2023/04/24

果樹園のシロツメクサを食べに来たニホンカモシカ♂(左耳欠け)

 

2022年10月中旬・午後15:00頃・晴れ 

山麓にあったリンゴ園が廃業して、果樹が全て伐採されてしまいました。 
ただの原っぱとなった旧リンゴ園でニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)が独りでのんびりと下草を食んでいます。 

頭を上げた際に口元からぶら下がる茎の先端にクローバー状の葉が付いていたので、採食メニューはシロツメクサと判明しました。
葉も茎も一緒に食べています。 
せっかく咥えた餌を口からボロボロこぼしてもカモシカは気にしません。 
平田貞雄『ニホンカモシカ・ミミの一生』にはミミと名付けた飼育個体♀に与えた餌について詳細に記録してあるのですが、シロツメクサについてはなぜか調べていないようです。 
給餌テストを3〜7回繰り返しても全く食べなかった植物のリスト(表2:p48)にアカツメクサが含まれていました。 

リンゴ園の下草にはシロツメクサに混じってオオバコやメヒシバも生えています。 
カモシカがオオバコも食べたかどうか、はっきり確かめられませんでした。(食べてない気がします)

カモシカ♂は原っぱをあちこち移動しながら頭を下げて下草を延々と食べ続けています。 
原っぱの奥には枯れ草が大量にありますが、カモシカは生のクローバー葉が好きなようです。 
冬に備えて栄養をしっかり蓄えないといけません。

このニホンカモシカ個体の胴体の左右どちらにも黒斑模様はありませんでした。 
頭部をよく見ると、角の形状は正常でしたが、左耳に切れ目がありました。 
特に後ろから見ると、耳介が左右非対称に欠けていることがよく分かります。 
これほど明確な特徴があれば、私にも個体識別できます。 
山中に設置したトレイルカメラに写ったことはありません。
過去の記録を遡って調べてみると、左耳が欠けた個体は他に1例いましたが、耳の裂け方が全然違います。 
耳介の裂傷が自然に再生するはずはありませんから、別個体と判明。 
今回の個体の方が耳の裂け方が軽微でした。
関連記事(9年前の撮影)▶ ニホンカモシカ(左耳裂け右角欠け)との再会
カモシカは気になる物音がする方向に耳を向けるだけでなく、ハエなど顔にたかる虫を追い払うためにも耳をよく動かします。 
この♂個体は裂けた左耳も正常に動かすことができました。 
むしろ左耳の方がよく動いています。
耳を動かす筋肉は根元にありますから、耳介の先端部が裂けていても動きには問題ないのでしょう。 

採食中に後ろ向きになった際、股間に揺れる睾丸がしっかり見えたので♂と判明。 
白い毛が密生しています。 
真横から見たときに下腹部にある黒い小さな突起が陰茎なのでしょうか? 
デベソなのかもしれませんし、排尿シーンを見ないと確かめようがありません。 
 

食餌の合間に左後脚を持ち上げ、左耳の後ろを蹄で器用に掻きました。(@4:49〜) 
たまに短い尻尾を左右に素早く動かしているのは、どういう意味があるのでしょう?
尻尾で吸血性昆虫を追い払っているようには見えません。
素人目には、機嫌が良いことを示す感情表現のように見えます。

順光の西日を浴びてベストコンディションでの撮影に恵まれました。 
まるで放牧された牛を見ているようです。
ニホンカモシカはウシ科ですから、やはり似ていますね。
狩猟の対象であるカモシカの家畜化を試みた日本人はかつていたはずです。
しかし、山で単独生活を送り群れを作らないカモシカは縄張り意識も高く、集団生活を強いられるとストレスに耐えられないのでしょう。

初めはカモシカを驚かせないように、慎重に近づいて撮影していたのですが、後半はすっかり慣れてくれて、私が丸見えの状態で結構近づいてもあまり逃げませんでした。 
山中で出会う野生カモシカは警戒心が強く、実はこの日も私は撮影に四苦八苦しました。(映像公開予定
ところが、麓に下山したら白昼堂々と採食する図太いカモシカと遭遇して拍子抜けしました。 
随分と人馴れしている個体のようです。


これほど長々と撮影したのは、この機会に排便シーンが撮れないかと期待したからです。 
しかし延べ30分近く観察しても、カモシカ♂は採食中に脱糞しませんでした。(見落としただけかも?) 

 ※ 演出のために、撮影した映像素材の順番を順不同に入れ替えました。 





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