2014年7月中旬
民家の車庫の横に咲いたオレガノの白い花でキンケハラナガツチバチ♀(Megacampsomeris prismatica)が吸蜜していました。
触角が短いので♀です。
同属のオオハラナガツチバチ♀と迷ったのですが、腹部の白線が4本であることからキンケハラナガツチバチ♀だろうと判断しました。
『ハチハンドブック』p45によると、キンケハラナガツチバチ♀は頭頂部にも長毛が生えているらしいのですが(一方オオハラナガツチバチ♀は頭頂部の毛が少ない)、この識別点は自信がありません。
ところで、この植物の名前をご存知の方は教えてください。
後日、植物の掲示板にてオレガノと教えてもらいました。
2014年7月中旬
山間部の道端に生い茂ったクズの葉に止まって交尾している
ミドリヒョウモン(Argynnis paphia)♀♂ペアを発見。
互いに後ろ向きになって腹端の交尾器を連結したまま翅を閉じて静止しています。
後から飛来したハエに驚いて翅を開いた際に翅表が見えたことで、左が♀、右が♂と判明。
♂は翅を開閉しながら交尾を続けます。
♀の閉じた翅を♂が翅で押さえつけているような感じです。
奥からフキバッタがクズの葉に登って来ました。
【追記】
ヒョウモンチョウ類の求愛が成就して交尾に至る決定的瞬間を観察したことは未だありません。
『エソロジカル・エッセイ 無名のものたちの世界I』p93によると、ヒョウモンチョウの交尾は以下の順序で進行するらしい。
追跡飛翔の結果、♀がなにかの上に着陸すると、♂はそのそばにやってきてとまる(1)。そして触角で♀の体にふれてにおいを確かめ自分の翅を強く開閉して、♀ににおいを送る(2)。次に触角を♀の頭にふれながら(3)、腹を曲げて(4)、交尾する(5)。
2014年7月中旬
民家の車庫の横に咲いたオレガノの白い花でオオマエグロメバエ(Physocephala obscura)が吸蜜していました。
黄色い顔と赤い腰の他は全身が真っ黒です。
翅の前半部も黒いです。
(和名オオ「マエグロ」メバエの由来なのかな?)
全体的にジガバチの♂と似ているなーと思うのですが、擬態しているのでしょうか?
花に止まっている時も黄色の平均棍が細かく震えています。
脚を擦り合わせて身繕い。
本ブログでは2回目の登場になります。
関連記事:オオマエグロメバエ?の身繕い
花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@0:58〜)
採餌中のセイヨウミツバチ♀とニアミスしたときは強気で、飛び上がって追い払いました。(蜜源の占有行動かも?)
どなたかこの花の名前をご存じの方はぜひ教えてください。
山勘でハーブやミントっぽいかな?と思うものの、園芸種かどうかもよく分かりません。
後日、植物の掲示板で質問したところ、オレガノだとご教示頂きました。
オオマエグロメバエの方は撮影後に同一個体を採集しました。
以下は標本の写真。
腹端の形状が独特ですけど、性別はどちらでしょう?
2014年7月上旬
平地の用水路脇に生えたノリウツギの灌木でウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が白い花に群がっていました。
1頭だけをピックアップして撮影すると、翅がかなり擦れた個体でした。
全開にした翅をわずかに開閉しながら吸蜜しています。
コアオハナムグリも訪花しています。
2014年7月中旬
山麓の民家の庭に咲いたユリズイセンの花でキアゲハ(Papilio machaon hippocrates)が吸蜜していました。
花蜜を吸う際に頭部を花筒に激しく突っ込んでかなりがっついて見えるのは、空腹というよりも、ユリズイセンのラッパ状の花筒が細長いせいで口吻が届きにくいのでしょう。
2014年7月中旬
山間部の道端に生えたイタドリの群落でオオコンボウヤセバチ♀(Gasteruption japonicum)が訪花していました。
長い産卵管の先端部は白く目立ちます。
花の手前で停空飛翔(ホバリング)する様子も撮れました♪
マクロレンズを装着して吸蜜シーンを接写するか逡巡しましたが、下手に茂みに潜り込んで近づくと逃げられそうです。
今回は採集を優先しました。
以下は標本の写真。
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乾燥したら産卵管が2本に別れ、曲がってしまった。 |
2014年7月中旬
山地の道端に生えたハルジオンの群落で見慣れないセセリチョウが訪花していました。
翅を閉じたまま吸蜜し、翅表を見せてくれません。
帰ってから調べてみるとキマダラセセリ(Potanthus flavum)と判明。
白飛び気味の前半だけ自動色調補正を施してあります。
辺りを飛び回っている青い小さな蝶はヒメシジミ♂かな?
2014年7月中旬
農家の庭に咲いた八重咲きでピンクの花でタチアオイにトラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)のワーカー♀が採餌していました。
長い口吻を伸ばして蜜腺を舐めている様子が丸見えです。
腹面に白い花粉が付着しており、後脚の花粉籠に白い小さな花粉団子を付けている個体もいます。
この日は八重咲き品種のタチアオイをあちこちで見かけたのですが、どうも通常の(花弁が一重の)タチアオイに比べて訪花する昆虫が少ない気がしました。
品種改良によって流蜜量や虫を誘引する花の芳香が少なくなったのかな?
定量的にきっちり調べた訳ではないので、園芸植物に対する個人的な偏見から来る印象かもしれません。
2014年7月上旬
平地の用水路脇に生えたノリウツギの灌木でイチモンジチョウ(Limenitis camilla japonica)が白い花に来ていました。
翅を全開にして吸蜜しています。
この植物の名前を知らなくて図鑑を眺めてもゴトウヅルやツルアジサイと迷ったりしました。
蔓植物ではないという根本的なことに気づいてようやくノリウツギに辿り着きました。
2014年6月下旬
雑木林の細い山道に倒木が転がっていました。
小さな虫喰い穴にカタグロチビドロバチ♀(Stenodynerus chinensis)が繰り返し潜り込んで調べていました。
この蜂の営巣習性は借坑性なので、巣作りに適しているかどうか物色しているようです。
虫喰い穴の入り口を採寸すると、直径4mm。
倒木の穴に頭から潜り込んだ蜂は後ろ向きに出てきます。
飛び立っても倒木スレスレの低空飛行で、すぐに戻って来て同じ穴に入り直します。
たまに同じ倒木の別な割れ目なども調べています。
後半(@3:49〜)は240-fpsのハイスピード動画に切り替えて、離着陸する蜂の羽ばたきを撮影してみました。
飛び去る時に穴を見ながら扇状に飛ぶのは、穴の位置を記憶するための定位飛行と思われます。
穴から蜂が出てくるまで待っている間に木漏れ日が曇ると画面が急激に暗くなってしまうのは、ハイスピード動画モードでのカメラの仕様です。
▼つづく
カタグロチビドロバチ♀とアリの攻防【ハイスピード動画】
2014年7月上旬
▼前回の記事
マイマイガ(蛾)を寄主とするヤドリバエ終齢幼虫が囲蛹になるまで【50倍速映像】
ヤドリバエ(種名不詳)幼虫が脱出してから5日後、体内寄生されていたマイマイガ(Lymantria dispar japonica)前蛹cが仰向けに静止したので斃死したかと思いきや、飲まず食わずで生きていました。(生ける屍)
ピンセットで刺激すると、蠕動というよりも身を攀じって(回して)暴れます。
脱出したヤドリバエの幼虫は結局1匹だけでした。(単寄生)
その後は私が興味を失ってしまい、いつ死んだのかは確認していません。
脱皮・蛹化しないまま、夏に死んでいました。
2014年7月中旬
住宅地のトウモロコシ畑でスズメ(Passer montanus)が採食していました。
よく見ると、どうやら花や茎にびっしり群がる黒いアブラムシ(種名不詳※)を啄んでいるようです。
スズメは数羽の群れで居たのですが、撮れたのは一羽のみ。
※ 映像に登場するアブラムシを真面目に同定した訳ではありませんが、その名もずばりトウモロコシアブラムシ(Rhopalosiphum maidis)という種類がいるようです。
スズメは秋に稲穂を食い荒らす害鳥として稲作農家に嫌われますが、雛に給餌する繁殖期には虫も大量に捕食するので害鳥/益鳥のレッテルを単純に貼れません。
『スズメ百態面白帳』p17によると、
食物の年間の全体総量では植物質が88%を占めているが、動物質も12%含まれている。(中略)動物質の主のものは昆虫で、5、6月には食物量の40%前後を占めている。
毛沢東は大躍進政策の一環としてスズメの徹底駆除を命じました。
生態系から捕食者を除去するとどうなるか、という壮大な生態学の実験をしてくれたことになります。
人海戦術による消滅麻雀運動の結果、害虫の大量発生を招き人民は凶作と飢饉に苦しみました。
(参考:四害駆除運動@wikipedia)
『スズメ百態面白帳』p26-27によると、同様の逸話は欧州にもあるようです。
プロシアのフレデリック大王はサクランボが好きで、庭園に植えられた桜の果実をスズメが啄むので、大規模な駆除を命じたそうです。(2年間で計76万5千羽!)
ところがサクランボが豊作になるどころか毛虫が大発生して桜の木は丸裸になり無残な結果になったとのこと。
▼関連記事
トウモロコシ畑で実を採食するスズメ(野鳥)
2014年7月上旬
▼前回の記事
マイマイガ(蛾)前蛹cから脱出するヤドリバエの終齢幼虫【微速度撮影】
マイマイガ(Lymantria dispar japonica)前蛹cの体内から脱出したヤドリバエ(種名不詳)の終齢幼虫が容器内で蛹化するまで微速度撮影してみました。
50倍速の早回し映像をご覧ください。
自然環境であればヤドリバエ幼虫は地中に潜って蛹化するはずですが、プラスチック容器内に閉じ込められランダムウォークするウジ虫に遭遇する度に寄主のマイマイガ前蛹cは嫌がって逃げ回ります。
やがてウジ虫が運動性を失い、蛹化を開始しました。
終齢幼虫の外皮中で蛹化し、囲蛹を形成します。
従って脱皮殻(抜け殻)を残しません。
少しずつ囲蛹の黒化(色素沈着)が進みます。
寄生ハエ囲蛹の飼育法について
5日後に撮ったヤドリバエ囲蛹の写真↑です。
その後は残念ながら、待てど暮らせど成虫が羽化してくれません。
成虫が得られないと名前も分からないので困りました。(ブランコヤドリバエ?)
ヤドリバエの羽化には湿り気が必須なのかな?
囲蛹を裸で飼うと、乾季だと思って休眠状態に入ってしまうのでしょうか?
暗所に置かないといけないのか?など色々と悩みます。
ちなみにドロバチの巣を発掘した際に採集した寄生ハエ(ドロバチヤドリニクバエ?)の囲蛹からは、過去に同様の飼育法(乾燥条件)で問題なく羽化しているので不思議で仕方がありません。
やはり今からでも容器に土を入れてやる(囲蛹を土に埋めてやる)べきでしょうか?
恥ずかしながらこれまで私の虫の飼育の失敗の多くはカビが原因です。
霧吹きしたり土を入れたりすると、特に梅雨時や夏はあっという間にカビが発生蔓延してしまい他の飼育容器までもが全滅してしまった苦い過去があり躊躇しています。
いつもお世話になっているハエ関係の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で質問してみると、アノニモミイアさんから以下の回答を頂きました。
本科に最も詳しい研究者に以前お聞きしたところ,ヤドリバエの囲蛹は囲蛹化した位置に置かないと羽化しにくい,囲蛹を動かすとまずい,と言う話をお聞きしたことがあります。ヤドリバエ科の多くの幼虫は寄主から脱出した後は当然地上に落ちるでしょうから,常識的に考えれば地中に潜り込んでそこで囲蛹化するのではないでしょうか。
このような見解を元に考えますと,寄主から脱出してまだ囲蛹化していない蛆は湿り気のある清潔な土を入れた容器に移すことが適当かとおもいます。また容器内(裸出した状態)で囲蛹化してしまったものは,そのまま動かさないで,上記のような湿った清潔な土(電子レンジなどで蒸気消毒したもの)をやさしく掛けるということも考えられます。
園芸用の赤玉土の細粒(小粒より小さい)と言うのがあります。私はこれを十分に湿らせたうえで電子レンジで蒸気消毒したものを長期休眠(初冬から翌年晩秋まで)するハエの幼虫に使ったことがあります。好成績でした。数か月以上に亘ってカビなどが生じなかったです。ご参考までに。
土を昆虫の飼育に長期に使うときは,庭の土などはかなり用心して用いないと,中に捕食者の卵や幼虫などが含まれていることがあります。また,トビムシ類もかなり入っていて,繁殖します。土はポリ袋に入れて(密閉しないで)電子レンジで内部が高温になり熱い蒸気で滅菌,殺虫して使うのが安全です。
確かに数少ない成功例を思い返してみると、完全に忘れていて放置していたらいつの間にか寄生ハエが羽化して死んでいたことがありました。(寄主イラガ、オビガ、タケカレハ)
撮影のために蛹を転がしたりいじくり回すことが致命的だったようです。
まさかヤドリバエの囲蛹がそんなに繊細だとは知りませんでした。
自力でこれを突き止めるのは無理でした。
次回からは殺菌した土を入れてみようと思います。
つづく