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2025/01/10

夜霧の雪山で塒のあるスギ林に来ても眼下腺マーキングするだけで立ち去る若いニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬 

シーン1:1/19・午後12:32・くもり・気温12℃(@0:00〜)
里山の斜面に植林されたスギ林で、ニホンカモシカCapricornis crispus)のねぐらを自動撮影カメラで見張っています。 
画面の手前から右上奥に向かって斜面が下っています。 
今季は記録的な暖冬のため、積雪量が少ないです。 

カモシカの登場シーンを以下にまとめました。 
撮影効率があまりにも悪いので(カモシカが滅多に来ない)、退屈しのぎに余計なことを始めました。 
たまに来る昼行性のニホンリスSciurus lis)のために、オニグルミの堅果を給餌しようと、白いプラスチックの箱をスギの幹に固定してみたのです。
しかし、この作戦は全くの空振りに終わりました。 
私の給餌法が良くないのか、それともリスは警戒心が強いのでしょうか? 


シーン2:1/23・午前0:57・霧?・気温1℃(@0:04〜) 
画面全体がうっすらと曇っています。 
夜霧が発生しているのか、それともレンズの表面が薄っすらと凍りついてしまったのかもしれません。 

深夜に画面の右下から現れたカモシカの後ろ姿が写っています。 
斜めに倒れかけたスギ幼木の枝葉の匂いを嗅ぎ、顔の眼下腺を擦りつけてマーキングをしたようです。 
角がまだ細いので、若い個体のようです。 

雪面の匂いを嗅ぎながらゆっくりと奥に歩き、スギの立木に辿り着きました。 
根元や幹の匂いを嗅いでいる途中でふと見上げ、クルミを入れた白い給餌箱に気づいた様子です。 
若いカモシカが首を精一杯伸ばしても、給餌箱には全然届きません。 
(大雪が積もれば、届いてしまうかもしれません。) 
前足を立木に掛けて後足で立ち上がることはしませんでした。 


シーン3:1/23・午前1:00(@2:04〜) 
念入りにスギの幹や雪面の匂いを嗅いでから、カモシカは左にゆっくり立ち去りました。 
ところがしばらくすると、同一個体が左から手前に戻って来ました。 

残念ながら今回も結局、ここに塒入りしてくれませんでした。 
私が余計な異物(リスへの給餌箱)を塒のスギ立木に設置したりしなければ、警戒しないで塒で寝てくれたでしょうか? 
しかしカモシカは夜行性ですから、この時間帯に寝ないはずです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
トレイルカメラによる塒の監視は、これで諦めて打ち切ることにしました。 
ニホンカモシカが雪山でスギの木の下に寝てくれたのは、結局1回切りでした。 
その後は複数個体のカモシカが代わる代わる来ては、通りすがりに眼下腺マーキングしたり排尿したりしただけです。
少なくとも、この辺りを縄張りとするカモシカ個体群が使う獣道(巡回路)になっていることは確かです。 

登場した複数個体のカモシカが同じ地点の塒を代わる代わる使って寝ることはありませんでした。 
監視カメラの存在に気づいて警戒し、ねぐらの位置を変更してしまったのか、それともカモシカが頻繁に塒を変えるのはごく普通のことなのか、この1例だけではまだ何とも言えません。

2024/12/18

雪山の溜め糞場に来て雪面の匂いを嗅ぎ灌木に眼下腺マーキングするニホンカモシカの母子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月中旬 

シーン1:1/9・午後14:01・くもり・気温11℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
雪が積もった里山で、スギの木の下に見つけたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで見張ることにしました。 
周囲はスギと雑木(ミズナラやアカマツ、ハリギリなど)の混交林です。 
画面の左下から右上に向かって山の緩斜面になっています。 
奥には巨大な倒木(落葉性広葉樹)が見えます。
スギ樹上からの落雪により雪面は荒れていて、落葉落枝も散乱しています。 
カモシカの残した複数の糞塊は、雪で埋もれてしまって見えません。 


シーン2:1/11・午後21:56・気温-4℃(@0:03〜) 
晩に左奥から登場したカモシカ成獣が、細い落葉灌木の幹に顔の眼下腺をゴシゴシと擦り付けてマーキング(匂い付け)しています。 
左から幼獣が登場して成獣に寄り添いました。(@0:13〜) 
したがって、この2頭は親子(母子)と分かりました。 

母親♀は早々に左へ立ち去りました。 
残った幼獣は、雪に埋もれた溜め糞場sr2の匂いを頻りに嗅ぎ回っています。 
幼獣が頭を下げると、短い角が見えました。 


シーン3:1/11・午後21:57(@1:03〜) 
結局、長居した幼獣も溜め糞場sr2では排泄しないで、立ち去ってしまいました。 
母親の後を付いていったのかと思いきや、幼獣は単独で少し離れた地点の塒に向かいました。(つづく) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
前季から見張っていた溜め糞場sr1にはカモシカが来なくなってしまったので、全く別の地点にある溜め糞場sr2にトレイルカメラを設置し直すことにしました。 
実は私が監視カメラを設置する前にスコップでスギ立木や倒木の下の雪を掘り返してカモシカの糞塊を確認したので、溜め糞場sr2を荒らしてしまったことになります。 
(雪を埋め戻したつもりですが、それでも不自然でした。) 
次にカモシカが来るまでに新雪が積もれば私の狼藉は隠蔽されたのかもしれませんが、暖冬で雪は降りませんでした。 
せっかく溜め糞場sr2に来てくれたニホンカモシカの母子は異変を感じて警戒し、ここでは排便しなかったのかもしれません。 


つづく→

2024/12/09

雪山の塒に眼下腺マーキングしてから通り過ぎるニホンカモシカの親子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月上旬・午前6:00・気温1℃・日の出時刻は午前6:52 

雪の積もった里山でスギの木の下でニホンカモシカCapricornis crispus)が寝るねぐらを自動センサーカメラで見張っています。 
暖冬のため、積雪がかなり溶けてしまっています。 
画面の手前から奥に向かって斜面が下っています。 

新年の夜明け前にカモシカの成獣がやって来ました。 
個体識別ができていませんが、6日前にこのねぐらで寝た同一個体が戻ってきたのかな? 
斜めに倒れかけたスギ幼木に顔を擦りつけて、眼下腺マーキングしました。 
雪面や露出した地面の匂いを嗅ぎながら塒に向かうと、垂直のスギ幹にも眼下腺マーキング。
口をもぐもぐしているのは、反芻のための咀嚼でしょうか。 
塒に座って休むかと思いきや、再びスギ幹の匂いを嗅いでから、左の山側へに立ち去りました。 

監視カメラの方をほとんど見なかったので、警戒したとは思えません。 
ねぐらの地面が濡れていて冷たいから避けたのでしょうか? 

5分後に別個体のニホンカモシカが同じ経路で(右下手前から)登場しました。(@1:47〜)
同一個体が塒に戻ってきたのではなく、小型で角も小さい若い個体(幼獣)でした。 
斜めのスギ倒木を見上げたものの、まだ体高が低くて眼下腺マーキングしたくても届きません。 
塒の地面から生えている細い落葉灌木の先に眼下腺を擦り付けてマーキングしました。 
垂直のスギ幹の匂いを嗅いだだけで、そこには眼下腺マーキングしませんでした。 
カモシカ幼獣も塒入りしないでスギの右を通り過ぎ、細い倒木の下をくぐって左奥へ向かいました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】
今回は塒で寝る姿を撮影できなかったのは残念です。 
少なくとも、この地点は複数個体のカモシカが縄張りを巡回する獣道になっていることが判明しました。 
塒で寝なくても、眼下腺マーキングする地点(サインポスト)として共有しているようです。 
性別を見分けられませんでしたが、ほぼ同じ経路を同じ方向に歩いていることから、先行する成獣が母親で、後続個体はその子供ではないかと想像しています。 
5分間も間隔が開いているということは、独立(子別れ)しかけているのかもしれません。
ニホンカモシカの母子が同じ塒で一緒に寝ることはあるのか、証拠動画を撮ってみたいものです。 



2024/11/19

年末年始の雪山でスギの枝葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬 

シーン0:12/25・午後12:18・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山でスギ林の林床(画面の左下隅)にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動センサーカメラで見張っています。 
 場所は里山にあるスギ植林地の上端部で、斜面を下から上に見上げるアングルなので、奥には落葉性広葉樹も見えています。 
右には渓谷(沢)が流れています。 
雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 


シーン1:12/30・午前2:37(@0:03〜) 
奥の雪斜面をカモシカが珍しく右から左へゆっくり横切りました。 
一歩足を踏み出す度に雪面にズボズボ潜って、歩きにくそうです。 
立ち止まると、スギの枝葉に眼下腺を擦りつけてマーキングしたようです。 
もしスギの生葉を採食したのなら、枝全体が大きく揺れるはずです。 

その後はカメラ目線になりましたが、溜め糞場sr1には立ち寄らず、スギ立木の奥を通って左に向かいました。 


シーン2:1/3・午前0:47(@0:42〜) 
年が明けた新年の深夜に、スギの木の奥を通って左から登場したカモシカが、垂れ下がった横枝の下に佇んでいました。 
尻を向けているので、脱糞してる可能性もありますが、レンズの一部に結露しているのかハレーション?していてよく見えません。 
スギ横枝が軽く揺れたので、眼下腺マーキングしたようです。 


シーン3:1/3・午前0:49(@2:12〜) 
つづき。 
ようやくカモシカが右へ(谷へ)向かって歩き出しました。 
凍結(クラスト)した雪面に一歩足を踏み出す度にズボズボと潜って歩きにくそうです。 
雪面のクラスト状態が分からない暖地住まいの人は、最中もなかの皮を連想して下さい。 
右奥(谷の右岸)でもスギ?立木の下で立ち止まりました。 
枝葉を採食しているのか、眼下腺マーキングしているのか、遠くて見分けが付きません。 




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




2024/10/30

雪が降る深夜に落葉灌木の枝先に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月中旬・午後23:40頃 

里山で渓谷沿いのスギ植林地で見つけたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を冬になってから再び自動撮影カメラで定点監視し始めました。 

雪が激しく降りしきる深夜にカモシカが左から登場やってきました。 
右奥で、落葉した灌木(樹種不明)の細い枝先に顔の眼下腺を何度も擦り付けてマーキング(匂い付け)しています。 
縄張りをマーキングした後はいつものように、ペロペロと舌を出し入れしました。 
降雪時の眼下腺マーキングは初見です。 

その後カモシカは溜め糞場sr1には立ち寄らず、右へ(谷の方へ)向かいました。 


2024/08/17

秋の林道を下山しながら道草を食うニホンカモシカ♀(草木を採食、眼下腺マーキングなど)

 



2023年10月下旬・午後14:40頃・くもり 

里山の林道を下山するニホンカモシカCapricornis crispus)をそっと追いかけてから、続きを撮ります。 
(これ以降は立ったままの撮影がメインになります。) 

カモシカは林道の右端で振り返ってこちらを見ていました。 
警戒を解いて林道をトボトボと歩き始めたので(下山)、私もそのまま追跡を続けます。 
後ろ姿の股間に睾丸も陰茎も見えないので、現時点では♀ではないかと思います。 
腹面に一対の乳首がちらっと見えたような気もするのですけど(@7:20〜)、カモシカの授乳動画を見ると、乳首の位置はもっと後方にあるはずです。 
この個体では真横から乳首が見えないのが謎です。 
素人目にはなんとなく、若い個体のような気がしています。 
真横から見ると、角がまだ細いです。 

やがてカモシカ♀は立ち止まると、林道の右端で道草を食い始めました。(@0:30〜) 
手前に生えたススキが邪魔ですが、カモシカ♀が頭を上げたら、ちぎり取った緑の葉が口元に見えました。 
採食メニューは広葉樹の幼木の葉のようです。(樹種不明) 
カメラ目線のまま、ムシャムシャもぐもぐと咀嚼しています。 
顔を振って虫を払ってから、再び頭を下げて幼木の葉を採食しました。 

更に右へ移動して林道を横断すると、道端に生えた灌木(樹種不明)の枝葉の匂いを嗅ぎました。(@0:59〜) 
続けて、その葉裏に軽く顔を擦り付けて、眼下腺でマーキングしました。 
しつこく後をつけてくる私に対して、やんわりと縄張りを主張しているのかもしれません。 
向きを変えて林道をどんどん下って行きます。 

私が足音を忍ばせてカモシカ♀に追いつくと、今度は反対側の左端で道端の下草を食べていました。(@1:27〜) 
いくら目を凝らしても、股間に♂の外性器が見えません。
映像では採食メニューが不明です。 
少なくとも、ススキの葉は食べていませんでした。 
ニホンカモシカは木の葉を食べる草食獣(browser)というイメージでしたけど、この時期になると下草に切り替える(grazer)ようです。 
落葉前の秋の木の葉はきっと不味くて栄養価が低いのでしょう。 

ときどき振り返って、ちらっとこちらを見るものの、あまり気にせず採食に夢中です。 
食餌の合間に顔を上げると、根元からむしり取った草が口元にぶら下がっていました。(@4:30〜) 
草の根っこも一緒に食べるかと興味深く見守っていたら、(意図的に?)落としてしまいました。 
また林道を歩いて下り、曲がり角の死角に消えました。 

追いついた私が撮影を再開すると、カモシカ♀は林道右端の道端で採食していました。(@5:07〜) 
手前に生えたタニウツギの茂みが邪魔でカモシカの顔が見えません。 
つまり、カモシカは顔だけを隠した状態です。 
カモシカに限らず野生動物は、自分の顔を隠して視界を遮れば怖い相手(私)から全身が隠れてると思っている節があります。 
「頭隠して尻隠さず」とは良く言ったものです。 
ヒトの幼児も隠れんぼ遊びをすると同じ過ちを犯しますから、自分が他者の視線から隠れているかどうか客観的に(俯瞰で)知るためには、高度な知能の発達が必要なのです。

カモシカの警戒心を和らげるために、私は動画を撮りながらその場に座り込んで、撮影姿勢を低くしました。 
カモシカ♀は口をもぐもぐ咀嚼しながら、私の様子を不思議そうに見ていました。 

道端で灌木の葉を食べていますが、樹種は不明です。
やがてカモシカ♀は茂みの横から顔を出して、私の様子を窺っています。 
はい、ひょっこりはん♪
鼻孔を広げて、私の匂いを嗅ぎ取ろうとしています。 
耳を頻りにプルプル震わせているのは、しつこいヤブ蚊などの吸血性昆虫を追い払っているのでしょう。 
警戒を解くと、灌木の葉を再び食べ始めました。 
この間、私に対して鼻息を荒らげて威嚇することは一度もありませんでした。 

最後は、1/5倍速のスローモーションで今回の動画のハイライトを振り返ります。(@7:13〜) 
カモシカの採食メニューが映像から分かる人がいらっしゃいましたら、教えていただけると助かります。


2024/03/23

山道でウワミズザクラの葉を食べクマイチゴの葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ♂

 



2023年7月上旬・午後13:35頃・晴れ 

つづら折れの山道で座位休息してたニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)がようやく立ち上がって歩き去ったので、そっと後をつけると、ほぼ平坦な区間でこちらを振り返っていました。 
直前まで山道横に自生する灌木の葉を採食していたようで、もぐもぐと咀嚼しています。 
やがて警戒を解くと、道端の木の葉の匂いを嗅いでから、あちこちで葉先を少しずつ口でちぎり取って食べました。 
下草にオカトラノオウツボグサの花が咲いているのに、それらは全く口にしませんでした。 
カモシカはいかにもbrowserらしく、灌木の葉の方が好みなようです。(シカは下草が好きなgrazer) 
股間に陰嚢(睾丸)が見える。

ここで生憎カメラの機材トラブルとなり、焦りながら再起動すると、カモシカ♂はつづら折れの曲がり角に達していました。 
道端に自生するキイチゴの仲間の枝葉に顔をゴシゴシと擦りつけていました。 
眼下腺マーキングが済むと、こちらを振り返って見上げました。 
舌舐めずりしてからゆっくりと倒木を跨いで山道を外れ、オオバクロモジユキツバキの藪の間に分け入って行きました。 
どうやらそこが(通い慣れた?)獣道になっているようです。 
オオバクロモジの葉にも通りすがりに軽く眼下腺マーキングしたようです。 

カモシカ♂が居なくなった後で、動画を撮りながら、現場検証しました。 
採食していた灌木の樹種は、おそらくウワミズザクラと思われます。 
眼下腺マーキングしていたのはキイチゴの仲間だと思われますが、花や実がついていない夏に種類を見分けるのは苦手です。 
葉の形状から、クマイチゴですかね?
右上に葉にカモシカの食痕?


 延べ16分半という長時間の連続観察をする幸運に恵まれましたが、この間、ニホンカモシカ♂が私に対して鼻息を荒らげて威嚇することは一度もありませんでした。 
フィールドで私という存在に慣れてもらうまで何年もかかって大変ですが、信頼関係を築き上げると観察が楽になります。


 【アフィリエイト】 


2024/01/24

野生ニホンカモシカの抜け毛【フィールドサイン】

2023年6月上旬・昼頃・晴れ 

里山のスギ林道の横の斜面に落枝が引っかかり、折れた先端部が道端から突き出したまま放置されています。 
この辺りを縄張りとするニホンカモシカCapricornis crispus)がこの林道を通りかかる度に、このスギ落枝の尖った先端に眼下腺でマーキングしていることがトレイルカメラによる撮影で分かっています。 


関連記事(2022年の撮影)▶  


すでに監視カメラを撤去してしまったのですが、久しぶりに現場入りしてみると、スギ落枝の先端部に白っぽい体毛が何本も絡みついていることに気づきました。 
これはカモシカが顔をゴシゴシと擦り付けた際に抜けた体毛と考えられます。 

撮影後、念の為に抜け毛を採取しました。 
もし毛根が残っていればDNA鑑定が可能となり、眼下腺マーキングした複数個体の識別や血縁関係などが明らかになるはずです。
このときピンセットを持参してなかったのでやむなく素手で摘み取りました。
したがって、私のDNAでサンプルを汚染してしまいました。

カモシカの話から外れますが、農耕地を取り囲む有刺鉄線に絡みついた抜け毛を積極的に集めて顕微鏡で分析するだけでも、有刺鉄線をくぐり抜ける害獣の種類がある程度見分けられるのだそうです。

2024/01/16

山林を歩きながらエゾユズリハとマルバアオダモの葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ

 

2023年5月下旬・午後13:05頃・晴れ 

この日の私は熊撃退スプレーをうっかり持参し忘れたので、念の為に熊よけの鈴を鳴らしながら里山の山道を歩いていました。 
ふと気づくと、山道に隣接するスギ林の茂みの奥からニホンカモシカCapricornis crispus)がこちらを覗いていました。 
どう考えても、私が鳴らす鈴の音♪に興味を持って近づいてきたとしか思えません。 
カモシカは好奇心旺盛で、人工的な鈴の音を恐れないようです。 

カモシカは初め、茂み(ヤマウルシ、ウワミズザクラなどの低木)の陰に隠れて私の方をじっと見据えていました。 
現場は斜面で、私がカモシカをやや見下ろしています。 
なんとなく顔馴染みの個体のような気がするのですけど、個体識別ができていません。 
角や耳介に分かりやすい特徴はありませんでした。 

画面の奥に見えるスギ植林地にタヌキの溜め糞場opがあり、それをトレイルカメラで監視していた時期があるのですけど、そのときに写っていたカモシカの1個体と思われます。



やがて警戒を解いたカモシカは、横を向いて鼻を上げ、風の匂いを嗅いだようです。 
 次にエゾユズリハの葉裏に顔を擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@1:12〜) 
エゾユズリハの葉に眼下腺マーキングしたのを見たのは、これが2回目です。
初回の観察記録はこちら
エゾユズリハの葉を食べるカモシカを初冬に見たことがあるのですけど、今回は食べませんでした。

山道で突っ立っている私を迂回するように、カモシカはスギ林縁を移動し始めました。 
足音を立てず静かに歩くニホンカモシカは、ときどき立ち止まって私の様子を伺っています。 
今回のニアミスで、このカモシカは私に対して鼻息を荒らげて威嚇することはありませんでした。(やはり顔馴染みの個体?) 

慎重に山道に現れたカモシカは私を一瞥してから(見下ろしてから)、道端に生えた灌木の葉裏に再び顔をスリスリと擦り付けて眼下腺マーキングしました。(@2:46〜) 
その直後にぺろりと舌舐めずり。 

ニホンカモシカが眼下腺マーキングする対象物と言えば、太い幹、細い枝先、木の葉と3つのパターンがあります。

その後カモシカは山道をゆっくり登って立ち去りました。 

カモシカが立ち去った直後に、眼下腺マーキングした大きな若葉を現場検証しました。 
落葉性広葉樹の幼木で、樹高は約1m。
羽状複葉の葉縁に浅い鋸歯があり波打っています。 
私には樹種が突き止められなかったので、ときどきお世話になっている「このきなんのき掲示板」にて問い合わせたところ、マルバアオダモと教えてもらいました。


今回はカモシカが灌木の若葉を採食する行動は見られなかったものの、移動しながらあちこちの灌木の葉裏に次々と眼下腺マーキングする様子を観察できました。 
私と出くわした不安からくる転移行動、という要素もあるのかもしれません。 
マーキング(匂い付け)する樹種にこだわりは無さそうです。 
私に対して鼻息威嚇こそしなかったものの、この山林は自分の縄張りであることを眼下腺マーキングによってやんわり主張したことになります。

2023/09/06

晩冬に林道の両側に立つスギの幹に続けて眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年2月下旬〜3月上旬 

雪深い里山でスギ林道に通うニホンカモシカCapricornis crispus)を自動センサーカメラで記録しています。

シーン1:2/27・午後19:46・気温-2℃・(@0:00〜) 
私がトレイルカメラの電池を交換した当日の晩にカモシカが右からやって来ました。 
雪面には私がスノーシューで歩いた巨大な足跡が残されています。 
カモシカが1歩踏み出す度に中途半端に凍った雪面が割れるので、足がズボズボと雪に潜って、とても歩きにくそうです。 

画面左端に立つスギ大木の下で立ち止まり、幹に顔をゴシゴシ擦り付けて眼下腺マーキングしているようです。 
残念ながら、肝心の頭部が見切れてしまっています。 
カメラをもう少し左に向けて設置するべきでした。 

秋にカモシカたちが眼下腺マーキングしていたお気に入りのスギ落枝は、深い根雪の下に埋もれてしまっています。 (画面の左)

対面に見えるスギの木には立ち寄らず、そのまま左へ立ち去りました。 
左右どちらの杉の木に眼下腺マーキングするのかは、気分次第で決まるのか、それとも個体によって違うのでしょうか? 


シーン2:2/28・午後13:33・気温6℃・(@0:31〜) 
翌日の晴れた午後にカモシカが右から登場。 
気温が上がると、雪が溶けてシャーベット状の重い「腐れ雪」の状態になり、ますます歩きにくくなります。 

今回もニホンカモシカは画面左端にあるスギ大木の下で立ち寄ると、幹の匂いを嗅いでから眼下腺マーキングしたようです。 

次に林道を渡って、対面の法面に立つスギへ向かいました。 
カモシカは首を伸ばしてスギの幹に顔を擦り付けて、眼下腺マーキングしました。 

縄張りで念入りに匂い付けを済ますと、踵を返して左へ立ち去りました。 
林道を挟んで左右のスギ両方に眼下腺マーキングするのを見たのは初めてかもしれません。 

シーン3:3/5・午前11:22・気温2℃・(@1:47〜) 
5日後の晴れた昼前にもカモシカが右からやって来ました。 
雪面は固く凍結していて、カモシカが歩いても蹄がほとんど潜らず、楽に歩けるようになりました。 
個体識別ができていませんが、今回の個体はなんとなく体型が小柄で、若い個体のような気がします。 
食料に乏しい厳しい冬を乗り切って体脂肪を使い切り、やせ衰えて見えるだけかもしれません。 

いつものように左のスギ大木で眼下腺マーキングした後は、そのまま左に歩き去りました。 
右を向いて対面のスギを見たものの、今回は立ち寄りませんでした。 

シーン4:3/8・午前1:47・気温4℃・(@2:29〜) 
3日後の深夜にカモシカがいつものように右から登場。 
逆に左から右へ行くシーンが全く撮れていないのが不思議です。 
積雪期は一方通行の決まったルート(一筆書き)で縄張りを巡回しているようです。 

雪面だけが最中もなかのように凍っているために、一歩ずつ割れて足が雪に沈み、歩きにくそうです。 
雪国在住者にとっては馴染みのある現象ですけど、暖地のヒトには経験しないとこの感覚は分からないでしょう。
画面左外のスギ幹に眼下腺マーキングしてから左に立ち去りました。 

実はこの日の昼過ぎに、私もトレイルカメラの電池交換のために現場入りしました。
12時間前に雪面を歩いたニホンカモシカの蹄跡を写真に撮りました。

雪面にカラマツの落枝
カモシカの進行方向と同じアングルだと、緩やかな下り坂になっているスギ林道。道端の左右両側に立つスギの幹にカモシカが眼下腺マーキングしている。


2023/09/03

雪山でスギの幹に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年2月上旬〜中旬〜下旬 

雪深い里山のスギ林道で溜め糞場sを監視する自動撮影カメラの設置アングルを逆向きにしてみました。 
同じ地点ですが、従来よりも広角で撮れるようになりました。 
ニホンカモシカCapricornis crispus)の登場した映像をまとめました。 


シーン1:2/9・午前6:22・気温-4℃(@0:00〜) 日の出時刻は午前6:34
小雪がちらつく日の出前に、カモシカが雪道をトボトボとゆっくり歩いて左から登場しました。 
雪面が凍結しているために、カモシカが蹄を踏み出してもあまり沈みません。 
これまで長らくトレイルカメラを固定していたスギの幹に歩み寄ると、匂いを嗅いでからゴシゴシと顔を擦り付けました。 
眼下腺マーキングの直後は、いつものように舌をペロペロと出し入れしています。 
そのまま林道を右へ立ち去りました。 


シーン2:2/11・午後19:17・気温-1℃(@0:34〜) 
2日後の晴れた晩にもカモシカが左から右へ通り過ぎました。 
今回は眼下腺マーキングしませんでした。
雪面がクラストしているようで、足があまり潜りません。  


シーン3:2/21・午前4:55・気温-6℃(@0:47〜) 
トレイルカメラが起動した理由は不明ですが、未明に激しい吹雪のシーンが撮れました。 


シーン4:2/21・午後12:09・気温-3℃(@0:58〜) 
スギの枝葉に積もった雪の塊がドサッと一気に林道上へ落ちる様子がたまたま記録されていました。 


シーン5:2/23・午後19:04・気温0℃(@1:09〜) 
前回の登場から12日後、珍しくこれまでとは逆の右から左へ雪道を通過しました。 
新雪が積もった後でも雪面にカモシカの足があまり潜らず、ラッセルというほど大変ではなさそうです。 
画面左端のスギ大木(胸高直径60.5cm)の下で立ち止まり、おそらく眼下腺マーキングを施したようです。 
カメラの画角をもう少し左にずらして設置すべきでした。

昨年に逆アングルから撮った動画が分かりやすいです。

根雪が積もる前には、画面左(林道脇)から突き出たスギの落枝の先端部にカモシカは好んで眼下腺マーキングしていたのですが、それは深い雪の下に埋もれてしまっています。


シーン6:2/26・午前1:06・気温-4℃(@2:02〜) 
再び激しい吹雪のシーンが深夜に撮れていました。 
トレイルカメラが起動した理由は不明です。 
低山でも雪山の厳しさが伝わるかと思います。 



2023/08/20

雪山のスギ林道でトレイルカメラを固定したスギの幹に眼下腺マーキングするようになったニホンカモシカ【暗視映像】

 



2023年1月中旬〜下旬〜2月上旬 

厳冬期に雪深い里山のスギ林道に通うニホンカモシカCapricornis crispus)の記録をまとめました。 

シーン1:1/19・午前3:21・気温-4℃・(@0:00〜) 
未明に左から現れたカモシカが林道を横切り、カメラの方へ近づいてきます。 
画面手前の死角で立ち止まると、何かを擦り付ける物音が聞こえます。(@0:17〜) 
※ 冒頭だけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

どうやら、カメラを固定したスギの幹にニホンカモシカが顔を擦り付けて眼下腺マーキングしてるようです。 
(カモシカが死角に消えた間は5倍速の早回し。) 
しばらくすると、画面の下端から再登場したカモシカが林道を右へゆっくり立ち去りました。 
ちなみに、タヌキが持ってきた黒いビニールテープが林道の凍った雪面に残されたままです。

この辺りを縄張りとする複数個体のカモシカがこれまで代わる代わるマーキングしていた道端のスギ落枝が雪の下に完全に埋もれてしまったので、林道を挟んでちょうど反対側に立つスギの幹に眼下腺マーキングする対象物を変更したのです。 
ヒトの登山者が雪山で埋もれた道標を掘り出すように、お気に入りのマーキング用スギ落枝をカモシカが雪の下から掘り出したら面白いのですが、そこまで執着せずに臨機応変に対応しました。
1頭が新たな場所に眼下腺マーキングするようになれば、次に来た個体も匂いで気づき、それに対抗して自分もそこに眼下腺マーキングするようになるのでしょう。 




シーン2:1/21・午後12:39・気温-3℃・(@0:44〜) 
2日後の明るい昼過ぎにカモシカが再登場。 
大雪が積もった後で、林道上に放置された黒いビニールテープは完全に埋もれて見えなくなりました。 
左下手前の死角でスギの幹に眼下腺からの分泌物を擦り付けてマーキングしてる物音♪がかすかに聞こえます。(@0:48〜) 

足跡を見るとカモシカは右から登場したはずなのに、カメラの起動が遅れています。 
気温が氷点下のせいで電池の電圧が低下している上に、カモシカ毛皮の断熱性が高くてセンサーが体温を検知できなかったのでしょうか? 


シーン3:2/2・午前3:37・気温-3℃・(@0:56〜) 
12日後の未明にまたカモシカが現れました。 
雪が降りしきる中、奥の斜面を登ってきたカモシカが林道を渡って手前へ来ました。 
新雪に残るカモシカの足跡は、それほど深くありません。 

積雪量が増すと、トレイルカメラの位置が林道の雪面に対して相対的に低くなります。 
カモシカはトレイルカメラの匂いを嗅ぐと、いつものようにスギの幹にゴリゴリ♪と眼下腺マーキング。 
カメラに近過ぎですけど、なかなか迫力のある映像が撮れました。 
カメラでゴリゴリと角研ぎされたら大変ですが、壊されずに済んでよかったです。


シーン4:2/5・午前6:43・気温-4℃・(@1:34〜) 
 3日後、日の出直後の明るい早朝にカモシカが前回と同じルートで登場。 
(日の出時刻は午前6:37:46。) 
今回もトレイルカメラに興味を示しました。 
顔のアップで見ると、カモシカの睫毛が長いことが分かります。 
カメラに鼻息を吹きかけた際に、口内の下顎の白い歯が一瞬見えました。 
今回はスギの幹に顔を擦り付ける物音がしなかったので、匂いを嗅いだだけで眼下腺マーキングしなかった様子。 

林道を左に立ち去ったのではなく、どうやら法面を登って行ったようです。 
雪道にカモシカの蹄跡が残りました。

後日、逆方向から杉の木を狙うようにトレイルカメラの設置場所を変更し、カモシカの眼下腺マーキング行動をしっかり撮影できるようになりました。(映像公開予定)



2023/08/10

年末年始の雪深いスギ林道で眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月下旬〜2023年1月上旬

雪深い里山のスギ林道を巡回するニホンカモシカCapricornis crispus)を自動撮影カメラが捉えた記録をまとめました。 



シーン1:12/28・午後14:54・くもり・気温2℃・(@0:00〜) 
明るい日中に林道を左からやって来ました。 
林道に積もった雪質は腐れ雪のようです。 
道端から突き出すように斜面に引っかかっているスギ落枝の匂いを嗅ぐと、尖った先端部にゴシゴシと顔を擦り付けて眼下腺の分泌液を塗りつけました。 
マーキングが済むと、カメラ目線で舌なめずり。 
右肩に黒班のある個体でした。 
雪面の匂いも嗅いでから、右へ立ち去りました。 

西日本のカモシカの映像をYouTubeで見ると、その黒さに驚きます。
それに対して、ここ雪国(北日本)のカモシカの毛皮が白っぽいのは、グロージャーの法則が当てはまります。
単純に積雪期に目立たないように捕食者から隠れる保護色なのかな?
ニホンオオカミが絶滅して以降、カモシカが恐れるべき天敵はヒト(猟師)ぐらいでしょう。
晴れれば雪山の紫外線は強烈なので、それを遮ったり反射したりする必要があるかもしれません。

岩波生物学辞典第4版で「グロージャーの規則」を引くと、
[英Gloger's rule]
鳥類・哺乳類において,一般に同じないし近縁の種において,乾燥・冷涼な気候下で生活するものは,湿潤・温暖な気候下で生活するものよりも,メラニン色素が少なく明るい色彩を呈すること.様相に若干の差はあるが,昆虫類にもよく似たような傾向が見られる.しかし広く動物界を見ると,低温が黒化をもたらす傾向などもあって,この規則に添わない場合も多い.


シーン2:12/29・午前3:22・小雪・気温0℃・(@0:45〜) 
翌日は小雪がかすかにちらつく深夜に左から登場。 
毛皮が濡れています。 
立ち止まってスギ落枝の先端の匂いを嗅いだだけで、マーキングせずに右へ立ち去りました。 


シーン3:12/31・午前2:30・小雪・気温-2℃・(@1:05〜) 
2日後の大晦日には小雪の降る深夜に、またもや左から登場。 
新雪の少し積もった林道を軽くラッセルしながら(雪をかき分けながら)歩きます。 
スギ落枝の端の匂いを嗅いで舌舐めずりしたものの、眼下腺マーキングしないで右へ立ち去りました。 


シーン4:1/1・午前1:30・くもり・気温-2℃・(@1:25〜) 
翌日、年が明けた元旦も深夜にカモシカが現れました。 
この日は珍しく雪道を右から登場しました。 
雪面がボコボコと荒れているのは、スギ樹上からドサドサとまとめて落雪したせいです。 
立ち止まってスギ落枝の先に眼下腺マーキングしてから左に立ち去りました。 
1歩ずつ歩くたびに、蹄が雪に少し潜っています。

スギ植林地の林床は微気象が安定していて、この時期の最低気温は-2℃止まりでした。
気温の低い厳冬期は眼下腺からの分泌物が揮発しにくくなり、匂いがあまりしない(マーキングに使えない)のではないか?と思ったのですが、素人予想は外れました。 
実際にニホンカモシカの眼下腺分泌物の融点や沸点を化学的に調べた研究はあるのでしょうか? 
そもそもどういう組成の物質なのかな? 



2023/08/03

根雪の積もったスギ林道を夜な夜なパトロールするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月中旬~下旬

根雪の積もった里山のスギ林道をニホンカモシカCapricornis crispus)が往来する様子をまとめました。 


シーン1:12/15・午前2:06・気温-3℃・(@0:00~) 
積雪は未だそれほど深くありませんが、乾いた(サラサラの)新雪です。 
雪が降る夜中にカモシカが雪道を右から歩いてきたのに、カメラの起動が遅れました。 
背中の毛皮が白い雪だらけで、しかも少し凍っているようです。 
画角外のスギ落枝で立ち止まり、おそらく顔の眼下腺をゴシゴシと擦り付けてマーキングしたようです。 
そのまま左へ立ち去りました。 


シーン2:12/15・午前2:55・気温-3℃・(@0:27~) 
48分後に、左から登場しました。 
同一個体が戻ってきたのかと思いきや、毛皮に雪が付着していないので、おそらく別個体のようです。
 (縄張りを動き回って体が温まり、毛皮の雪が溶けたのかもしれません。) 
道端のスギ落枝は素通りして、林道を右へ歩き去りました。 
雪が静かに降り続いています。 


シーン3:12/15・午後21:51・気温-2℃・(@0:38~) 
約19時間後の晩、林道に雪の積もって前の足跡が消されてしまっています。 
カモシカが左から右へ通り過ぎ、スギ落枝は素通りしました。 
背中に小さな氷の塊が付着しています。 
相変わらず、ちらちらと雪が降っています。 


シーン4:12/18・午後22:31・気温-5℃・(@0:51~) 
最低気温を更新しました。 
こんな過酷な条件でも律儀に録画してくれるトレイルカメラが素晴らしい。 

雪がちらつく晩に深雪が積もった林道を右からやって来ましたが、カメラの起動が遅れました。 
乾いた深雪をラッセルしてきた跡が残ります。 
カモシカの毛皮は全身雪まみれです。 
道端のスギ落枝で立ち止まり、どうやら眼下腺マーキングをしたようです。 


シーン5:12/20・午後22:43・気温-2℃・(@1:14~) 
左から来たニホンカモシカがスギ落枝をスルーし、そのまま右へ通り過ぎました。 
乾いた新雪をラッセルして行きます。 
雪は降り止んでいました。 


シーン6:12/21・午前3:21・気温-2℃・(@1:29~) 
雪面のあちこちがクレーターのように凸凹なのは、常緑のスギ樹上からときどき一気に落雪するからです。 

晴れた深夜にカモシカが画面左外のスギ落枝で立ち止まり、眼下腺マーキング。 
尻だけが雪まみれでした。 
その後は、そのまま左へ立ち去りました。 


シーン7:12/22・午後17:32・気温0℃・(1:47~) 
日の入り時刻は午後16:27。 
日が暮れた晩に珍しくガス(霧)がかかっています。 
(カメラのレンズが曇っているだけ?) 
深雪の林道をカモシカが右から来たのに、またもやカメラの起動が遅れました。 
道端のスギ落枝で立ち止まり、眼下腺マーキング。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して、暗視動画を明るく加工しています。 


どうやらカモシカが右から登場するときにはカメラの起動が遅れる癖があるようです。 
トレイルカメラの起動が遅れがちな理由としては、低温でどうしても乾電池の電圧が下がってしまうことがまず考えられます。 
もうひとつ思いついたのは、雪国で暮らす野生動物は冬毛の毛皮の断熱効果が高いために、体温をセンサーが検知しにくいのかもしれません。 
サーモグラフィカメラで撮影してみたくても、高嶺の花です。
トレイルカメラを設置した直後に自分で動作チェックしてみると、防寒具を着込んでいると(素肌を露出した部分が少ないと)確かにセンサーが検知しにくいようです。



 

2023/06/12

杉林道を歩くニホンカモシカの記録:2022年11月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬〜中旬 

自動撮影カメラで監視している里山のスギ林道を行き交う野生ニホンカモシカCapricornis crispus)の記録です。 


シーン1:11/8・午前00:31・(@0:00〜) 
深夜に左から登場したカモシカが、道端から突き出たスギ落枝の先端部に顔の眼下腺をゴシゴシと擦りつけて、いつものようにマーキングしていました。 
右に立ち去る途中で、スギ大木の右下に生えたコシアブラの幼木にも立ち寄って眼下腺マーキングしたようです。 
残念ながら今回はカメラの設置アングルがいまいちで(※)、コシアブラ幼木は死角になってしまいました。 
(※ 林道上のタヌキ溜め糞場sの監視を優先した結果です。) 


シーン2:11/9・午前3:56・(@0:16〜) 
翌日の未明に現れたカモシカは、眼下腺マーキングもしないで林道を右から左へ素通りしました。 


シーン3:11/10・午後16:38・(@0:25〜) 
日の入り時刻は午後16:35。 
翌日の日没直後に左からやって来たカモシカが、いつものようにスギ落枝にマーキングしてから、右に立ち去りました。 


シーン4:11/16・午前4:25・(@0:49〜) 
6日後の未明に右から登場。 
カメラの起動が遅れたのは、おそらく気温が冷え込んだからでしょう。 (日の出前の最低気温?)
お気に入りのスギ落枝の先端に眼下腺マーキングしてから左に歩いて行きました。 



2023/05/29

杉林道を歩くニホンカモシカの記録:2022年10月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月下旬 

里山のスギ林道に設置した自動センサーカメラに写ったニホンカモシカCapricornis crispus)の記録です。 
この期間は昼夜を問わず6日連続で登場しました。 
同じ日に何回も通りかかるときもあります。
未だしっかり個体識別できていませんが、どうやら複数の個体が同じ林道を巡回しているようです。 
夜になると気温が10℃を切り、冷え込むようになりました。 

眼下腺マーキングの有無によって別の動画に切り分けるのを止めました。 
どういうときにマーキングして、どういうときに素通りするのでしょうか? 


シーン1:10/25・午後14:20・気温9℃(@0:00〜) 
画面の下から登場したということは、林道脇の法面の獣道を下ってきたのかもしれません。
林道を横断すると、道端から突き出したスギ落枝の先端の匂いを嗅いでから顔の眼下腺を擦りつけてマーキングしました。 
舌をペロペロと出し入れしながら右へ歩き去りました。 
右肩に黒い斑点がある個体でした。 


シーン2:10/26・午後17:44・気温8℃(@0:36〜) 
翌日、とっぷりと日が暮れた林道を右から歩いて登場しました。 (ちなみに、日の入り時刻は午後16:51。) 
道端のスギ落枝に眼下腺マーキングしてから左へ立ち去りました。 


シーン3:10/27・午後21:12・気温7℃(@1:20〜) 
次の日の晩に林道を左から登場。 
いつものスギ落枝に眼下腺で匂い付けしました。 
体を右に強く曲げて右腿の匂いを嗅ぎました。 
吸血性の昆虫に刺されて痒いのかな? 
次は林道上に残されたタヌキとアナグマの溜め糞場sの匂いを嗅いでから右に歩き去りました。 
この個体は右背に黒点はありません。 


シーン4:10/28・午前00:15・気温6℃(@2:05〜) 
翌日の深夜、林道を右から登場したようです。 
溜め糞場sの匂いを嗅ぎ回ってから左に歩き去りました。 
今回は珍しく道端のスギ落枝に眼下腺マーキングをしませんでした。 
(むしろ迂回するように通り過ぎました。) 


シーン5:10/28・午後15:00・気温12℃(@2:22〜) 
約15時間後。 
同日の明るい午後にカモシカが右から登場。 
スギ落枝を素通りして、左に立ち去りました。 


シーン6:10/29・午前7:46・気温9℃(@2:31〜) 
翌日の明るい朝に左から来たカモシカが右へと素通りしました。 
この個体は右背に黒い斑紋があるものの、ぼやけています。 


シーン7:10/29・午後15:16・気温10℃(@2:42〜) 
7時間半後、またカモシカが左からやって来ました。 
道端から突き出たスギ落枝に対して久しぶりに興味を示し、先端部の匂いを念入りに嗅いでいます。 
角研ぎではなく、明らかに顔の眼下腺を擦りつけてマーキングしました。 
角を研ぎたいのなら、こんなグラグラした落枝ではなく、どっしりと安定した立木の幹にやるはずです。 
右に立ち去るときはカメラに右半身を見せてくれます。 
右肩に黒い斑紋がある個体でした。 


シーン8:10/29・午後18:03・気温8℃(@3:14〜) 
約2時間45分後、暗い夜道を左から登場。 
いつものように眼下腺マーキングをしてから、溜め糞場sの匂いを嗅ぎながら右に立ち去りました。 
前肢にたくさん付着しているのは「ひっつき虫」(動物散布型の種子)でしょうか? 

この個体は右背に黒班はありません。 
ということは、スギ落枝に別個体が2時間45分前に付けた匂いに対抗して眼下腺マーキングしたことになります。 
同一個体が連続して通りかかったときには、眼下腺マーキングを省略すると考えればシンプルに説明できそうです。



シーン9:10/29・午後19:11・気温8℃(@3:40〜) 
約1時間後、今度は林道を逆に(右から左へ)素通りしました。 
至近距離からカメラの赤外線を浴びて、少し白飛びしてしまっています。 


シーン10:10/30・午後23:09・気温7℃(@3:49〜) 
翌日の深夜に左から登場。 
あるいは林道脇の法面を降りて来たのかもしれません。 
いつものようにスギ落枝先端の匂いを嗅いだものの、眼下腺マーキングせずに右へ歩き去りました。 

ところで、シーン10で夜風に乗って下から上に飛んでいる無数の小さな物体は何なのでしょう? 
雨粒なら重力に従って上から下に流れるはずです。 
粉よりも粒子が大きく、昆虫の飛ぶ動きとは違うようです。
キノコやシダの胞子が風で大量に舞っているのかな?(当てずっぽう) 
胞子ではなく種子かもしれませんが、秋の山林で細かな種子を風散布する植物が思いつきません。 
毛羽立った樹皮を擦ると、確かこのような荒い粒子?が舞います。 
もしかするとカモシカが近くの立木の幹で角研ぎをした直後なのかもしれない、と想像しました。



2023/05/25

ローアングルのトレイルカメラに写るニホンカモシカは大迫力!【暗視映像】

 

2022年10月下旬

山林でカラマツの下のドングリ給餌場をトレイルカメラで見張っていると、ニホンカモシカCapricornis crispus)が登場しました。 
この地点で撮れたのは初めてです。 


シーン1:10/21・午後16:02・(日の入り時刻は午後16:57) 
夕方にやって来たカモシカがいきなり正面から至近距離で写りました。 
カメラがローアングル過ぎて、残念ながらカモシカの顔が写っていません。 
カメラ自体に興味があるというよりも、カメラを固定したシナノキの幹にゴシゴシと顔を擦りつけて眼下腺マーキングしたようです。(角研ぎの可能性は?) 

獣道を右に立ち去る際にカモシカの鼻面と横顔がドアップでちらっと写りました。 
数匹の吸血性ブヨ?がカモシカにつきまとうように飛び回っています。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
音声を正規化して音量を強制的に上げました。 


シーン2:10/27・午前5:25・(@0:29〜) 
6日後の未明にカモシカが再び登場。 (ちなみに、日の出時刻は午前5:56。) 
同一個体かどうか不明です。
おそらく水溜りのある林道から法面を登ってきたのでしょう。 
カラマツの下で立ち止まり、泥汚れが付いて樹脂が滴り落ちている幹の匂いを嗅いでいました。 
前脚の副蹄がよく見えます。 
頭を下げて地面の匂いを嗅ぎ、右に向き直ったものの、ドングリを山盛りに置いた餌場には全く興味を示しませんでした。 
カモシカは木の実(堅果)を食べません。(食べられません) 

私が折ってしまった幼木の枝先に興味を示し、濡れた鼻面を近づけて頻りに匂いを嗅いでいます。 
私の手の残り香が気になるのかな? 
トレイルカメラを正面から凝視しても、全く警戒しません。 

録画が一度切れてから14秒後に再起動しました。 
後脚しか写ってませんが、雑木林の斜面をトラバースするように獣道を右へ立ち去りました。 




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