2023/02/11

右目を失明したニホンイノシシが夜の林道で下草を食べ池畔の水を飲む【トレイルカメラ×2:暗視映像】

 

2022年9月上旬・午後19:35頃 



里山の林道で水溜りのある区間を監視カメラで見張っていると、ある晩にニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が通りかかりました。 
林道上に生えたミゾソバなどの下草を鼻で掻き分けながら食べています。 
ヌタ場で泥浴び(ヌタ打ち)してくれるのではないかという私の予想に反して、今回も水たまりを避けるように迂回して通り過ぎました。 
採食中に振り返ってカメラ目線になると、イノシシの左目だけが光って見えました。(@0:27〜) 
そのまま林道を向かって右に立ち去りました。 
イノシシが向かった方角には水場があり、別のトレイルカメラを池畔に設置しています。 

約1分後、数十m離れた水場にイノシシが登場しました。 
2箇所に設置したトレイルカメラで同一個体のイノシシが続けて撮れたことになります。 
監視カメラを並べることで、野生動物の行動がより立体的に見えてきます。

イノシシは対岸の林道で立ち止まり、頭を下げています。 
湧水が溜まった泉から流れ出た水は林道を横切り、斜面を下って沢の源流となるのですが、イノシシは池の対岸で狭くなっている出水口で水を飲んだように見えます。 
私としてはトレイルカメラにもっと近づいて池の水を飲んで欲しいのですが、どうもイノシシはカメラの存在に気づいて警戒しているような気がします。 

顔を上げると、イノシシの右目が潰れていました。 
隻眼の同一個体で間違いありません。 
その後は文字通り道草を食いながら、林道を右へ立ち去りました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しました。 


右目を失明した隻眼の個体は以前も同じ水場のトレイルカメラで記録されています。
関連記事(1.5か月前の撮影)▶ 右目を失明したニホンイノシシが夜霧の水場に登場【トレイルカメラ:暗視映像】

片目が潰れて見えない野生動物は大きなハンディキャップを背負っていると思うのですが、無事に生き延びています。 
イノシシにとって視覚よりも嗅覚の方が重要なのかもしれません。 

当地では隻眼と正常個体の少なくとも2頭のイノシシが活動していることが分かりました。 
生息密度が低いようで、トレイルカメラにイノシシは滅多に写りません。 



ちろちろと舌を出し入れしながら蛇行するアオダイショウ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年9月上旬・午後16:30頃・くもり 

郊外の舗装路でアオダイショウElaphe climacophora)が横たわっていました。 
ひび割れたアスファルトに対して、アオダイショウの体色は保護色にはなっていません。 
動画を撮りながら私がゆっくり近づいても、蛇はすぐには逃げませんでした。 
車に轢かれた死骸(ロードキル)なのかと思いきや、口から赤い舌をチロチロと出し入れし始めました。 
この日は曇り空で、路面に触っても熱くなかったので、日光浴していた訳でもなさそうです。 
カメラをパンして全身像を写すと、なぜか滑らかな曲線を描いておらず、カクカクとした折れ線状になっていました。 
尾端に付着しているのは、脱皮殻(抜け殻)の欠片なのかな? 

しばらくすると警戒を解いたアオダイショウが、ようやく蛇行で逃げ始めました。 
赤い舌をちろちろと素早く出し入れして周囲の匂いを嗅ぎ取りながら進みます。 
車道を横断すると、路肩の草むらへするすると逃げ込んで隠れました。 
コオロギ♂やハヤシノウマオイ♂など秋の虫がかすかに鳴く声が聞こえます。 

アオダイショウの素早い舌の動きを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:40〜)
二股に別れた舌の先端部は、赤黒くなっています。 
ちろちろと舌を出し入れすると、柔らかい先端部は上下にもしなやかに動きます。 


道を横断しているアオダイショウにちょっとした事件が起こりました。
路面スレスレに低空で飛来した黒く小さな蜂?が、アオダイショウの横顔に激突したのです。(@3:19〜) 
蜂に特攻されてもアオダイショウは瞬きひとつせず、全く動じませんでした。 
(蛇には解剖学的にまぶたが無いので、瞬きすることができません。) 
虫が蛇に狙いを定めて攻撃したというよりも、ただのうっかり衝突事故のようです。 
寄生蜂♀や寄生バエ♀が出会い頭に蛇の体内に素早く皮下注射のように産卵したのだとしたら非常に面白いのですが、そのような事例は聞いたことがありません。 
その後、進行方向の目の前を小さな虫(黒い蜂?)が歩いても、アオダイショウは舌を使って捕食することはありませんでした。 (@4:00〜) 
捕食よりも逃避行動を優先していたのでしょう。

ヘビを手で捕獲できるようになりたいと私は常々思っているのですが、この日は疲労困憊していたので自重しました。 
アオダイショウは毒蛇ではありませんが、下手に手を出して万一噛まれ傷が腫れたりしても、コロナ禍が続く状況では気軽に病院にも行けませんから。
 

 ↑【おまけの映像】 
"Slow motion tongues offer a snapshot of evolution" by Science Magazine 


2023/02/10

水溜りのある林道を夜に歩くホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬〜中旬 

里山の林道で水溜りのある区間を監視カメラで見張っています。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
画面の左下と右上を結ぶ対角線の方向に草深い平坦な林道が走っています。 
今のところ、タヌキが水溜りの水を飲むことはありません。


シーン1・9/4・午後18:52 
タヌキは画面の手前から奥へと林道を横断してから林道を外れ、奥の斜面を下って行きました。 
どうやら谷へ下りて行く獣道があるようです。 


シーン2・9/5・午後19:59 (@0:15〜) 
翌晩のタヌキは、水たまりを避けながら林道の左端を歩いてを右へ歩いて行きます。 


シーン3・9/11・午前4:07 (@0:24〜) 
6日後は珍しく未明にタヌキが登場しました。 
シーン1と同様に、画面奥の斜面を降りて行ったと思いきや、再び白い目が2つ光って見えました。 
林道に引き返して左へ向かったようです。



オオバクロモジとタニウツギの葉をハキリバチ♀が大量にくり抜いた跡【フィールドサイン】

 



2022年9月上旬・午後13:40頃・くもり 

里山の斜面を登る細い山道が近年使われなくなって廃道になっています。 
野生動物の獣道になっているので、私だけが調査のためにときどき薮漕ぎしながら通っています。 
辺りは鬱蒼と茂った藪(若い二次林)なので日当たりが悪く、林床に生えたばかりのクロモジの幼木(実生。地上からの高さ約35cm)は早くも黄葉が始まっていました。 
その葉が集中的に丸くくり抜かれていました。 
これほどきれいな曲線でくり抜くのは幼虫(イモムシ類)の食痕ではなく、ハキリバチ科の仲間♀が巣材として葉片を集めた痕跡です。 
ハキリバチの種類によって営巣場所は違いますが、地面に巣穴を掘ったり樹洞や枝の虫食い穴を再利用したりします。 
ハキリバチ♀はその穴に葉片を詰め込んで育房を仕切る巣材とするのです。 
クロモジ幼木の上から下まで多くの葉が卵型に切り抜かれていました。 
切り口が変色してないので、比較的新しい葉切り痕のようです。 
ということは、切り抜かれた後で黄葉したのではなく、ハキリバチ♀は黄葉してから切り抜いたことになります。 
つまり、緑の葉も黄葉した葉もお構いなしにくり抜いたと推理できます。 
訪花する花弁の色をしっかり見分けられるハナバチが色盲のはずがありません。 
ハキリバチの幼虫は花粉と花蜜を混ぜた団子を食べるので、巣材の鮮度はあまり気にしないようです。 
ハキリバチの幼虫がもし植物の葉を食べるのであれば、栄養価が低下した黄葉を母蜂は与えるはずがありません。 
オトシブミの揺籃とハキリバチの巣材は目的が異なります。

廃道を更に進むと、もっと大きく育ったクロモジの灌木にもハキリバチの切り取り跡を大量に発見しました。 
クロモジの中でもオオバクロモジのようです。 
緑の葉の切り口が茶色く変色しているのは、切り抜かれてから日数が経った古い痕跡です。

オオバクロモジの隣に自生するタニウツギの葉にも切り取り跡が少し見つかりましたが、オオバクロモジの葉の方が巣材として圧倒的に好みなようです。 
その理由を自分なりに考えてみました。
クロモジの葉を千切ると爽やかな芳香します。 
良い匂いのする枝は、和菓子を食べる楊枝として加工されます。
枝や葉には芳香精油を含み、防虫・防腐効果もあると言われてます。 
ハキリバチ♀もその薬効を知っていてオオバクロモジの葉を選好したのだとしたら、興味深い発見です。 
クロモジの葉に包まれたハキリバチ育房の花粉団子はカビが生えにくかったりするのでしょうか?
女子力の高いアロマ好きのハキリバチ♀がいるのかな? 
あるいは単に葉の厚みや触感によって好みがあるのかもしれません。 
タニウツギのごわごわした葉よりもクロモジの薄い葉の方が、巣材として丸めたり加工したりしやすいのでしょう。 

その場でしばらく待機しても、巣材集めのハキリバチ♀は通って来ず、残念でした。 
複数個体(あるいは複数種?)のハキリバチ♀が巣材を集めた跡かもしれません。
葉切り痕@オオバクロモジ幼木・黄葉
葉切り痕@オオバクロモジ灌木
葉切り痕@オオバクロモジ+タニウツギ
葉切り痕@オオバクロモジ+タニウツギ・全景

実は現場から少し低い地点で、トリアシショウマらしき葉にもハキリバチ♀のしわざを見つけました。(写真のみで動画なし)
ハキリバチの種類によって巣材の植物種がどのぐらい違うのか、調べたら面白そうです。
例えばバラハキリバチ♀はバラの葉を、クズハキリバチ♀はクズの葉を好んで集めますが、本当に好き嫌い(選り好み)が激しいのでしょうか?

葉切り痕@トリアシショウマ


2023/02/09

夜道で起動したトレイルカメラに気づいて逃げるツキノワグマ【暗視映像】

 



2022年9月上旬・午後19:25・気温22℃ 

監視カメラを設置した里山のスギ林道に、ツキノワグマUrsus thibetanus)がある晩に右からノシノシと歩いて登場しました。 
今回も全身の毛皮に大量のひっつき虫が付着しています。 
山野の藪や獣道を通り抜ける際に動物散布型の草の種子が次々に付着して、遠くに運ぶことで種子散布に貢献しているのです。 
例えばニホンザルは群れの仲間同士で毛繕いに費やす時間が多いので、これほど多数のひっつき虫が付着している個体を見たことがありません。

通りかかったツキノワグマがカメラを見上げたと思ったら、急にスピードを上げて左へ走り去りました。 
意外と臆病な熊もいるようです。(性格の個体差?) 
起動したトレイルカメラが発するかすかなノイズを聞きつけたのか、それとも2個の赤外線LEDがうっすらと赤く光って(クマの可視光域?)怪物の目のように見えたのでしょうか? 
林道上にあるタヌキとアナグマの溜め糞場sには興味を示す暇もなく、駆け抜けました。 

ミズナラの樹液酒場にてスジクワガタ♂とモンキアシナガヤセバエそれぞれの占有行動

 



2022年9月上旬・午後14:30頃・くもり 

里山の急斜面に立つミズナラ古木の苔むした樹皮から滲み出る樹液酒場で2匹のスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)が吸汁していました。 
初め私は、大型の♀に小型の♂が交尾しようとしているのかと思いました。 
あるいは、小型の♂が大型の♀の傍らで配偶者ガードしているようにも見えます。 
ところが、動画撮影後に採集してみると、2匹とも♂でした。 
つまり、大型の♂が樹液酒場でベストな位置を占拠して、劣位の小型♂が樹液のあまり出ないポイントに甘んじていた(順番待ち?)のだと判明しました。 
2匹のスジクワガタ♂が平和に並んでいるように見えましたが、樹液をめぐる争いの決着が既についた後だったようです。

他には見慣れない細長い体型のハエ2匹もミズナラの樹液酒場に来ていました。 
スジクワガタ♂の横で遠慮がちに樹液を舐めています。 
白い口吻を伸縮させる動きが蛆虫の蠕動のように見えました。 
長い脚の腿節の途中にオレンジ色の部分が目立ちます。 
樹液に集まる昆虫ハンドブック』で調べると、翅に黒紋が無いので、ホシアシナガヤセバエではなくモンキアシナガヤセバエNerius femoratus)と判明。
あまり研究対象にされることのない昆虫であり、くわしい資料がほとんどない。(p66より引用)
とのこと。 
2匹の体格が異なるのは性差とは限らず、幼虫時代の栄養状態が成虫のサイズを左右するのだそうです。 
しばらくするとモンキアシナガヤセバエ2匹が樹液酒場から少し横に離れた位置で互いに向き合い、背伸びして何やら面白そうな誇示行動(ディスプレイ)を始めました。 
せっかく興味深い行動なのに、このとき疲労困憊していた私は気づかずに撮影を打ち切ってしまいました。 
やがて1匹は離れて行ったので、ライバル♂を樹液酒場から追い払ったようです。
つまり、♀♂間の求愛誇示ではなく、樹液をめぐる♂同士の闘争誇示だったようです。 
英語版wikipediaでNeriidae(アシナガヤセバエ科)の項目を読むと、♂同士の闘争誇示など興味深い行動が解説されていました。 
次に機会があれば、じっくり観察してみたいものです。

他には微小のハエ(種名不詳)も多数群がっていました。 
ショウジョウバエにしては色が黒っぽいです。 

スジクワガタ♂を接写するために私が樹液酒場に近づくと、警戒したモンキアシナガヤセバエは樹液酒場から少し逃げて避難しました。

2023/02/08

タヌキと共有する溜め糞場に大便を撒き散らすニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2022年8月下旬〜9月上旬 

トレイルカメラで定点観察しているスギ林道の溜め糞場sに通って来るニホンアナグマMeles anakuma)の記録です。 


シーン1:8/25・午後19:26・気温21℃ 
林道を右から歩いて来ました。 
暗視カメラが照射する赤外線LEDの光が強過ぎて白飛びしてしまい、顔の縦縞がよく見えません。 
顔にあるはずの黒い縦縞が薄い個体変異なのかもしれません。 
林道に生えた下草の匂いを嗅ぎながら溜め糞場sに近づき、左を向いたまま軟便を排泄しました。 
排便しながらも前進し、林道上に糞を点々と撒き散らします。 
脱糞後はスギの木の根元に生えた下草に尻を擦り付けるスクワットマーキングをしてから、左下に立ち去りました。 

ここはホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマが共有している溜め糞場なのですが、タヌキは自分たちの溜め糞の上に跨って行儀よく排便します。 
その結果、タヌキの溜め糞は山盛りになります。
一方でアナグマの「だらしない」排便は、いかにも広範囲に匂い付けする目的に徹したやり方に見えます。 
タヌキに対抗して縄張りをアピールするために、派手に大便を撒き散らしているのでしょうか? 
そのくせ、タヌキの溜め糞の上にアナグマが自分の糞を追加して覆い隠すようなことはありません。
あるいは、この日のアナグマは単に腹を下していて便がとりわけ緩く、歩きながらどうしようもなく肛門から糞を垂れ流してしまっただけかもしれません。
タヌキと違ってアナグマはいつも単独で溜め糞場を訪れます。 
食性の違いによるのか、アナグマの排泄する糞はいつも緩い(下痢便または軟便)ようです。 
溜め糞場sを利用する2種の違いについて、気づいた点をまとめてみました。


シーン2:8/28・午後21:15・気温16℃ (@0:27〜) 
3日後の晩は気温が急に下がりました。 
カメラが起動したときには対面に見えるスギ大木の根元に来ていて、下草に尻の臭腺を擦りつけていました。 
今回はスクワットマーキングしただけで、林道を右へ立ち去りました。 
おしっこ(排尿)でマーキングしているのかもしれませんが、見下ろす撮影アングルでは定かではありません。 
白飛びで顔の黒い縦縞模様が見えませんでした。 


シーン3:9/1・午前1:48・気温23℃ (@0:44〜) 
4日ぶりに右から登場したアナグマが、スギの根元の下草に尻を擦りつけただけで、左に歩き去りました。 
草むらで鳴く虫の音(コオロギ♂やカンタン♂などの直翅目)が聞こえるようになりました。 


シーン4:9/5・午前0:34・気温21℃ (@0:55〜) 
また登場間隔が4日開きました。 
右からやって来たアナグマがあちこちでしゃがんで下草に尻の臭腺を擦りつけ、スクワットマーキングを繰り返しています。 
今回も排便しませんでした。



ヘリアンサス「レモンクイーン」の花蜜を吸うウラギンスジヒョウモン♂

 

2022年9月上旬・午後12:05頃・晴れ 

山麓の農村部で民家の裏庭にヘリアンサス「レモンクイーン」が大人の背丈よりも高く育ち、黄色い花が咲き乱れています。
この日はウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome laodice japonica)が訪花していました。 
半開きの翅を開閉しながら吸蜜していました。 
右翅の縁が大きく破損した個体です。 
左右非対称に破損しているので、鳥に襲われかけた痕跡(ビークマーク)ではありません。 

ヘリアンサス「レモンクイーン」の群落の手前にピンクのコスモスの花が咲いているのに、なぜか訪花昆虫には人気がありません。 
今回のウラギンスジヒョウモン♂も見向きもしませんでした。

2023/02/07

林道の水溜りで泥水を飲むカケス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2022年9月上旬・午前10:15頃・ 

里山の林道で水溜りのある区間を監視カメラで見張っていると、カケスGarrulus glandarius)が登場しました。 
画面の赤丸の位置に注目してください。 
水たまりの岸で何度も頭を下げて泥水を飲む後ろ姿が写っています。 
喉を潤したカケスは真上に飛び上がりました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

地中に巣を掘り土塊を外に捨てるモンスズメバチ♀

 

2022年6月中旬・午前11:00〜11:40頃・晴れ 

芝生に覆われた河川敷にブタナの黄色い花が咲き乱れていました。 
ブタナの根出葉の横の地面に小さな穴が開いていて、そこにモンスズメバチ♀(Vespa crabro)が出入りしていました。
蜂が飛ぶとブーン♪という羽音がかすかに聞こえます。 

よく観察すると、出巣の際に大顎に土塊を咥えていました。 
地下にトンネルを掘った土をせっせと外に捨てに行くのです。 
トンネルを拡張した空間にパルプで育房と外皮を作るのです。
モンスズメバチ♀が巣内から搬出するのはルーズな土塊で、ドロバチが巣材として運ぶ水を含んだ泥玉とは違います。 
この点ではむしろオオハキリバチ♀の採土と似てるかもしれません。

関連記事(13年前の撮影:地中営巣性のオオスズメバチが巣穴から不要な土塊を捨てに行く映像)▶ オオスズメバチの巣に御用心(刺傷例) 
出巣した蜂は飛びながら空中で土塊を捨てる(撒き散らす?)はずですけど、その決定的瞬間は撮ることができませんでした。 
帰巣する蜂は空荷でした。 
2〜3匹の♀が続けて出巣したり帰巣したりすることから、個体識別をしなくても、創設女王の単独営巣期を過ぎて複数のワーカーが羽化済みと分かりました。 

巣口の周囲を調べると、モンスズメバチの創設女王は、どうやら野ネズミが掘った古巣やトンネルを再利用したようです。
ただし、野ネズミの古いトンネルからモンスズメバチ♀が出入りするのを一度も見ていないので、2つの穴はつながっていないと今のところは考えています。




巣口の右下に野ネズミの古巣跡

野ネズミの古いトンネルとモンスズメバチの地中巣はつながっているのか?



モンスズメバチが地中に営巣するとは知りませんでした。 
河畔林で治水対策上、樹洞のある古木が目の敵にされて次々と伐採されています。
そのために、モンスズメバチの営巣地不足が深刻なのでしょう。 
帰ってからネット検索しても、地中営巣の情報がヒットしません。 
手元にある図鑑で調べると、私が知らなかっただけで、モンスズメバチが土中に営巣することもあるようです。
(スズメバチの専門書でも、その情報が欠けている本もありました。)
営巣場所:樹洞、土中、家屋の屋根裏、壁間など 
ノート:本種は営巣空間が狭くなると、巣の周辺に引越しを行なう習性をもち合わせている。 (『日本の真社会性ハチ 全種・全亜種生態図鑑』p107より引用)

 

営巣場所は樹洞、屋根裏、土中などの閉鎖空間で、途中で巣を引っ越すことがある。(『スズメバチはなぜ刺すか』p281より引用) 

 

樹洞、屋根裏、土中などの閉鎖空間に鐘型の巣をつくる。(『札幌の昆虫』p337より引用)

巣穴に出入りするモンスズメバチ♀を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみたのですが、私がうっかりカメラの設定を間違えたせいで、スーパースロー映像が撮れていませんでした。

巣口を守る門衛が居るはずなのに、その姿がありません。 
もっとトンネル深くに居るのかな? 
ファイバースコープカメラが欲しくなります。 



2023/02/06

夜の池で対岸に渡れる地点を探し当てる野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月上旬 

湧き水が溜まった山中の泉を見張っている監視カメラに夜行性の野ネズミ(ノネズミ)がこの時期は2回写りました。 

シーン1:9/4・午後22:24 
池の左岸に現れた野ネズミが水際に降りて、対岸に渡れるかどうかあちこち探し歩いています。
暗闇でも水深が分かるのでしょうか。 
対岸まで来た野ネズミは、狭くなっている出水口(沢の源流)を見つけると、ピョンと跳び越えました。 
今回の個体は夜の池を泳いで渡りませんでした。 
草深い右岸を少し登ると、トラバースして此岸の死角へ走り去りました。 


シーン2:9/10・午後18:46 (@0:18〜) 
6日後の晩に画面奥の森からコウモリが夜の池に飛来しました。 
池の上空を往復して帰るついでに着水し、飛びながら一瞬で水を飲んだようです。 

その直後に、対岸の出水口に野ネズミが現れ、チョロチョロと徘徊しました。 
残念ながらカメラの電池が消耗していて、尻切れトンボで録画が打ち切られてしまいました。 

夜の水場に最も頻繁にやって来るのはコウモリです。 
しかし他の野生動物が水場に来たときには、コウモリは遠慮して(警戒して?)同時には飛来しないのが普通です。 
今回は珍しく例外で、コウモリと野ネズミが入れ違いで水場に登場しました。 
野ネズミは体が小さいですから、草むらに隠れているとコウモリの超音波(エコロケーション)では存在を検知しにくいのかもしれません。 
逆に、野ネズミはコウモリの発する超音波が聞こえているのかどうか、興味があります。 
お互いに天敵として恐れるべき存在ではないので、気にしなくなっていても不思議ではありません。 

 最後に1/3倍速のスローモーションでシーン1をリプレイ。(@0:28〜) 

ニラ畑で訪花吸蜜するキアゲハ♀夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年9月上旬・午後14:25頃・くもり 

山麓の農村部で休耕地の一部がニラ畑に転用されたのか、白い花が一面に咲いています。 
しかし、畑なら花が咲く前にニラの葉を収穫するはずです。
家庭菜園で栽培したニラを消費し切れなくなったのか、あるいは畑から逸出したニラが休耕地で野生化したのでしょう。

ニラの大群落でキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)の夏型が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
半開きの翅を激しく羽ばたきながら吸蜜することが多いようです。 
羽ばたきを止めて吸蜜に専念することもあります。 

近くに咲いたムラサキツメクサの花には今回のキアゲハ♀個体は見向きもしませんでした。 (@0:20〜)

関連記事(4年前の撮影)▶ ムラサキツメクサに訪花するキアゲハの羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

ニラの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:59〜) 
吸蜜中の羽ばたきは、特に前翅を動かしていることが分かります。

キアゲハの他にはスズバチやキイロスズメバチ♀、キタテハ、ヒョウモンチョウの仲間なども飛び回り、ニラに訪花していました。
全て撮影済みなので、今回はスルーします。

2023/02/05

浅瀬で川底の餌を食べるカルガモの群れ(野鳥)

 

2022年9月上旬・午前16:25頃・晴れ

街なかを流れる殺風景な川で3羽のカルガモAnas zonorhyncha)が、あまり見たことのない採食行動をしていました。 
西日に照らされた岸辺に集まっています。 
小石だらけの浅瀬で横並びの隊列となり、下流に向かってゆっくり歩きながら、水中に嘴を差し込んで採食しています。 
川底の藻を食べたり、砂利の中に潜む水生昆虫を捕食しているのでしょう。 
この川には目視できるほど大量の藻は繁茂してはいません。 
採餌行動によって川底から泥が湧き上がっても、すぐ下流に流されるので、目の前の視界が遮られません。 
…と思ったのですけど、それなら上流に向かって遡上しながら採食する方が良さそうです。
遡上しながらの採食だと舞い上がった泥が口の中にどんどん入ってしまいそうです。
…それはそれで好都合じゃないかという気もしますし、採食時の方向はあまり大した意味はないのかもしれません。

水深が少し深くなると、カルガモは川面に浮いて下流へ泳ぎ去りました。 
遊泳中は採食しませんでした。 
横の堤防路から見下ろすように撮影しているのに、私の方へどんどん近寄って来ます。 
街なかのカルガモはだいぶ人馴れしているようです。 
給餌するヒトがいるのかもしれません。

タラノキの花蜜を吸うコガタスズメバチ♀

 

2022年9月上旬・午後15:35頃・晴れ 

里山に山菜として植栽されたタラノキコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
花から花へ忙しなく飛び回り、吸蜜しています。

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