2017年6月上旬
キアゲハ(Papilio machaon hippocrates)の幼虫を採集・飼育するつもりで、オオハナウド(セリ科)の群落を調べに来ました。
農業用水路沿いの林縁で背高く育ったオオハナウドの周囲を、派手な体色のハチが思わせぶりに飛び回っていました。
訪花していても吸蜜していませんから、寄生蜂アゲハヒメバチ♀(Holcojoppa mactator)の寄主探索だと気づきました。
この寄生蜂がキアゲハの蛹から羽化する様子を以前、観察していたので、これでミッシング・リンクが一つ繋がりました。
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キアゲハに寄生したアゲハヒメバチ♀の羽化
オオハナウドの群落周辺を飛んだり葉上を徘徊したりして、寄主のキアゲハ幼虫を探索しています。
葉で休み、身繕いすることもありました。
残念ながら寄主への産卵行動は観察できませんでした。
今回アゲハヒメバチを採集できなかったので、性別を外見で見分けられない私は、その行動から勝手に♀だろうと判断しました。
雄蜂♂が交尾相手の♀を待ち伏せしていた可能性もありますかね?
蜂が居なくなってからこのオオハナウド群落を調べてみると案の定、鳥糞様のキアゲハ若齢幼虫が4頭見つかりました。
きっとアゲハヒメバチ♀が既に産卵した後なのでしょう。
寄生されたと思われるキアゲハ幼虫をあえて採集・飼育して、寄生蜂の羽化を確かめたり被寄生率を調べたりすればよかったのですが、この時期は他のプロジェクトが忙しくて余力がなくて無理でした。
【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』を読んでいたら、この寄生蜂がどのステージの寄主に産卵するのか記述されていました。
アゲハチョウ属やアオスジアゲハ属に寄生するアゲハヒメバチは、寄主の1齢または2齢幼虫の体内に産卵し、やがて孵化したこのハチの1齢幼虫は発育を停止、寄主の蛹化後に成育して1頭の成虫(ハチ)となって脱出する。 (p112より引用)
アゲハヒメバチ@オオハナウド葉 |
アゲハヒメバチ@オオハナウド葉 |
オオハナウドの群落 |
キアゲハ若齢幼虫 |
キアゲハ若齢幼虫 |
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