前回の記事:▶ 杉林の林道を深夜に歩くニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】
雪山の杉林に設置したトレイルカメラで林道を往来する野生動物を監視していると、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)が繰り返し何度も登場しました。
1月の記録をまとめました。
シーン1:1/9・午前10:01・晴れ
雪深い林道をカモシカが右から左へ横切りました。
登場シーンが記録されていないのは残念です。
晴れていますが、冠雪したスギ林からチラチラと落雪しています。
シーン2:1/10・午前4:54・晴れ
翌日の夜明け前に再びカモシカが登場しました。
ニホンカモシカは昼も夜も活動するのです。
スギ大木の太い幹に顔を擦り付けていました。
角を研いでいる可能性やスギの樹皮を剥いで食べている可能性も考えられるのですが、おそらく顔にある眼下腺で縄張り宣言のためのマーキング(匂い付け)しているのでしょう。
その後は頭を下げて雪面の匂いを嗅ぎながら右へ立ち去りました。
雪道に深く潜らないように蹄を大きく広げて歩いていることが分かります。
トレイルカメラで眼下腺マーキングする野生カモシカの行動を記録できたのは、これで2回目です。
シーン3:1/10・午前5:11・晴れ
関連記事(2か月前の撮影)▶ 夜にコシアブラ幼木の葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】
約17分後、おそらく同一個体と思われるカモシカが再登場。
深夜の縄張りパトロールで戻って来たのでしょう。
先程匂い付けしたスギの幹の匂いを嗅いだだけで、今回は顔を擦り付けませんでした。
今回も左から右へ立ち去りました。
シーン4:1/23・午後23.34・晴れ
約2週間後の深夜、久しぶりにカモシカが撮れていました。
縄張りの巡回ルートが決まっているのか、今回も左から登場しました。
立ち止まって、お気に入りのスギ大木の幹の匂いを嗅いでいます。
トレイルカメラが夜に起動すると、1対の赤外線LEDが暗闇で赤い目のように光ります。
野生動物に赤外線は見えていないという謳い文句のはずなのに、どうやらカモシカはトレイルカメラの存在に気づいたようです。
カメラの起動時にカチッとかすかな物音がするのも神経質な野生動物は気になるのかもしれません。
横目でカメラを見ながらカモシカはしばらくその場に立ちすくみました。(アオの寒立ち?)
久しぶりなのに今回はスギの幹に眼下腺マーキングせずに、そのまま右へ立ち去りました。
シーン5:1/26・午後14:20・晴れ
3日後の昼間にまたカモシカが横切りました。
珍しくいつもとは逆コースで、右から左へ通過しました。
林道の奥の下り斜面をトラバースしています。
スギ並木の奥を通り眼下腺マーキングもしなかったので、カメラの起動が遅れたのでしょう。
1/23以降、カモシカはすっかりトレイルカメラを怖がってしまったようで、この林道をまともに通らなくなってしまいました。
厳冬期に大雪が積もると林道の雪面に対してトレイルカメラの高さが低くなり、野生動物の目線に対してどうしても目立ってしまうのです。
後日、カメラの電池交換のため現地入りした際にカモシカの足跡を辿ると、カメラが監視する区画を避けるようにわざわざ迂回していました。
厳冬期の雪山でもトレイルカメラをなんとか運用することが可能でした。
根雪が降る前から、林道を挟んで反対側の杉並木の幹にトレイルカメラを固定していました。
悪戯や盗難防止のため、念の為にワイヤーロックをかけました。
そのとき深く考えずに鍵穴を上向きにしてしまったせいで、鍵穴に雪が詰まって凍結してしまい、春になるまで解錠できなくなってしまいました。
そういう訳で、積雪量が増えるに伴いカメラの位置を上にずらしたくても出来なくなったのです。
こういう細かなノウハウは実際に自分でやってみないと分からないものです。
教訓としては、ワイヤーロックの鍵穴を必ず下向きにして、できればアルミホイルやサランラップで包んで濡らさないようにする必要がありそうです。
低温になるとトレイルカメラの電池の消耗が激しくなる(電圧が下がる?)のも問題です。
寒冷地撮影のためカメラを温めるヒーター(電熱線)を一緒に使いたいところですが、それにも別の大容量バッテリーが必要なので切りがありません。
ソーラーパネルからトレイルカメラに給電する手もありますけど、例えばここ雪山の杉林では充分な日照を確保できそうにありません。
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