2013年3月上旬
前回の長時間連続観察から5日後、同じ時間帯に河畔林のほぼ同じ場所で同一個体のニホンカモシカ(Capricornis crispus)と再会しました。
「左耳裂け&右角欠け」という極めて分かりやすい特徴があるので間違いありません。
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ところが生憎カメラのバッテリーを使い果たしてしまい、僅か8秒間で尻切れトンボの映像になってしまいました。
ズームしたせいで電池の消耗に拍車がかかりました。
腹立ち紛れに私が思わずカモシカの鼻息威嚇を真似したら逃げ出しました(映像なし)。
関連記事→「野生ニホンカモシカと鼻息で鳴き交わしてみる」前回は平和的な遭遇だったのに今回は冬の縄張りから私が追い払った形になった(楽園追放)のは不味かったかも…。
足跡を辿ると河畔林を抜け、車道を横断して逃げてしまったようです。
その後はなかなか通えず、18日後にようやく再訪したときは雪面にカモシカの足跡も見つかりませんでした。
河畔林に居なくなった責任を感じますが、それほど単純な話ではないかもしれません。
林床の雪が溶けてくるとカモシカの口が届く範囲にツルマサキの枝葉がますます無くなってしまいます。
ヒトの目線からは緑豊かでも、カモシカにとって餌を食べ尽くした森からは出ていくしかありません。
林床に下草が生えてきて食料事情が改善すればまたこの森に戻ってくるかも知れません。
せっかく個体識別できているので、これからも定点観察に通ってみます。
理想を言えば、麻酔銃で一時捕獲したカモシカに電波発信器やGPSを取り付けてリアルタイムに追跡してみたいものです。
『カモシカの森から』p115によると、
仮に食料になる木があって、それにどんな大きい冬芽がついていても、カモシカの口が届かなくては、ないのと同じである。森の木々の高さが、野生動物であるカモシカの食料となるか否かの分かれ目となるのである。(中略)その首を精一杯に伸ばして口が届く範囲内に下顎の前歯だけで噛み切ることができるマッチの軸木程度の太さの枝と冬芽が用意された林でなければ、生きてゆけない。
カメラのバッテリーを予備も使い果たすという事態は痛恨のミスですけど、その前に何を撮っていたかというと、隣の縄張りで別個体のニホンカモシカを長時間連続観察していたのです。
つづく
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