2025/01/25

ホンドタヌキが越冬する営巣地の端で雪面や地面を転げ回って匂い付けするホンドギツネの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬〜3月上旬

シーン0:2/20・午後13:10・くもり・気温23℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴を自動センサーカメラで見張っています。 異常な暖冬で積雪量が少なく、あちこちで地面が露出しています。 少なくとも3つの巣口(左から順にL、M、R)が点在しています。 


シーン1:2/24・午後23:40・気温-4℃(@0:04〜) 
深夜に監視カメラが誤作動したようです。 
晴れて静かな夜でした。 
新雪が積もり、雪原を往来するタヌキなど野生動物の足跡が残されています。 


シーン2:2/25・午前4:01・気温-7℃(@0:07〜) 

シーン3:2/27・午前5:57(@0:11〜)日の出時刻は午前6:12。 
夜明け前にホンドギツネVulpes vulpes japonica)がまた左から現れました。 
フサフサした尻尾を水平にピンと伸ばして歩きます。 
雪面は固く凍結しているようで、キツネが歩いても足跡が残りません。 
タヌキの巣穴がある左をちらっと見ました。 

画面の右端で、落葉したオニグルミ樹上から垂れ下がったクズの蔓の下をくぐろうとしたキツネが、後足を滑らせたように見えました(スリップ?)。 
死角で見えないのですが、足で雪を後方に掻いたようです。 
凍った雪面で転んだのかと思ったのですが、どうやら雪面に体を投げ出して転げ回っているようです。 
右の死角から雪を後方に掻いたようです。
しばらくすると、キツネが右から戻ってきました。 
再び監視カメラの死角で雪面に寝転がったようです。 
立ち上がって、タヌキの巣穴を見ています。


シーン4:2/27・午前5:58(@0:50〜) 
約20秒後に同一個体のキツネが右から来て、手前をぐるっと回り込んでタヌキの巣口Lの横を通り過ぎました。 
次は巣口Mを覗き込んで匂いを嗅いでいます。 
再び巣口Lに戻ると、鼻面を浅く突っ込みました。 
驚いたことに、巣口Lの手前でキツネは腹這いになり、雪面に体を投げ出しました。 
おそらく匂い付けの行動なのでしょう。 
それとも、わざと物音を立てて巣内に潜むタヌキの動向を伺っているのかな? 
続けて雪原を右へ回り込み、巣口Rに向かいかけたところで、1分間の録画が打ち切られました。 


シーン5:2/27・午前6:00(@1:50〜) 
約25秒後に監視カメラが再起動すると、キツネは画面の右端で再び雪原に腹這いになっていました。 
立ち上がると、タヌキの巣穴の方を見て反応を伺っています。 
巣口Mに忍び寄り、中を覗き込みました。 
右奥の巣口Rに立ち寄りかけたところで、録画が打ち切られました。 

この間、巣内の主であるタヌキは一度も外に出て来ませんでした。
専守防衛の籠城作戦なのか、それとも留守にしているのかな?


シーン6:2/27・午後17:45・気温3℃(@2:50〜)日の入り時刻は午後17:32。 
同じ日の日没直後の様子です。 
昼間はよく晴れて雪解けが急速に進みました。 
林縁に近い手前の地面が完全に露出しています。 


シーン7:2/29・午前2:45・気温-1℃(@2:54〜) 
2日後の深夜に右からキツネが登場しました。 
画面の右端で、枯草に覆われた地面に転がって匂い付けをしています。 
この個体は前回とは違い、疥癬に感染して尻尾の毛がひどく抜け落ちて細く見える個体(細尾)でした。
細尾のキツネは立ち上がると、タヌキの巣口Mを点検してから巣口Lの匂いも嗅ぎ、最後は巣口Rの窪みに飛び込みました。 
驚いた野ネズミ(ハタネズミMicrotus montebelli)?)が巣口Rから飛び出してきたのか、枯野を走って逃げ回る獲物をキツネが追い回しています。(@3:25〜) 
この時期は気温がまだ氷点下なので、休眠越冬中の昆虫が逃げ出したという可能性は除外できそうです。 
監視カメラの赤外線があまり届かないぐらい遠くて暗いです。 
動画を自動色調補正して拡大しても、逃げ回る獲物の正体が見えずに残念でした。 
狩りの成否は不明です。 
細尾キツネは、身震いしてから右に立ち去りました。 


シーン8:2/29・午前4:10・気温-1℃(@3:47〜) 
約1時間半後に、細尾のキツネがタヌキの営巣地に戻ってきました。 
画面の右端で地面を何度も転げ回っています。 
立ち上がると身震いしてから画面手前を通って左へ立ち去りました。 


シーン9:3/2・午前1:41・気温-3℃(@4:05〜) 
2日後の吹雪が降き荒れる深夜に、キツネがまた現れました。 
新雪が積もった雪面に新しい足跡が残っているのに、そのシーンが監視カメラに写っていません。 
どうやら奥から右下手前へ来たばかりのキツネの足跡のようです。 
やはり熱源が画面の前後方向に動くと、トレイルカメラのセンサーは反応しにくいようです。 

画面の右下隅の雪原でキツネが転げ回っていました。 
立ち上がったキツネは、尻尾がふさふさの健常個体でした。 
身震いしてから左へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
キツネが地面で何度も転げ回る行動は初めて見ました。 
キツネ関連の書籍でも読んだことがありません。 
しかし、飼い犬が散歩中に気に入った匂いが付いた地面で興奮したように転げ回る行動はよく見られます。 
イヌ科の動物で見られるこのような行動は、英語でscent-rollingまたはperfume-rollingと呼ばれているのだそうです。(確立された訳語なし)

おそらく、雪面や地面の気に入った匂いをキツネが自分の身にまとうための匂い付けの行動と思われます。 
逆にキツネが自分の匂いを残して縄張り宣言をしたいのであれば、小便を排泄していたはずです(排尿マーキング)。 
体外寄生虫対策の砂浴びだとしたら、どこでやっても良いはずなのに、わざわざ特定の地点で繰り返す理由が説明できません。
監視カメラをもう少しだけ右に向けて設置し直し、この地点を重点的に監視すべきですね。 

後に私が現場検証しても分からなかったのですが、もしかするとこの地点にタヌキが大小便を排泄していたのかもしれません。 (営巣地の端の溜め糞場)
雪面や地面に残るタヌキの小便跡の上でキツネが転げ回り、体臭を偽装しようとしていた可能性があります。 

キツネがタヌキの巣穴を乗っ取ろうと企んでいるとしたら、寄主の巣穴に侵入する前に体表を化学擬態する社会寄生性の女王蜂や女王アリを連想しました。 
暗闇の巣内では、匂いさえ同化していれば侵入しても反撃されにくいはずです。 
近くのスギ防風林の中にあるタヌキの溜め糞場wbcでもキツネが転げ回って匂い付けしているかどうか、確かめたいところですが、撮影機材が足りません。

キツネの目当てはタヌキの巣穴という不動産物件ではなく、そこに居候している野ネズミなのかもしれません。
獲物に気づかれないよう、巣口に近づく前に自分の体臭を消してタヌキの体臭を身にまとったのかもしれません。

ホンドギツネの健常個体と疥癬個体が代わる代わる同一地点で転げ回り、匂い付けしたことは、大問題です。 
疥癬の原因となる体外寄生虫のヒゼンダニが健常個体にも移った可能性があるからです。
つまり、匂い転がりをする地点がヒゼンダニの温床になってしまいます。
雪国の冬なら宿主から離れたヒゼンダニは低温で死滅してしまうかな? (低温耐性が問題になります。)
キツネにとって疥癬という皮膚病は予後が悪く死に至る病なので、事態は深刻です。 
さらには、この営巣地で暮らすタヌキの家族にも疥癬が拡大しかねません。 
困ったことになりました。 

登場した2頭のホンドギツネは行動圏が重なっていますから、もしかすると♀♂つがいなのかもしれません。
この地点で興味深い匂いを先に見つけた健常個体が転がり行動をして匂いを持ち帰り、パートナーの疥癬個体(細尾)に情報伝達した可能性も考えられます。
キツネの家族が寝床を共有したり交尾するなどの濃厚接触でもヒゼンダニは感染を広げてしまいます。




【追記】
キツネが反応したのは、タヌキの小便跡とは限りませんね。
野ネズミも自分の営巣地の周辺の決まった場所に糞尿でマーキングすることが知られているらしい。
肉眼で現場検証しても分からなかったのですが、ブラックライトで紫外線を照射すると野生動物の尿は発光するそうです。
ビタミンB2(リボフラビン)という蛍光物質が含まれているためで、紫外線照射で発光するのは野ネズミの尿に限りません。

野外にトレイルカメラを設置すると野ネズミがよく写るのですが、私はこれまでマーキング行動(排泄)を観察したことがありません。
私がただ見過ごしているだけかもしれません。
野ネズミの排泄やマーキング行動時には、以下のような特徴的な姿勢が見られる可能性があります:
  1. 後ろ足で立ち上がる姿勢
  2. 尾を少し持ち上げる
  3. 体を少し前傾させる
  4. 短時間静止する
これらの姿勢は、尿や糞を正確に配置するために必要な体勢です。
以上、Perplexity AIと相談しながら追記しました。
次回からは、ブラックライトを持参してフィールドサインを探してみようと思います。(明るい昼間でも蛍光が見えるのかな?)

アナグマの溜め糞に集まり求愛と交尾拒否を繰り広げるベッコウバエ♀♂

 

2023年10月下旬・午後13:45頃・くもり 

平地のスギ防風林に残されたニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場stmpを定点観察しています。 
秋になると、ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)が下痢便(軟便)状の糞塊に群がるようになりました。 
ベッコウバエの求愛・交尾拒否については、タヌキの溜め糞場でこれまで何度も(毎年のように)観察していますが、アナグマの溜め糞では初見です。 

ベッコウバエの性別を見分けるのは簡単で、配偶行動を観察するのに適しています。 
体長は♀<♂で、♀の腹部は黒いのに対して、♂の腹部は黄金色の剛毛で覆われています。 

泥状の糞塊の中を夥しい数のウジ虫が徘徊していました。 
ベッコウバエの幼虫も含まれているはずですが、キンバエやニクバエなど他種の幼虫も混じっているはずです。 
(私には幼虫の種類を見分けられません。)

溜め糞に居座る大型のベッコウバエ♂に注目して、その行動を動画撮影してみました。 
まるで「お山の大将」ですけど、実際には交尾できていない「あぶれ♂」です。 
交尾相手の♀を虎視眈々と待ち伏せしているのです。 
あぶれ♂は探雌求愛行動に忙しくて、獣糞を吸汁する暇がありません。 
溜め糞上でせかせかと歩き回り、ときどき立ち止まって身繕いします。 

ひっきりなしに翅を素早く開閉して斑点の斑紋を見せつけているのは、♀を誘引・誘惑するための求愛ディスプレイ(誇示行動)ではないかと思います。 
♂の翅を除去したり翅の斑紋(水玉模様)を改変したら、交尾の成功率が落ちるかどうか、実験したら面白そうです。

あぶれ♂は、近くに来る同種の個体に次々と飛びかかるものの、振られてばかりです。 
飛びつく相手の性別は問わず、とにかく誰にでも挑みかかります。 
ベッコウバエ♀♂の交尾は、早い者勝ち(スピード勝負)なのでしょう。 

♀の多くは既に交尾済みらしく、♂に求愛されても交尾を拒否し、振られた♂はあっさり諦めて離れます。 
一旦離れてから同一個体♀にすぐ再アタックすることもあり、また玉砕しました。 
近くで動くベッコウバエを見つけたら、♂はとにかく反射的に飛びついてしまうようです。 

ベッコウバエ♀による交尾拒否の意思表示が具体的に何なのか、私の知る限りでは解明されていません。 
おそらく胸部の飛翔筋を振動させるのではないかと、勝手に想像しています。 

ベッコウバエの♀は色気よりも食い気で、溜め糞上で吸汁や産卵に専念しています。 
ただし、ベッコウバエ♀の産卵行動を私はまだ実際に観察できていません。 
今回は時期が遅いのか、特徴的な形(扁平)をしたベッコウバエの卵は、アナグマの溜め糞上に見当たりませんでした。 
15日前に同所で定点観察した際には、ベッコウバエ♀が産み付けた大量の卵がニホンアナグマの糞の表面にまぶされてしました。(映像公開予定)

独身♂が他のあぶれ♂にも飛びついているのは、同性愛的な誤認求愛のように見えて、実はライバル♂を一番良い餌場から追い払っているのかもしれません。(闘争による占有行動) 

首尾よく交尾に成功した♂は、交尾後も♀にマウントしたまま配偶者ガードを続けて、ライバルのあぶれ♂から♀を奪われないように守っています。 
交尾中(あるいは交尾後ガード中)の♀♂ペアに対しても、あぶれ♂は構わず飛びかかります。 
しかし横恋慕しても♀の強奪に成功して交尾に至った例を私は見たことがありません。 

体格の小さなベッコウバエ♂は、♀を巡る♂同士の争いで不利なはずですから、サテライト戦略やスニーカー戦略を発達させても不思議ではありません。 
次回は小柄なベッコウバエ♂に注目して、その繁殖戦略をじっくり観察するのも面白そうです。


余談ですが、今回の記事を書くために調べ物をしているときに、ベッコウバエの学名がNeuroctena formosaではなく正しくはDryomyza formosaだとPerplexity AIから教えてもらい、訂正しました。
Neuroctenaという属名自体が後発異名で無効らしい。

2025/01/24

ニホンアナグマが冬眠する巣穴の1つに侵入して内見するホンドタヌキ3頭【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬・午前0:50頃・気温-1℃ 

 同じ穴の狢。内見 

シーン0:2/20・午後13:42・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
林床にちらほらと残雪があり、まるで早春のような光景ですが、季節外れの雪解けです。
今季は異常な暖冬のために雪解けが早く進みました。 
画面の左右に2つの巣口L、Rがあります。 

シーン1:2/28・午前0:48・くもり・気温-1℃(@0:04〜) 
監視カメラが深夜に起動すると、雪解けが更に進んで林床にはうっすらとした残雪があるだけです。 

3頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が同時に現れました。 
林縁を右から左に来た個体aがアナグマの巣口Lの匂いを嗅ぐと、そのまま中にゆっくり潜り込みました。 
一方、初めから巣口Lを点検していた個体bは、個体aに場所を譲って左に一旦立ち去りました。 
すぐにまた左からセットに戻ってきて、今度は右側に回り込んでアナグマの巣口Rを調べています。 
一足遅れて左から登場した個体cも巣穴Lに興味津々で、巣口Lで順番待ちをしているようです。 
個体aに続いて個体cも入巣Lしそうだったのに、見届ける前に1分間の録画時間が終わりました。 


シーン2:2/28・午前0:50・(@1:04〜) 
個体cは結局、巣穴Lには入らなかったようです。 
個体bと一緒に巣口Rの匂いを嗅ぎ回っていました。 
しかし中には侵入せずに、相次いで右へ立ち去りました。 

しばらくすると、ようやく個体aが左の巣穴Lの内見を済ませて外に出てきました。(@1:36〜) 
狭い巣口に頭から入って頭から出てきたということは、巣内で方向転換したことが分かります。 
毛皮に付いた土を振り落とすために激しく2回身震いしてから、仲間の後を追って右へ向かいます。 
巣口Rに寄り道したかもしれませんが、録画時間が打ち切られました。 


【考察】 
この3頭のホンドタヌキは親子(♀♂ペアと子供)なのか、それとも若い3兄弟姉妹なのか、私には見分けられません。
アナグマの巣穴に対する行動に個性(性格?)があるようで、興味深い思いました。 

1頭の大胆なタヌキがアナグマの巣穴Lに侵入したものの、アナグマが怒って撃退することはありませんでした。
一方、巣穴Rにはタヌキの3頭とも入りませんでした。 
ということは、巣穴Lが空き巣で、巣穴Rでアナグマが冬眠していると考えるのが自然でしょう。 
アナグマのセットから立ち去る前に誰も排尿マーキング(匂い付け)しなかったということは、空き巣を内見してみてもあまり気に入らなかったようです。


日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』という専門書の第4章:斎藤昌幸・金子弥生「タヌキ」を読むと、「同じ穴の狢」について書いてありました。
(タヌキは)自ら穴を掘ることはない。そのため、ニホンアナグマ(Meles anakuma)やアカギツネなどの巣穴を自分で掘るほかの食肉目動物の穴を利用することがある。このとき同じ巣穴内部を利用することになるが、冬季にはこの共同利用を実現するために、ほぼ毎日のようにタヌキがアナグマの巣穴を訪れて、巣穴の利用タイミングをうかがっていた事例がある。(中略)タヌキがアナグマとの遭遇を回避しつつ巣穴を共有していることを観察し、時間的なニッチ分割の可能性を示唆した。(p99より引用)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




【アフィリエイト】 

落葉した枝とフェンスを伝って水路内に降りる若いニホンザル

 

2023年12月中旬・午後16:00頃・くもり・日の入り時刻は午後16:24 

山麓を流れる用水路の近くで、薄暗い夕方に若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)と遭遇しました。 
 落葉した広葉樹(ブナ科?)の横枝が水路の上に張り出しています。 
その細い横枝に子猿が伏せた姿勢で私の様子を興味津々で眺めていました。 
子猿が上体を起こして振り返ったら、バランスを崩して木から落ちそうになりました。 
「猿も木から落ちる」衝撃映像が撮れるかと内心期待したものの、子猿はすぐに体幹と腹筋で体勢を立て直しました。 
気まずそうに(?)痒い膝を手でボリボリ掻いています。 
やがて横枝の上で方向転換すると、枝先から腕を伸ばして、フェンスの手摺に降りました。 

さて、この個体の性別はどちらでしょう? 
手摺を伝い歩いて上流に去るニホンザルの尻や股間をしげしげと見ても、若い♀の性皮なのか、若い♂の小さな睾丸なのか、素人にはよく分かりません。 
胸に乳首は見えませんでした。 
成獣なら発情期になると尻と顔が真っ赤になりますから、この個体は発情前の若い個体ということは分かります。 
若い♀と思っているのですが、もし間違っていたらご指摘願います。 

驚いたことに、最後は手摺から水路内に降りて、死角に消えました。 
田んぼに灌漑する農業用水路なので、秋の稲刈りが終わると冬の間は水を流さなくなります。 
水路の幅は2.5m、コンクリート岸壁の高さは1.6mでした。 
しつこく撮影を続ける私から隠れたかったのか、それとも空の水路内に何か餌を見つけたのかもしれません。 
すぐにまた水路内から自力でコンクリート岸壁を登り、手摺に戻っていました。(映像なし) 
実は群れの仲間と一緒にねぐらに向かって遊動しているのです。 

夏の間もこの個体群のニホンザルたちは、同じ水路に積極的に入っていました。 
関連記事(4年前の撮影)▶  

2025/01/23

暖冬で雪のないニホンアナグマ越冬用営巣地を横切るハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月下旬・午後19:43・気温3℃ 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
暖冬のために林床の残雪は完全に溶け去り、まるで早春のような光景になっていました。 

ある晩、ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が久しぶりにやって来ました。 
アナグマの巣口Rの横を通り過ぎる際も、さほど興味なさそうです。 
巣穴の主であるアナグマに遠慮しているのかな? 

夜行性であるハクビシンの目にはタペータムが発達しているため、赤外線を反射してギラギラと白く光ります。 
トレイルカメラで様々な野生動物を観察していると、ハクビシンの目はトップレベルで強く輝きます。 

ハクビシンは南方系の外来種なのに、雪国にも適応して冬眠しないで活動しているのが驚きです。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

フレンチマリーゴールドの花で日光浴するベニシジミ夏型の飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年7月中旬・午後15:20頃・晴れ 

道端の花壇に咲いたフレンチ・マリーゴールドに夏型のベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
夏型との組み合わせは初見です。 
関連記事(2年前の撮影)▶ マリーゴールドの花蜜を吸うベニシジミ春型


吸蜜シーンを撮りたかったのですが、ベニシジミ夏型の口元をよくみると口吻を伸ばしていませんでした。 
風が強く吹いているためか、次の花に移動しようとしません。 
非力な小型のチョウが強風下で飛ぶのは無駄に体力を消耗しますし、リスキーなのでしょう。 
翅を半開きにして、日光浴しているのかもしれません。 

待てど暮せど吸蜜を再開してくれないので、痺れを切らした私はベニシジミを強引に飛び立たせて飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画で撮ることに切り替えました。(@1:36〜) 
Take1では、靴の爪先でフレンチマリーゴールドの花をそっと揺らすと、ベニシジミはすぐに飛び去りました。 
あまり遠くまでは逃げずに、近くの別の花(フレンチマリーゴールド)に止まり直していました。
Take2では、同一個体の蝶の上から物を落として飛び立たせました。

2025/01/22

雪原の営巣地を夜に1〜2頭でうろつくホンドタヌキ:2月中旬〜3月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年2月中旬〜下旬〜3月中旬


シーン0:2/20・午後13:10・くもり・気温23℃(@0:00〜) 明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
休耕地でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が越冬する巣穴を自動撮影カメラで見張っています。 
異常な暖冬で積雪量が少なく、あちこちで地面が露出しています。 
少なくとも3つの巣口(左から順にL、M、R)が点在しています。 

タヌキが営巣地をうろつくシーンをまとめてみました。 


シーン1:2/20・午後23:14・気温2℃(@0:04〜) 
深夜に単独で登場したタヌキが営巣地をうろついています。 
巣口Lにゆっくり近づいたものの、中に入ったかどうか見届けられませんでした。 
個体識別ができていませんが、素人目にはなんとなく巣穴の主ではなく、余所者のタヌキのような振る舞いです。 


シーン2:2/21・午後17:34・降雪・気温0℃(@1:04〜)日の入り時刻は午後17:26。 
雪が降る日没直後にタヌキが右へ立ち去ったのですが、監視カメラの起動が遅れてしまいました。 


シーン3:2/22・午後19:15・気温-1℃(@1:13〜) 
翌日の晩になると、雪は降り止んでいました。 
巣穴Rと手前の二次林を結ぶ足跡が新雪にくっきり残っているのに、残念ながらその様子が動画に撮れていません。 
タヌキの足跡よりも少し大きいので、ニホンアナグマですかね? 
(昼間に雪面が少し溶けて、タヌキの足跡が大きくぼやけただけかな?) 

左からタヌキの♀♂ペアが相次いでやって来て、監視カメラの前を横切りました。 
後続個体が巣口Rに寄り道したものの、匂いを嗅いだだけで右に立ち去りました。 


シーン4:2/24・午後23:40・気温-4℃(@1:47〜) 
2日後の深夜に監視カメラが誤作動?したようです。
晴れて静かな夜でした。 
雪面の足跡の状況を記録するために、残しておきます。 
野生動物の往来はなかったようです。 
雪が降らないと、古い足跡は次第にぼやけてきます。 


シーン5:2/25・午前1:47・気温-6℃(@1:51〜) 
翌日の深夜に♀♂ペアのタヌキが2頭同時に手前から現れました。 
巣口LMRの匂いをそれそれ順に嗅いで、巣口Mでペアが合流しました。 
巣口Rも念入りに調べています。 
この後、巣穴のいずれかに入ったかどうか、見届けられませんでした。 


シーン6:2/25・午前4:01・気温-7℃(@2:52〜) 
約3時間15分後に監視カメラがなぜか起動しました。(誤作動?) 


シーン7:2/29・午後23:23・気温2℃(@2:55〜) 
4日間で雪解けが急速に進んでいました。 
未明に♀♂ペアのタヌキが登場しました。 
1頭が巣口Rに入りました。 

その間、もう1頭は巣口Lの辺りで待っていました。 
右へ向かう途中で巣口Mの横で腰を屈めると排尿マーキングしました。(@3:24〜) 
排尿姿勢から♀と判明。 
最近キツネが出没しているので(映像公開予定)、対抗して縄張り宣言の匂い付けをしたのでしょう。 
その後、巣口Rに向かったのですが、パートナー♂の後を追って入巣Rしたかどうか見届けられませんでした。 


シーン8:3/11・午前1:10・気温-6℃(@3:55〜) 
次は3月中旬まで一気に飛びます。 
一面の銀世界に戻っていました。 

深夜に単独行動のタヌキが右から左へ雪原を横切りました。 
雪面は凍結していて、タヌキの足跡は残りません。 
もしかすると、巣穴MまたはRから外に出てきた直後なのかもしれませんが、その瞬間を撮れていませんし、足跡から推理することもできません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


雪解けの始まった二次林に戻ってきたカケス【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年2月中旬・午前11:00頃・晴れ・気温18℃ 


シーン0:2/9・午後13:02・くもり・気温17℃(@0:00〜) 
平地の二次林で、ニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
雪が積もっても、左右に2つの巣口LRが開口しています。 


シーン1:2/19・午前10:57・晴れ・気温18℃(@0:00〜) 
10日間で、林床の根雪がだいぶ溶け、地面があちこち露出しています。 
まるで早春のような風景になりました。
今季は異常な暖冬で、降雪量が少ないのです。 

1羽のカケスGarrulus glandarius)がセットの止まり木に来ていました。 
アナグマの巣口Rから左に湾曲しながら伸びる落葉灌木マルバゴマキに止まって、雪解け後の露出した地面をじっと見ていました。 
止まり木をピョンピョン跳ぶように左へどんどん移動すると、今度はもう一つの巣口Lを覗き込んでから、左へ飛び去りました。 


シーン2:2/19・午前11:09・晴れ・気温20℃(@0:38〜) 
約12分後に、カケスがまた現れました。 
さっきと同じく、巣口Lの上に張り出したマルバゴマキの落葉灌木に止まってから、右へ飛び去りました。 
 しばらくすると、「ジェー♪」というカケスの鳴き声が画面の死角から数回聞こえました。 


【考察】 
カケスは留鳥のはずなのに、この地点でカケスが監視カメラに写ったのは久しぶりです。 
例年よりもかなり早く雪が溶けて林床の地面が露出したので、啓蟄(3月上旬)にはまだ早いのですが、獲物となる虫を探しに来たのでしょう。 

冬の積雪期にこの地点でカケスは一度も現れませんでした。 
秋の間、森のカケスがドングリ(堅果)をせっせと拾い集めて貯食していたのですが、冬の間にそれを掘り出して食べる行動は残念ながら一度も録画されませんでした。
低温下ではトレイルカメラの性能が落ちるので、そのせいで撮り損ねがあるのかもしれません。 
あるいは、雪国のカケスは雪が溶けてからでないと地中に埋めた貯食物を利用できないのかもしれません。
だとすると、積雪期(厳冬期)に食べる餌はどこに隠しているのか?ということが問題になります。
おそらく樹上に分散して貯食していると思われます。





【アフィリエイト】

2025/01/21

深夜の雪山を駆け回る冬毛のニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月中旬・午後23:20頃・降雪・気温-4℃ 

里山のスギ植林地に残されたニホンカモシカの溜め糞場sr1を自動撮影カメラで見張っていると、小雪がちらつく深夜に冬毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)が登場しました。 
低温のせいで監視カメラの起動が遅れ、初めは右へ(谷の方へ)走り去る姿がちらっと写っただけでした。 
しかしノウサギは谷を渡って対岸には行かなかったようで、しばらくすると右から戻ってきました。 

最後は雪山の斜面をゆっくり駆け上り、姿が見えなくなりました。 
雪面は凍結していて、ノウサギの足跡が残りません。 


つづく→

早春の尾根道で営巣地を探して飛び回り、野ネズミの巣穴に潜り込むクロマルハナバチ創設女王

 

2023年4月中旬・午後13:00頃・晴れ 

降雪量の少ない暖冬だったために、里山の尾根道に登っても残雪はほとんどありませんでした。 
雪の溶けた尾根道を低空で飛び回っていたクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が、灌木の根元に開いた小さな穴に潜り込みました。 
早春の時期は、越冬明けの創設女王が営巣地を探索しているのです。 
野ネズミの古い巣穴を見つけると、中に潜り込んで内見します。 
もし気に入れば、そこで自分の巣を作り始めます。 
「穴があったら入りたい」 女王蜂の探索飛翔を1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

山地なので、クロマルハナバチではなくオオマルハナバチBombus hypocrita)の創設女王♀かもしれません。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、充分にズームインして見分けることができませんでした。 

女王蜂が巣穴の外に出てくるまで粘って待ちたかったのですが、撮影中に巣穴の位置を見失ってしまいました。

2025/01/20

根曲がり巣穴へ侵入を試みる雪国のホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月中旬

シーン0:2/9・午後14:54・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
根雪が積もった平地のスギ防風林で、根返りスギの根元に掘られた「根曲がり巣穴a」を自動撮影カメラで見張っています。 
この巣穴aにはニホンイタチMustela itatsi)が越冬しているらしいことが分かっているのですが、なぜか最近は姿を見かけなくなりました。 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:2/13・午後22:21・(@0:03〜) 
ある晩、根曲がり巣穴aの狭い巣口に無理やり潜り込もうとしているタヌキの尻と尻尾が写りました。 
しかし結局は侵入を諦めて、左の獣道を立ち去りました。 
雪面はガリガリに凍結しているようで、古い足跡しか残っていません。 


シーン2:2/15・午前4:53・(@0:27〜) 
2日後の未明にもタヌキが現れました。 
監視カメラの起動が遅れてしまい、左へ立ち去るタヌキの尻尾がちらっと写っただけです。 
根曲がりした落葉灌木(樹種不明)の上から巣口aを覗き込んだ際に、タヌキは監視カメラの存在に気づいたようです。 
しばらく右往左往してから右へ立ち去りました。 




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

夕方の山麓で走り回って追いかけっこするニホンザルの群れ

 



2023年12月中旬・午後15:45頃・くもり 

夕方に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを追いかけて長時間の観察を続けてきました。 
山麓のスギ植林地に入ったので、てっきりここが今晩寝るねぐらなのかと思いました。 
(過去にも同じスギ林に塒入りしたのを遠くから見ています。)
ところが、次第に群れは再びスギ林から離れて行くようです。 
いくら私が慎重にゆっくり動いたとは言え、撮影のためにニホンザルの群れをしつこく追い回したせいで、警戒されてしまったのかもしれません。 
それとも、スギ植林地には遊動の途中で寄り道しただけで、ねぐら入りする森はまた別にあるのかな? 

暗いスギ林から続々と出てきた猿が、奥の土手に転がっている太い倒木の上を縦列で伝い歩きして水路の方へ登っています。 
途中から走り出して、追いかけっこや取っ組み合い(格闘遊び)が始まりました。 
倒木を挟んで対峙し、パラクールのような身軽な動きで飛び越えたり小競り合いしたりしています。 

スギ林縁で下草の陰に隠れていた個体が土手を駆け上がりました。 
別個体と追いかけっこ遊びが始まり、土手と林内を走って右往左往しています。 
追いかけっこをしている個体が走りながら吠えるような鳴き声を発することがありました。 
土手を登りきった水路のフェンス沿いでも複数個体による追いかけっこが元気に繰り広げられています。 


※ 夕方のスギ林があまりにも暗いので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2025/01/19

雪が溶けた暖冬に根曲がり巣穴の入口でウロチョロする野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年2月中旬 

シーン1:2/9・午後14:54・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林に根雪が積もっています。
スギの木が画面の手前から奥に向かって根こそぎ風倒したまま、長年放置されています。 
そのような状態を根返りと呼びます。 

その根元に掘られた「根曲がり巣穴」をトレイルカメラで見張っています。 
この巣穴aにはニホンイタチMustela itatsi)が越冬しているらしいことが分かっているのですが、最近はとんと姿を見かけません。 


シーン2:2/19・午前1:15(@0:03〜) 
今季は異常な暖冬で積雪量が少なく、10日間でほとんど溶けてしまいました。 
「根曲がり巣穴」の巣口aは画面の左下付近にあります。 

深夜に野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
右から左へ、残雪の塊を乗り越えて進みます。 
巣口aの手前で立ち止まり、しばらくカメラ目線になりました。 
やがて露出した地面の匂いを嗅ぎ回り、左へ立ち去りました。 

野ネズミがこれほど無警戒でうろつくということは、やはり捕食者のイタチはこの巣穴にはもう住んでいないのかもしれません。 



農道の草むらから飛び立つツマグロヒョウモン♀

 

2023年9月下旬・午後14:30頃・晴れ 

田園地帯の農道でツマグロヒョウモン♀(Argyreus hyperbius)が草むらに止まっていました。 
ちょっと珍しい光景なので、私は初め、産卵中なのかと思いました。 
翅を開閉しながらイネ科雑草の上に乗っていたのですが、腹端を草に押し付けてはいませんでした。 
もしかすると、ツマグロヒョウモン幼虫の食草となるスミレ類を農道の草むらで探していたのかもしれません。 

左の前翅および後翅の縁が破損した個体です。 
破損が左右非対称ですから、鳥に襲われたビークマークではなさそうです。 
やがて草むらから飛び立ったので、翅が破れていても飛翔に支障はありませんでした。 

横の田んぼでは、稲穂が黄金色に実っていました。



素人目にはスミレの群落は見つからず。



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