2024年6月中旬・午後14:40頃・晴れ・気温30℃
昼下がりにニホンアナグマの旧営巣地(セット)で巣口Rの横に座ったまま30分以上も休んでから、ようやくニホンカモシカ(Capricornis crispus)が立ち上がりました。
脚を伸ばすストレッチ運動をしています。
この個体は空咳をしていたので体調が悪いのかと心配でしたが、30分間という座位休息の時間は、カモシカにしては別にそれほど長い訳ではありません。
オニグルミの手前に生えたマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の細い灌木に角をゴシゴシと擦りつけて研ぎ始めました。
これも縄張り宣言のマーキング行動なのでしょう。
トレイルカメラで撮れたのは初めてです。
関連記事(3ヶ月前の撮影)▶ 左右の角の先が欠けたニホンカモシカが早春の雪山で灌木に眼下腺マーキングと角研ぎを繰り返す
その後は満足そうにペロペロと舌舐めずりしています。
カモシカは向きを変えると、平地の二次林で獣道を通って左に立ち去りました。
【考察】
ゴマキの仲間には名前の通り、ゴマ(胡麻)のような香ばしい芳香があります。
今のところ、ニホンカモシカはマルバゴマキの葉を食べることは一度もありません。
しかし、眼下腺の分泌物をマルバゴマキの枝に擦りつけて匂い付けしたり、角を研いで(幹に擦り傷を付けて)マーキングしたりするので、もしかするとカモシカはマルバゴマキの芳香が好きなのかな?と思いました。
Perplexity AIにカモシカの角研ぎ行動について疑問を投げかけてみました。
ニホンカモシカの角研ぎ行動について、現時点で明確な結論は出ていませんが、観察や研究から次のようなことが分かっています。角を鋭く研いでいるのか?「武器として使用するために先端を尖らせる」といった説もありますが、実際の角研ぎの場面を見ると、先端よりも根元の方を木にこすりつけていることが多いと報告されています。老獣では根元部分が角研ぎによってえぐれていることも観察されています。したがって、「角の先端を鋭く研ぐ」ことが主目的とは言い難いです。マーキングが目的ではないのか?角研ぎの後で眼下腺から液を出して縄張りを主張するマーキング行動が見られることから、角研ぎ自体がマーキングの一環である可能性が高いと考えられています。角が痒いときに掻いている可能性は?カモシカの角は、骨の芯をケラチンの鞘が覆う構造で、角自体には神経や感覚器はありません。したがって、完成した角が「痒くなる」ことは基本的にありません。
まとめると、ニホンカモシカの角研ぎは「角を鋭く研ぐ」ことが主目的ではなく、むしろマーキングや社会的アピールの意味合いが強いと考えられています。また、痒みを取るための行動である可能性は低いです。
つづく→
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