2022年1月上旬
雪深い河畔林でタヌキの溜め糞場rvを監視しているトレイルカメラの記録です。
シーン1:1/2・午後21:26・吹雪
吹雪の夜にホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が単独で左から現れました。
落葉したニセアカシア立木の奥を左から右へゆっくり歩いて行きました。
タヌキが1歩踏み出す度に湿った深雪に埋まっています。
溜め糞場の匂いを嗅いだり排便したりすることもなく、素通りしました。
シーン2:1/2・午後22:00・吹雪
約30分後、軽い吹雪が降り続く中を今度はペアのタヌキが連れ立って登場しました。
いつもの溜め糞場で1頭がカメラの方を向いて脱糞中でした。
肛門を締めて大便を切る際に尾を上下するので、排便と分かります。
排便中にパートナーが寄り添って体の匂いを嗅いでいます。(対他毛繕い? 追記参照)
用を足した個体が居なくなると、雪面に新鮮な細長い固形糞が2個残されていました。
いつも通り、タヌキは糞を雪で埋めたりしませんでした。
残ったパートナーが、その糞の匂いを嗅いでから左奥へ立ち去りました。
タヌキの毛皮が雪で濡れています。
雪が降りしきる中を長時間行動すれば毛皮が濡れるのは当然だと初めは単純に思いました。
ところが後日、昼間に現場近くの足跡を追跡したところ(アニマル・トラッキング)、川岸の雪面に渡河した形跡を見つけました。
身を切るように冷たい雪解け水の川をまさか夜に(?)泳いで渡る野生動物がいるとは予想外で、とても驚きました。
いつか渡河シーンの証拠映像を撮ってみたいものです。
此岸と対岸の河畔林を広い範囲で縄張りとしているのかもしれません。
シーン3:1/3・午後21:26・小雪
翌日の晩にも雪がちらつく中、2頭のタヌキが一緒にやって来ました。
前夜にした糞は雪の下に完全に埋もれています。
新雪に鼻面を突っ込んで溜め糞場の匂いを嗅いでいます。
今回は脱糞せずに通り過ぎました。
タヌキが新雪をラッセルした足跡は2本の縦線状に残ります。(キツネは1本線状)
関谷圭史『信州のタヌキ』(1998)という本を読むと、仲良く連れ立って歩くタヌキのペアは♂が先導することが多いのだそうです。
筆者は多数のタヌキを一時捕獲して色付きの首輪と電波発振器で個体識別した上でしっかりと調べています。
ペアが一緒に行動するとき、♂と♀のどちらが先にたって歩くかも調べました。CFペアでは、♂と♀が一緒に歩くのを40回直接観察しましたが、そのうちの26回は♂が先にたっていました。えさ場へあらわれるのも16回観察しましたが、すべての場合、♂が先にあらわれています。このようにタヌキのペアでは♂のほうが主導権をにぎっているようです。(p47より引用)私も調査地のタヌキを個体識別できるようになりたいものです。
せめて性別を見分けたいのですが、なかなか性徴が見えません。
溜め糞場を訪れる際も♂が先導するのかな?
中には♀が常に先導するかかあ天下のペアがいるかもしれませんし、生息地域によって違うかもしれませんから、自分で調べるしかありません。
また、前夜(1/2)には排便中のパートナーの横腹を鼻先で触れるような行動が見られました。
ペアがよりそっているときには、♂が鼻先で♀の顔や腹をつつき、じゃれあう場面が観察できました。(同書p48より引用)
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