2021/02/27

乾いた芝生に連結打草産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年10月下旬・午後13:50頃・晴れ 

芝生の河川敷でノシメトンボSympetrum infuscatum)のペア♀♂が尾繋がり状態で飛びながら産卵していました。
産卵は水のない池畔の草原や水田の稲穂の上などで、緩やかに飛びながら上下動を交えて卵を振り落とす連結打空産卵を行う。雌雄が連結したまま行うことが多いが、途中で連結を解いて雌の単独産卵に移行することもある。この場合は雄が上空でホバリングをしながら、または付近に静止して雌の産卵を警護をすることもあるが、長時間は持続しない。水のある場所には産卵しない。秋に産み落とされた卵はそのまま越冬し、翌春産卵場所が増水して水面が上昇し水没した環境下で孵化し幼虫となる。(wikipedia:ノシメトンボより引用)
以前、同じ河川敷の少し離れた別の場所でもノシメトンボ♀♂の産卵行動を観察しています。 
そのときは少し湿ったコケ(蘚類)の上に卵を散布していました。
▼関連記事(1年前の撮影) 
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】
今回は幾つかの点で産卵法が違っていました。 
まず、産卵地は辺り一面きれいに刈られた芝生で、秋晴れのためその表面は乾いていました。 

 240-fpsのハイスピード動画に切り替えて、ノシメトンボ♀♂の連結産卵を撮ってみました。(@0:46〜7:51) 
ノシメトンボ♀は「打空産卵」つまり勢い良く前方に振り出す勢いで空中から卵を射出するはずです。 
ところが今回の♀は異常に(?)低く飛び、腹端が芝生の地面に毎回コツンと接触していました。 
♀の腹端の産卵孔に1個の卵がニュルっと生み出され、用意した状態で腹端を接地していました。 
その直後の♀腹端を見ると、卵が無くなっていました。 
という訳で、「打草産卵」という造語を勝手にこしらえました。 
トンボの産卵法には「打水産卵」や「打泥産卵」という別な用語も正式にあるのですけど、今回の芝生は全く湿り気がなく周囲に水たまりもありませんから使えません。 

もしかすると♂が疲労や空腹で弱っていて、♀を高く持ち上げて飛ぶ力が無いのかもしれません。 
腹端を接地した状態の♀を少し引きずったまま飛ぶこともありました。 
連結飛翔の高度は♀♂どちらが主導権(イニシアチブ)をもって決めるのでしょうか?

それとも、ノシメトンボが乾いた芝生に産卵する時はいつも連結打草産卵するのでしょうか? 
一例だけの観察では何とも言えません。

最後に再び通常のHD動画撮影に戻しました。 (@7:52〜)
するとペアを自発的に解消する瞬間がたまたま撮れました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
うっかり連結が外れて逃げた♀を♂が少し追いかけたものの、諦めて♂は右の縄張りに戻りました。 
左に飛び去った♀は地上の枯れ草に着陸。 
連結飛翔が下手糞な弱い♂を見限って♀がペアを解消したとしたら面白いのですが、♂に首根っこを掴まれた♀が振り切って逃げることは解剖学的に可能なのかな?
私は未だノシメトンボ♀の単独産卵を見たことがありません。

【追記】
保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIトンボ編』(1969年)という50年以上前の古い図鑑で調べると、ノシメトンボは
 一般的には開放的な水面に♂♀が連なって産卵するが、時として池畔の雑草の上などにも、水面ですると同じように尾端を打って産卵行動をすることが観察されている。(p185より引用)
と記載されていました。
ノシメトンボは「打空産卵」というのが最新のトンボ図鑑の定説になっていたので、古くて間違った記述だと私は思っていました。
ところが今回改めて読み直すと、後半の下線部は正しかったことが分かり、驚きました。


【追記2】
井上清、谷幸三『赤トンボのすべて』でノシメトンボを調べると、
♂♀連結してゆるやかに飛びながら腹端を振って卵をまき散らしますが、まったく水のない草原の上で産卵しているのも見られます。連結を解いて単独♀で産卵している場合もあります。(p58より引用)

ボタンクサギの花蜜を吸うキクキンウワバ(蛾)

 

2020年10月下旬・午後15:45頃・晴れ 

民家の庭に咲いたボタンクサギキクキンウワバThysanoplusia intermixta)が訪花していました。 
初めは日当たりの良い花序の上でただ休んでいるだけでした。 
口吻も伸ばしておらず、寝ているようでした。 
指で軽く触れても動きが鈍く、なかなか逃げようとしません。 
しつこく体に触れると翅を広げて少しだけ羽ばたきました。 
飛び立つ前に体温を上げる準備運動が必要なのかと思い、動画に撮り続けたのですが、結局飛びませんでした。(ここまでの映像は編集で割愛。) 

覚醒したキクキンウワバはボタンクサギの花序を歩き回りながら吸蜜を始めました。 
長い口吻を花筒から引き抜くとゼンマイ状にクルクルと丸まります。 
夕日を背にして撮ると、被写体の上に影を作ってしまいます。 
少し離れてから回り込んで撮り直しました。 
風揺れにも悩まされました。 

しばらく吸蜜したキクキンウワバは満ち足りたようで、下の葉に移動して再び休息。

2021/02/26

路上に散乱したハナミズキの果実を拾い食いするハシブトガラス(野鳥)

 

2020年10月下旬・午後16:00頃・くもり
▼前回の記事 
街路樹ハナミズキの赤い実を食べるハシブトガラスの群れ(野鳥)
ハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)の街路樹が並ぶ大通りの車道をハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がトコトコ歩いていました。 
車が来ない隙に車道に出て、路上に落ちて転がったハナミズキの赤い実を啄んでいます。 
走行車が近づくと慌ててホッピングに切り替えて逃げ、歩道に退避しました。 
歩道ではもう1羽のハシブトガラスと合流して、ハナミズキの落果を拾い食いしていました。 
ハナミズキの樹上で熟果を採食する個体もいれば、路上に散乱した落果を食べる個体もいるのです。 

ちなみに冒頭のシーンでは、ハシブトガラスの二種類の歩行法が見れたことになります。 
ハシブトガラスは一般にホッピングが得意とされていますが、トコトコ、テクテク歩くウォーキングはちょっと珍しいです。(ハシボソガラスでは逆) 

※ 薄暗い夕暮れ時なのに望遠レンズで慌てて撮った映像なので、画質も撮影アングルも酷いです。 
より良い撮影アングルを求めて私が少し移動したら、警戒したカラスに逃げられてしまい残念。 
一期一会の野生動物や野鳥の行動を記録する動画は、たとえ技術的に未熟でも完全に撮り損ねる(ゼロ)よりは遥かにマシ(Better than nothing.)、と自分に言い聞かせましょう。 
とにかく一瞬の撮影チャンスを逃さないことが全てに優先します。
後日にもっと良い映像が撮れたら差し替えれば良いのです。
(その「後日」が果たして何年後になるのか、分かりません。)

カラムシの葉を食べるフクラスズメ(蛾)幼虫

 

フクラスズメ(蛾)の飼育記録#1 


2020年10月下旬・午後14:50頃・晴れ  

農道の脇に自生するカラムシの群落がイモムシの食害でほとんど丸坊主になっていました。 辺りをよく探すとフクラスズメArcte coerula)の幼虫が何匹も見つかりました。 
ほとんど食べ尽くした葉の裏面の主脈にしがみつき、わずかに残った葉を齧っていました。
太い葉脈だけは食べ残しています。 

同一個体を側面からも撮ろうと回り込んだら、幼虫が警戒して食事を止めてしまいました。 
胸脚を主脈から離し、頭部を仰け反らせて威嚇姿勢になりました。 

飼育するため2頭のフクラスズメ幼虫を食草ごと採集して持ち帰りました。 

2021/02/25

ダリアの花粉を舐めるナミハナアブ♂

 

2020年10月下旬・午後14:00頃・晴れ 

民家の庭の花壇に咲いたダリアの群落でナミハナアブ♂(Eristalis tenax)が訪花していました。 
口吻を伸縮させて、主に花粉を一心不乱に舐めています。 
前脚の先がオレンジ色の花粉で汚れています。 
色とりどりに咲いたダリアの中でも、黄色と白の花の品種に訪花していました。 

カメラを近づけても逃げないどころか、指で触れてもなかなか逃げませんでした。 
最後にようやく(嫌々ながら?)羽音を立てて飛び去りました。

ハハコグサの花蜜を吸うゴボウハマキモドキ(蛾)の飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年10月下旬・午後15:00頃・晴れ 

田畑の間を通る農道と用水路の間に咲いたハハコグサの小群落で見慣れない地味なミクロ蛾(小蛾)が訪花していました。 
ハハコグサは別名ゴギョウと呼ばれ、春の七草のひとつです。 
ハハコグサの花期は4〜6月とされているので季節外れの狂い咲きかと思いきや、調べてみると秋にも少し花が咲くのだそうです。 

マクロレンズを装着して接写を始めたとき謎の小蛾は口吻を伸ばしておらず、ただ休息しているだけでした。 
しばらくすると、ようやく警戒を解いて口吻を伸ばし、花蜜を吸い始めました。 
ハハコグサの花序を歩き回りながら延々と吸蜜を続けます。 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:36〜) 
ミクロ蛾の横の花に指でそっと触れた途端に、準備運動なしに勢い良く飛んで逃げました。 
更に1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、緊急避難の離陸はジャンプしているようでした。 

このミクロ蛾の名前を知りたいので、どなたかご存知の方は教えて下さい。 
ハハコグサを食草とする蛾を検索してみたものの、似ている蛾像がヒットしません。

【追記】
いつもお世話になっている「新・蛾像掲示板」で問い合わせたところ、ゴボウハマキモドキTebenna micalis)やヤマハハコハマキモドキが似ていると教えてもらいました。
ヤマハハコハマキモドキも確かに似てますけど、分布が北海道の山地~亜高山ということは、仮に山形県にも分布しているとすれば高山蛾になってしまう気がして除外しました。
現場の横は収穫後の田んぼと畑が広がっていましたが、ゴボウも栽培していたかどうかは分かりません。
確か夏にアザミが咲いていたので、そこで育ったのかもしれません。

2021/02/24

エクリプスのマガモ♂を小突いて追い払う♀(野鳥)

 

2020年9月下旬・午後12:40頃・晴れ 

湖岸に集まって羽繕いしているマガモ♀♂(Anas platyrhynchos)の群れを撮影していたら、ちょっと気になる事件(小競り合い?)が起こりました。(@0:47〜) 
右端で寝ていたエクリプス♂に対して、左から結構な距離をわざわざ歩いてきた♀が跨ぎながら踏みつけて追い払いました。 
嫌がらせされた♂は反撃せず、遠慮気味に少し離れただけです。 
♀だけの群れに♂が混じっているのを嫌ったのかな?
それとも、♀が気になる♂にちょっかいをかけたのですかね? 
非繁殖羽の♂に求愛しても無駄な気がするのですけど。
『みにくいアヒルの子』のいじめを連想させる、何やら思わせぶりな行動でした。 


  

キイチゴの葉で活動する2匹のナシケンモン(蛾)幼虫【10倍速映像】

 

2020年10月中旬・午後14:15頃・晴れ 

里山を抜ける峠道に沿って自生するキイチゴ類(種名不詳)の群落で大小2匹の毛虫が近くの葉にいました。 
ナシケンモンViminia rumicis)の幼虫です。 
この時期は被写体が少なくなってきたので、「何か面白い行動をしないかな?」と期待しつつ三脚を立てて試しに微速度撮影してみました。 
私はキイチゴの仲間を見分けるのが苦手で、花または実が付いていない時期にはお手上げです。 

まずは食痕がある葉裏の縁に隠れている小さな個体aに注目して撮り始めました。 
やがて覚醒すると、キイチゴの葉縁をかじり始めました。 
ところがなぜかすぐに食べるのを止め、葉表に移動してきました。 
口にした葉の味が気に入らなくて別の葉に移動するのかと思いきや、葉表で静止。 
のんびり日光浴を始めました。 

どうにも退屈なので、カメラを右にパンして隣の葉に居た大型の別個体bに被写体を切り替えました。 
この個体bが乗った葉表には黒い糞が多数残されています。 
しかし、この個体bも上半身を少し左右に振るだけで移動すらしません。 
ただのんびりと日光浴をしているだけです。 

2匹ともあまりに活動性に乏しいので、撮影を打ち切りました。 
もしかすると体内寄生されている個体なのか?と疑ってしまいます。 
ナシケンモンの幼虫が夜行性だという話は聞いたことがありません。 
秋になると昼間も日光浴して体温を上げないと、食べた葉を消化(解毒?)できないのでしょうか? 

そもそも、天敵(捕食者や寄生者)に対して目立つ場所で白昼堂々と休んでいることに驚きました。 
特に初めに撮った個体aはせっかく葉裏に隠れていたのに、後半はわざわざ葉表に出てきてしまいました。 
ナシケンモン幼虫が食草由来の毒を体内に溜め込んでいるという話は聞いたことがありません。 
私はこの毛虫に触ったことはありませんが、毒毛になっていて防御機能があるのでしょうか? 
毒で自衛するならもっと派手な警告色を身に纏うはずです。 

秋になると目に付くようになるナシケンモンの幼虫が気になっていたので、次に出会う機会があれば採集・飼育してみるつもりです。 
この日は袋や箱など持ち帰る容器を何も持ってこなかったので、諦めました。 

※ 三脚でカメラを固定しても風揺れに悩まされました。 
それでも動画編集時にいつものように手ブレ補正のデジタル処理を施したら、かなり改善されました。

2021/02/23

キイロスズメバチ♀が物色するヤブガラシ葉巻き巣の謎

 

2020年10月下旬・午後14:30頃・くもり 

河畔林の林縁に咲いたセイタカアワダチソウの群落を覆うようにヤブガラシが繁茂していました。 
ヤブガラシの葉1枚を緩く巻いて作った謎の「虫の巣」をキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が念入りに調べていました。 
巣の入り口から頭を突っ込んで葉巻の内側表面を舐めたり端を噛んだりしています。 
おそらくイモムシが食草のヤブガラシの葉を巻いて巣を作り、中に隠れていたのでしょう。 
しかし葉巻の中は空っぽでした。 
そのまま蛹になり羽化した後なのかもしれません。 

キイロスズメバチ♀は少し飛び回ると、同じくヤブガラシの葉を巻いて作った別の巣を見つけて物色を始めました。 
緩く巻いた葉巻の内部に白い絹糸が張り巡らされている上に、葉に残ったマイン状の食痕が黒変しています。
獲物を狩る瞬間が見れるかと期待して接写したものの、どれも空き巣で私も蜂もガッカリ…。 

キイロスズメバチ♀が熱心に調べていた「虫の巣」を私も手でほぐして中を調べてみました。 
巣の主は不在で、内部は黒変していました。 
少量の糞が残っているような気もしますが、黒カビが生えてしまったようで、状況がよく分かりません。 

撮影中、隣に咲いたセイタカアワダチソウの花にキイロスズメバチ♀は全く興味を示しませんでした。 (吸蜜せず)
完全に「狩り(獲物探索)モード」だったのでしょう。 
おそらくこのキイロスズメバチ♀個体は過去の狩りの成功体験を記憶学習していて、ヤブガラシの葉巻き巣を重点的に調べて回っているのでしょう。 

新開孝『虫のしわざ観察ガイド』などの図鑑で調べてみたものの、残念ながらヤブガラシの葉を巻いて巣を作る虫の情報は得られませんでした。 
きっと蛾の幼虫だろうと予想しているのですが、来季はその正体を突き止めるつもりです。 
ネット検索してみると、候補として例えばモンキクロノメイガHerpetogramma luctuosale zelleri)の幼虫が怪しいと睨んでいます。

過去の記録を探してみると、2006年7月中旬にモンキクロノメイガの成虫を撮影した蛾像が見つかりました。





ダリアの花蜜を吸うイチモンジセセリ

 

2020年10月下旬・午後14:00頃・くもり 

民家の庭の花壇に咲いたダリアの群落でイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。 
秋風が吹く中、半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。 
吸蜜を中断すると、ゼンマイ状の口吻をクルクルと伸縮させていました。 
擬人化すると舌舐めずりのような行動なのかな? 
色とりどりに咲き誇るダリアの品種の中で、今回イチモンジセセリは黄色とピンクの花を選んで次々に吸蜜しました。

2021/02/22

トウモロコシ畑で落ち穂を食べるハシボソガラス(野鳥)

 

2020年10月下旬・午後16:30頃・くもり 

刈り取り後のトウモロコシ畑で1羽のハシボソガラスCorvus corone)が落ち穂拾いをしていました。 
刈り取ったトウモロコシの茎や葉を嘴でめくって調べ、実を包む皮を剥き、長いヒゲを取り除いてから、黄色い穀粒を美味しそうに啄んでいます。 

▼関連記事(3ヶ月前の撮影)


最後は歩いて隣のブロッコリー畑に移動しました。 
満足したのか、それとも私がずっと撮り続けるので決まずくなったのかもしれません。 
カラスが立ち去ってから私はトウモロコシ畑に近づき、カラスの食べ残しを動画に記録しました。 
飼料用のトウモロコシかもしれないので、ヒトの食用に栽培した品種かどうかも私には分かりません。 

※ かなり薄暗い夕暮れ時に撮影したので、画質が粗いです。 


2日後にも同様の採食シーンを観察できました。

 

羽化後に蛹便を排泄するアカタテハ

 

アカタテハの飼育記録#5

▼前回の記事 
アカタテハの羽化a【10倍速映像】
2020年10月下旬・午後13:00頃 

羽化直後の翅伸展が完了したアカタテハVanessa indica)aは、翅を閉じて抜け殻(羽化殻)にぶら下がったままじっとしています。 
次は余分な体液を排泄するはずです。 
ところが私の不注意でカメラの三脚を軽く蹴飛ばしてしまい、アカタテハaが1回目に羽化液(蛹便)を排泄した瞬間を撮り損ねてしまいました。 
予め床に敷いておいた白紙に赤い羽化液の雫が血痕のように垂れています。 
気を取り直して画角を戻し動画に撮り続けると、2回目の排泄シーンを記録することができました。 
ヒクヒクしていた腹端(肛門)から深紅の液状便(羽化液)をポタポタと勢い良く5滴排出しました。 
腹部全体を収縮させて排泄しています。 
その後はもう蛹便を出しませんでした。

ちなみに、「まるで血痕のようだ」と書きましたが、昆虫の血液にはヘモグロビンが含まれていないので赤くありません。

つづく→#6:

2021/02/21

チョウセンカマキリ♀緑色型の一時捕獲

 

2020年10月中旬・午後13:10頃・くもり
▼前回の記事 
オカワカメの花で獲物を待ち伏せするチョウセンカマキリ♀緑色型
アカザカズラ(別名オカワカメ)の花に居たチョウセンカマキリ♀(Tenodera angustipennis)を手掴みで生け捕りにして、識別点を確認しました。 
胸部の前脚のつけ根の間に橙色斑があるのがチョウセンカマキリの特徴です。 
ここが赤いチョウセンカマキリを長年探し続けているのですけど、どうやら私のフィールドには生息していないようです。(絶滅した?) 
この辺りで出会うのはオオカマキリとコカマキリばかりです。
後翅の色で見分ける方法もあるのですが、片手でカメラを持って動画撮影しながらだとカマキリの後翅を広げられないので今回はやれませんでした。 
 元居たオカワカメの花に戻してやると、すぐに登って行きました。



 
長年この見分け方をしていたのですが、うろ覚えだったのでネット情報を見直すと、自信が無くなってきました。
胸がオレンジ色の個体はチョウセンカマキリと書いてあるサイトも多く、だとするとこの個体はオオカマキリ♀ではなくチョウセンカマキリ♀になります。
やはり横着せずに後翅も確認すべきでしたね…。
後で訂正するかもしれません。
過去の記事でも誤同定してたかも…?

【追記】
「生きペディア」というサイトの解説記事「チョウセンカマキリとオオカマキリ、見分けや違いは何?!」を読んで初めて知ったのですが、顔に走る緑色の縦条でも見分けられるのだそうです。
オカマキリもチョウセンカマキリも前頂部に3本の緑の帯があり、頭楯部から上唇部にかけて2本の線になって繋がっています。

この前頂部から頭楯部への左右の2本の帯はチョウセンカマキリの方が上唇部から先端に行くにつれ、狭くなってゆきます。

そして頭頂部の3本の濃い緑の帯もオオカマキリは細く、チョウセンカマキリは太い帯です。そして上唇部の濃い緑の帯の色の薄い部分はチョウセンカマキリが狭まって見えます。

今回私が出会った個体の顔写真を見ると、緑の縦帯が3本あったことから、やはりチョウセンカマキリと判明しました。


平凡社『日本動物大百科8昆虫I』を紐解くと、
 両者(オオカマキリとチョウセンカマキリ:しぐま註)は形態や行動が似ているにもかかわらず、オオカマキリが、山ぎわや林縁のクズ、ススキ、セイタカアワダチソウ、ササ類などが混生する草地に多いのに対して、チョウセンカマキリは、水田やその休耕地および開けた草原に多く、両種はある程度すみわけている。ただし、林縁などのオオカマキリの優占地でも、チョウセンカマキリが少しは生息していることが多いのに対して、水田周辺の環境では、オオカマキリがまったく見られないことがある。(p95〜96より引用)
今回の撮影現場は平地の新興住宅地で、すぐ裏には水田や休耕田が広がっていました。
したがって、いかにもチョウセンカマキリの生息地に相応しい環境です。
恥ずかしながらこの年齢になってようやく近縁2種の見分け方をマスターしたので、馴染みのなかったチョウセンカマキリを改めて飼育してみるつもりです。





 

ボタンクサギの花でクロホウジャク(蛾)が吸蜜ホバリング【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年10月下旬・午後15:45頃・晴れ 

ガードレールの奥の庭に咲いたボタンクサギの群落でホウジャクの仲間が訪花していました。 
ホシホウジャクと似ていて迷うのですが、後翅の橙黄色帯が狭いのでクロホウジャクMacroglossum saga)だと思います。 
動画撮影を優先した結果、同定用の写真を撮り損ねました。(下記掲載の写真は、動画から切り取ったスナップショットです。) 

クロホウジャクはホバリングしながら黒くて(焦げ茶色)長い口吻を伸ばして細い花筒に器用に差し込み、吸蜜しています。 
長い口吻の前半分が橙色(明るい茶色)に見えるのは、ボタンクサギの花粉が付着してるためでしょう。 
花から引き抜いた口吻はゼンマイのようにクルクルと丸まります。 
停飛中に脚を花に掛けることはなく、常に体に引き付けて空気抵抗を減らしています。 

60fpsの動画(毎秒60コマ)で撮ったホバリング(停空飛翔)の羽ばたきがあまりにも早いので、残像のように逆に遅く見えます。 
この錯覚をストロボ効果(その中でも特にワゴンホイール効果)と呼び、扇風機の羽根の回転が逆に見えることでお馴染みです。 

クロホウジャクの吸蜜ホバリングを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:14〜) 
順光の西日を浴びて、ハイスピード撮影日和でした。 
強い 秋風が吹いてボタンクサギの花序が大きく揺れても、クロホウジャクは即座に対応して吸蜜ホバリングを続けていました。 
花筒に深く差し込んだ口吻が折れたりするような事故はありませんでした。 
スズメガ類の口吻は、長くてもしなやかで折れにくいのでしょう。 
更に強い突風が吹いて煽られても墜落せずに、空中ですぐにホバリングの姿勢を立て直せるのは流石です。 
小型化、静音性、高度な姿勢制御、燃料を自律的に補給して飛び続けられることなど、これほど凄い高性能なドローンを人類(エンジニア)は未だ開発できていません。 

私は園芸植物に疎いのですが、ボタンクサギの花期は夏で、この時期(10月下旬)まで咲いているのは珍しいらしいです。 
もう一点珍しいと言えば、確かホウジャク類は薄暮性のはずなのに、今回は夕方よりも早く明るい時刻に訪花していました。 
活動時の明るさを照度計でしっかり計測して調べてみるのも面白そうです。 


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