2024年6月下旬
シーン0:6/11・午後13:26・晴れ(@0:00〜)
シーン0:6/11・午後14:10・くもり(@0:04〜)
平地の二次林にあるニホンアナグマ(Meles anakuma)の旧営巣地(セット)に2台のトレイルカメラを設置して、定点監視しています。
シーン1:6/23・午後23:41・気温24℃(@0:00〜)
アナグマの家族(母親♀と4頭の幼獣)が引っ越してきた翌日の深夜に、なんとニホンイノシシ(Sus scrofa leucomystax)がセットに登場しました。
関連記事(同所同時期の撮影)▶ ニホンアナグマ♀が今季産まれた幼獣4頭を引き連れて旧営巣地に引っ越してきた!【トレイルカメラ:暗視映像】
この地点(平地に点在する二次林)でイノシシが写ったのは初めてなので、驚きました。
山から降りてきたのでしょうか。
林床で餌を探し歩く際に落ち葉の匂いを嗅ぎ回る鼻息♪が聞こえます。
この個体は、体毛が背中にしか残っておらず、背中に黒いたてがみが密生しています。
夏毛に生え変わっている途中なのかと私は最初思ったのですが、イノシシは他の動物と違って、季節の変わり目に明瞭な換毛が起こることはないのだそうです。
そして、体表の側面にシミのような斑点があります。
赤外線による暗視映像ではよくわからないのですが、疥癬など抜け毛が激しい皮膚病の個体かもしれません。
昼間の自然光下で症状をじっくり見たかったです。
関連記事(2年前の撮影)▶ 毛の抜けたニホンイノシシ♂が夜のスギ林道を徘徊【トレイルカメラ:暗視映像】
左の暗闇から大型の別個体がやって来て合流しました。(@0:23〜)
おそらく母親♀と思われる大型個体には、体中に黒い毛が疎らに?生えています。
小さい方のイノシシ(疥癬感染個体)は幼獣らしいと分かりましたが、脱毛のせいか体表にウリ(瓜)のような縦縞模様はありませんでした。
そのイノシシ幼獣が、咳のようなクシャミのような音を発しました。(@0:29〜)
アナグマ家族の濃厚な残り香が気になって、地面を嗅ぎ回っているだけかもしれません。
シーン2:6/23・午後23:41・気温27℃(@0:00〜)
別アングルで設置した監視カメラでも、イノシシ母子の登場シーンが撮れていました。
イノシシの親子(母子)が林床の匂いを嗅ぎ回っているときに、幼獣がクシャミ♪をしました。(@1:16〜)
何か土埃でも吸ってしまったのでしょうか。
獣道を通って右へ行く途中で、幼獣がアナグマの巣口Lを発見して立ち止まりました。
しかし、あまり近寄ろうとしません。
実はこのとき、アナグマの家族は巣穴Lの奥に立て籠もっていたのですが(映像公開予定)、巨大な侵入者を撃退することはありませんでした。
もしイノシシとアナグマが暗闇で対決したらどうなるのか、興味があります。
シーン3:6/23・午後23:42(@2:07〜)
ニホンイノシシの母子がアナグマのセットから立ち去った後も、右の死角から物音が続いています。
イノシシの鼻息♪やパキッ♪と落枝を踏む音が聞こえました。
画面右下に転がっている落枝が動いたと思ったら、イノシシの幼獣が戻ってきました。
地表を鼻面で嗅ぎ回って餌を探しています。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
※ イノシシの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
【考察】
イノシシ幼獣の皮膚病が疥癬だとしたら、その原因である寄生虫ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)がアナグマにも伝染するのではないかと心配です。
採餌中に繰り返しているクシャミも土埃などを吸ってしまっただけなら良いのですが、何か病気の症状の一つだとしたら心配です。
近年報告例が増えているイノシシの感染症として、疥癬症がある。これはヒゼンダニが皮膚に寄生する皮膚病で、強いかゆみが起こり、皮膚がかさかさになる。感染した個体は体を擦り付けるので脱毛し、ひどい場合は全身がただれてしまう。症状が進んだときには、食欲が減退し、衰弱して死に至ることがある。イノシシの疥癬症は、飼育個体で発症が認められていたが、最近は中国・九州地方の野生個体にも認められており、更に広がりつつある。 (環境省のPDF資料より引用)
つづく→