2011/01/29

クロスズメバチ♂の日光浴と化粧




2010年11月中旬・気温14℃

里山の尾根でクロスズメバチの仲間が地面(コンクリート)に止まっていました。
体温を上げるための日光浴でしょうか。
少し歩くと身繕いしました。
腹部が7節あり、触角が長く13節あることから♂と判明。
腹端の交尾器も見えます。
頭楯の黒斑紋が初めて見るタイプだったので、採集して調べてみるとヤドリホオナガスズメバチ♂と分かり興奮しました。
本種の女王はシロオビホオナガスズメバチの巣に社会寄生する珍しい習性があります。
チャイロスズメバチとは異なり、自らはワーカー(娘)を産まないのだそうです。



【追記】
ヤドリホオナガスズメバチとしたのは早とちり(誤同定)かもしれません。
頭楯の黒色班が上縁に達しないという特徴だけで決めつけていました。

  • ホオナガスズメバチ属なら横顔で頬(マーラー・スペース)がもっと長いはず?
  • ヤドリホオナガスズメバチ♂の小楯板の黄色斑は小さく円形に近い形。→本個体には当てはまらない。
  • ホオナガスズメバチ属の3種(ニッポンホオナガスズメバチ、シロオビホオナガスズメバチ、ヤドリホオナガスズメバチ)の♂については、顔の模様だけでは区別できないらしい(交尾器を確認する必要がある)。
  • ヤドリホオナガスズメバチは複眼内側の白紋(淡黄色紋)は退化して見られない。→本個体にははっきり見える。
  • ヤドリホオナガスズメバチ♂の腹部の帯は黄色味が一層強い。
  • 例えばシロオビホオナガスズメバチ♂は同一コロニー出身でも頭楯の黒班は変異に富む。(上縁に達しない変異個体もいる。)
という訳で保留とします。


その後、どうにも気になったので「蜂が好きBBS」にて問い合せてみると、Dolichovespula属ではなくVespula属のクロスズメバチ♂とご教示頂きました。
VespulaDolichovespulaの違いは頬の長さともう一つ、前胸背板の側面に隆起線の有無です。」
長年の懸案事項に決着が付いてすっきりしました。


コンボウケンヒメバチ♀



2009年6月中旬

とても長い産卵管を持った蜂がカエデの葉に乗って念入りに身繕いしていました。
初めて見る蜂でしたが、アシナガバチより大きかったと思います。
蜂類情報交換掲示板で問い合わせたところ、
「ケンオナガヒメバチ亜科の一種、というところまでは間違いありません。画像と動画ではよく見えないのですが、前翅の鏡胞があればColeocentrus incertus (Ashmead) コンボウケンヒメバチで良いと思います。」
と専門家から教えて頂きました。
長い産卵管を用いて木の中に潜むカミキリムシの幼虫に寄生産卵するのだそうです。

マミジロハエトリ♂(蜘蛛)の狩り失敗



2009年6月中旬

雑木林の下生えを徘徊するマミジロハエトリ♂(Evarcha albaria)を接写。
白い触肢と眉毛が美しい。
偶然近くに着陸したハエに飛びつくも残念ながら逃げられました。
最近会得した撮影のコツとして、ハエトリグモが葉裏に隠れたときは指を裏から回してクモの目の前でそっと動かし、驚かせることで葉の表に来させることができます。


セモンジンガサハムシ



2009年6月中旬

クズの葉で見つけたセモンジンガサハムシCassida versicolor
金色の小さいボタンのような葉虫で、よく見ると外縁部が透明です。
指で触れると少しだけ歩いて移動しました。

【追記】
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p148によれば、
カメノコハムシ亜科では、背面が金属光沢をおびている種が多い。その機能は、かならずしも十分に解明されていないが、個体間の視覚的情報伝達ばかりでなく、天敵に対する目くらましの効果もあると考えられる。


卵嚢を持ち歩くハリゲコモリグモ♀(蜘蛛)



2009年6月中旬

山中の沼に近いアシ?の葉にて、卵嚢をお尻に付けて持ち歩くコモリグモが日光浴するかのように徘徊していました。
闇クモ画像掲示板にて写真鑑定による同定をお願いしたところ、消去法でおそらくハリゲコモリグモ♀(Pardosa laura)だろうと教えて頂きました。
この日は似たような母蜘蛛を沢山みかけました。
撮影後に採集し持ち帰ると(体長6.5mm)、約1週間後に幼体が出嚢しました。




メスグロヒョウモン♀の羽化不全個体



2009年6月中旬

羽化直後のメスグロヒョウモン♀(Damora sagana liane)を見つけました。
残念ながら翅が正常に伸びていません。
辺りの草が最近一斉に刈られてしまったので、おそらく蛹の付いた草が刈られてしまい、羽化時の足場を失い翅伸展に失敗したのでしょう。
近くに羽化殻は見当たりませんでした。
このまま飛べずに死を迎える他ないでしょう。

アトボシアオゴミムシ



2009年6月中旬

虫我象掲示板にてアトボシアオゴミムシChlaenius naeviger)と教えて頂きました。
雑木林の林床でドクダミの葉に乗っていました。
後ろ向きで尻を持ち上げてひくひくしたので、ヘッピリ虫の有名なガス放出かと警戒しました。
しかし本種の防衛法は悪臭を放つ液を滲ませる程度なのだそうです。
本来は夜行性らしい。



ダイミョウセセリの吸蜜



2009年6月中旬

今季初めて撮ったダイミョウセセリDaimio tethys tethys関東型(原型)。
セセリチョウにしては珍しく、吸蜜中も翅を全開したままのようです。
全体的に鱗粉が擦れて剥げ落ちた個体。
キイチゴの仲間だと思うのですが、何の花か植物の名前を調査中です(茎に刺あり)。


糸を伝い歩き移動するワカバグモ♂(蜘蛛)



2009年6月中旬

雑木林の林床でワカバグモ♂(Oxytate striatipes)がお尻を上げて糸を吹流しのようにたなびかせていました。
やがて糸を手繰り寄せると、綱渡りのように伝い歩きを始めました。
繁殖期なので伴侶を探す旅に出たのでしょう(婚活)。
ワカバグモは造網しない徘徊性のクモなので、移動に糸を使うシーンを初めて見て新鮮な驚きを覚えました。
草叢を普通に徘徊するより安全で楽な(コストの低い)移動法なのでしょうか。

オオカマキリ幼虫



2009年6月中旬

多分オオカマキリTenodera aridifolia)の幼虫だと思います。
破れたフキの葉に乗って待ち伏せしていました。
視線の先に獲物がいるのかと探しても私の目には狙いが分かりませんでした。
おまけにこちらを警戒して正面から撮らせてくれませんでした。

キザハシオニグモ♀(蜘蛛)の卵嚢ガードと威嚇



2009年6月中旬

前回の観察から11日後に再訪すると、驚いたことにキザハシオニグモ♀(Gibbaranea abscissa)が未だ同じ場所で卵嚢保護を続けていました。
今回は新しく蝿の死骸(食べ残し)が残されているので、捕食したのでしょう。
卵嚢ガード中の♀クモは捕食しない(絶食する)のが普通とされているので、珍しく思いました。
指や草で歩脚に触れると健気に威嚇攻撃してきました(母は強し)。
しつこくちょっかいをかけると一転して身を縮めますが、それでも卵を捨てて逃げ出すことはありませんでした。






卵嚢を守るキザハシオニグモ♀(蜘蛛)



2009年6月上旬

山中の建物東壁の縦溝にキザハシオニグモ♀(Gibbaranea abscissa)が張り付き産卵していました。
地上からの高さ65cm。
てっきり卵嚢を作製中なのかと思いましたが、完成した卵嚢を離れずガードしているのかもしれません。
撮影前は近寄ると歩脚を挙げて威嚇したのですけど、改めて動画に記録しようとすると再現できませんでした。
続編あり)

ヨツボシワシグモ♀?(蜘蛛)



2009年6月中旬

里山の道端の茂みでクサグモの棚網を見ていたら、これが飛び出してきました。
闇クモ画像掲示板で問い合わせたところ、「既知種ならヨツボシワシグモ♀(Kishidaia albimaculata)である可能性が最も高い」と教えて頂きました。

2011/01/28

ハスジカツオゾウムシ




2010年11月中旬

セイタカアワダチソウの萎れた花の間に象虫が隠れていました。
風で揺れて接写しにくいので、花を切り落として地面に置きました。
体長11mm(口吻を含まず)でハスジカツオゾウムシLixus acutipennis)だと思います。
私には性別を見分けられませんが、本種の♀はキク科の茎に産卵するらしいので、もしかしたらそのためにセイタカアワダチソウに訪花していたのかもしれません。
象虫は動きが鈍く逃げなかったので、そっと指を差し出して手に乗せてみました。
体温が上がったはずなのに、あまり活発になりません。
最後に仰向けにして偽死後の起き上がり運動も観察しました。
翅は使わず横に寝返りを打って起き上がりました。
気温18℃。

エゾウズグモ♀(蜘蛛)と卵嚢



2009年6月下旬

軒下奥で円網を張っている蜘蛛。
この日は強風が吹き付けるので網を補修して卵嚢の固定を強化しているようです。
いつもお世話になっている闇クモ画像掲示板にてエゾウズグモ♀(Octonoba yesoensis)と教えて頂きました。
本種は通常、腹部前方が高く盛り上がるのですが、成熟したて及び産卵後は山型にならないそうです。
(出嚢後の様子はこちら。)

コクワガタ♀



2009年6月下旬

庭に面したコンクリート壁面に止まっていた体長23mmのコクワガタ♀(Dorcus rectus)。
今季初物です。
一瞬ゴキブリかと思わず二度見しました。
なんでこんな所に…。
庭に放置してある朽木を食べて幼虫から育ったのだろうか。
仰向けにしたときの起き上がり方が下手ですね。
足がかりの無いコンクリート面ではいくら奮闘しても自力で起き上がれませんでした。
テントウムシやコガネムシのように翅を広げて起き上がればよいのに。

イオウイロハシリグモ♀(蜘蛛)の卵嚢作り:後編



2009年6月下旬

(つづき)
空中での作業が一段落すると、イオウイロハシリグモ♀(Dolomedes sulfueus)は卵嚢の上に乗り触肢で抱えながら足場糸から切り離しました(口で噛み切り、脚で引き千切った)。
腹面に抱え込んだまま地上に降りました。
ペットボトルの蓋(直径30mm)をクモの水飲み場として入れています。
普段からお気に入りの場所らしい水場の縁に卵嚢を乗せて暫し休憩。
卵嚢を抱えて移動してから、卵嚢を地面に置いたまま糸を追加。
まるでバランスボールに乗って遊んでいるようです。
再び水場に卵嚢を運び、驚いたことに無造作に水に浸しました。
卵嚢は水面に浮いているようですが、撥水性の濡れない素材なのだろうか※。
暑いので気化熱で冷やしているのだろうか。
卵嚢に糸を追加する作業を続行。
疲れるのか頻繁に休みながらも断続的に働きます。
前日まで大きく膨れ上がっていた腹部も産卵後はすっかり凹んでしわくちゃです。
無精卵(未受精卵)の卵嚢を♀が今後どう扱うのか興味があります。
絶食したまま卵嚢を肌身離さず持ち歩きひたすらガードするのだろうか。


 ※ 追記: 後日改めて検証したところ、この卵嚢は浮力で水に浮くものの撥水性は無いと判明。


次の飼育記録はこちら卵嚢選択実験)。



↑【おまけの動画】
卵嚢作りの前後編を通した4倍速の早回し映像を作ってみました。


イオウイロハシリグモ♀(蜘蛛)の卵嚢作り:前編



2009年6月下旬

イオウイロハシリグモ♀(Dolomedes sulfueus)の飼育記録。
ある朝気づいたら既に産卵を終えており、静かに卵嚢を紡いでいました。
外は雨、室温21℃。
幼体の時期に採集してきて以来、単独で飼育してきたので♂と交接(交尾)していません。
婿殿を探してやることができませんでした。
最近また食欲が落ちていたので、また脱皮するのかと思っていました。
未交接でも産卵するとは意外です。


容器内の高所に不規則な粗い網を張り巡らし、卵嚢を吊り下げています。
糸疣を卵嚢に付け、引き伸ばした糸を一度たるませてから再び卵嚢に付ける、の繰り返し。
卵嚢の表面はふわふわに毛羽立っています。
卵嚢を抱いたまま器用に向きを変えながら、万遍なく球状になるよう作業を進めます。
普段は造網しないイオウイロハシリグモが一度にこれほど大量の糸を出す姿は初めて見ました。
後編につづく)


エントツドロバチ♀の巣作り



2009年6月下旬

前回の観察から7日後。
エントツドロバチOrancistrocerus drewseni)の初期巣に特有の煙突状入り口が無くなり、巣全体が泥で埋められていました。
標識しないと個体識別は無理ですけど、同じ♀でしょうか。
巣のあちこちから少しずつ削り取った不要の泥を集め、泥塊の中央部に新しい育房を作ろうとしている模様。
今回はマクロレンズで撮影してみました。
ピント合わせが難しい。
背側から撮っても作業の詳細はよく分かりません。
側面から口元を撮りたくても軒下奥で無理な体勢を強いられるのでアングルが不自由です。
昨年観察したヒメベッコウ(ベッコウバチ科/クモバチ科)の造巣とは異なり、本種エントツドロバチ(ドロバチ科)は大顎だけで左官作業を進めています。
定点観察の頻度を上げたくても、忙しくてなかなか難しいのが現状です。
いつか監視用のウェブカメラ等を設置し、造巣過程を微速度撮影してみたいものです。
次の観察記録はこちら

エントツドロバチ♀の巣作りを見守る怪しい蝿



2009年6月下旬

軒下に営巣したエントツドロバチOrancistrocerus drewseni)の観察記録。
前回紹介したように、このところ♀が泥巣を改築しています(巣材の再利用)。
二匹のハエが泥巣の直下に止まり、作業をじっと見守っていることに気づきました。
果たして偶然の訪問者だろうか。
残念ながら同定用の写真は撮れませんでした。
寄生蝿ではないかと疑い調べてみると、ドロバチ類に労働寄生する蝿としてドロバチヤドリニクバエが知られており、寄主の巣内に幼虫を産下するらしい。
蜂が今作っているこの泥巣には未だ煙突状の入り口があります※(初期巣)。
育房作りの段階でないと判断したのか、蝿はそのまま飛び去りました。
私の考え過ぎだろうか。
作業中のエントツドロバチ♀は離巣しても直ちに戻ります(ときどき外で水を飲んで来ます)。
単に仕事熱心なのか、あるいは寄生者を警戒しているのだろうか。 


《参考》 『昆虫学五十年:あるナチュラリストの回想』 中公新書・岩田久二雄 p30より 
ドロバチヤドリバエは狩猟中のオオフタオビドロバチ母蜂が獲物を携えて巣に帰る途に待ち伏せて、跡をつけて巣を確認し、蜂が次の獲物をとりにゆく留守の巣に接近して、その入り口に蛆虫をうみおとす。体長1mmの蛆虫は独房内に這い込む。(蛆は寄主が蓄えた獲物を食べて育つ。) 




※ 入り口に取り付ける泥の円筒は、巣に寄生する蝿などが、巣の中を直接覗けないようにするためらしい。
(『カリバチ観察事典』 偕成社 p20より)

ルリハムシ幼虫の分泌液



2009年6月下旬

飼育中のルリハムシLinaeidea aenea)幼虫を久しぶりに観察したら大きく育っていました(二齢?)。
尾端を吸盤のように葉に吸い付かせ、3対の胸脚で尺取虫のように歩きます。
ピンセットの先で突付くと背側二列に並ぶ各体節の突起から透明な液体を分泌しました。
特に匂いは感じませんでした。
身を守る毒液なのだろうか。
それとも、アリに放牧されているアブラムシが触角で叩かれると甘露を分泌するのと似た現象なのだろうか。
繰り返し刺激されると分泌が鈍るようです。
個体差なのか、余り汁を出さない個体もいます。


〈追記〉
その後忙しさにかまけて食べ盛りの幼虫のために餌(ヒメヤシャブシの葉)を用意してやれなくなり、蛹化する前に全滅してしまいました。南無

シリーズ完。




ルリハムシ初齢幼虫の食事



2009年6月中旬

ヒメヤシャブシの葉裏に産み付けられたルリハムシLinaeidea aenea)の卵をそのまま密閉容器に入れて置いたら黒い幼虫が孵化してきました(♂♀ペアを採集してから6日後)。
早速、葉を食べています。
自分たちが出てきた卵殻には決して口を付けませんでした。
つづく





ルリハムシの卵



2009年6月中旬

採集したルリハムシLinaeidea aeneaの♀♂ペアをヒメヤシャブシの枝と一緒に持ち帰ったら、葉裏に♀が産卵したようです。
卵を数えたら29個も産み付けてありました。
♀の体表に付着した1個と合わせて、少なくとも30個産卵したことになります。
成虫は外に逃がし、卵を試しに飼育してみます。
つづく






ルリハムシの起き上がり運動と脱糞



2009年6月中旬

野外で採集してきたルリハムシLinaeidea aenea)と少し遊んでみました。
方眼紙上で仰向けにしたら擬死の後、翅を使って後転しながら起き上がりました。
映像の前半に登場するのは♀で、体側に卵が付着しています。
後半は♂で、抗議の脱糞を行ないました。
まさに金魚の糞状態で(糞切りが悪い)暫く引きずって歩きます。
採集して持ち帰るまでの間に食べたようで、ヒメヤシャブシの葉に食痕があります。
つづく




ルリハムシの求愛と脱糞




2009年6月上旬

ヒメヤシャブシ(カバノキ科ハンノキ属)の葉の上で交尾しているルリハムシLinaeidea aenea)を発見。
よく見るとマウントしているだけで交尾器の結合には至ってないようです。
風で葉が揺れて撮り難いので、枝ごと切り落とし地面に置いて接写しました。
名前の通り瑠璃色というか虹色に輝く金属光沢が美しい。
 ♀の背にマウントした♂が前方に移動し、♀の頭部に触れて何か合図しています(求愛?)。
次の瞬間、なんと♀は脱糞しました。
姿に似合わず、何ともはやムードのかけらも無い♀ですね。
これは偶然のタイミングだろうか。
もしかしたら交尾拒否の合図だったりして。


ペアを葉ごと採集して持ち帰ったら葉裏に産卵していました。
体長は♂6mm、♀7.5mm。
つづく


勇気凛々瑠璃葉虫の色♪


2011/01/27

キアシナガバチの巣材集め




2010年8月上旬〜9月上旬

軒下に営巣したキアシナガバチPolistes rothneyi)の定点観察。
紫色のマーカーで個体標識したワーカー(7月下旬にマーキング)が巣の下に置かれた材木から巣材を集めていました。


この映像は3回に渡って記録した夏の映像をまとめたものです。
同一個体が繰り返し同じ場所から採取しているのが興味深いです。
この個体(W紫)は巣材集め専業のワーカーなのだろうか。
他のワーカーは別な場所から巣材を集めて来るのかもしれない。
木の皮を剥いで団子にすると、飛んで帰巣しました。
一度は巣S9に降り立ったものの仲間が不在なので※、約30cm離れた隣の巣S10にすぐ移りました。
今年のコロニーは創設当初から女王が2巣並行営巣しているのです。
アシナガバチが巣材を集める行動を観察出来たのは実はこれが初めてだったので、非常に嬉しい収穫でした。


※ 寄生蛾(カザリバガ科マダラトガリホソガの仲間)の激しい攻撃を受けた結果、在巣の成虫は巣S9を見捨てサテライト巣S10の営巣活動に専念するようになりました。


蜂が帰巣に迷うことが多い点も興味深いです。
軒下に隣接する二つの巣をきちんと区別して覚えられない(紛らわしい空間認識)ことが並行営巣のきっかけではないかと私は推測しています。

つづく→シリーズ#

イオウイロハシリグモ♀(蜘蛛)による卵嚢選択実験



2009年6月下旬

飼育中のイオウイロハシリグモ♀(Dolomedes sulfueus)が卵嚢を作ってから5日後。
無精卵なのに卵嚢を肌身離さず抱えて歩き、絶食状態で保護しています。
母性本能の実体を調べるために、『ファーブル昆虫記』で読んだ実験を真似て卵嚢を取り上げてみることにしました。
しかし卵嚢に触ろうとするだけで当然逃げ回ります。
無理やり奪うと怒った母クモに噛まれるかもしれません。
安全のためクモを一時捕獲し炭酸ガスで全身麻酔しました。



仰向けにされても卵嚢は手離しません。
ピンセットで卵嚢を取り上げると簡単に外れました。
偽物の卵嚢を用意しました(脱脂綿玉4個、トイレットペーパーの紙玉2個)。
♀を容器に戻し、麻酔から醒めるのを待ちます。
周囲に偽卵嚢を等間隔に並べ、本物の卵嚢も紛れ込ませておきます。
覚醒した♀は卵嚢が無いことにすぐ気づいた様子。
容器内を一回りすると、自分の卵嚢を迷うことなく選び、抱え込みました。
偽卵嚢の全てには触れておらず、視覚のみで選択できたようです。
臭いがあるのかもしれない。
実物の卵嚢は表面が汚れ、意外に固く締まっていました。
偽卵嚢として固い素材(コルク片やスポンジなど)も試すべきだったかもしれません。
ファーブルの記述したナルボンヌコモリグモの実験結果(とにかく手近にある丸い物体を取り返せば満足する)とは全く異なり、興味深いです。
(飼育記録の続きはこちら。)

《参考》
集英社文庫 『ファーブル昆虫記 第4巻:攻撃するカマキリ』 p51~




『ハチの家族と社会―カースト社会の母と娘』 中公新書 p7より
日本では、ファーブルを愛する人は彼以後の発展に留意せず、昆虫の研究者はめったにファーブルに言及しない。残念なことである。



【追記】
『観察の本4:クモの親と子』p62〜65によれば
ウズキコモリグモの母グモから卵嚢を取り上げてから代用物を差し出すと(大豆、木片、消しゴム、チョーク、紙玉など)、クモは形や重さなどほとんどお構いなしに、お尻につけるらしい。(代用実験)

シラホシカミキリ



2009年6月下旬

初めて見つけたシラホシカミキリGlenea (Glenea) relicta relicta)。
近付くと飛んで逃げました。
 


ミズイロオナガシジミ



2009年6月下旬

ゼフィルスのミズイロオナガシジミAntigius attilia)を初めて撮ることが出来ました。
尾状突起を触角に見立て、体の前後を擬態しているのでしょうか。
後翅を擦り合わせて、触角の動きを模しているように見えます。
 


ヤマアカガエルのすべらない話



2009年6月下旬

里山の渓流で岸にヤマアカガエルRana ornativentris)が休んでいました。
近付くと驚いて水に飛び込み渡河しました。
対岸の岩が水苔で滑るようで、登れないでいます。
困っている必死な姿が可笑しい。
「自分すべりっぱなしやないかぃ!」
実はこの二匹は近くに居た別個体なのですが、ストーリーを分かりやすくするため(状況説明)繋いでみました。
 


ルリシジミの集団吸水



2009年6月下旬

いつもお世話になっている我虫像掲示板にて、ルリシジミCelastrina argiolus)と教えて頂きました。
林道上の泥濘で3頭が集団で吸水していました。
飲みながら時々おしっこしています。
飛び立った内の1頭が近くの笹の葉に止まりました。
しばらく待っても泥には戻りませんでした。


【追記】
日高敏隆『群となわばりの経済学(岩波グラフィックス〈9〉)』p9によると、
水場に集まって水に含まれたわずかの塩分を吸収しているチョウたちも、実験的に調べてみると、その場所や水や塩分そのものにではなくて、そこにいる仲間の姿にひかれて集まってくるのだ。
ルシシジミについて実際にそのような実験をやられたことは無いと思うので、いつか試してみたいものです。



ヨウロウヒラクチハバチの産卵



2009年6月下旬

アシナガバチそっくりなので一瞬見間違えましたが、調べてみるとヨウロウヒラクチハバチ♀(Leptocimbex yorofui)のようです。
♀がヤマモミジの葉の表に卵を産み付けているようでした。
重なり合う葉が邪魔になり、残念ながら肝心の産卵管がはっきり見えませんでした。
幼虫はカエデ類の葉を食べて育つことが知られているそうです。


 


川の水を飲むスズバチ



2009年6月下旬

暑いので渓流に入って遡上していたら、丁度足元にスズバチOreumenes decoratus)が降り立ち川岸から水を飲み始めました。

シリアゲコバチ♀の産卵行動



2009年6月下旬

一匹のシリアゲコバチ♀(Leucospis japonica)が竹筒トラップ内に作られたツツハナバチOsmia taurusの巣を物色しています。
一本の竹筒(入り口を泥で塞がれていない)に狙いを定めたようで、外から産卵し始めました。
体を前屈させることで後ろに背負った長い産卵管の先を竹に垂直に突き立てています。
竹の表面は硬く滑り易いので、産卵管がうまく刺さっていない気もしますが定かではありません。
後で産卵孔を確認すべきでした。
位置を変えながら何度も針を突きたてていますが、本当にうまく産卵できたのだろうか。
竹筒トラップを回収して羽化してくる蜂の種類を調べてみればよかったですね。

《追記》
別の竹筒トラップでも同様に竹の外側からツツハナバチの巣に産卵している姿が見られました。


【追記2】
『日本蜂類生態図鑑:生活行動で分類した有剣蜂』p12によると、
シリアゲコバチ(Leucospis japonica Walker)は、(中略)ハキリバチ科の花蜂の結繭後の前蛹に体外寄生するために、巣の外部から長い産卵管で巣壁に穿孔する。(中略)これらの寄主になる花蜂は好んでアシやタケの筒を利用して営巣するが、肉の厚いタケ筒などでは割れ目がないかぎり、中の独房まで産卵管を貫通することはできない。アシの筒の場合には外壁からよく突き通すことができる。
 

竹筒トラップを物色するシリアゲコバチ♀



2009年6月下旬

さっきまで身繕いしていたシリアゲコバチ♀が飛び立ったかと思うと、近くに置かれた竹筒トラップに興味を示しました。
春先にここでツツハナバチが営巣していた物件です。
実はシリアゲコバチはツツハナバチの天敵で、巣に寄生産卵することが知られています。
泥で封鎖されていない入り口から竹筒内に侵入し、後ろ向きに出て来ました。
固唾を飲んで見守っていると・・・(つづく
 


お化粧するシリアゲコバチ♀



2009年6月下旬

資材置き場でシリアゲコバチ♀(Leucospis japonica)が熱心に身繕いしていました。
飛び立った先には・・・(つづく
 


イオウイロハシリグモ♀(蜘蛛)の卵嚢保護



2009年6月下旬

飼育中のイオウイロハシリグモ♀(Dolomedes sulfueus)が卵嚢ガードを続けています。
餌を全く捕らなくなりました。
容器に投入した虫が近付いても無視したり嫌がって逃げたり追い払うだけです。
水場周辺がお気に入りなのですけど、この日は常に抱えていた卵嚢を手放し、水に浮かべたまま身繕いしている珍しい光景に出会いました。
この卵嚢は無精卵(未受精卵)なので、♀の絶食および卵嚢保護が何時まで続くか興味深く見守っています。
つづく


2011/01/26

ウスオビフユエダシャク♀(冬尺蛾)を見つけた!




2010年11月中旬

山中(標高約650m)の建物の壁に冬尺蛾の♀がじっと止まっていました。
我虫像掲示板にて写真鑑定してもらうと、ウスオビフユエダシャク♀(Larerannis orthogrammaria)だろうとご教示頂きました。
実は翅の退化したフユシャク♀を実際に見るのはこれが初めてで、感動しました。
接写すると確かに退化した翅の痕跡が残っているのが分かります。
口吻も退化しています。
採寸すると体長11mm。しばらく待てば♂が飛来して交尾したのだろうか。
 
腹端に指で軽く触れるとピクンと驚いて逃げ始めました。
壁面を右に右に歩きました。
足場の滑り易い所は上に登って避けました。
手乗りにも挑戦してみたのですけど、差し出した指を嫌がるような素振りを見せました(映像なし)。
もしかして低温に適応した冬尺♀にとって人肌は熱すぎるのかと妄想したのですけど、たまたまだったようです。




キアシブトコバチの羽化





2009年7月上旬

野外で採集したヒョウモンチョウの一種(ミドリヒョウモン/メスグロヒョウモン?)と思われる垂蛹の一つが、他の蛹と比べると矮小化していました。
黒化したものの、蛹を透かして見ると中身が萎縮していました。
寄生を疑い、密閉容器に隔離して何が羽化するのか待ちました。
初めて見る可愛い蜂でしたが、調べてみるとキアシブトコバチBrachymeria lasusという寄生バチらしい。
鱗翅目(蝶、蛾)の蛹に寄生することが知られているそうです。

《追記》
同じ場所で採集したもう一つ別の垂蛹(これは正常の大きさだった)からも本種が羽化しました(映像なし)。
寄生率の高さを窺わせます。

踊るカザリバ(蛾)




2009年7月上旬

先程とは別個体aのカザリバCosmopterix fulminella)。
すぐ近くに生えたヒメヤシャブシ?の葉で踊っていました。
いわゆるレック(集団お見合い場)とみなすのは考え過ぎだろうか。
二匹とも撮影直後に採集しました。


カザリバ(蛾)の踊り




2010年6月中旬

オニグルミの葉でクルクル回っていた美しいミクロ蛾b。
前翅長~4.5mm。
カザリバCosmopterix fulminella)の求愛行動なのでしょうか。 


野生タヌキ♀との遭遇



2009年7月上旬

山道の前方に何か気配がしたのでよく見ると、野生のタヌキがこちらを向いていました。
しばらく睨み合った末、道端の草叢に消えました。
夏毛のタヌキは痩せて見えます。
写真を拡大してみると乳首らしきものが見えるので♀なのかな?



 


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