2023/09/30

遊歩道の溜め糞場で鳴きながら♪排便するホンドタヌキ♀♂と匂いを嗅ぐだけで逃げる独身個体【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月下旬 

昨年の年末に山麓近くのスギ植林地でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場opを新たに見つけました。 
本当にタヌキが通っているのか確かめるために、トレイルカメラを設置してみました。 
限られた台数のトレイルカメラで複数のプロジェクトをなんとか遣り繰りしているのですが、ようやくカメラ1台をこっちに調達することができました。 







シーン0:3/24・午後14:44 
明るい昼間に撮れた現場の様子です。 
斜面を下から見上げるアングルです。 
画面の左上に太い丸太がゴロゴロと並べてあります。 
丸太から右に細長い落枝が横に伸びています。 
そこは左から右に向かって緩やかに登る遊歩道になっていて、木製の階段がわざわざ整備されています。 
遊歩道の端に溜め糞場opがあります(画面には写っていません)。 


シーン1:3/30・午後20:20(@0:05〜) 
斜面をゆっくり登って来たタヌキが遊歩道に達し、溜め糞場opの匂いを嗅ぎました。 
そのまま右向き(北向き)に跨って排便開始。 
便秘気味なのか、途中でくるりと方向転換し、左向き(南向き)になりました。 
ようやく少量の糞をポロポロと排泄。 
脱糞しながら小声で2回ほどクゥーン♪と鳴きました。(@0:11〜) 
※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

どの溜め糞場でもホンドタヌキは早春限定で排便の前後によく鳴いています。 
夜に行動を共にする♀♂ペア間のコンタクト・コール♪(繁殖期の鳴き交わし)なのでしょうか? 
それとも食糧事情の厳しい冬から春にかけては便秘になり、切れ痔で肛門が痛くて悲鳴を上げているだけかな?と無粋で身も蓋もない対立仮説を考えてみました。 

用を足した個体が遊歩道を左に立ち去るのと入れ替わりで、パートナーが右下から登場しました。 
同じ溜め糞opに右向き(北向き)で跨がったところで、1分間の録画時間が終了してしまい、残念でした。 


シーン2:3/30・午後21:08(@1:06〜) 
50分後に再びタヌキが写りました。 
スギ山林の斜面を下から登ると、遊歩道上に残された新鮮な溜め糞opの匂いを嗅いだだけで、排便せずに立ち去りました。 
さっき排便した♀♂つがいとは逆方向に(右へ)そそくさと逃げて行きました。 
今回の個体は、よそ者の独身タヌキ(縄張り侵入者)なのかもしれません。 



キバナノアマナの花蜜を吸うビロウドツリアブ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

平地の河畔林で根雪がすっかり溶け去ると、枯れ草に覆われた林床には見慣れない黄色い花が点々と咲いていました。 
早春に咲くスプリング・エフェメラルのひとつと思われますが、帰宅してから調べてみるとキバナノアマナという名前と知りました。 
(ヒメアマナの可能性は? ) 
ピッキオ『花のおもしろフィールド図鑑 春』でキバナノアマナを調べると、
北日本に多く、比較的自然の残った所で見かけます。(p281より引用)







ビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)がキバナノアマナに訪花していました。 
長い口吻で吸蜜している間も羽ばたきを止めませんが、よく見ると黄色い花弁に足を掛けていました。 
ツリアブの仲間はホバリング(停空飛翔)が得意ですけど、今回は吸蜜ホバリングとは言えません。 
すぐに飛び立てるように、アイドリングのように羽ばたき続けているのでしょう。

ビロウドツリアブの高速羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:40〜) 
花から花への飛翔(ホバリング)中は前脚と中脚を揃えて前方に伸ばし、後脚は左右に広げていました。 

「訪花中も羽ばたきを止めない」と断定したいところですが、ひとつの花に長居するときは羽ばたきを止めていました。
生き物の観察では仮説を立てても例外や反例がすぐに出てきてしまいます。
小刻みな羽ばたきがじわじわと減衰して止まりました。 
ストロボ効果で高速羽ばたきが止まって見えるのではなく、本当に翅を休めています。 
花筒の奥の蜜腺にはなかなか口吻を挿入しなかった(手こずっていた?)ので、花粉を延々と舐めていたのかもしれません。 
複数個体を撮影。 





吸蜜の合間にビロウドツリアブは林床で日光浴していました。 
別個体が縄張りに侵入すると迎撃して軽い空中戦を繰り広げたことから、♀が飛来するのを待ち伏せしている♂ではないかと思います。 
せっかく面白い行動だったのに、動画では撮り損ねてしまいました。 




雪国の冬は何ヶ月も虫が撮れないので、ブランクが開けた早春には毎年どうしても、虫撮りが下手糞になっています。
反射神経や予測が鈍っているのです。 
コツを取り戻すまでにしばらく練習やリハビリが必要です。 

2023/09/29

右目を失明したハクビシンが小川の丸木橋を深夜に渡る【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年3月下旬

小川に架かる天然の丸木橋を監視する自動センサーカメラにハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が2回写りました。 

シーン0:3/17・午後14:55・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン1:3/25・午前0:59・(@0:05〜) 
カメラの起動がなぜか遅れ(低温で電圧不足?)、かなり長い尻尾の動物が丸木橋を左岸へ渡り終えるところでした。 
ハクビシンと思われますが、特徴的な顔の白黒模様は確認できませんでした。 


シーン2:3/29・午前0:55・(@0:14〜) 
4日後もほぼ同時刻の深夜に現れました。 
今回もカメラの起動がやや遅れ、ハクビシンは丸木橋の途中で立ち往生していました。 
右岸から左岸へ渡りかけて尻込み・断念し、結局は右岸へ引き換えしたのでしょうか? 
それとも、左岸から右岸へ渡る途中で立ち止まり、倒木の分枝に匂い付けでもしたのかな?
長い尻尾が黒いのでハクビシンと分かります。 

右岸に着いてから判明したのですが、この個体は右目が失明していました。 
健常個体なら、トレイルカメラが照射する赤外線を反射して両目が爛々と光って見えるはずです。 
この個体は正面を向いても左目しか光っていません。

隻眼のハクビシンは、前年も同じ川の流域に繰り返し出没しています。 
これほど分かりやすい特徴があるので、同一個体と考えています。 


関連記事(1年前の撮影)▶  


隻眼(片目)だと立体視が不自由で奥行きが掴めません。
木登りしたり、丸木橋を渡ったり、素早く逃げる獲物を狩ったりするのは苦手なはずです。 
それでも雪国(多雪地帯)の厳しい冬を無事に越せたということは、隻眼でもさほどハンディキャップになっていないようです。 




更にシーン2の映像を見ると、丸木橋を軽快に走って右岸に渡っていました。 
暗闇で恐る恐る丸木橋を渡っている訳ではないので、何度も通い慣れているようです。 

シーン1では丸木橋を渡るハクビシンの左半身しか撮れていませんから、右目が失明した隻眼個体かどうか不明です。 
この川の流域には同じ家族で両目が健常なハクビシンも複数生息していることが分かっています。 
欲を言えば、この小川にトレイルカメラをもう1台追加で設置して、丸木橋の両側から同時に狙うべきかもしれません。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施すなどして、明るく加工しています。

余談ですが、暗視映像で撮ったりストロボを焚いて写真に撮ったりしたハクビシンの目がひときわギラギラ光って見えるのは、タペータム(輝板)が発達しているからだそうです。


参考サイト「奥多摩けもの道」 by 小川羊 氏
ハクビシンなどの夜行性動物は、眼の網膜下層の組織に「タペタム」(あるいは輝膜)という反射層があり、そこで光を反射しながら眼球の中で光を増幅している。ニホンザルなど昼行性動物ではタペタムはないので、目は光らない。 [ハクビシン(自動撮影カメラ)より引用]



近くを走る列車が警笛を鳴らしても平然と採食を続けるコハクチョウの群れ(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午前10:40頃・晴れ 

ほとんど雪解けした郊外の田んぼでコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の群れがのんびり採食しています。
この餌場は段々畑のようになっていて、私が立っている位置よりも奥に向かって少しずつ高くなっています。 
コハクチョウの採食行動を観察するには肝心の口元が手前の畦道に隠れてしまうことが多く、この餌場はいまいちです。 

残念に思って撮影を打ち切ろうとしたら、すぐ近くのローカル線路を列車が通りかかりました。 
コハクチョウの群れは驚いて一斉に飛び立つのではないかと期待して、動画を撮り続けながら少しズームアウトしました。(壮観な飛び立ちが撮れるはず!) 
左から近づいてくる列車が警笛を鳴らしたのは、線路の真横の道に立ってカメラを構えている私を見た運転手が「厄介な撮り鉄」と誤解したのかもしれません。 

ところが、大音量でヒュー♪と警笛を鳴らしてもガタンゴトン♪と轟音を立てて横を通り過ぎても、コハクチョウたちは全く気にしないで採食や羽繕いを続けました。 
怯えて飛び去るどころか、首を上げて列車をちらっと見ただけでした。 
白鳥は越冬地日本での生活にすっかり慣れているようです。 
決まった線路を走るだけの列車に恐怖を感じない(意外に図太い)ことが分かりました。
白鳥は飛び立つ前に長い助走が必要なので、よほどの理由が無ければ地上から飛び立つのが億劫なのかもしれません。

2023/09/28

小川の丸木橋を続けて渡るホンドタヌキのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年3月下旬・午前0:12 

小川に架かる天然の丸木橋となった倒木を自動センサーカメラで見張っていると、深夜にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が2頭現れました。 
カメラの起動が遅れて先頭個体は渡り終えた後でしたが、少し間隔を開けて後続個体も続けて丸木橋を渡りました。 
おそらく♀♂つがい)なのでしょう。 
左岸から右岸に渡ったのは珍しいです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 



早春の刈田で採食するキジ♀の群れの上空をトビが飛ぶと…(野鳥)

 

前回の記事(1.5ヶ月前の撮影):▶ 白銀の雪原を歩くキジ♀3羽の群れ(冬の野鳥)


2023年3月下旬・午前8:40頃・晴れ 

残雪が完全に消えた刈田をキジ♀(Phasianus versicolor)の群れが歩き回っていました。 
地味な羽根色は見事な保護色で、枯野で立ち止まると見失いそうになります。 
私に対する警戒を解くと、刈田を歩きながら地面を啄んで採食し始めました。 
落ち穂拾いをしているのでしょうか?


しばらくすると、キジ♀は刈田に隣接する土手を慎重に登り、用水路のコンクリート護岸の縁まで出て来ました。 
そして次々に飛び立つと、幅3m弱の用水路を飛び越えて隣の刈田に移動しました。 
群れの規模が分からなかったのですが、少なくとも5羽のキジ♀が飛んで横切りました。 
飛んだ行き先を見失ってしまいました。 

キジ♀が飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:09〜) 
足を深く屈めてジャンプしながら力強く羽ばたいて飛び立ちます。 
最後の個体はコンクリート護岸を助走しながら飛び立ちました。 
離陸後は足を体に引き付けて空気抵抗を減らしています。 

もしかすると、しつこくカメラを向けて撮影する私を警戒して逃げたのかと思ったのですが、田園地帯の上空を見上げるとトビMilvus migrans)が黙って(鳴かずに)帆翔していました。 

※ トビの飛翔シーンでは、翼の下面の斑紋が見分けられるように逆光補正を施しました。 

トビの食性は主に死肉食(スカベンジャー)とされていますから、キジ♀がトビに襲われる心配はないはずです。 
それでもキジ♀は上空に飛来した猛禽を警戒して、開けた刈田から物陰に逃げ込んだ可能性もありそうです。 
田畑の農作物を鳥の食害から守るための防鳥グッズの一つとして、最近タカに擬態した凧が市販されています。


関連記事(4、5年前の撮影)▶ 


これが宣伝通りの防鳥効果があるのであれば、今回のキジ♀も上空を飛ぶトビの姿を見て逃げ出しても不思議ではありません。
しかし映像を見る限り、キジは上空を見上げず、警戒声も発しませんでした。 
「キジも鳴かずば打たれまい。」 

 一方、キジ♂は♀と行動を共にせず、刈田のどこかでケンケーン♪と鳴く声だけ聞こえました。 
午前中からよく晴れて、地面から陽炎が立ち昇っています。 

※ 用水路の幅を測定すること。 


【追記】
鳥の音声言語を研究している鈴木俊貴氏によると、シジュウカラは天敵のタカが飛来すると「鷹だ警戒しろ!」と警戒声を発するのに、トビが飛来しても平気なのだそうです。
つまり被捕食者の小鳥は猛禽類の中でも種を見分けて適切に反応しているらしい。
キジの場合はどうなんでしょう?


↑参考動画:【タカは怖いがトンビは平気】動物言語学者あるあるが狭すぎるwww by ゆる言語学ラジオ

トビ(野鳥)@帆翔(逆光補正)

2023/09/27

雪山でニホンカモシカの溜め糞場を発見!

 

2023年3月下旬・午後12:25頃・晴れ 

この冬の目標は、ニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場を見つけることです。 
雪山に登る度に足跡を辿ってみたのですが、一度限りの脱糞跡しか見つかりませんでした。 




里はもう雪がほとんど溶けて早春ですが、入山すると未だ残雪が深いです。 
雪崩に埋もれた渓谷を監視するトレイルカメラの様子を見に来たら、隣接するスギの植林地で大量のカモシカの糞を雪面に見つけました。 
これまで気づかなかったということは、溶けた雪の下からカモシカの古い糞が現れたのでしょうか? 

ザラメ状の雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 
カモシカの足跡は不明瞭でした。 
スギの木の下で少しずつ位置をずらしながら、カモシカは少なくとも3〜4回は排便していました。
冬は糞虫やハエなどの分解者が全く活動しないので、野生動物が排泄した糞は溜まる一方です。
ニホンカモシカの新鮮な糞粒はつやつやした真っ黒ではなく、緑色がかっています。 
ユキツバキやエゾユズリハなど何か常緑樹の灌木の葉を食べた後なのでしょう。 
古い糞粒は褐色(茶色)になります。 
採寸代わりに、熊よけスプレー(長さ20cm)をそれぞれの溜め糞の横に並べて置きました。 

カモシカが本当に排便しに通ってくるかどうか確認するために、早速ここにトレイルカメラを設置してみましょう。
ニホンカモシカは基本的に群れを作らず単独で暮らしています。
タヌキのように複数個体が溜め糞場srを共有しているのか、それとも同一個体が繰り返し使っているのか、という点にとりわけ興味があります。 
雪崩谷が危険で渡れなくなったので、立ち往生したカモシカが縄張りの境界に排便するようになったのかもしれません。


関連記事(1、2ヶ月前の撮影)▶ 


もしかすると、カモシカはここで寝ている(ねぐら)かもしれない、という可能性も考えられます。  
カモシカの排泄行動は、小便する様子を実際に観察したことがあります。 
排便シーンが未見なので、なんとか自動センサーカメラで撮影してみたいものです。 



雪解け水の池でヤマアカガエルの卵塊の傍を泳ぐミズカマキリ♀

 

2023年3月下旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の雪解け水が貯まった池でヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊を調べていたら、池の水中を泳ぐミズカマキリRanatra chinensis)を見つけました。 
越冬明けの個体が飛来したのかな? 
『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』でミズカマキリについて調べると、
越冬は水中で、ミズカマキリは集団で越冬すると言われているが実際に観察されることはまれである。(p88より引用)
水生昆虫に疎い私は、生きたミズカマキリをフィールドで見つけたのはこれが生まれて初めてで、歓喜しました。 
池畔は残雪で囲まれ、水面には太陽が反射して眩しいです。 
雪解け水の貯まった池の水温は低いはずです。


この池でヤマアカガエル♀♂の繁殖行動をタイムラプス撮影するプロジェクトは、いまいち納得の行く結果を得られませんでした。
がっかりしたものの、この日はミズカマキリと出会えた喜びで帳消しになりました。

初めミズカマキリは私を警戒して身を隠そうとしているのか、ヤマアカガエルの卵塊の下に潜り込もうとして、もがくように泳いでいました。 
手足にオール状の構造がないため、泳ぎはあまり得意ではなく、水中で手足をゆっくり動かすだけです。 
中脚と後脚は長毛を有し、中脚と後脚で器用に水を掻いて潜水し、水中を遊泳する。(同書p88より引用)
潜水中は腹端から伸びた呼吸管の先端を水面に出して、ときどき息継ぎしています。 
これぞまさに忍法「水遁の術」。 
呼吸管を根元から曲げることができます。 

ゼラチン質の卵塊の下からなかなか浮上できず溺れそうになっているのか?と心配になったものの、ようやくミズカマキリはヤマアカガエル卵塊の上に脱け出しました。 
水面で卵塊に乗って静止し、獲物を待ち伏せするのかな?(日光浴?) 
岸辺は枯れた草の茎が水中に沈んでいるため、細長い体型で黄土色(枯草色)のミズカマキリがじっと静止すると見事なカモフラージュになっています。 

ミズカマキリが再び動き回っても、近くで背泳するマツモムシは無反応でした。 
互いに狩り(捕食)の対象ではないようです。
ミズカマキリは前脚の鎌でマツモムシを狩ることはなく、蹴散らすようにして水中を進みます。 
水中ではミズカマキリの右前脚の鎌が途中から欠損しているように見えたのですけど、ただ折り畳んでいるだけでした。 

少し離れたところにヤマアカガエルの♂成体がいました。 
岸の方を頭を向けて水面に浮かび、産卵に来る♀を待ち構えています。 
ヤマアカガエルがミズカマキリに跳びついて捕食するかと期待したのですが、繁殖期のヤマアカガエル♂は「食い気より色気」なのでしょう。 

日当たりの良い岸辺にヤマアカガエル♀が最近産み付けた個々の卵内では黒い胚が発生しつつあります。 
ミズカマキリが岸辺のヤマアカガエル卵塊に執着しているように見えたのはたまたまでしょうか?
個々の卵内で育つ黒い胚または孵化した幼生(オタマジャクシ)を狩って体液を吸汁するつもりなのかもしれません。
ところが、しばらく粘って観察しても、捕食の確証を得られませんでした。 
タピオカドリンクのような卵塊を散々吸汁した後で満腹なのかな? 
動きのない胚は獲物と認識できないのでしょうか。 
実はこの池の岸辺に沿ってヤマアカガエルの卵塊がいくつも産み付けられていて、既に幼生が孵化した卵塊もありました。 
ミズカマキリがオタマジャクシを捕食したいのなら、そちらに向かうはずです。 

眼は上を向いており、アメンボ類のような水面上の小動物を待ち伏せて捕食する。(同書p88より引用)




1枚目は水中の潜水シーン
2〜4枚目は水面に浮かぶミズカマキリ
潜水中に呼吸管で息継ぎ

2023/09/26

笹藪の溜め糞場へ排便に通う早春のホンドタヌキはよく鳴く♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年3月中旬〜下旬 

河畔林で笹薮に囲まれた溜め糞場rpに単独またはペアで通ってくるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。 
林床の残雪が溶けると、根雪に埋もれていた常緑の笹薮が次々と再び立ち上がり、トレイルカメラの視界を遮りつつあります。 
笹の草丈がヒトの身長より高く伸びそうです。


シーン1:3/17・午後20:27・気温2℃・(@0:00〜) 
♀♂ペアと思われる2頭が同時に溜め糞場rpに来ていました。 
1頭が溜め糞の匂いを嗅いだものの、結局は2頭共に排便しないで右へ立ち去りました。 


シーン2:3/17・午後21:38・気温2℃・(@1:01〜) 
珍しく左の笹薮を通り抜けてタヌキが登場しました。 
溜め糞場rpの匂いを嗅ぎ、風の匂いを嗅ぎ、大木の幹の根元の匂いを嗅ぎ回っています。 
私の(ヒト特有の)体臭の残り香を気にしているのでしょうか? 
今回もタヌキは排便しませんでした。 


シーン3:3/19・午後14:03・気温18℃・(@1:37〜) 
明るい日中に撮れた現場の様子です。 
晴れた日は笹薮の風揺れにより、自動センサーカメラの誤作動が頻発します。 


シーン4:3/22・午後18:53・気温12℃・(@1:41〜) 
右から登場したタヌキが溜め糞場rpに跨ると、南東を向いて排便しました。 
早春の夜蛾が闇夜を飛来し、画面を横切りました。 
そのとき右から後続のパートナーがやって来ました。(@2:07〜) 
先行個体と入れ替わり、北東を向いて脱糞開始。 
手前に生えたササの葉でタヌキの肛門が隠れ、糞の状態は見えませんでした(大便から健康チェックできず)。 


シーン5:3/23・午後21:34・気温10℃・(@2:42〜) 
小雨が降る晩です。 
なぜかカメラの起動が遅れ、溜め糞場rpを素通りしたタヌキが右の笹薮に立ち去るところでした。 
タヌキの姿は見えなくなったものの、直後に近くからクゥーン♪と小声で甲高く鳴く声が聞こえました。 (@3:00〜) 


シーン6:3/24・午前4:48・気温8℃・(@3:04〜) 
約7時間15分後の未明にタヌキが右から登場。 
小雨が降り続いています。 
溜め糞rpの匂いをチェックしながら、クゥーン♪(またはヒューン♪)と甲高く鳴きました。(@3:08〜) 
その後、南東を向いて排便。 
脱糞後にも立ち去る間際に再び鳴きました。(@3:45〜) 
笹薮の林床を左手前に歩き去ってからも、また(カメラの背後で)鳴きました。 

この動画を初めて見たときの感想で「ネコのような鳴き声(ウニャー♪)」と野帳にメモしてあるのですが、ちょっとニュアンスが違いますよね。 
なんでそう聞こえたのか、自分でも謎です。
溜め糞場の周辺でよく鳴くのは、早春(繁殖期)だけの現象ではないかと考えています。 
他の季節ではタヌキの鳴き声を聞いたことがありません。


シーン7:3/26・午後21:57・気温5℃・(@4:02〜) 
カメラの起動が遅れ、溜め糞場rpを素通りしたタヌキが右の笹薮に隠れるところでした。 


※ 必要に応じて、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工したり、音声を正規化して音量を強制的に上げたりしています。 




午後の雪解け田んぼで採食、飲水、排便、羽繕いするコハクチョウの大群【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後15:20〜16:15頃・晴れ 

雪解けが進む広大な田んぼにコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群が集まって採食しています。 
今回は三脚を立てて最高画質の4K動画で撮影してみました。 
大群が刈田のあちこちに散開しているため、どの個体を撮るか目移りしてしまいます。 
よく晴れた午後で、地面が露出した田んぼから陽炎が立ち昇っています。 
採食中の白鳥にどれだけ近づけるか、どれだけ警戒心が強いか分からなかったので、初めは物陰から隠し撮りしました。 
周りに仲間が多ければコハクチョウは結構図太いことが分かり、後半は慎重に近づいて撮影できました。 

採食中のコハクチョウは、刈田を歩き回りながら頭を下げて嘴を藁や泥の中に突っ込んで掻き分けています。 
おそらく水中の藻や微生物、稲(イネ)の落ち穂などを嘴で濾し取りながら食べているようです。(落ち穂拾い) 
藁や泥そのものを食べている訳ではありません。 
ときどき雪解け水を嘴ですくって頭を高く上げながら喉に流し込み、水を飲んでいます。 

採食しながら泥水状の液状便を勢い良く排泄しました。(@0:31〜) 
川や湖沼で塒入りする白鳥の群れにヒトが大量に給餌すると、食べ残しの餌や白鳥の糞で水質が急激に悪化(富栄養化)する問題が生じます。 
最近では鳥インフルエンザの蔓延を防ぐためにも、白鳥への給餌を禁止する地域が増えました。 
刈田で勝手に飲み食いする白鳥がその場で排泄する分には、そのまま田んぼの肥料となって好都合です。 

これだけ至近距離から白鳥の採餌行動を観察できて感激です。 
早春の陽光で煌めく水面の反射がコハクチョウの腹面に写り、嘴から水が滴り落ちます。 
食事の合間にのんびり羽繕いしています。 
黒い水かきのある足でザクザク、ペタペタと残雪を横断し、畦道を乗り越えて隣の雪解け田んぼへ移動します。 

※ 映像素材の順番を適当に入れ替えました。 

2023/09/25

早春の川岸を夜に駆けるニホンイタチ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年3月中旬・午後21:24 

中州横の川岸に残されたタヌキの溜め糞場wnを自動撮影カメラで見張っていると、ニホンイタチMustela itatsi)が写りました。 
川岸の残雪も完全に溶けて、枯れ草が土手を覆うだけの殺風景な状態になりました。 
イタチが左岸の水際を川下へ向かって軽快に走って行きます。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
数日前にカモの寝込みを襲おうとネコが忍び寄った地点と同じですが、イタチも狩りが目的なのでしょうか?



※ スローシーンのみ動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

クリ樹上に作り始めた巣から飛び去るハシボソガラス(野鳥)

 

2023年3月中旬・午後16:00頃・晴れ 

郊外で道端のクリ(栗)樹上にハシボソガラスCorvus corone)の♀♂ペアが今季も造巣を始めました。 
早春の営巣木は未だ落葉したままで、クリの枯れ葉が枝に残っているだけです。 
カラスの親鳥がペアでせっせと巣材を搬入していたようですが、私がカメラを向けた途端に1羽は警戒して飛び去ってしまいました。 
(映像はここから。)

残った1羽は作りかけの巣に座り込んでいました。 
時期的に抱卵を始めるには早い気がしますし、なによりも巣が未完成だったので、おそらく♀が座り心地を確かめていたのでしょう。 
私がしつこく撮り続けると、もう1羽も嫌がって巣の外に出て樹上から飛び去りました。 

近所のカキノキの枝を折り取って巣材として持ち去っていたのは、 おそらくこのハシボソガラスの♀♂番(つがい)だと考えています。 


2023/09/24

早春に小川の岸を夜な夜な徘徊する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年3月中旬

小川に架かる丸木橋をトレイルカメラで見張っていると、夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が写りました。 

シーン0:3/17・午後14:55・(@0:00〜) 
明るい昼間に撮れた現場の様子です。 


シーン1:3/17・午後20:40・(@0:05〜) 
夜に小川の左岸で小動物の白い目が動いています。 
その正体は野ネズミでした。 
倒木の根元付近をうろついています。
左岸の手前に生い茂る灌木が撮影の邪魔ですね。 


シーン2:3/19・午後21:21・(@0:46〜) 
2日後の晩には、右岸の茂みの中を動く野ネズミの目が白く光って見えます。 
急に出現したので、右岸に巣穴がありそうです。 

今回の個体は2回とも丸木橋を渡らなかったということは、木登りが苦手なアカネズミなのかな? 
果たして丸木橋を渡るときがくるのでしょうか? 



雪解け水の池に産卵するヤマアカガエル♀♂の群れを微速度撮影したい!【チャレンジ#2】

 



2023年3月中旬〜下旬 

里山の斜面にある池に雪解け水が貯まり、ヤマアカガエル♀♂(Rana ornativentris)が毎年早春に集まって繁殖活動しています。 

3/13  
前回の反省を生かして、同じ池でも少し別の地点の卵塊bをやや引きの絵で微速度撮影することにしました。 
わざわざ持参したスコップで池畔の深い残雪を地面まで掘ってから、三脚を立ててみました。 
試写してみるとアングルがいまいちなので、諦めて雪を埋め戻し、場所を変えます。 
水を入れた600mLペットボトルを三脚に吊り下げて、風で倒れないように重りとします。
夜に照射する赤外線LEDが水面で反射することを考え、水面に対して斜めから狙うようにしました。 

5分間隔のインターバル撮影を行います。 
本当は5分間隔よりも短く設定したいのですが、残念ながらカメラの仕様で撮影頻度をこれ以上は上げられません。 
池の周りに複数台のトレイルカメラを設置して微速度撮影したいところですけど、他のプロジェクトも同時並行でやっているので、1台しか使えません。

3/22 
カメラを回収しようと池に近づくと、ヤマアカガエルの鳴き声が響き渡っていました。 
しかし少し離れたところから望遠で探しても、鳴いているカエルの姿を見つけられません。
私が岸まで行くと、警戒したカエルは鳴き止んで水中に潜ってしまいます。 
今季は岸辺だけでなく、水中にも大量の卵塊が残されていました。 
池畔に黒い三脚カメラを設置したせいでヤマアカガエル♀が警戒し、浮上しなくなったのかな? 
水中で♂にしがみつかれた♀は溺死するリスクがあります。 

最初に産み付けられた卵塊aから黒いオタマジャクシ(ヤマアカガエルの幼生)が孵化していました。 
ゼラチン質の中で、まだほとんど動きません。 
日当たりの良い岸辺に産み付けられたヤマアカガエルの卵塊には緑藻が繁茂していました。 
素人の勝手な想像ですけど、卵塊が緑藻に隠れて捕食を免れるかもしれませんし、光合成により卵塊に酸素が供給されて好都合かもしれません。 

トレイルカメラのレンズおよび液晶モニターが内側から結露していて焦りました。 
防水パッキンの蓋を開けてみると、電池ボックス内にも水滴がありました。 
実は3/13にトレイルカメラを現場に持参する際にザックに入れて運んだのですが、濡れた長靴や着替えも同じザックに入れていました。 
別々の防水袋で互いに隔離していたつもりが、ザック内の湿度が上がってトレイルカメラの内部が結露してしまったようです。 
前回はカメラを池に水没してしまいましたし、踏んだり蹴ったりです。 
今回の失敗も完全に自分の落ち度なので、自分の迂闊さを呪うしかありません。 
カメラを持ち帰って蓋を全開にしたまま室内で放置したら結露が完全に蒸発してくれ、復活しました。 

気落ちしつつも、撮れた連続写真を確認すると、設置後しばらくは結露したレンズのせいでぼやけた写真しか撮れていませんでした。 
晴れた日にカメラが日差しを浴びれば自然に蒸発してくれるかな? 
ようやくレンズの曇りがなんとか晴れたのが4日後の3/17からでした。 

しかし寒の戻りで3/18の朝から雪が降り始め、池畔の枯れ草に白い雪が積もりました。 
翌日3/19は朝から晴れて、岸辺の雪がみるみる溶けていきます。 
その日の晩から蛙が繁殖行動を再開したようで、水中に少数ながらも姿を表すようになりました。 
夜になると水面に浮かぶ蛙の目が白く光って見えます。 

インターバル撮影なんて初めに設置すればカメラにお任せなのに、実際にやってみると色々と失敗続きです。
集団産卵によって岸辺の卵塊がみるみる大きくなるかと期待したのに、満足の行くタイムラプス映像を撮れませんでした。 
今季はもうヤマアカガエルの配偶行動が下火になったので、また来年まで持ち越しです。 
次にいつ再チャレンジできるか分かりませんから、失敗や改善点を忘れないように記録しておきます。
この繁殖池が開発で埋め立てられるのではないかという懸念があるのです。


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