2024年2月下旬・午前0:50頃・気温-1℃
同じ穴の狢。内見
シーン0:2/20・午後13:42・くもり・気温20℃(@0:00〜)
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。
平地の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。
林床にちらほらと残雪があり、まるで早春のような光景ですが、季節外れの雪解けです。
今季は異常な暖冬のために雪解けが早く進みました。
画面の左右に2つの巣口L、Rがあります。
シーン1:2/28・午前0:48・くもり・気温-1℃(@0:04〜)
監視カメラが深夜に起動すると、雪解けが更に進んで林床にはうっすらとした残雪があるだけです。
3頭のホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が同時に現れました。
林縁を右から左に来た個体aがアナグマの巣口Lの匂いを嗅ぐと、そのまま中にゆっくり潜り込みました。
一方、初めから巣口Lを点検していた個体bは、個体aに場所を譲って左に一旦立ち去りました。
すぐにまた左からセットに戻ってきて、今度は右側に回り込んでアナグマの巣口Rを調べています。
一足遅れて左から登場した個体cも巣穴Lに興味津々で、巣口Lで順番待ちをしているようです。
個体aに続いて個体cも入巣Lしそうだったのに、見届ける前に1分間の録画時間が終わりました。
シーン2:2/28・午前0:50・(@1:04〜)
個体cは結局、巣穴Lには入らなかったようです。
個体bと一緒に巣口Rの匂いを嗅ぎ回っていました。
しかし中には侵入せずに、相次いで右へ立ち去りました。
しばらくすると、ようやく個体aが左の巣穴Lの内見を済ませて外に出てきました。(@1:36〜)
狭い巣口に頭から入って頭から出てきたということは、巣内で方向転換したことが分かります。
毛皮に付いた土を振り落とすために激しく2回身震いしてから、仲間の後を追って右へ向かいます。
巣口Rに寄り道したかもしれませんが、録画時間が打ち切られました。
【考察】
この3頭のホンドタヌキは親子(♀♂ペアと子供)なのか、それとも若い3兄弟姉妹なのか、私には見分けられません。
アナグマの巣穴に対する行動に個性(性格?)があるようで、興味深い思いました。
1頭の大胆なタヌキがアナグマの巣穴Lに侵入したものの、アナグマが怒って撃退することはありませんでした。
一方、巣穴Rにはタヌキの3頭とも入りませんでした。
ということは、巣穴Lが空き巣で、巣穴Rでアナグマが冬眠していると考えるのが自然でしょう。
アナグマのセットから立ち去る前に誰も排尿マーキング(匂い付け)しなかったということは、空き巣を内見してみてもあまり気に入らなかったようです。
『日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』という専門書の第4章:斎藤昌幸・金子弥生「タヌキ」を読むと、「同じ穴の狢」について書いてありました。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
(タヌキは)自ら穴を掘ることはない。そのため、ニホンアナグマ(Meles anakuma)やアカギツネなどの巣穴を自分で掘るほかの食肉目動物の穴を利用することがある。このとき同じ巣穴内部を利用することになるが、冬季にはこの共同利用を実現するために、ほぼ毎日のようにタヌキがアナグマの巣穴を訪れて、巣穴の利用タイミングをうかがっていた事例がある。(中略)タヌキがアナグマとの遭遇を回避しつつ巣穴を共有していることを観察し、時間的なニッチ分割の可能性を示唆した。(p99より引用)
つづく→
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