2025/02/01

晩冬に根返り巣穴の付近を1〜2頭でうろつくホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬

シーン0:2/20・午後14:26・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で、「根返りスギ」の根元に掘られた「根曲がり巣穴a」を自動センサーカメラで見張っています。 
この巣穴aでニホンイタチ(Mustela itatsi)が越冬していたのに、なぜか最近は姿を見せなくなりました。 

今回はカメラの設置場所をいつもとは少し変えてみました。 
異常な暖冬のため、林床の積雪は完全に溶けてしまっています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 


シーン0:2/20・午後14:46・くもり(@0:04〜) 
約3m離れた別の「根返りスギ」の根元に掘られた巣穴bも別の自動撮影カメラで同時に見張ることにしました。 


シーン1:2/24・午前2:23・降雪(@0:07〜) 
林床に雪が少し積もっていました。 
小雪がちらつく深夜に、タヌキaが水平倒木の下をくぐり抜けながら、ちょっとした斜面を奥へ登って行きます。 
しばらくすると、右上奥の暗いスギ林内をタヌキの別個体bの白く光る眼が右へ移動して行きました。 

このタヌキはどこから来たのでしょう? 手前の獣道から来たのか、それとも巣穴bから出巣した直後である可能性もありそうです。 
湿雪の雪面に残るタヌキの足跡を見ても、軌跡が読み取れませんでした。 


シーン2:2/24・午前2:23・降雪(@0:30〜)
別アングルで根曲がり巣穴aを監視するトレイルカメラに続きが録画されていました。 
先行個体aが根曲がり巣穴aの横を素通りして、獣道を左へ向かいました。 

しばらくすると、後続個体bが奥の倒木をくぐって右から登場し、先行するパートナーの後を追って左へ向かいました。 
♀♂ペアで行動しているようです。 


シーン3:2/28・午前1:00(@0:51〜) 
4日後の深夜に監視カメラが起動すると、林床に積もった雪はすっかり消え去っていました。 

奥のスギ林から2頭のタヌキが縦列でやって来ました。 


シーン4:2/28・午前1:01(@1:31〜) 
この動画だけ見ると、タヌキが根曲がり巣穴aから外に出てきたように見えますが、別アングルの監視映像(シーン3)と合わせて見ると、奥の獣道から来ただけだと判明しました。 
監視カメラの電池が消耗しているせいか、♀♂ペアのうち1頭しか写りませんでした。 


シーン5:2/28・午前1:55・吹雪(@1:38〜) 
約50分後にもタヌキが根曲がり巣穴aにて写りました。 
出巣aしたばかりのように見えますけど、前回と同じく通り過ぎただけかもしれません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
限られた台数のトレイルカメラをなんとかやりくりして、2つの隣接する巣穴a,bを2台で同時に見張ることにしました。 
1台ではどうしても撮り漏らしがあるのですが、2台で別アングルから監視することで、タヌキの行動が正しく読み取れるようになります。 
倒木だらけのスギ防風林をタヌキが夜な夜なうろついています。

タヌキのペア♀♂がこの根返りスギの根元の巣穴に住みついたという証拠映像は得られていません。

つづく→

GPS首輪を装着したニホンザル♂の欠伸とくしゃみ♪

 

2022年11月下旬・午後15:40頃・くもり 

山麓の水路沿いで遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れの中に、首輪を装着した若い♂個体が居ました。 
遊動する位置を刻々と記録するGPSテレメトリー調査の対象なのでしょう。 
猿害対策として、群れが山から降りてきて里の集落に近づくと通知する仕組みになっているのかもしれません。 
ニホンザルは母系社会ですから、一時捕獲した♂に首輪を装着しても♂はいずれ群れの外に出てしまい、コスパが悪い気がします。 
あえて♂にGPS首輪を付けて調査しているのなら、それはそれで興味深い結果が得られるでしょう。

その♂個体に注目していると、座って辺りをキョロキョロしながら口を大きく開けて欠伸をしました。 
犬歯を誇示しなかったので、威嚇ではなく生理的なあくびだと思います。 
あくびに続けてクシャミもしました。 
鼻水は出ませんでした。 

水路橋の手摺を伝って対岸に渡る途中にも、同一個体♂が再びクシャミをしました。 
風邪をひいているのかな? 
歩き去る後ろ姿の股間に、紅潮した大きな睾丸がぶらぶら揺れています。 


※ ニホンザルのくしゃみが聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


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2025/01/31

晩冬から早春にかけてスギ倒木を夜に見回る雪国のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬および3月下旬

シーン0:2/20・午後14:26・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間に撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で、画面の手前から左奥に向かって根こそぎ倒れた「根返りスギ」の根元にある「根曲がり巣穴a」を自動撮影カメラで見張っています。 
今回はカメラの設置場所をいつもとは少し変えてみました。 

異常な暖冬のため、林床の積雪は完全に溶けてしまっています。 
根曲がり巣穴aでニホンイタチMustela itatsi)が越冬していたのですが、その姿を見かけなくなってしまいました。 


シーン1:2/21・午前4:52・(@0:04〜) 
未明に、冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が久しぶりに写りました。 
倒木から地面に飛び降りて、左へ走り去りました。 


シーン2:3/19・午後14:06・晴れ(@0:11〜) 
林床に再び雪が少し積もっていました。 


シーン3:3/22・午前3:06・(@0:15〜) 
丑三つ時に、テンが手前の水平倒木に乗って立ち止まり、奥を向いていました。 
タヌキの残り香が気になるのか、あちこち匂いを嗅ぎ回っています。 
その後、テンは奥に飛び降りたものの、根曲がり巣穴aには立ち寄らず、奥に走り去りました。 
これほど至近距離から撮れたのに、監視カメラには全く気づいていないようです。 


シーン4:3/26・午前0:32・(@0:44〜) 
4日後の深夜にも、落葉樹の曲がりくねった「根曲がり」を乗り越えてゆっくり奥へ行くテンの後ろ姿が写っていました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】 
ホンドテンは、倒木の周囲で野ネズミなどの獲物を探しにときどきやって来るようです。


つづく→

クモの網から救出したヒメクロホウジャク(蛾)が飛び去るまで【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月中旬・午後13:00頃・晴れ 

郊外で家庭菜園の花壇の手前に建てられた鉄パイプの柵(実際はアルミ管)にクモの円網が張り巡らされ、そこに1頭の蛾(スズメガ科)が捕らえられていました。 
花壇に訪花しようと飛来した蛾が道端の網にかかったようです。
ズグロオニグモYaginumia sia)などコガネグモ科が人工物の足場枠に張った垂直円網だろうと予想したのですが、なぜか網の主は見当たりませんでした。 
もしかすると夜行性のクモで、昼間は隠れているのかもしれません。
飛翔力の強いスズメガ類がクモの網に掛かって逃れられないでいるのは珍しいと思い、写真に撮りました。 
全く動かず粘着性の糸にぶら下がっているだけなので、てっきりこの蛾は死んでいるのかと思いました。 

蛾の腹面しか見えなかったので、同定用に背面の写真をしっかり撮るために、クモの網から手掴みで外してやりました。
途端に蛾は激しく羽ばたいて暴れ始めました。 
暴れ疲れて擬死(死んだふり)していただけと判明。 
そうと分かれば、クモの糸にぶら下がっていた状態も動画で記録すべきでしたね。 
すでに疲労困憊しているのか、すぐに私の掌の上で大人しく静止してくれました。 
翅の鱗粉はほとんど剥げ落ちてしまっていますが(まさか憧れのオオスカシバ?!)、胸背がウグイス色だったので、ヒメクロホウジャクMacroglossum bombylans)だろうと判明しました。 
図鑑で近縁種の前翅長を比べると、ヒメクロホウジャクが15〜18mm、クロスキバホウジャクが25mmなので、今回の小さな蛾はヒメクロホウジャクでしょう。 

救出した蛾は翅を小刻みに震わせて、飛び立つ前の準備運動をしています。 
手乗りヒメクロホウジャクが飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:31〜) 
しばらくすると、胸部飛翔筋による準備運動で体温が充分に上がったらしく、ようやく自発的に飛び去りました。 
私の体温で、手乗り蛾を少し温めてやれたかもしれません。
腹端付近に細い白帯が見えました。 


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2025/01/30

晩冬の雪原に帰巣するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬〜3月中旬 

休耕地で越冬するホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
帰巣シーンをまとめてみました。


シーン1:2/29・午前5:32・気温-1℃(@0:00〜)日の出時刻は午前6:09。 
採餌のために外出していた夜行性のタヌキが、夜明け前に右下手前(落葉した二次林)から独りで帰ってきました。 
トボトボ歩いてきて、そのまま手前の巣穴Mに入りました。 

暖冬のため雪がほとんど溶け去り、営巣地の手前側は地面が露出しています。 (奥には残雪が見えます。) 


シーン2:3/11・午前4:55・気温-7℃(@0:31〜)日の出時刻は午前5:53。 
雪が少し積もり、タヌキの営巣地は一面の銀世界に戻っていました。 
雪面は凍結しているようで、タヌキが歩いても足跡が残りません。 

左から戻って来たタヌキが巣口Lの匂いを嗅ぎ、振り返って身震いしてから手前の巣穴Mに入りました。 


【考察】 
同じ穴のむじなと言われる通り、アナグマとタヌキが同じ巣穴で暮らしていることになります。
(アナグマの入巣Mシーンは、映像公開予定) 
巣穴の内部構造がどうなっているのか分かりませんが、少なくとも巣口Mは共有していることになります。 
お互いに他者(別種)の侵入に対して寛容なのが不思議です。 
自分で地中に深い穴を掘れないタヌキにとって、よほどの住宅難なのでしょう。 



木に登って幹をつつくアカゲラ♀(冬の野鳥)

 

2024年2月下旬・午後15:20頃・くもり 

郊外の雑木林で見つけたアカゲラ♀(Dendrocopos major)です。 
後頭部が赤くないのが♀の特徴です。 

落葉した木(樹種不明)の幹を登りながら、あちこちつついて中に潜む虫を探しています。 
左に少し飛ぶと、隣の木でもつつきました。 
この個体は全く鳴きませんでした。


【追記】
キツツキの足には4本の指があり、通常は2本が前を向き、2本が後ろを向いています。
このような足指の配置を、「外対趾足がいたいしそく」と呼びます。
第4指(通常は後ろ向き)が水平に動かせるのが特徴です。
これにより、木の幹を登る際には「外対趾足」の形態をとり、枝に止まる際には「対趾足」の形態に変化させることが可能です。
この足の構造は、キツツキが木に登ったり、垂直な幹に止まったりするのに適しています。
キツツキは両脚と硬い尾羽の三点で体を支えます。
特に尾羽は中央の4枚が太くて硬く、両端の2枚は柔らかいという特徴があります。
(Perplexity AIの回答より)

2025/01/29

晩冬の雪原で野ネズミを巣穴から外に追い出そうと頑張るホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬

シーン0:2/20・午後13:10・くもり・気温23℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴をトレイルカメラで監視しています。 
異常な暖冬で積雪量が少なく、あちこちで地面が露出しています。 
少なくとも3つの巣口(左から順にL、M、R)が点在しています。 
ホンドギツネVulpes vulpes japonica)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:2/24・午後23:40・気温-4℃(@0:04〜) 
晴れて静かな深夜に監視カメラが誤作動したようです。 
新雪が積もり、雪原を往来するタヌキなど野生動物の足跡が残されています。 


シーン2:2/27・午前5:53・気温4℃(@0:11〜)日の出時刻は午前6:12。 
タヌキが巣穴Rに入ってからわずか1分後の夜明け前に、右から来たキツネが雪原に佇んでいます。 
尻尾がふさふさした健常個体(フサ尾)でした。 
やがて左へ足早に立ち去りました。 
雪原は凍っているようで、キツネの足跡が残りません。 

てっきりタヌキの営巣地には興味がないのかと思いきや、しばらくすると、画面の左上隅からキツネが再登場。 
警戒しながら雪原をジグザグに歩いて、タヌキの巣穴Mへ近づきます。 
巣口Mの手前で立ち止まったまま、動かなくなりました。 
この後どうなったのか気になりますが、1分間の録画が打ち切られました。 


シーン3:2/27・午前6:06・気温0℃(@0:56〜) 
「フサ尾」のキツネが右から再び手前の巣口Mに近づきました。 
匂いを嗅いだだけで、巣穴Mには侵入しませんでした。 
奥の巣口Mも点検した後、巣口Rに向かいました。 

巣口Rの窪地に入ると、前脚を揃えて着地しました。
おそらく野ネズミを狩る行動のようです。 
キツネの尻尾しか見えないのですが、凍った雪面?を揃えた前足で何度も割ろうとしているのでしょう。 
あるいは、地面にわざと振動を与えて野ネズミを巣穴Rから外に追い出そうとする作戦なのかな? 

巣内で寝ているタヌキの家族を立ち退かせようと、キツネが執拗に嫌がらせしている、という可能性はどうでしょう? 
まるで地上げ屋の嫌がらせみたいです。
巣穴Rの主であるタヌキが玄関(巣口)の内と外でキツネと対峙して威嚇し合っているのかもしれません。 
しかし、耳を澄ませても鳴き声が何も聞こえませんでした。 


シーン4:2/27・午前6:09・気温1℃(@1:56〜) 
「フサ尾」のキツネがまたもや手前にあるタヌキの巣口Mに右から近づきます。 
頭を突っ込んで強引に押し入ろうとしています。 
右上奥の巣口Rに戻り、そちらでも鼻面を巣内に突っ込みました。

巣口Mと巣口Rは内部のトンネルでつながっているのでしょう。 
キツネは両方の出口から交互に威嚇して、なんとか獲物を外に追い出そうとしているようです。
「モグラ叩きゲーム」のように、逆の巣口から獲物が顔を出すかと期待したのですが、キツネにいくらしつこく挑発されても一度も外に出てきませんでした。 
専守防衛の籠城作戦です。 

ようやく諦めたキツネは、身震いしてから雪原を右上へ立ち去りました。 


シーン5:2/27・午後17:45・気温3℃(@2:50〜)日の入り時刻は午後17:32。 
同じ日の日没直後の様子です。 
昼間はよく晴れて、急速に雪解けしました。 
林縁に近い手前の地面が完全に露出しています。 


シーン6:2/28・午後23:51・気温0℃(@2:59〜) 
翌日の深夜、尻尾がフサフサした健常個体が枯野の手前を左から右へ横切りました。 
タヌキの営巣地を通りすがりにちらっと見たものの、今回は立ち寄りませんでした。 


シーン7:2/29・午後19:23・気温3℃(@3:15〜) 
翌日の晩も「フサ尾」のキツネが枯野の手前を左から右へ横切りました。 
今回もタヌキの巣穴を素通りしました。 

実はこのとき、巣穴のひとつに別個体のホンドギツネ(「細尾」の疥癬感染個体)が潜り込んでいました。(映像公開予定) 
2頭のキツネの間で何も交渉がなかった(同じ巣穴に入って合流したり巣口で挨拶したりしなかった)のが意外でした。 
細尾とフサ尾は♀♂つがいの関係かと予想していたのですが、違うのかな? 
ペアでなければ、この2頭のキツネ同士で縄張り争いにならない点が疑問になります。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
タヌキの営巣地に通うキツネが次々に新しい行動をするので、どう解釈すべきか頭の整理がなかなか追いつきません。

今回のホンドギツネは、匂い転がり行動をやらずに野ネズミを狩ろうとしていました。
狙っている獲物はたぶんハタネズミMicrotus montebelli)かな?

日本の食肉類: 生態系の頂点に立つ哺乳類』第3章キツネによると、雪国のキツネにとって雪解けした春が野ネズミ狩りに最適のシーズンなのだそうです。
キタキツネの主要な餌は野ネズミ類であるが、もっとも多く野ネズミを捕食しているのは、その個体数が最多となる秋ではなく、逆に野ネズミがもっとも少ない春である(中略)。夏から秋に繁茂する草本類と冬の積雪が、野ネズミにとってキツネの捕食を避けるシェルターとなるが、春の雪解け時期はこのどちらもなく、キツネにとってネズミがもっとも捕獲しやすい時期である (p75より引用) 春だけはネズミを主とする哺乳類をもっとも頻繁に食べていた。(中略)雪が解け、草がまだ生えそろっていない春にネズミ類を捕獲しやすくなるため (p75より引用)

しぜんのせかい1『きつね』という、キタキツネの生態を紹介した古い児童書(写真集)を読むと、
隠れている餌を見つけると何度もジャンプして地面をゆらし、驚いて飛びだしたところをつかまえる技術も持っています。 @p22 
・キツネのジャンプ力はとても強く、軽々と1mくらいは飛び上がります。 @p23 
・キツネは聴覚と嗅覚がとても発達しています。雪の下に埋まった餌もほりあてて食べることができます。 @p29 
・子別れしたキツネは独立し、初冬に結婚の相手を見つけ、翌年の春には子を産みます。 @p25 
・キツネは冬眠しないで冬も活動します。この時はすでに冬毛で、とても太った感じに見えます。 @p28


つづく→疥癬に罹ったホンドギツネがホンドタヌキの巣穴を晩冬に乗っ取って住み着いた!【トレイルカメラ:暗視映像】

ハクモクレンの樹上で半壊したコガタスズメバチの古巣は鳥のしわざ?

 



2024年1月下旬・午後15:30頃・晴れ 

道端で落葉したハクモクレンの樹上で見つけたコガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を定点観察しています。 
野鳥が外皮を横からつついたらしく、半分が壊されていました。 
中身がほとんどくり抜かれ、最上段の巣盤だけが残っていました。 厳冬期で餌がなくなり、飢えた鳥が蜂の子の死骸を捕食したのでしょう。 
強風が吹いて古巣が激しく揺れ、隣の枝に繰り返しぶつかって壊れたという可能性は、この場合は考えられません。

西日が当たって、露出した巣盤が午前中よりもよく見えるようになりました。 (以下の写真は同じ日の午前中に撮影)
ちなみに、撮影のため私が営巣木のハクモクレンに近づいたら、1羽のメジロZosterops japonicus)が飛んで逃げました。 
スズメバチの古巣をつついて壊したのがメジロの仕業とは考えにくいのですが、近くの庭木ナンテンで赤い実を採食していたのかな? 



2025/01/28

ニホンアナグマが冬眠する営巣地を1〜2頭でうろつくホンドタヌキ:2月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年2月下旬 

シーン0:2/20・午後13:42・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
今季は異常な暖冬で雪解けが早く進み、林床にちらほらと残雪があるだけです。 
まるで早春のような光景です。 

画面の左右に2つの巣口L、Rがあります。 
近所のホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通ってくるシーンをまとめました。


シーン1:2/21・午前0:01・気温2℃(@0:03〜) 
奥の林内を単独行動のタヌキが右へ向かっています。 


シーン2:2/24・午後19:08・気温-1℃(@0:14〜) 
3日後の晩に監視カメラが起動すると、すっかり雪景色に戻っていました。 
ただし積雪量は少なく、巣口LRは埋もれていません(開口したまま)。 
左から来たタヌキが回り込んで、アナグマの巣口Rと巣口Lを順番に点検しました。 
その後は、奥の林内へ戻って行きます。 


シーン3:2/25・午前3:57・気温-6℃(@1:14〜) 
日付が変わった未明。 
低温のために監視カメラの起動が遅れたようです。 
手前から来たと思われるタヌキが、アナグマの巣口Lの匂いを嗅いでから左へ向かいました。 


シーン4:2/28・午後21:38・気温2℃(@1:31〜) 
3日後の晩には、林床の残雪はほとんど消えていました。 
♀♂ペアと思われる2頭のタヌキが連れ立って左から登場しました。 
先行個体がアナグマの巣口Rと巣口Lを順番に点検し、最後は巣口Lを飛び越えて左へ立ち去りました。 
後続個体は、従順に後ろを付いて歩くだけで、通りすがりに巣口Lの匂いを軽く嗅いだだけでした。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




防風林で秋に落雷を受けたスギの木

 

2023年10月中旬・午後・晴れ 

平地のスギ防風林で、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通う溜め糞場phを久しぶり(17日ぶり)に定点観察しに来ました。 
新鮮な糞は追加されていませんでした。 
どうやら最近は使われていないようです。 

それよりも、このスギ林に大きな異変が起きていました。 
植林地(防風林)の真ん中で、新たにスギの倒木が増えて林床に散乱していたのです。 
以前、溜め糞場phを監視するためにトレイルカメラを設置したスギ大木の上半分が縦に裂け、幹が真っ二つに折れていたのです。 
このような状態を「中折れ」と呼ぶのだそうです。 
スギの朽木や枯木ではなく、緑の葉が茂る健康な生木が被害に遭っていました。 

秋は台風のシーズンですから、嵐による強風で折れたのでしょうか? 
それなら1本だけが倒れるのではなく、広範囲で何本もスギの木がなぎ倒されているはずです。 
防風林の中央部で他のスギに囲まれた1本だけ風倒するのは不自然です。 

幹の途中で縦に裂け目が入って折損したという状況からも、おそらく落雷したのでしょう。 
しかし、その木が焦げたり燃えたりした形跡はありませんでした。
(落雷木に必ずしも焼け焦げ跡が残るとは限らないのだそうです。) 
スギの防風林は樹高がほぼ揃っているはずなのに、なぜ中央の1本の木だけに落雷したのか、不思議です。 
「出る杭は雷に打たれる」のでしょうか?
その木がたまたま他の木よりも少しだけ高かったり、何らかの理由で他の木よりも電気を通しやすい状態にあった可能性があります(水分含有量が高いなど)。 
落雷は必ずしも最も高い木に起こるわけではなく、電荷の分布や樹木の状態など、複数の要因が関係するのだそうです。 

その杉の木にもしトレイルカメラを設置したままなら、落雷の過電流で壊れたり燃えたりしたはずなので、助かりました。 
初めて入る防風林なら、同じ光景を見ても「倒木の多い荒れたスギ林だなー」と思うだけでしょう。 
定点観察に通っていたからこそ、落雷木に気づくことができました。 

林業家にとってみれば落雷木は天災による痛い損失でしかありませんが、森林生態学的には良い面もあります。
鬱蒼と育ったスギ林の中には日光がほとんど射さず、他の植物はあまり育つことができません。 
落雷でスギ林の中央部に林冠ギャップができたので、ここだけ林床の日当たりが良くなり、新たに植物が育って森の更新が進むことが期待できます。 
また、新たなスギ倒木を餌としてキノコなどの分解者が長い年月をかけて腐朽させます。 
それまでの間、林床に放置された倒木は小型の哺乳類(野ネズミなど)に隠れ家や餌場を提供してくれます。 
落雷(の轟音)にキノコの発生を促進する効果がある、という面白い説があるのですけど、スギ林でも見られるのか楽しみです。


さて、落雷がいつ起きたのか、正確な日時を突き止められるでしょうか?
私が定点観察した9月下旬から10月中旬までの17日間のどこかで落雷したはずです。
今回、Perplexity AIに相談して初めて知ったのですが、気象庁は落雷の詳細なデータを記録しており、過去に遡って落雷の有無を調べることが可能です。 
気象庁は雷監視システム(LIDEN: LIghtning DEtection Network system)を使用して落雷を観測しています。 
このシステムにより、落雷の場所や時間を5分単位で記録しています。 
気象庁のウェブサイトでは、過去の気象データを検索することができます。 
少しやってみたのですが、忙しくて調べ切れていません。 



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関連記事 ▶ 雷に打たれることが恩恵になる木が存在する by ナゾロジー


落雷による林冠ギャップ

中折れしたスギ落雷木

真下に散乱する中折れの破片




以下は、タヌキの溜め糞場ph:倒木横の様子を撮った写真です。
糞に未消化の種子(銀杏およびリンゴ?)が含まれているのですが、落雷木に気を取られた私は、真面目に調べていません。







2025/01/27

暖冬で雪の溶けたスギ防風林を駆け抜けるニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 



2024年2月下旬 

シーン1:2/20・午後14:46・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で風倒木が何本も長年放置されています。 
画面の右下手前から奥に向かって根こそぎ倒れた(根返り)スギの根元に掘られた巣穴b(画面中央)を自動撮影カメラで見張っています。 
 そこでニホンイタチMustela itatsi)が越冬していたのですけど、最近ではなぜか姿を見なくなりました。 

今季は記録的な暖冬で、積雪量も例年よりはるかに少ないです。 
林床の残雪が完全に溶け去り、季節外れにまるで早春のような光景になりました。 


シーン2:2/29・午前7:10頃(@0:04〜) 
午前中に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが右から左へ続々と通過しました。 
どうやら先頭個体は撮り損ねたようです。 

手前から来た2頭が相次いで水平倒木の下をくぐり、奥へ駆け抜けて行きました。 
後続個体の子猿は、ちょっとした坂を駆け上がった勢いで、近くの細い落葉灌木に飛びつきました。 
子猿は朝から元気があり余っているようです。 
まるでパルクールの達人のような身体能力を、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:25〜) 
子猿はすぐに地面に飛び降り、先行する成獣の後を追います。 
ニホンザルたちは、根返りスギやイタチの越冬用巣穴bには全く興味を示しませんでした。 

更に別の2頭が奥のスギ林を右から左へ遊動しています。 
つまり、少なくとも計5頭のニホンザルの群れが平地のスギ林を遊動していたことになります。 
カキノキなど果実がまだ樹上に残っている果樹を目指して移動中なのでしょう。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

ちなみに、細い水平倒木を丸木橋のように渡る野生動物がいるのではないかと予想していたのですけど、そのような使われ方は全くしてませんでした。
水平倒木という障害物の下をくぐり抜ける立体交差の獣道になっているだけです。


つづく→

越冬明けのヒオドシチョウ:山道で日光浴からの飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月上旬・午後12:20頃〜13:45頃・晴れ 

早春の里山に登ると、上の方には未だあちこちに残雪がありました。 
この日は山道の日向で越冬明けのヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)を何頭も見かけました。 

地上のヒオドシチョウが翅をしっかり閉じると、地味な焦げ茶色の翅裏しか見えなくなり、見事な保護色になっています。 

山道の地上に止まる場合、残雪が溶けて地面が露出した地点を選んで日光浴していました。 
残雪の上では体温が下がってしまうのでしょう。
暑くなり過ぎると、全開にしていた翅を少し閉じて半開きにします。 

地面や灌木に止まっているヒオドシチョウの口元をじっくり見ると、いつも口吻を縮めており、何かを舐めている訳ではありません。
(樹液やミネラルを摂取する行動ではない。) 

私は外見でヒオドシチョウの性別を見分けられないのですが、おそらく♂が日向で日光浴しながら縄張りを張り、交尾相手となる♀を待ち伏せしているのでしょう。 
♂の縄張り内に別個体が飛来すると直ちに飛び立ち、追尾や乱舞が始まります。 
動きが激しいのでいつも見失ってしまい、交尾に至るシーンを見届けられませんでした。 
縄張りの蝶道を往復してから元の場所に舞い戻ってきて止まり直すことが多いです。 

各個体が飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。 
いくら待っても自発的に飛んでくれない場合、物を投げつけて強制的に飛び立たせました。
翅を全開にして日光浴しているヒオドシチョウは、体温が充分に上がっているので、素早く羽ばたいてすぐに(準備運動なしで)飛び立つことが可能です。 


ヒオドシチョウは成虫で越冬するので、翅が破損していることが多いのですが、無傷のきれいな状態の個体も見かけました。 
(複数個体を撮影。)

山麓の入山口付近で落葉した蔓に止まっていた個体に近づいて飛び立たせました。
辺りを優雅に飛び回って元の場所に舞い戻る様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:13〜)

2025/01/26

雪原の営巣地を家族でうろつき、キツネの匂い転がり跡を調べるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬

休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:2/21・午後22:43・降雪・気温-1℃(@0:00〜) 
久しぶりに雪が降り、休耕地の枯野にうっすらと雪が積もりました。 

晩遅くに右から単独で登場したタヌキが巣口Mの横を通り過ぎ、立ち止まって身震いしました。 
新雪の雪原には、この個体の足跡しか残っていません。 
巣穴には立ち寄らずに、左へ立ち去りました。 


シーン2:2/25・午後4:01・・気温-7℃(@0:27〜) 
4日後の晴れた未明に、監視カメラがなぜか誤作動しました。 
雪面に足跡が残されています。 


シーン3:2/27・午前5:51・気温-1℃(@0:31〜)日の出時刻は午前6:12。 
横殴りの吹雪が吹き荒れる夜明け前に、タヌキが左下手前からゆっくり歩いて巣口Mに近づきました。 
頭を突っ込んで中の匂いを慎重に嗅いだだだけで、全身は入りませんでした。 
入巣Mしたかどうか見届ける前に、残念ながら1分間の録画時間が終わってしまいました。 


シーン4:2/27・午後17:45・気温3℃(@1:31〜)日の入り時刻は午後17:32。 
日没直後の様子です。 
昼間はよく晴れたらしく、せっかく積もった雪が半日でほとんど溶けていました。 
特に、手前の林縁に近い側は地面が完全に露出しています。 


シーン5:2/28・午前0:30・気温0℃(@1:34〜) 
日付が変わった深夜に、3頭のタヌキが一緒に現れました。 
家族群のはずですが、若い3兄弟なのか、それとも親子(♀♂つがいと子供)なのか、私には分かりません。 

雪原の奥に居た2頭は、前後して左へ向かいました。 
手前に来た個体は画面の右下隅で、キツネが転げ回った辺りの地面の匂いを嗅いでいます。 
何度も匂い転がり行動をしたキツネの残り香が気になるのでしょう。 
キツネに対抗して、このタヌキも匂い付け(排尿マーキング)したかどうか気になるのですけど、画角の端や死角になってよく分かりませんでした。
ただし、タヌキ自身は匂い転がり行動をやりませんでした。 

やがて、画面の左下隅から更にもう1頭が登場しました。(@2:11〜) 
この個体も、キツネが転げ回った地点の匂いを嗅ぎに行きました。 
タヌキたちはここに大小便を排泄して(営巣地の近くの溜め糞場?)縄張りをマーキングしているのではないかと私は想像しています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




根返りスギで年末年始に餌を探す雪国の小鳥たち:シジュウカラ、コガラ、ヤマガラなど【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬 

シーン0:12/27・午後14:21・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
平地のスギ防風林で風倒木が何本も長年放置されています。 
画面の右下手前から奥に向かって根こそぎ倒れた(根返り)スギの根際に掘られた巣穴bを自動撮影カメラで見張っています。 
そこにはニホンイタチMustela itatsi)が越冬していたのですが、最近ではなぜか姿を見かけなくなりました。 

今季は記録的な暖冬で、積雪が例年よりもはるかに少ないです。 
水平の細い別な倒木が朽ちて樹皮がどんどん剥がれ落ち、雪面に散乱しています。 

昼間に集まる小鳥たちの採食行動をまとめてみました。 
主にシジュウカラですが、少数のコガラやヤマガラなどを含むカラ混群のようです。 


シーン1:12/28(@0:03〜) 
シジュウカラ♀♂(Parus minor minor)の群れが根返りスギの土付き根っこをしきりに啄んでいます。 
そこで休眠越冬する昆虫を捕食しているのでしょう。 
チッチッ♪と鳴き交わす声もかすかに聞こえます。 


シーン2:12/29(@1:56〜) 
シジュウカラの群れ。 
ヒヨドリの鳴き声も聞こえましたが、姿は写っていません。 

 突然、監視カメラのレンズを覗き込んだ小鳥がいたのですが、あまりにも近過ぎて種類を見分けられませんでした。(@3:32〜) 


シーン3:12/30(@3:43〜) 
常連のシジュウカラの他に、コガラPoecile montanus)やヤマガラSittiparus varius)も来ているようです。 

根返りスギの土付き根っこを嘴でつつくシジュウカラたちの様子を、動画編集でゆっくりズームインしてみました。 
(最終的に1.5倍まで拡大)


シーン4:12/31(@8:09〜) 
珍しく、奥の残雪の上で餌を探すシジュウカラの個体がいます。 


シーン5:1/1(@9:34〜) 
翌日の元日には、雪解けが進んでいました。 


シーン6:1/2(@9:38〜) 
ヤマガラが来ています。 
珍しくフルカラーで録画されていました。 
トレイルカメラ旧機種の不安定な挙動に悩まされます。 


シーン7:1/5(@10:10〜) 
林床の積雪はほとんど溶け切っていました。 


シーン8:1/6・午前後(@10:11〜) 
これ以降は、監視カメラの電池が切れて、わずか1秒間しか録画してくれなくなりました。 
それでも健気に記録し続けるので、小鳥が来た記録にはなります。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→

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