翅を閉じたまま果汁を吸っています。
後半は秋の陽射しを浴びつつ翅を開閉したり方向転換してくれるようになりました。
複数個体を撮影。
発酵した芳香に誘われて、他にはハエ(種名不詳)も集まっていました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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ラ・フランスの果実で吸汁するアカタテハ、ヒメスズメバチ、キタテハ秋型
2017年8月上旬・午後15:43
池の水面を覆うスイレンの葉の乾いた中央部にモンスズメバチ(Vespa crabro)のワーカー♀が乗って、水を飲んでいました。
飲み終えると、すぐにどこかへ飛び去りました。
関連記事(6年後の撮影)▶ 飲水後に桜の樹上で身繕いするモンスズメバチ♀
ちなみに、池のスイレンは白い花が咲きかけの蕾ばかりでした。
ヒツジグサ(未の刻=午後2時頃に開花)なのですかね?
睡蓮には開花時刻の異なる多様な品種があるそうです。
来季は開花するスイレンの微速度撮影にチャレンジしてみたいものです。