2025/05/19

初夏の風に吹かれて飛散するポプラ(セイヨウハコヤナギ)の綿毛【風散布型種子:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午後14:25頃・晴れ 

街路樹として植栽されたポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の大木から白い綿毛が風に乗って大量に舞っていました。 
ポプラが属するヤナギ科の種子は、典型的な風散布型です。 
ヤナギの白い綿毛は「柳絮りゅうじょ」、ポプラの場合は「楊絮ようじょ」と呼ばれるのだそうです。 

関連記事(5年前の撮影)▶  


ヤナギ科の果実は蒴果で熟すと裂開し、中から綿毛に包まれた小さな種子が多数現れます。 
この綿毛は種子そのものから直接生えている訳ではなく、種子を包む果実(蒴果)の内側の壁や種皮の表面から発生した付属物(種毛、種子毛)です。
綿毛の主成分はセルロースで中空構造を持ち、風による種子散布への適応形態です。 

ポプラ大木の下から見上げてズームインすると、枝先に白い綿毛が大量に付いていました。 
白い花が咲いているように見えますが、花ではなく蒴果の綿毛です。 
(私はポプラの花を実際に見たことがないかもしれません。)
ポプラは雌雄異株なので、白い綿毛の付いた木は雌株です。
初夏(晩春)の風が強く吹くと、その綿毛が風に乗って飛散します。 
ポプラの若葉も風でザワザワ音を立てながら揺れています。 

セイヨウハコヤナギの綿毛が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜) 
明るい空を背景にすると飛散する白い綿毛がよく見えないので、背景が暗くなるようにアングルを決めないといけません。 
ハイスピード動画は固定焦点ですから、撮り始めにポプラの大木に焦点を合わせてしまうと、手前の空中を飛ぶ綿毛にピントが合いません。 
シャッターボタンを半押しにして、適当な距離の物体に合焦してから撮り始めました。 
カメラの仕様で、ハイスピード動画は無音になってしまうのですが、無音のシーンが続くと味気ないので今回は風の吹く音をアフレコしてみました(別撮りの動画から音声だけ流用)。 

動画を撮影した後に、風に舞う綿毛を手掴みで採集できたので、種子の写真を掲載しておきます。







【考察】
中国の乾燥した地域では、ポプラ並木から大量に飛散した白い綿毛(楊絮)が地面に溜まり、誰かの不注意(火の不始末)で発火すると一気に燃え広がって火事になってしまうのだそうです。
ポプラの白い綿毛(楊絮)は主にセルロースと植物油脂から成り、可燃性が非常に高くなっています。
綿毛状の形態で空気を多く含むため、密集して堆積すると、着火した際に一気に爆発的に燃え広がる性質があるのです。

楊絮が燃えやすいという性質は、ポプラがそのように進化した結果なのでしょうか? 
火災を積極的に利用して分布を広げるパイロファイト(火災適応植物)と呼ばれる植物が知られています。
(多雨多湿で山火事の発生頻度が少ない日本にはほとんど居ないとされています。)
ポプラはパイオニア植物(先駆植物)なので、山火事を起こしてライバルの植物を焼き払い、その後に発芽する戦略かもしれない、と私は素人考えで思いつきました。

しかし、地上に堆積した楊絮に着火したら、種子も焼け死んでしまいます(高温で発芽能力を失う)。
つまり、ポプラの種子に耐火性はありません。
セルロースからできた綿毛の表面には油脂成分(ワックス)が含まれていて、可燃性が高くなっています。
これもポプラに火災を誘発したいという進化的意図がある訳ではありません。
この油脂分のおかげで撥水性が高まり、フワフワの綿毛が雨や湿気から守られるのだそうです。
これも風散布の効率を高めるための適応と考えられます。

まとめると、ポプラの綿毛が燃えやすいのは、風散布のために軽く繊維状になった結果の副産物であり、「火災を誘発して生存競争を有利にする」ために進化したものではありません。

※ Perplexity AIの回答を参考にまとめました。
植物生態学も調べてみると面白いですね。

昨今では、ポプラの大木が次々に伐採されています。
台風や大雪などによる倒木で事故が起きることを行政当局や土地管理者が恐れているようです。
ポプラを観察したいと思いたった時に身近にあまり残ってないことに気づき、焦りました。
ポプラに限らず、あちこちで樹木の伐採がどんどん進んでいるので、思いついた時にすぐ撮っておかないと、後悔することになります。


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