2017/09/09
ビル壁穴の巣から雛の糞を捨てに飛び立つムクドリ【野鳥:ハイスピード動画】
2017年6月中旬
街中のビルの壁面にムクドリ(Sturnus cineraceus)が飛び込んだので、新たに営巣地を見つけることができました。
換気扇の排気口とは別に、窓と窓の間の壁に丸い穴が空いていて、その奥に巣があるようです。
出巣の瞬間を240-fpsのハイスピード動画で記録してみました。
雛に給餌を終えた親鳥は、巣口で少し躊躇っています。
次の餌を取りに出かける親鳥をよく見ると、雛の糞を嘴に咥えていました。
こうして雛が食後に排泄した糞を親鳥がせっせと外に捨てに行く排糞行動のおかげで、巣の中は清潔に保たれるのです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
2017/09/08
ムラサキツメクサの花で盗蜜するクマバチ♀
2016年10月上旬
農道(堤防)沿いの草地に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。
クマバチ♀の後脚を見ると、花粉籠は空荷でした。
ムラサキツメクサの花は鞠状の集合花序です。
筒状の小花の一つ一つに丁寧に舌を差し込む(正当訪花)のではなく、クマバチは小花を掻き分けるとその根本を噛んで穿孔盗蜜していました。(※追記参照)
この吸蜜法では雄しべの花粉に触れませんから、クマバチの後脚の花粉籠が空荷なのは当然です。
クマバチはハナバチ類の中でも舌が短いため、盗蜜の常習犯なのです。
(もしかすると、クマバチの舌はムラサキツメクサの小花に差し込むには太過ぎるのかもしれません。)
同一個体をひたすら追跡して撮影しました。
3年前にはほんの一瞬しか撮影できず悔しい思いをしたのですが、今回ようやくじっくり観察することができて感無量です。
▼関連記事
ムラサキツメクサを訪花するクマバチ♀
藤丸篤夫『花の虫さがし』という私の大好きな本によると、
(ムラサキツメクサの花で)蜜を吸いに来るハチの種類が、シロツメクサより少ないわけは、花の長さがシロツメクサより長いために、舌の短いハチでは、蜜が吸えないからです。(p29より引用)
石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学』を読むと、アカツメクサは長花筒花、シロツメクサは短花筒花という用語で呼ばれていました。(kindle版 p141より)
【追記】
鈴木和雄『蜜を盗むハチ:マルハナバチの盗蜜行動』によると、
盗蜜には二つのやり方があります。一つは蜜を吸うために花の一部に穴をあけたりする破壊行為を伴う場合で、「略奪」(Nectar robbing)、もう一つは破壊が起こらない場合で、「窃盗」(Nectar theft)といいます。略奪は短く丈夫な口吻をもったオオマルハナバチ、クマバチなどが行う場合が多く、窃盗は細長い口吻をもったガやハチドリなどにみられます。(ポピュラーサイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p66-67より引用)
これらのハチは口吻が短い代わりに丈夫にできていて、穴をあけやすくなっています。穴は顎で噛んであける場合もありますが、多くは口吻を突き刺してあけているようです。(同書p69より)
実は今回の映像でも、クマバチはムラサキツメクサの花の基部を大顎で噛み切ったのではなくて口吻を突き刺して穿孔したような気がしました。
そのように記述してある専門家の総説にようやく巡り会えたので、引用しておきます。
最後のスナップショットでは珍しく正当訪花している? |
比較のために、舌の長い他のハナバチの吸蜜シーンをご覧ください。
・アカツメクサに訪花するトラマルハナバチ♀
・アカツメクサを訪花するシロスジヒゲナガハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でアカツメクサの項を参照すると、
シロツメクサよりは花の筒状の部分が長いため、ミツバチより大きいハナバチだけが蜜と花粉の両方を利用することができる。(p39より引用)
確かに言われてみれば、ムラサキツメクサの花で採餌するミツバチを一度も見たことがありません。
▼関連記事(4年後の撮影:シロツメクサには正当訪花)
シロツメクサの花で吸蜜するクマバチ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】
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豆畑に撒いた種を採食するキジバトのつがいと餌乞い(野鳥)
2017年6月上旬・午後18:23
夕方まで降り続いた雨がようやく上がって晴れました。
種を撒いたばかりの枝豆(ダイズ)とインゲンマメの畑で2羽のキジバト(Streptopelia orientalis)が採食していました。
この2羽は番(つがい)なのか、西日が差す畑の畝で互いに付かず離れず地上採食しています。
実は同じ畑で昨年も同様のシーンを観察しています。(単独採食)
▼関連記事
大豆の芽生えを食害するキジバト(野鳥)
1羽が餌を見つけると、もう1羽が駆け寄って来ることがあります。
♂に求愛給餌をせがむ♀なのかな?
それとも親子の関係で、幼鳥への巣外給餌なのかもしれません。(ハトは親鳥が雛にピジョンミルクを吐き戻して育雛するはずでは?)
キジバトは性別が見分けられないのがネックです。
しかし、せがまれても相手に給餌しませんでした。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によると、
ハトがダイズを播種した場所を覚えてしまっている場合には、播種直後から畑に飛来し、土中に播かれた種子を掘り出して食べていく場合もあります。 (p191-192より引用)
2017/09/07
イヌツゲ雌株の花蜜を吸うヒメシジミ♂
2017年6月中旬
生垣のイヌツゲ雌株には、ミツバチの他にヒメシジミ♂(Plebejus argus)も訪花していました。
翅を閉じたまま吸蜜していたのに、ミツバチが近づいて来たときだけ、威嚇するように翅をパッと広げました。
白くて小さな花から花へ飛んで移動し、後翅を互いに擦り合わせる行動も見られました。
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訪花
2017/09/06
幼虫を捕食するスズメ(野鳥)
2017年5月下旬・早朝
始業前の工場の敷地内で舗装路の脇に猫の額ほどの狭い植え込みがあります。
2羽のスズメ(Passer montanus)が早朝から争っていたのですが、私が撮り始める前に1羽は先に逃げてしまいました。
残ったスズメは、植え込みで見つけたイモムシを横の舗装路で喋んでいます。
親鳥が幼鳥に巣外給餌していたのかと一瞬思ったのですが、この個体は頬班が黒いので成鳥ですね。
初めに見た小競り合いは、成鳥同士が獲物を奪い合っていたのでしょう。
朝食を済ませたスズメは、道端の芝生に移動してから飛び去りました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
ラ・フランスの果実で吸汁するアカタテハ、ヒメスズメバチ、キタテハ秋型
2016年10月上旬
洋梨(ラ・フランス)の果樹園で、枝になったまま熟し過ぎた(腐りかけた)果実に種々の昆虫が集まっていました。
元々は野鳥につつかれたのかもしれません。(※追記参照)
甘い果実が発酵して、まるで樹液酒場のようなパーティーが開かれています。
アカタテハ(Vanessa indica)が翅を閉じたまま吸汁し、ときどき翅を素早く開閉しています。(威嚇?)
撮影中は気づかなかったのですが、同じ腐果の裏側でヒメスズメバチ(Vespa ducalis)も実を齧っていました。
アカタテハの隣にキタテハ(Polygonia c-aureum)秋型が飛来して吸汁を始めても、アカタテハは寛容でした。
これでもしルリタテハも来てくれたら、赤黄青の三色タテハが揃って役満だったのに…。
ちなみに、山形県は西洋梨の生産量(収穫量)で全国ナンバーワンを誇ります(2015年のシェアは65.1%)。
サクランボと並んで山形県の果物の代名詞となっています。
※【追記】
『原色図鑑 夜蛾百種―吸蛾類を中心として』という本を読んで初めて知ったのですが、果実が未熟で青いうちから夜行性の吸蛾類が口吻を突き刺して加害することがよくあるそうです。
夜の果樹園を見回るのも面白そうです。
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食事
2017/09/05
巣に来たハエを追い払うハシボソガラス(野鳥)
高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#2
2017年5月中旬・午後14:43と17:00頃の2回
鉄塔の近くを通りがかった際に、ハシボソガラス(Corvus corone)の親鳥が帰巣する瞬間を撮ることが出来ました。
雛が卵から孵化したかどうか不明です。
雛の背が巣の高さよりも成長するまで、餌乞いする雛の姿が外からは見えないのです。
鉄塔に登って巣の中を直接観察できない以上、親鳥の行動で推測するしかありません。
親鳥の帰巣後の行動が転卵なのか、幼い雛鳥への給餌なのか、私には判断できませんでした。
巣の周囲を飛び回るハエ?を親鳥が気にして嘴で追い払うような仕草が興味深く思いました。
こんな高所までハエが来ているということは、雛の食べ残しや糞などの汚物が巣にありそうです。
もしかすると、カラスの雛に寄生するハエがいるのかもしれません。
あるいは蚊柱のようなものの可能性もありそうです。
親鳥(♀?)が巣に座り込んで抱卵/抱雛を始めると、親鳥の尾羽根しか見えなくなりました。
![]() |
抱卵/抱雛中の親鳥♀の尾羽根が巣から飛び出て見える |
その数時間前には、親鳥が鉄塔の天辺から伸びる高圧線(いつもの定位置)に止まって辺りを監視していました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#3:抱雛を止めて巣から飛び立つハシボソガラス(野鳥)
イヌツゲ雌株の花蜜を吸うセイヨウミツバチ♀
2017年6月中旬
某会社の入り口の生け垣としてイヌツゲが植栽されていて、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が何匹も訪花していました。
羽音がブンブンとうるさく、どの個体を撮るか目移りしてしまいます。
庭木に対して私はあまり興味が無いのですが、昆虫との関わりがあれば名前を調べようという気になります。
丸くて小さな常緑の葉をつけた枝を全体として丸い樹形に刈り込んであります。
葉が互生しているので、ツゲではなくイヌツゲと確定しました。
小さくて白い花が地味に咲いていて、よく見ると雌しべだけで雄しべがありません。
イヌツゲは雌雄異株で、この木は雌株なのです。
クサグモ?の棚網もあちこちに作られています。
訪花しているミツバチの後脚の花粉籠は空荷でした。
雌花には花粉が無いため当然ですね。
複数個体を撮影。
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訪花
2017/09/04
前年と同じ高圧線鉄塔の巣で抱卵・転卵するハシボソガラス♀(野鳥)
高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#1
2017年5月上旬・午後17:00~17:36
ハシボソガラス(Corvus corone)が繁殖している巣をまた新たに見つけました。
実はこの高圧線鉄塔#21は、去年も不完全ながら定点観察しており、リベンジしたくて目をつけていた場所です。
造巣の過程を見落としてしまったのは残念でした。
去年と同じ♀♂番(つがい)が営巣しているのでしょう。
▼関連記事(当時は鉄塔aと表記)今季に私が見て回った中では、この巣が最も営巣段階が出遅れていました。
高圧線の鉄塔に営巣したハシボソガラスの定点観察:2016年
遠くから望遠レンズで巣を撮り始めると、1羽の親鳥が飛び去りました。
しばらくすると、親鳥がいつの間にか巣に戻っていました。
巣の中を覗き込んで、おそらく転卵しています。
巣に座って抱卵すると姿がほとんど見えなくなりました。
おそらくこの親鳥は♀と思われます。
もう1羽の親鳥♂が帰巣するシーンを撮り損ねてしまいました。
巣の右の鉄骨からピョンと巣に跳び乗りました。
抱卵していた親鳥♀に給餌したのかどうか興味があるのですが、鉄骨が邪魔でよく分かりません。
驚いたことに、2羽の親鳥が相次いで巣を離れました。
1羽は鉄塔の天辺から伸びる高圧線に止まると、しばらく辺りを警戒しています。
もう1羽はこちらに向かって飛んで来て、私の様子を偵察に来たようです。
警戒はしているものの、ハシブトガラスのように私に対して鳴き騒いだりせず寛容で、とても助かります。
カラスの方も私を見て、「去年もしつこく来てた顔馴染みの奴だ」と思っているのかもしれません。
いつの間にか、高圧線に親鳥の番が2羽並んで止まっていました。
私がじっとしていると人畜無害だと分かってくれたようで、1羽(♀?)が飛び立つと強風を利用して流されるように鉄塔に着陸しました。
巣の一段下の鉄骨を経由してから帰巣。
巣に座り込んで抱卵を再開したので、この親鳥は♀なのでしょう。
どうやら♀は抱卵をちょくちょく中断するようです。
掠れた声で鳴きながら巣の左へ飛び去りました。
領空侵犯があったのかな?(縄張り防衛行動)
戻ってきた親鳥♀は今回もいったん巣の一段下の鉄骨にフワリと着陸してから飛び上がって帰巣しました。
この♀個体に特有の帰巣ルートというか、癖なのかもしれません。
親鳥♀はすぐに抱卵を再開。
夕方に風が強く吹くと半袖ではかなり肌寒く、撮影中はウィンドブレーカーを上から羽織ってしのぎました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#2:巣に来たハエを追い払うハシボソガラス(野鳥)
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抱卵中の♀の尾羽が巣から少しのぞいて見える。 |
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鉄塔に近づくと巣を見上げるアングルになり、むしろ観察しづらくなる。(親鳥も警戒してしまうので、距離を保つのが吉) |
セイヨウタンポポの花蜜を吸うツマグロヒョウモン♂
2016年11月上旬
近所のちょっとした原っぱでツマグロヒョウモン♂(Argyreus hyperbius)を見つけました。
一度は通り過ぎたものの、見慣れないヒョウモンチョウだ!と二度見して引き返してから撮影。
本来ツマグロヒョウモンは南方系の蝶で、ここ雪国では越冬できないため稀にしか見かけません。
しかし近年の温暖化で分布域の北進が報告されています。
私が子供の頃は一度も見た記憶が無いのですが、最近は確かに目撃する頻度が上がっています。
関東や西日本の人には珍しくもなんともないのでしょうけど、私にとっては毎回が大事件です。
▼関連記事
・ツマグロヒョウモン♂がリョウブで訪花吸蜜
・飛べ!ツマグロヒョウモン♂【ハイスピード動画】
セイヨウタンポポを訪花して吸蜜していました。
日光浴のために広げた翅を少し上下しています。
吸蜜後は原っぱを飛び回ると、民家の壁際に生えたエノコログサの穂に止まりました。
翅を広げて晩秋の日差しを浴びています。
次は翅が美しい♀に会ってみたいものです。
関連記事(7年後撮影)▶ セイヨウタンポポの花で吸蜜するツマグロヒョウモン♀
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2017/09/03
畑や空中で虫を捕食するハクセキレイ♀の妙技(野鳥)
2017年6月上旬
家庭菜園でハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)を見つけました。
土を耕したものの作物は未だ何も生えていない畑を忙しなく走り回って土を啄んでいます。
それだけでなく、ときどき飛び上がって空中を飛んでいる虫を直接捕食しています。
華麗に舞う素早い動きに感嘆しました。
ハイスピード動画に撮れたら面白そうですけど、動きが予測不能なので難しそうです。
(セキレイ科は)しばしば空中でも虫を捕らえる。長い尾はこのときにバランスをとるのに役立つ。 (『色と大きさでわかる野鳥観察図鑑』p135より引用)
捕らえた虫を嘴に貯めていないので、雛に給餌するためではなく自分の食餌なのでしょう。
(未だ繁殖に参加しない若鳥なのかもしれません。)
▼関連記事
雛のために橋で虫を捕食するハクセキレイ♀(野鳥)
畑だけでなく、ときどき横の舗装路にも移動して昆虫を捕食しています。
途中でときどき羽繕いしました。
最後はチュチュチュン♪と鳴きながら民家の向こうへ(田んぼの方へ)飛び去りました。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』を読んでいて、ハクセキレイについて意外な事実を知りました。
セキレイ類をしばらく観察していると、たしかに尾羽をピョコピョコと上下に振っている。これはたいへん目立つ行動だ。セキレイのことを英語でワッグテイル(wagtail)というが、ワッグは振るという意味で、テイルは尾である。すなわち、英語ではセキレイは「尾振り」と呼ばれているわけだ。(中略)セキレイは歩くときには尾を振りません。首を振って歩きます。 (p104-105より引用)今回の映像を見直しても、確かにその通りでした。
実際のところ、セキレイは歩くときには尾を振らない。立ち止まっているときに振るのである。そして、歩くときには、ハトと同じように首を振って歩いている。セキレイはしばらく歩き、立ち止まっては尾を振り、また歩きといった動作を繰り返す。尾を振る印象があまりに強すぎるのと、歩いている途中で頻繁に立ち止まるので、つい歩きながら尾を振ると思ってしまうのだろう。 (p105より)
セグロセキレイを観察し、セキレイの尾振りは、天敵を警戒している時に頻繁に行なわれることを明らかにした。捕食者に対して、自分は気づいていることを伝えるメッセージだというのだ。(中略)ハクセキレイは、採食しているときにより頻繁に尾を振っていたこと、さらに、採食中でも、餌をついばんでいるときよりも、頭をあげて左右をキョロキョロして周囲を警戒しているときのほうが、頻繁に尾を振っていたことがわかったのだ。(p106より)
身近な普通種の鳥の行動を観察するだけでも面白い科学のネタは転がっているのだと感銘を受けた本です。
オオハナウドで寄主のキアゲハ幼虫を探索するアゲハヒメバチ♀
2017年6月上旬
キアゲハ(Papilio machaon hippocrates)の幼虫を採集・飼育するつもりで、オオハナウド(セリ科)の群落を調べに来ました。
農業用水路沿いの林縁で背高く育ったオオハナウドの周囲を、派手な体色のハチが思わせぶりに飛び回っていました。
訪花していても吸蜜していませんから、寄生蜂アゲハヒメバチ♀(Holcojoppa mactator)の寄主探索だと気づきました。
この寄生蜂がキアゲハの蛹から羽化する様子を以前、観察していたので、これでミッシング・リンクが一つ繋がりました。
▼関連記事
キアゲハに寄生したアゲハヒメバチ♀の羽化
オオハナウドの群落周辺を飛んだり葉上を徘徊したりして、寄主のキアゲハ幼虫を探索しています。
葉で休み、身繕いすることもありました。
残念ながら寄主への産卵行動は観察できませんでした。
今回アゲハヒメバチを採集できなかったので、性別を外見で見分けられない私は、その行動から勝手に♀だろうと判断しました。
雄蜂♂が交尾相手の♀を待ち伏せしていた可能性もありますかね?
蜂が居なくなってからこのオオハナウド群落を調べてみると案の定、鳥糞様のキアゲハ若齢幼虫が4頭見つかりました。
きっとアゲハヒメバチ♀が既に産卵した後なのでしょう。
寄生されたと思われるキアゲハ幼虫をあえて採集・飼育して、寄生蜂の羽化を確かめたり被寄生率を調べたりすればよかったのですが、この時期は他のプロジェクトが忙しくて余力がなくて無理でした。
【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』を読んでいたら、この寄生蜂がどのステージの寄主に産卵するのか記述されていました。
アゲハチョウ属やアオスジアゲハ属に寄生するアゲハヒメバチは、寄主の1齢または2齢幼虫の体内に産卵し、やがて孵化したこのハチの1齢幼虫は発育を停止、寄主の蛹化後に成育して1頭の成虫(ハチ)となって脱出する。 (p112より引用)
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アゲハヒメバチ@オオハナウド葉 |
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アゲハヒメバチ@オオハナウド葉 |
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オオハナウドの群落 |
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キアゲハ若齢幼虫 |
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キアゲハ若齢幼虫 |
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