2023/02/18

ニホンリスの垂直跳び

 

2022年9月中旬・午前10:00頃および12:20頃 

里山の雑木林の斜面に立つ泥カラマツを監視しているトレイルカメラに、ある日ニホンリスSciurus lis)が何度も写りました。 
斜面から土がポロポロとこぼれ落ちてきた後に、カラマツの幹の背後からリスが左に走って登場しました。 
林床をチョロチョロと徘徊し、地面に落ちた木の実(落果)などの餌を探索しているようです。 
泥カラマツの左に生えたシシガシラという羊歯植物の群落で餌を探していたニホンリスが急に真上へ飛び上がり、細い枝に跳び移りました。 
華麗な垂直跳びを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:52〜) 
リスの高い身体能力に惚れ惚れします。 
その枝を伝って林床に戻ると、斜面を駆け上がって姿を消しました。 

後日、現場検証すると、リスが跳び乗ったのはリョウブの幼木でした。 
多雪地帯の斜面に特有の樹形です。 
深い積雪の重み(雪圧)で根元付近が大きく湾曲しており、斜面からほぼ横に向かってしばらく伸びてから上に伸長しています。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



コウリンタンポポの花蜜を吸うモンシロチョウ♀

 

2022年6月中旬・午前10:55頃・晴れ 

河川敷に咲いているコウリンタンポポの群落でモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を半開きのまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:21〜)

2023/02/17

深夜の溜め糞場で排便する「垂れ尾」のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬・午前2:15頃・気温20℃ 

里山のスギ林道にある溜め糞場sに「垂れ尾」のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が久々にやって来ました。 
緩やかな坂になっている林道を右から登って来ると、トレイルカメラの方をちらっと見上げました。 
自分たちの溜め糞場に跨ると、左を向いたまま軟便を排泄しました。 
用を足したタヌキは左に立ち去りました。 



地中の巣穴から空荷で飛び去るモンスズメバチ♀

 



2022年6月中旬・午後13:45頃・晴れ 

河川敷でブタナの根際に開いた巣口からモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が外に出てきて飛び去りました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
地下の巣穴を拡張工事している最中なのに、この個体は珍しく空荷でした。 
(大顎に土塊を咥えていません。) 

実は、出巣直後にこの個体はホバリングしながら扇状に飛んだのですが、あまりにも動きが速過ぎてカメラのズームアウトが間に合わず、動画に撮り損ねました。 
定位飛行で営巣地近辺の景色を記憶したということは、この日に初めて外に出た(初飛行)ことを意味しています。 
羽化したばかりのワーカー♀なのかもしれません。 (とは限らない。)
巣口の位置を正確に記憶しないと、外役に出ても帰巣できなくなってしまいます。 

他の多くの個体は、土塊を咥えて巣口から一目散に飛び去り、不要な土砂を外に捨てに行きます。 
定位飛行は一度やれば充分で、次回の出巣から省略されます。 


2023/02/16

ニホンカモシカは野山で有毒植物のトリカブトを味見するか?

 



2022年9月中旬・午前11:40頃・くもり 

山中で出会ったニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)はスギ林でにわか雨をやり過ごした後、林道を横断して横の湿地帯に入りました。
その辺りは沢の水が流れ込んで小さな池になっている他、周囲の地面もジメジメしています。
カモシカ♂は草を食みながらこちらを振り返りました。 
股間でブラブラ揺れる睾丸が見えたので♂と分かりました。 
外性器でカモシカの性別がしっかり見分けられたのはきわめて珍しく、ラッキーでした。 

採食メニューの植物種名を知りたくて必死で目を凝らしても、肝心の口元がなかなか見えません。 
カモシカが佇んでいる手前にはイヌタデの群落がピンクの花を咲かせていますが、カモシカがイヌタデを食べたかどうか不明です。 
他にはミゾソバの白い花、ツリフネソウのピンクの花などが見えます。 
採食メニューはイネ科の草(ヨシなどの単子葉植物)ではなく、広葉の草でした。 
カモシカは何か蔓植物の葉を蔓ごとむしって食べました。 
ようやくミゾソバの白い花を食べる様子がしっかり撮れました。 
ちなみに、別の地点に設置したトレイルカメラでもカモシカがミゾソバを好んで食べる様子が録画されていました。(映像公開予定) 

秋の花が咲いている草地(山中のお花畑)で、トリカブト(詳しい種名は知りませぬ)の紫の花もたくさん咲いているのが気になりました。 
ニホンカモシカ♂は藪の中を歩きながらあれこれと摘み食いしていますが、トリカブトの葉や花は一度も食べませんでした。 
もしトリカブトの葉を食い千切ったら、紫の花が激しく揺れるはずです。
トリカブトにはアコニチンという猛毒のアルカロイド(神経毒および心臓毒)が全草に含まれています。 
カモシカはトリカブトの危険性を本能で知っているのか、それとも味見して学習するのでしょうか? 
植食性の草食獣は生息地に自生する有毒植物を忌避するように進化したと考えられます。 
逆に言うと、有毒植物を忌避できない草食動物はとっくに自然淘汰されたはずです。 
味覚が鋭敏になって、危険な有毒植物なら少し味見しただけで不味く感じるように進化したのかな? 
それともカモシカは味見しなくても生まれつきトリカブトを忌避するように進化したのでしょうか? (匂いや見た目で忌避?)
カモシカは草食性有蹄類にしては珍しく、基本的には群れを作らずに単独で暮らします。
幼獣が離乳してから独立するまでの期間に、どの植物が食べられるか母親がいちいち教育したとは思えないのですが、カモシカ母子の採食行動をもっとしっかり観察しないことには決めつけられません。



【追記】
平田貞雄『ニホンカモシカ・ミミの一生』という本は、生後間もなく母親とはぐれたニホンカモシカの幼獣♀を保護した長期の飼育観察記録です。 
様々な植物を与えて食べるかどうか丹念に調べ上げていて貴重な資料なのですが、当然ながら猛毒のトリカブトを与えてみたという記録は書いてませんでした。

植物は食害から身を守るために毒を蓄積します(化学防衛)。
毒を生産するのもコストがかかりますから、敵を殺すのが第一の目的ではなく、食害を避けることができればそれで良いはずです。
毒を持つ動物は派手な警告色を身にまとって捕食者にアピールする例が多く知られています。
草食動物は夜行性のものが多いですから、植物の警告色はあまり有効ではないでしょう。(昼間しか見えない)
植物も毒と一緒に強烈な味や匂いのする物質を含んでいれば、草食動物が少し味見をしただけで毒の作用と合わせて学習し、その後は忌避してくれることが期待できそうです。
有毒植物は視覚ではなく味覚による「警告味」で草食動物に食べられないよう強くアピールしているのではないか、というアイデアを思いつきました。
トリカブトの場合、猛毒のアコニチン自体がたとえ無味無臭でも、強烈な(独特な)味のする物質を併せ持っていれば良さそうです。
更にもう一歩妄想を進めると、有毒植物の警告味が共通になるようにミューラー型擬態するかもしれませんし、無毒の植物もその味に便乗してベーツ型擬態するように進化するかもしれませんね。


【追記2】
カモシカ幼獣を生後1ヶ月から2年間飼育した武田修『ロッキーへの手紙』によると、
・ ミルクの時期も終わり、そろそろ山の草や葉を食べさせたいと思った時、ロッキーにとって、栄養になる草、栄養にならない草、毒になる草、ならない草を、どう選別し、どのように教えたらいいのか、ひどく悩みました。しかし、カモシカの体の中には、解毒酵素があり、まずは食べてみて判断する特性があることがわかりました。(p69より引用)
・食べられる葉とそうでないのは体験的に見分けます (p70より引用)
・ ロッキーは、山で木の葉を食べる際、どんなにおいしい葉であっても、最後まですべて食べ尽くすということがありませんでした。先のほうだけを少しだけ食べて、次の木に移動するのです。(中略)同じ木から大量に食べないのは、カモシカがもっている習性のひとつで、自然と共生していくための知恵なのでしょう。自分の縄張りをひと回りして元の木に戻る頃には、その木はまた成長していて、おいしい葉が食べられるというわけです。(p113〜114より引用)
筆者の飼育体験によれば、幼獣に毒草をいちいち教えなくても大丈夫とのことです。
最後に記述されたカモシカの食べ方は、毒草対策にもなっている気がします。(毒味)

ハエが群がる下痢便状の物は溶けたスッポンタケか?

 

2022年9月上旬・午前11:50頃および12:10頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする平坦な小径に少量の下痢便が山道に残されてました。 
緑がかった黄土色の液状便です。 
ハエ類が獣糞に集まっていたのに、私が近づいたことで一斉に飛び去ってしまいました。
しばらくその場でじっと待つと、徐々に舞い戻ってきました。 
きれいな緑色や赤緑色の金属光沢に輝くキンバエ類の種類を私は見分けられないのですが、大小様々、♀♂混在のキンバエ類が下痢便に群がり、興奮したように離着陸を繰り返しています。 
ニクバエの一種も1匹だけ飛来しました。(@0:30〜) 
新鮮な下痢便の表面にハエが止まっても、粘性が高く表面張力で軽量のハエは足が沈みません。 
口吻を伸ばして糞の表面から吸汁しています。 

赤緑色のメタリックカラーの個体は、どうやら獣糞が目当てというよりも求愛しているように見えます。 
別個体(メタリックグリーン)の背後から忍び寄りマウントを試みても足蹴にされていました。 
素人目には体色が異なる別種に見えるので、誤認求愛なのでしょうか。 
せっかく面白くなりそうなのに、撮影中はこの行動に気づきませんでした。 

この山道を一度通り過ぎ、20分後にまた戻ってきました。(@1:08〜)
糞の右上の落ち葉に見慣れない小さなハエが来て居ました。 
黒っぽい金属光沢があり(構造色)、林床を歩き回りながらも翅を激しく動かしていました(翅紋誇示?)。 
ツヤホソバエ科の一種ですかね?(当てずっぽう) 
下痢便を占拠しているキンバエの群れに遠慮しているのか、謎の小バエは獣糞に近づくどころか離れて行きました。 

動画撮影中にふと横を見ると、アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)がやって来ました。 
タヌキの溜め糞ではハエ類と並ぶ常連客です。 
しかしカメラを向けた途端に後翅を広げて飛び立ってしまいました。 
アカバトガリオオズハネカクシの離陸・飛翔シーンは初見です。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:40〜) 
直後に等倍速でリプレイ。 
ハネカクシの仲間は鞘翅(前翅)が短いだけで、折り畳んでおいた透明な後翅を広げて飛ぶことができるのです。
「糞便臭に誘引されて飛来したアカバトガリオオズハネカクシが獣糞に着陸」というストーリーを思い描いたものの、どこに行ったのか見失ってしまいました。
自然観察では予測が裏切られてばかりで、なかなか思い通りに行きません。

さて、一体これは何の糞でしょう? 
これまでの調査でアナグマは軟便や下痢便が多いと分かったのですが、こちら側の山系ではトレイルカメラに写ったことがこれまでたった一度しかありません(生息密度がきわめて低いらしい)。 
タヌキの溜め糞という感じではなく、獣道を移動中に腹痛を我慢できず下痢便を漏らしてしまったように見えます。 
同じ地点(22b)に繰り返し通って排便するのなら、トレイルカメラを設置して糞の主の正体を突き止めることが可能です。 
しかし後日何度か通っても、同じ地点に獣糞は二度と残されていませんでした。 
野生動物のフィールドサインに関する本を読んでも、健康時の固形糞の典型的な特徴しか書いておらず、体調が悪いときの下痢便については見分け方が載っていません。 
プロのフィールドワーカーは獣糞の匂いだけでも種類をほぼ嗅ぎ分けられるのだそうです。 
しかし大型の重いザックを担いで山中を歩き回っていると、獣糞の匂いを嗅ぐためにザックをいちいち下ろすのが億劫になってきます。 
この日バテていた私は糞便臭のチェックを怠り、撮影も立ったままで済ませました。 
まだまだ修行が足りません。 
後で思うと、わざわざ地べたに這いつくばって獣糞の匂いを直に嗅ぐ必要はなくて、適当な落枝を拾って獣糞をつついてみてから枝先の匂いを嗅げば済むことでしたね。 

鳥の糞または白いキノコのような塊が下痢(?)の海に浸っているのが気になります。 
もしかして、これは下痢状の獣糞ではなく、スッポンタケなどのキノコ子実体のグレバがドロドロに溶けた跡なのかもしれない、と今思いつきました。
(スッポンタケの)傘の表面に悪臭のする粘液質のものが一面に現れ、悪臭がするようになる。これはグレバで形成された胞子を含むもので、その悪臭は、ハエなどを誘引し、胞子を運ばせるためである。キノコ本体は一日でとろけるように消滅する。(中略)傘はグレバの色で暗緑色に見える。 (wikipedia:スッポンタケより引用)
私はキノコについて全くの勉強不足なので、聞きかじりからの思いつきです。 
スッポンタケの子実体が溶けると、これほど大量の粘液質の物が残るのでしょうか。 
1本だけでなくスッポンタケの群落があったのかな?
現場でもっと興味を持って、謎のペーストを小枝でかき回したりして中を探ってみるべきでしたね。 
獣糞ならば未消化の種子などが含まれていたはずです。 
改めて謎のペーストを見直すと、獣の下痢便にしては均一過ぎますし、少なくとも表面には植物の種子は見えません。

獣糞ではなくスッポンタケの溶けたグレバだとすれば、キンバエやニクバエ以外の食糞性昆虫(アカバトガリオオズハネカクシやツヤホソバエの一種)が匂いに騙されかけても結局やって来なかった理由が説明できそうです。 
いつか山でスッポンタケの子実体を見つけたら、成長と分解の過程を微速度撮影してみたいものです。 
キノコ採りの名人になると鼻が利き、山中で独特のグレバ臭がしただけで辺りにスッポンタケが生えていると分かるのだそうです。

2023/02/15

早朝の林道にペアで現れた謎の野鳥:名前を教えて【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月上旬・午前5:10頃・(日の出時刻は午前5:07) 

里山の林道で水溜りのある区間を自動センサーカメラで監視していると、早朝に早起きの鳥が現れました。 
日の出直後ですけど、山の西側斜面には未だ朝日が射しておらず、赤外線の暗視映像で記録されていました。

林道脇の法面から湾曲しながら伸びたシナノキに地味な鳥が止まっています。 
シナノキの止まり木で方向転換してから右下に飛び降りました。 
続いて画面の左上隅から別個体が右下に飛び降りました。
スロー再生で見直しても、よく分かりません。
しばらくすると、画角の下端からひょっこり登場し、右上に飛び去りました。 
入れ替わるように別個体が右上から左下へ飛び降りました。 
この2羽は♀♂つがいなのかな? 
水溜りで朝一の水浴びをしたり水を飲んだりするのかと期待したのですけど、何もしないで飛び去りました。

腹に鱗模様があり、トラツグミかと思ったのですが、背中は鱗模様ではなく、のっぺりしています。 
白黒の映像とカラーの図鑑を見比べるのは難し過ぎて、私には分かりませんでした。 
この鳥の名前をどなたか教えてもらえると助かります。 

池で溺れるヒカゲチョウ♀に襲いかかるアメンボの群れ

 

2022年9月中旬・午後14:50頃・くもり 

山中の湧水が溜まった泉に地味な蝶が落水し、水面でパタパタと羽ばたいていました。 
カメラでズームインしてみると、ヒカゲチョウ♀(Lethe sicelis)でした。 
関連記事(8年前の撮影)▶ クロヒカゲの水難事故
後翅が破損している個体でした。 
翅の破損が左右対称ではないので、鳥に襲われかけたビークマークではなさそうです。 
口吻は伸びておらず、吸水行動ではありません。 
落水した蝶を中心として水面に波紋が広がっているのでヒカゲチョウをよく見ると、翅を細かく震わせていました。 
飛翔筋を使って準備運動をしているようです。
周囲は鬱蒼とした雑木林で、この日は特に薄暗く、気温も高くありませんでした。 
変温動物のヒカゲチョウは飛翔筋の準備運動をして体温を上げないと力強く飛び立てないのでしょう。 

その波紋を感知したアメンボの仲間(種名不詳)が水面を泳いで近づき、ヒカゲチョウの後翅にコツンとぶつかりました。 
アメンボ自身も動くと波紋が広がります。 
再びアメンボが獲物に襲いかかろうとした途端に、ヒカゲチョウが慌てたように激しく暴れ始めました。 
浅瀬なのに、水面でいくら羽ばたいても空中に飛び上がれません。 
このときヒカゲチョウの前翅表に白帯が見えたので、♀と判明しました。 
岸まであと少しなのに、泳いで岸に辿り着こうという発想もないようです。
「泳ぐ」という行動レパートリーが 蝶には無いのでしょう。
翅の表面を覆う鱗粉に撥水性があるので、水中に沈む心配はなさそうです。 

周囲から数匹のアメンボが一斉に集まってきたものの、暴れる獲物を仕留められません。 
口吻を獲物に突き刺して毒液を注入すればおとなしくなるはずですが、アメンボは狩りを諦めて退散しました。 
獲物が溺れて弱るまで待っているのでしょう。 

襲い来るアメンボを撃退したヒカゲチョウ♀は、閉じた翅を細かく震わせています。
水面から突き出た落枝の上に乗れば、飛び立てる気がするのですけど、どうでしょうか? 
水面に落ちた蝶はクモの網にかかったのと同じで、逃れようと暴れるとその振動で捕食者(アメンボ)に気づかれてしまいます。
気づかれないように死んだふり(擬死)するしかありませんが、それではいつまで経っても問題の解決にはなりません。
命のかかったジレンマです。

 次に、もっと大型の捕食者が登場します。 
一難去ってまた一難。 



2023/02/14

山林を遊動するニホンザルの群れで子猿だけがタヌキとアナグマの溜め糞に興味津々【トレイルカメラ】

 

2022年9月中旬・午後14:40〜14:51・晴れ・気温15℃ 

里山の杉林道にある溜め糞場sを自動センサーカメラで見張っていると、珍しく野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが写りました。
前回の記事:▶ 雪山のスギ林を遊動するニホンザルの群れ【トレイルカメラ】
スギ林にニホンザルの食料はほとんどありませんから、通り道としてたまに使うだけです。
林道を右から左へ続々と遊動して行きます。 

冒頭の個体は全身の毛皮が白っぽいアルビノ(白変種?)でした。 
音量を上げると、遠くで猿の叫ぶ声が聞こえます。 
次に来たのは母親と子ザルの兄弟(姉妹?)2頭です。 
幼い子ザル(赤ん坊)も自分の足で母親の横を歩いていました。 
軽くふざけながら来た兄弟?が、タヌキとアナグマが残した溜め糞sの匂いに気づいたようで、迂回して通り過ぎました。 
糞虫に食べられ分解されたのか、溜め糞の原形は残っていません。 

次に来たのは顔が紅潮した成獣です。(性別不明) 
この個体も全身が白っぽい毛皮で、頬袋がいっぱいに膨らんでいました。 
その後ろから子ザルの兄弟2頭が小走りに追いかけて来ました。 
子ザルはやはり溜め糞場sの匂いに興味を示し、立ち止まって地面に鼻を近づけると、糞で汚れたスギの落ち葉の匂いを頻りに嗅ぎました。 
更に後ろから追いついてきた子ザルは、溜め糞場に興味を示さず、そのまま駆け抜けました。 

次に、子ザルを腹に抱っこしたまま運ぶ若い♀がやって来ました。 
この子ザルは発育が少し遅れているようです。 
母猿の顔は紅潮しています。 

その次に来たのは、頬袋をいっぱいに膨らませた成獣です。 
子ザルの2兄弟が走って追いかけて来ました。 
溜め糞場に少し興味を示しつつも、左へ通り過ぎました。 
近くで猿の悲鳴が聞こえます。 

次に来た子ザルは画面右上隅で林道上に座り、後続の個体を待っています。 
モグモグさせている口元が黒い果汁?で汚れているような気もしますが、どうでしょうか? 
山で黒く熟す果実と言えば桑の実ぐらいしか知らなかったのですが、9月中旬は遅過ぎるかな? 
(同時期にノブドウの実を採食するニホンザルを撮影した動画を公開予定。) 
後ろから走ってきた子ザルと鬼ごっこのようにふざけながら、左へ走り去りました。 
この子ザル2頭は遊びに夢中で、溜め糞場sは素通りしました。 

次にトレイルカメラが起動したときには、画面左端の林道上に1頭が立ち止まっていました。 
左手で顔を掻いてから左へ走り去りました。

更に群れが続々と右から遊動してきます。 
母猿について走って来た幼い子ザルが溜め糞場sで立ち止まると、スギ落ち葉の匂いを嗅ぎました。 

幼い子ザルは好奇心旺盛ですが、タヌキとアナグマが残した溜め糞の匂いを嗅ぐのが生まれて初めてなのかもしれません。 
それに対して成獣のニホンザルは溜め糞の匂いに慣れてしまっているようで、無関心に素通りするだけです。 
子ザルも興味津々で溜め糞の匂いを嗅ぐだけで、そこに自ら糞尿を排泄することはありませんでした。 
幼獣だけが溜め糞に興味を示すという現象は、ニホンザルに限ったことではありません。
関連記事(同年の撮影)▶ 



左上から右下へ謎の生物が高速で横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしても、正体不明です。(@1:49〜) 
鳥でもなさそうですし、子ザルが樹上から飛び降りたのか、あるいはリスかな?

スギ林の林道を右から遊動してくるだけでなく、右奥の斜面を登って林道に出てくる個体もいました。 
群れの多くは林道を左に遊動しましたが、林道脇の法面にある獣道(画面手前の死角)を登って行く個体もいました。

余談ですが、ニホンザルの群れが通過する様子を監視カメラが続けざまに録画していると、スギの太い落枝が急に出現し、左奥の斜面に引っかかるように止まりました(@1:25〜1:26)。 
対面に見えるスギ大木(胸高直径60.5cm)の太い横枝が途中で折れたまま樹上でブラブラしていたのですが、それが遂に落ちてきたようです。 
林道を通過しているニホンザルの頭上に落ちなくて良かったです。 
もしかしたら、通りすがりの猿が折れかけの横枝に跳び乗り、その重みに耐え切れず落ちたのかもしれません。 
どうでも良い情報とは言え、落下時刻が2022年9月20日の午後14:43とほぼ正確に推理できてしまうのが、トレイルカメラの凄いところです。 
折れた枝が落ちてくる瞬間はさすがに撮れていませんでした。 
この太いスギ落枝を巡って、これから別の野生動物による新たなドラマが更に展開していきます。 
お楽しみに。(映像公開予定



ムラサキツメクサの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2022年6月中旬・午前10:30頃・晴れ 

河川敷に咲き乱れるムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
ありふれた超普通種同士の組み合わせですが、意外にも初見です。 

ムラサキツメクサの小さな筒状花に正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。 
後脚の花粉籠は空荷でした。 
辺りにはブタナの黄色い花もたくさん咲いているのに、このセイヨウミツバチ♀はムラサキツメクサのピンクの花を選択的に訪花していました。

2023/02/13

雑木林の斜面を歩くトラツグミ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2022年9月中旬・午後14:15頃

里山の林道脇の斜面を少し登った地点に生えたカラマツの幹の根元付近が泥でひどく汚れていました。 
泥浴び(ヌタ打ち)をしたイノシシが体を擦り付けて泥を落とした跡ではないかと推理しました。
関連記事 ▶ ニホンイノシシによる泥汚れ?(1)カラマツの幹
イノシシがまたやって来たら同じ行動を繰り返してくれるのではないかと期待して、証拠映像を撮るために泥カラマツを見張る自動センサーカメラを設置してみました。 
しかし当地ではイノシシの生息密度が未だ低いため、なかなか現れません。 

その代わりに、トラツグミZoothera aurea)が登場しました。 
雑木林の林床(斜面)をトコトコ歩いて通り過ぎました。 
残念ながら採餌行動を披露してくれませんでした。 


このトレイルカメラは旧機種で、明るい昼間に動画を撮ると画面全体がピンク色に染まり、しかもそのピンク色が不規則に点滅するという不具合があります。 
あまりにも不自然で見るのも苦痛なので、動画編集時に自動色調補正を施すと、ほぼモノクロ映像になってしまいます。 
それでも夜間の暗視映像は問題なく撮れるので、古いトレイルカメラを我慢して使い続けています。 
(予算不足のため、新機種への切り替えがなかなか進みません。)
昼間にカメラを設置した直後だけはフルカラー(総天然色)で動画が撮れるので、現場の状況を伝えるため冒頭に差し込みました。 
ところがトレイルカメラを設置して一晩過ぎると、昼間に奇妙な症状が再発するのです。 
レンズの赤外線フィルターを制御するプログラム(回路)にバグがあるのは明らかなので、メーカーはファームウェアのアップデートを提供して欲しいものです。 

タラノキの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♀

 

2022年9月上旬・午後15:35頃・晴れ 

タラの芽を収穫する山菜として里山の一角に植栽されたタラノキウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
半開きの翅を開閉しながら吸蜜しています。 

羽化後の日齢がだいぶ経過しているのか、鱗粉の色が全体的に薄く、翅の縁が破損した個体です。 
まるでミドリヒョウモン♀のような渋い色合いの翅になっていました。 
日光で翅の裏面の斑紋が透けてしまい、同定に少し苦労しました。 

この日、タラノキの花に集まっていたミドリヒョウモンは♂ばかりで、一方ウラギンヒョウモンはこの♀個体だけでした。 

関連記事(同所同日に撮影)▶ タラノキの花蜜を吸うミドリヒョウモン♂の群れ

2023/02/12

杉林道を歩くニホンカモシカの記録:2022年9月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬〜中旬

山のスギ林道を通りかかるニホンカモシカCapricornis crispus)が監視カメラに写った記録です。 
同じ日に何度もカモシカが登場することもあれば、空白期間が数日続くこともあり、規則性は認められません。
個体識別ができていないので、何頭のカモシカが行き交っているのか不明です。
カモシカは夜行性でもあり、昼行性でもあります(昼も夜も活動する)。


シーン1:9/3・午前1:12・気温20℃ 
どこから現れたのか、いきなり画面の右上に佇んでいました。 
林道脇の斜面(法面)を画面の手前から駆け下りて林道に出てきたのではないかと想像しています。
立ち止まって振り返り、カメラの方をちらっと見て警戒しています。 
地面に敷き詰められたスギの落ち葉の匂いを嗅ぎながら林道を左へ歩き始め、溜め糞場sの匂いを嗅ぎました。 
明らかに角が細く、若い個体のようです。 
トレイルカメラを固定したスギの根元で下草の匂いを頻りに嗅いでいます。 
林道脇のの法面をよじ登り始めたところで、録画が切れてしまいました。 


シーン2:9/3・午後17:46・気温21℃ (@1:00〜) 
16時間半後、カモシカがちらっと写りました。 
カメラに映らないように、林道の左端を歩いて右から左に通り過ぎたのか、それとも法面を登ったのか、不明です。 


シーン3:9/5・午前11:21・気温25℃ (@1:05〜) 
2日後の明るい昼間に、カモシカが林道を歩いて左から登場しました。 
顔を拝みたくても、頭を下げて歩くので見えません。 
カメラを設置したスギの根元の匂いを嗅ぎ、林道を右へ立ち去りました。 


シーン4:9/9・午前0:58・気温19℃ (@1:19〜) 
4日後の深夜、今度は右からやって来ました。 
林道の左端を歩くとカメラの死角になって姿が映りません。 
意図的にカメラを避けているのでしょうか? 
もう1台トレイルカメラを増設して逆方向からも狙うようにすれば、記録漏れが減るはずです。

シーン5:9/9・午後20:04・気温21℃ (@1:26〜) 
19時間後、今回は林道を左から登場。 
対面のスギ大木を回り込むと、右隣りに自生するコシアブラの灌木に顔を擦りつけているようです。 
画角外のため、残念ながら眼下腺マーキングしてる顔が写っていません。 
その後は林道の左端を歩いて右へ立ち去りました。 

林道上に残されたタヌキの溜め糞を監視するようにカメラの設置角度を決めると、奥のコシアブラが画角に収まらなくなってしまうので、どちらを取るか悩ましいところです。 
トレイルカメラをもっと高い位置に設置すれば両立できるかな? 


シーン6:9/9・午後23:35・気温21℃ (@1:50〜) 
3.5時間後の夜中に、右から登場。 
カメラになるべく映らないように林道の左端を歩いて通り過ぎます。 


シーン7:9/11・午後15:10・気温23℃ (@1:57〜) 
2日後の明るい午後に右から登場。 
今回も監視カメラを避けるように、林道の左端を歩きました。 




巣穴から土塊の搬出に失敗したモンスズメバチ♀【NGシーン】

 



2022年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

河川敷の地中に掘った巣穴から土塊を咥えて出てくるモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀を動画に撮っていると、ちょっとしたハプニングが起こりました。

巣口の横から蜂が飛び立とうとしたものの、近くに生えたイネ科の草に衝突し、落下してしまいました。 
土塊を咥え直して再び地面から離陸を試みても、再び草の葉にぶつかりました。 
そそっかしいワーカー♀の搬出シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:23〜)、2度目に衝突した拍子に咥えていた土塊を落としていました。 
モンスズメバチ♀はそのまま飛び去り、すぐに空荷で巣穴に戻ってきました。 
(個体識別していないので、別個体が帰巣した可能性もあります。) 

スズメバチやアシナガバチの仲間では、営巣地の周辺に生えた邪魔な草を刈り取ることが知られていますが、私は未だ実際に観察したことはありません。 
巣口の周辺で離着陸の障害となる草をきれいに刈ってしまうと今度は、最大の天敵であるヒトに巣が見つかりやすくなり、駆除されてしまうリスクが高まりそうです。
初期巣の段階では敵から見つかりにくいように雑草をそのままにしておき、ワーカーの個体数が増えてコロニーの防衛力が上がれば 草刈りをするようになるのでしょうか?


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