2024年6月中旬・午前11:00頃・晴れ
なるべく気づかれないようにそっと近づいて観察すると、散開した群れは下草のシロツメクサをムシャムシャと採食していました。
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果樹園では、被覆植物(カバープランツ)や「コンパニオン・プランツ」としてシロツメクサを意図的に播種しているのだそうです。
マメ科植物ですから、根粒菌による窒素固定を利用した土壌改良や肥沃度向上が期待できます。
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ニホンザルは、草食獣のように頭を下げて口で直接採食するのではなく、必ず手を使ってシロツメクサを口に運んでいます。
地面に座り手を使って採食することで、目線をあまり下げずに済み(上半身を立てたまま)、危険な捕食者や外敵の接近をいち早く察知することができそうです。
しかも、ニホンザルはシロツメクサの花は避けて、葉のついた茎だけを選んで次々と手でむしり取って食べていました。 (部位選択的採食)
なんとなく花の方が蜜が含まれていて甘そうなのに、ニホンザルにとっては美味しくないのでしょう。
あるいは栄養に乏しかったり、消化が悪かったりするのかもしれません。
猿は両手を交互に使って採食していましたが、まじめに(定量的に)調べれば個体によって利き手(の傾向)がありそうです。
群れには子連れの母猿も混じっていました。
当歳仔の子猿(新生児)は、まだ離乳前のようで、シロツメクサをまったく食べませんでした。
座ってシロツメクサを採食する母猿の背中によじ登ったり飛び降りたりして遊んでいます。
枝葉の隙間から隠し撮りしている私に気づいた母親♀が子猿を抱き寄せて、左の木陰に逃げ込みました。
果樹園に侵入したニホンザルはヒトに対する警戒心を高めているようで、特に成獣個体は私に気づくとさりげなく死角に隠れてしまいます。
一方、若い子猿はヒトに対する恐れを知らないのか、原っぱで独り堂々と、シロツメクサの葉を食べ漁っていました。
クローバーの茎を手でブチッとむしり取るには、結構力を要するようです。
最後に、ニホンザルの群れが居なくなった後で、リンゴ園の全景をスナップショットのように撮りました。
雪国のリンゴ園では、冬の間は電気柵が積雪で潰れないように撤去しています。
この時期(6月中旬)のリンゴ園はまだ電気柵で囲い直していないため、サルは侵入し放題です。
ちなみに、1週間後に同じリンゴ園を再訪したときには、電気柵でしっかり取り囲まれていました。
今回Perplexity AIを使った調べ物をしていて初めて知ったのですが、シロツメクサは家畜の牧草としてよく使われるのに、その全草にはシアン配糖体(青酸配糖体)という微量の毒が含まれていることがあるそうです。
ただし、シロツメクサの青酸配糖体の含有量は通常は低く、大量に摂取した場合や極端なストレス条件下(霜害、踏圧、過剰な若葉など)でない限り、家畜の健康被害はほとんどないそうです。
つづく→
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