2024年5月中旬
シーン1:5/16・午後14:03・晴れ・気温32℃(@0:00〜)
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。
越冬中に死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)がある平地の二次林を自動撮影カメラで見張っています。
シーン2:5/19・午前4:44頃・気温9℃・日の出時刻は午前4:23(@0:04〜)
夜明け直後のかなり薄暗い早朝に、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)がセットに来ていました。
マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の細い灌木の下に立ち止まって首を伸ばし、葉裏に顔を擦り付けていました。
眼下腺で匂い付け(マーキング)して縄張り宣言しているようです。
右に立ち去りかけたカモシカが、右端で立ち止まりました。
肝心の顔が見切れてしまい、何をしてるのか見えません。
眼下腺マーキングまたは採食していると思うのですが、動画に撮れてなくて残念です。
やがて向きを変えると、獣道をたどって画面の左下に立ち去りました。
【考察】
この地点のトレイルカメラにカモシカが写ったのは初めてです。
昨年(2023年)はニホンアナグマの家族が暮らしていたので、アナグマが匂い付けでしっかり縄張り宣言していたはずです。
したがって、カモシカがアナグマの縄張りにノコノコ侵入することはありませんでした。
巣穴の主であるアナグマが死んで以来、空白地帯になったようで、様々な野生動物(イエネコも含む)が入れ代わり立ち代わりセットにやって来るようになりました。
野生のニホンカモシカは山地の森林に生息するというのが定説なのに、平地の二次林にも来るとは意外でした。
実は数日後にトレイルカメラの保守管理のために現場入りした際に、付近の林縁で採食中のカモシカと私はばったりニアミスしています。
驚いたカモシカはすぐに休耕地の方へ逃走しました。
関連記事()▶ 平地の農道を走って逃げるニホンカモシカ
おそらく、その同一個体が二次林に戻ってきたのではないかと推察しています。
カモシカ同士で激しい縄張り争いがあり、弱い個体が里山から追い払われて、仕方なく平地に降りて来るのかもしれません。
勾配のない平地での暮らしは、健脚を誇るカモシカにとって物足りないのでは?
カモシカ単独でなら、充分に生きていけるだけの餌の量は平地の二次林でも確保できそうです。
緑の回廊のように、平地でパッチ状に残る二次林や河畔林をニホンカモシカが渡り歩いてひっそり暮らすとしたら、車道に出た時に交通事故にあうのではないかと心配です。
当地は雪国(多雪地帯)ですから、冬になって樹々が落葉したら、山に戻らないと餌が足りないかもしれません。
現在の日本でニホンカモシカは基本的に山地性ですが、大昔は平地の森にも住んでいたのだろうか?という疑問を抱きました。
ヒトによる狩猟圧や土地開発のせいで、山にしか分布しなくなったのかな?
Perplexity AIに相談してみると、一応賛成してもらえました。
(AIにお墨付きをもらったから正しいと主張したい訳ではなくて、それほど頓珍漢な仮説ではなさそうだというだけです。)
しかし、考古学的な資料からニホンカモシカの骨が平地の遺跡から出土した事例は知られていないそうです。
「日本書紀」や「万葉集」などの古典文学にもカモシカを指すと思われる記載があり、山地性が強調される以前には、より広い生息域を持っていた可能性が示唆されています。
Perplexityが教えてくれたこの最後の一文について興味を持ったのでファクトチェックしてみました。
古典の該当箇所の原文をカモシカと解釈するのは動物生態学的に無理があったりして、人文系のアプローチは信頼性に欠けると個人的には思いました。
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