2023/05/17

夜の山林でカラマツの木を登るコアオマイマイカブリ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月下旬・午前4:10頃 

山林のカラマツの根本に置いたドングリを野ネズミ(ノネズミ)が貯食のために持ち去る様子を無人カメラで撮影していると、未明に意外な珍客が現れました。 
暗視動画の冒頭で、野ネズミが餌場からミズナラの堅果を咥えて右に持ち去りました。 
トレイルカメラのセンサーが熱源を動体検知してから1分間録画するように設定しているのですが、 野ネズミが居なくなってからマイマイカブリ登場までの空白期間は、5倍速の早回しに加工しました。 

やがて画面右下から大型の甲虫が登場しました。 (@0:13〜)
雑木林の斜面を歩いて斜めに登り、カラマツの木へ向かっています。 
この独特のシルエットは間違いなくマイマイカブリです。 
山形県南部に生息するマイマイカブリは、コアオマイマイカブリDamaster blaptoides babaianus)という亜種なのだそうです。 

1分半後にカメラが再び起動すると、野ネズミは次のドングリを口に咥えて斜面の下に運んで行くところでした。
さっきのコアオマイマイカブリはどこに行ったのかと思いきや、なんとカラマツの幹をよじ登っていました!(赤丸にご注目 @0:37〜)

コアオマイマイカブリは獲物となるカタツムリを探してカラマツの木に登ったのでしょうか?
「木に縁りて魚を求む」とは「わざわざ木に登って魚を捕ろうとするような愚かなことは避けよ」と戒める故事ですが、陸貝(カタツムリ)は樹上にも居そうですね。
それとも、暗闇で野ネズミと鉢合わせして、慌てて樹上に避難したのかな?
コアオマイマイカブリと野ネズミがニアミスした瞬間が動画に撮れてなくて残念でした。
野ネズミはマイマイカブリを見つけたら、その場で捕食するでしょうか? 
マイマイカブリは自衛用の化学兵器を内蔵しているらしいので、野ネズミが噛み付こうとしても撃退したはずです。   
(マイマイカブリは)危険を感じると尾部からメタクリル酸とエタクリル酸を主成分とし、強い酸臭のある液体を噴射する。(wikipediaより引用)

今回、野ネズミは給餌場(宝の山!)からドングリを1個ずつ運び出して貯食するのに夢中でした。
栄養価の高いドングリを運搬中にマイマイカブリと出会っても、構わず見逃した可能性が高そうです。
マイマイカブリを野ネズミが捕食するかどうか、飼育下で与えてみる実験は(やろうと思えば)できそうです。


変温動物のコアオマイマイカブリがいくら動き回っても本来トレイルカメラは起動しません。 
恒温動物の野ネズミがたまたま貯食活動に励んでくれていたおかげで、今回の動画が記録されました。

関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ コアオマイマイカブリの幼虫を見つけた!

実は、現場付近の林床で本種の幼虫を見つけています。 
本気になって探せば、意外にマイマイカブリの生息密度が高いのかもしれません。 
ということは、獲物となるカタツムリが多い豊かな自然環境なのでしょう。 

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