2023/08/19

ニセアカシアの大木を逆さまに下りる雪国のハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年1月中旬・午後23:00頃・気温-1℃ 

河畔林のニセアカシア(別名ハリエンジュ)大木の真下に残された溜め糞場bLを自動撮影カメラで見張っていると、深夜にゴソゴソという激しい物音と共にレンズの至近距離に獣が現れました。 
ニセアカシア老木の幹に巻き付いて育った太いフジ(藤)蔓をハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が爪を立てて垂直に下り、雪面に降りました。 
凍結した雪面に達すると、溜め糞場bLには興味を示さず横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

フジ蔓上に見慣れない異物を発見したハクビシンが、トレイルカメラを調べに来たのかな? 
それとも、ニセアカシアの樹上にハクビシンがねぐらとする樹洞があるのでしょうか? 
後日現場入りした際に調べてみたのですが、下から見上げた限りでは、樹洞や巣穴は無さそうでした。 
ハクビシンは果実を好むらしいので、ニセアカシア高木に巻き付いたツルウメモドキの熟果を食べに来た可能性もありそうです。




同じ流域の河畔林で数百m離れた地点(溜め糞場rvやコンクリート護岸)でもハクビシンの家族がトレイルカメラにこれまで何度も写っていたので、今回登場したこと自体には驚きはありません。 
元々ハクビシンは南方系の外来種のはずなのに、雪国(東北地方)の厳冬期でも冬ごもりや冬眠をしないで適応し、元気に活動している様子が撮れたのは初めてです。 
身軽なハクビシンは木登りが得意だと評判ですが、ほぼ垂直の大木を逆さまになって下りる様子を間近で撮影できたのも嬉しい収穫です。
木下りの次は、ハクビシンの木登りを撮影してみたいものです。






【追記】
郷土出版社『置賜ふるさと大百科』を紐解くと、ハクビシンに関するコラムがありました。
夜行性で木登りがうまく、長い尾でバランスをとりながら、樹間を移動する。(中略)現在置賜地方全域に生息し、最近では市街地でも見かけられるようになった。(p54より引用)


私が特に興味を持ったのは次の一節で、初めて聞く話でした。

戦前に中津川(現在の飯豊町) や山形県境に近い福島市庭坂で、タヌキの毛皮目的で繁殖が行われたという話を聞いた。タヌキと一緒に動物商から「台湾タヌキ」と称する動物を購入して飼育したが、毛皮が粗悪で売り物にならず、山に放したり、なかには逃亡したものもいたという。持参したハクビシンの写真を見せたところ、それは間違いなくハクビシンであった。わが国におけるハクビシンの渡来ルーツを解明するのに貴重な証言である。(p54より引用)



太いフジ蔓以外に多数巻き付いている細い蔓はツルウメモドキ



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