2023/11/25

夕方の営巣地でスクワットマーキングするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2023年4月下旬・午後18:32(日の入り時刻は午後18:28) 

日没直後の未だ明るい営巣地(セット)でニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外をうろついています。 
地面を前足で軽く引っ掻いて獲物となる虫を探しています。 
その間に、ある地点で腰を屈め尻を地面に擦り付けました。 
これはスクワットマーキングと呼ばれる匂い付けの行動です。 
臭腺や肛門腺からの分泌液で自分の縄張りをマーキングしているのです。 
昨シーズン、スギ林道に残された溜め糞場に通うアナグマでこの行動を何度も見ています。

明るい時間帯に撮れた映像では、目の大きさが左右均等な個体かどうか、黒い過眼線のせいで見分けが付きません。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



雪解け田んぼに集結するコハクチョウの百態(野鳥)

 

2023年3月下旬・午後15:10頃・くもり 

早春で雪どけが進む広大な田園地帯にコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群が散開して、落ち穂拾いしています。 
あまりにも個体数が多くて、どの個体の行動に注目すべきか目移りしてしまいます。 
三脚を立ててカメラで左右にパンして、採食群の遠景を記録してみました。 

残雪が溶けて泥濘んだ刈田で採食したり、座り込んで寝ていたり、水を飲んだり、羽繕いしたり、刈田を歩き回ったり、片足立ちでストレッチしたりと、様々な行動が見られます。 
小競り合いや羽ばたき威嚇している個体もいます。 
泥に埋もれた藁を嘴で掻き分けてから採食しています。 

白鳥がひときわ密集したエリアは餌となる落ち穂の量が豊富なのでしょうか。 
撮影中にもコハクチョウが2〜4羽の小群(家族群)単位で続々と飛来・旋回すると、仲間が大勢居る餌場に合流しました。 
白鳥の優雅な着陸シーンは何度見ても感動します。 

飼い犬(白い犬種)の散歩に来た中年男性♂が奥の農道を歩いても、充分に距離が離れているせいか白鳥は逃げ出しませんでした。 (@4:55〜、@6:13〜) 



コハクチョウの密集した大群の迫力は圧巻です。 
餌場やねぐらでこれほど同種が密で暮らしていたら、ひとたび鳥インフルエンザなどの感染症が蔓延したらひとたまりもありませんね。 
…と書こうとしたら、私の勉強不足(知ったかぶり)でした。 
水鳥はインフルエンザが腸で常在しており病原性を引き起こすことはほとんどない。 
・水禽類(水鳥)の腸管で増殖し、鳥間では(水中の)糞を媒介に感染する。水禽類では感染しても宿主は発症しない。(wikipediaより引用)

鳥インフルエンザ・ウイルスが問題視されるのは、抵抗性のないニワトリなどの家禽に感染して大量死をもたらす経済的損失と、突然変異したウイルスがヒトへ感染を広げるパンデミックのリスクがあるからです。
長い進化の末に水鳥が鳥インフルエンザ・ウイルスと共存するようになった仕組みは解明されているのでしょうか?(免疫の獲得?)


【追記】
白鳥が渡来する初冬になっても、なぜか同じ刈田にコハクチョウの採食群を見かけません。
刈田で落ち穂拾いするなら、根雪が積もる前に採食しても良さそうなものですが、もっと良い餌場があるのでしょうか。


2023/11/24

夜這いに来たニホンアナグマ♂が♀を待ち伏せする間に居眠り【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬・午前4:33・気温3℃ 

二次林にあるニホンアナグマ♀(Meles anakuma) の営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。
特に春の繁殖期は様々なドラマが巻き起こるので、見逃せません。

シーン1:4/23・午前4:33・気温3℃・(@0:00〜) 
おそらく♀と思われる個体が左からやって来て、手前の巣穴Rに入りました。 
しばらくすると、別個体♂が左下の茂みから登場。 
夜這いに来た♂のようです。 
左から回り込んで奥の巣口Lに座り込むと、毛繕いを始めました。 
2つ並んでいる巣穴LRの両方を見張れる場所で、♀が出てくるのを待ち伏せしているのでしょう。 
♂は春の繁殖期に近所に住む複数の♀の巣穴を夜な夜な訪れて交尾のチャンスを狙うので、疲れているようです。
顔を地面に伏せてウトウトし始めました。 
ときどき顔を上げて周囲を警戒します。 
♂は起き上がって痒い頭を掻き毟ってから、再び仮眠に戻りました。 


シーン2:4/23・午前4:32・気温3℃・(@1:45〜)日の出時刻は午前4:51。 
別アングルの監視カメラでも同じシーンが撮れていました。 
日の出前でうっすらと明るくなったので、赤外線の暗視モードが終わり、自然光のモノクロ録画で起動しました。 

右からノソノソと歩いて来たアナグマ♂が、左の巣穴Lの手前で座り込みました。 
地面に丸まってうたた寝しています。 
手前に生えた細い灌木(マルバゴマキ)の枝葉の陰に隠れています。 



シバザクラの花蜜を吸うビロウドツリアブ

 

2023年4月下旬・午後12:45頃・晴れ 

郊外の道端に咲いたシバザクラ(芝桜)の花壇でビロウドツリアブ(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

シバザクラの花には分かりやすい蜜標があります。 
それを目がけて細長い口吻を差し込み、吸蜜します。 
ツリアブの仲間はホバリング(停空飛翔)の名手ですけど、吸蜜中は芝桜の花弁に足を掛けていた(着陸していた)ので、今回は吸蜜ホバリングではありません。 

ハイスピード動画に切り替えようとしたら私の背後を車が通りかかり、ビロウドツリアブは怖がって逃げてしまいました。 

複数個体のビロウドツリアブが忙しなく飛び回り、互いに追いかけあっている様子を目撃しました。 
シバザクラの花壇で♂同士の縄張り争いがあって、訪花に来る♀を待ち伏せしているのかもしれません。 
証拠映像が撮れずに残念でした。

2023/11/23

夜の池に飛来するコウモリは岸を歩くザトウムシを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年10月中旬・午後17:50頃・日の入り時刻は午後16:59。 

山中の水場に自動センサーカメラを設置して見張っています。 
設置アングルをミスってしまい、肝心の池がほとんど写っていませんが、崖の穴から湧き水が絶えず流れ込んでいる様子が分かります。 

晩にコウモリが低空で飛来しました。 
崖にぶつかる前にUターンしました。 
その直後、泉の水際をザトウムシの一種が手前に向かって歩き始めました。 
画面の黄色い丸に注目してください。 

コウモリとザトウムシのニアミスシーンはこれまで何度か見ています。 

関連記事()▶  


暗闇の山中でコウモリがザトウムシを狩って捕食する決定的瞬間が撮れるのではないかと密かに期待するのですけど、今回もコウモリは戻ってきませんでした。 
そもそもコウモリはザトウムシを獲物としてみなしていないのかもしれません。 
超音波によるエコロケーションの解像度がどれぐらいなのか知りませんが、ザトウムシの歩脚は細過ぎて認識できないのかな? 
単に獲物として好みではないのでしょうか? 

バットディテクターでコウモリのエコロケーションを聞きつつトレイルカメラで飛翔シーンを録画してみたいという構想を何年も温めているのですけど、他にあれこれ手を広げ過ぎてしまい、なかなか余力がありません。 
コロナ禍の最中は、バットディテクターの通販も無くなっていました。
一時期は「野生のコウモリの研究調査自体が未知の病原菌やウイルスに感染するリスクが高くて危ない!」という風潮で、コウモリの研究者・愛好家が絶滅するんじゃないかと心配でした。 

夜の小川を遡上して獲物を探す夜行性のゴイサギ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月下旬・午後19:10 

小川に架かる天然の丸木橋を自動センサーカメラで見張っていると、ある晩ゴイサギNycticorax nycticorax)が登場しました。 
どこから飛来したのか、丸木橋の手前から浅い小川を上流に向かって歩いています。 
アオサギよりもずっと背が低く、長い冠羽が後ろに伸びていました。 



現場でトレイルカメラの小さな液晶モニターを見ながら動画をチェックした際には、ゴイサギがなぜか巨大なトカゲに見えてぎょっとしました。 
鳥が恐竜の子孫であることを再確認しました。 

夜行性のゴイサギが獲物を探し歩く行動を初めて撮れました♪ 
次は漁の瞬間を撮影できたら最高です。 
この小川は街なかを流れてきた単なる用水路なので、魚が居るとしたら川の本流から遡上して潜んでいるのでしょう。 



2023/11/22

営巣地付近の地面を掘って餌を探すニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 


シーン1:4/22・午前4:23・(@0:00〜) 
未明にセットに来た♂が林縁で立ち止まると、痒い体を掻きました。 
次に前脚で地面を掘り始めました。 
餌となるミミズを探しているのかな? 
穴掘りの合間に身震いしました。 

私はアナグマ♂の個体識別が未だできていません。 
しかもカメラの電池切れで、尻切れトンボの短い映像しか撮れませんでした。 
そのため、この個体がヘルパー♂なのか、他所から求愛に来た♂なのか、不明です。 


シーン2:4/23・午前5:27・(@0:13〜)日の出時刻は午前4:51。 
早朝にセットの林縁に戻ってきていた♂が鼻面で地面を掘っています。 
地中に潜む獲物の匂いを嗅ぎつけて、捕食しているのかな? 


シーン3:4/23・午前5:29・(@0:43〜) 
アナグマ♂が少し左に移動していました。 
その結果、手前に自生するマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の茂みの陰に隠れてしまいました。 
林縁のあちこちで地面を引っ掻いてミミズや虫を採食しているようです。 

♀の巣穴の近くで早朝からリラックスしているので、なんとなくヘルパー♂のような気がしてきました。 
夜這い♂は朝になると自分の巣穴に帰るからです。 


シーン4:4/23・午後17:52・(@3:13〜) 
夕方に巣口Rから出てきたヘルパー♂が立ち止まって辺りの様子を窺っています。 
巣口Rを覗き込んでも中には入らず、自分の体を掻きました。 
寝起きでボンヤリしている様子は5倍速の早回し映像でお届けします。 

ようやく右に向かうと、画面の右端で地面の匂いを嗅ぎながら浅く掘っています。 
採食行動でしょうか。 


シーン5:4/23・午後18:31・(@3:57〜)日の入り時刻は午後18:25。 
日没直後になると、ヘルパー♂はセットの右に佇み、右の方を見ていました。 
身震いしてから右に歩き始めます。 右端の林床で穴掘りを始めました。 
お気に入りの餌場で繰り返し採食するようです。 
最後は二次林を右に立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
今回の映像に関して言えば、夜行性というだけでなく薄明薄暮性でも採食行動していました。


山中の泉に産み付けられたアズマヒキガエルの卵塊

 



2023年4月下旬・午後13:30頃・晴れ 

山中の湧き水が溜まった水場に11日ぶりの定点観察に来ました。 
先に産み付けられていたトウホクサンショウウオ卵塊の変化については、別の記事にします。 

前回は無かったのに、新たにアズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の卵塊が浅い池の水中にニョロニョロと大量に産み付けられていました。 
細長い透明なゼラチン質で心太ところてんのようです。 
その中にタピオカのような黒い卵が点々と並んでいます。 

ポプラ社『いろいろたまご図鑑』によると、
ヒキガエルのたまごのかたまりは、まるで寒天のひものようだ。長さは8mにもなることがある。この中に、小さなたまごが数千個もはいっている。 
 たまごは黒く、太陽の光を受けて温まりやすくなっている。早春に産卵するカエルのたまごに黒いものが多いのは、太陽の熱を利用するためかもしれない。(p182より引用)

動画を撮りながら右手を池の水中に差し入れて、ヒキガエルの卵塊を素手ですくい上げて見ました。 
細長い卵塊はヌルヌルで掴みにくく、持ち上げると途中で(切れて?)落ちてしまいます。 
黒い卵は球形で、胚発生は未だ進んでいないようです。 
最近産み付けられたばかりなのでしょう。 
あるいは湧き水の水温が低いので、胚発生が緩慢なのかもしれません。 
水温を測るべきなのに、温度計を持ってくるのを忘れてしまいました…。 

夏になるとこの泉にはアズマヒキガエルの黒い幼生(オタマジャクシ)が大量に居ることが分かっています。
残るミッシングリンクは繁殖行動です。

今回は池に親カエル(成体)の姿を1匹も見つけられませんでした。 
私が繁殖池に来たので水底に堆積した落ち葉の下などに逃げ込んでしまったのか、それとも今季の繁殖活動(カエル合戦)は既に終わって解散した後なのかもしれません。

残念ながら今季はアズマヒキガエルの繁殖行動(カエル合戦)を見逃してしまいました。 
どうやら今年はヒキガエルの繁殖期が例年よりも早く始まったようです。 
頻繁に定点観察したくても、ここまで登ってくるのが体力的にきついです。
無人カメラを設置してヒキガエルの繁殖行動(産卵)を動画に記録したくなりますけど、変温動物の両生類がいくら激しく動き回ってもトレイルカメラの温度センサーは反応してくれないので役に立ちません。
次善の策として、来年はインターバル撮影(タイムラプス)で記録してみようかな? 
財力があれば、携帯電話と連動して遠隔操作できるライブカメラを設置してみたいところです。


つづく→
 

2023/11/21

深夜の丸木橋を渡る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬 

小川に架かる天然の丸木橋を渡る野生動物を自動センサーカメラで見張っています。 

シーン1:4/28・午後13:04・(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
画面の手前から奥に向かって小川の水が穏やかに流れています。 


シーン2:4/30・午前0:26・(@0:03〜) 
深夜に野ネズミ(ノネズミ)らしき小動物がニセアカシア倒木を渡って右岸から左岸に渡りました。 

真夜中なのに、なぜか逆光の強力な光源(サーチライト?)で照らされているように見えます。 
対岸に設置した別のトレイルカメラが照射する赤外線LEDにしてはアングルがおかしいですし、水面に反射しているにしても説明がつきません。 

シーン2:4/30・午後17:54・(@0:13〜) 
明るくなってから判明したのですが、トレイルカメラのレンズに覆い被さるように手前の右から雑草の若葉が伸びていました。 
下草の葉先がカメラの赤外線を至近距離で反射していたのです。 
トレイルカメラをローアングルで木の根元近くに固定していたのが仇となりました。
春から初夏にかけて下草の成長が旺盛になりますから、監視カメラを長期間設置するときには、それも考慮に入れて対策しないといけません。 (予め下草を刈っておくなど)
長期間放置して無駄撮りが多いとガッカリするので、なるべく頻繁に現場の様子を見に来るのが一番ですね。
理想を言えば、水路内に頑丈な三脚を立てて丸木橋を正面から狙いたいところです。
しかし突然の大雨や上流のダムからの放水などがあると小川の水量が増し、三脚ごとカメラが流されてしまいそうで怖いです。
それからカメラが目立ってしまうと誰かに見つかって悪戯されたり盗難されたりするリスクもあります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



セイヨウタンポポの花蜜を吸うツバメシジミ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年4月下旬・午後14:40頃・晴れ 

農道の横に咲いたセイヨウタンポポの群落でツバメシジミ♂(Everes argiades hellotia)が訪花していました。 

初めは翅を半開きのまま吸蜜していました。 
やがて翅をときどき開閉するようになりました。 
次はしっかり閉じた翅の後翅を互いに擦り合わせています。 
後翅の尾状突起を触角のように動かす自己擬態の行動です。 

セイヨウタンポポの花からツバメシジミ♂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜)

この組み合わせは初見です。 
個人的に、ツバメシジミの成虫をこんな早い時期に見たのも初めてです。 
本種は幼虫で越冬するのだそうです。 
温暖化で羽化が早まっているのでしょうか? 
 

2023/11/20

春に穴を掘って巣口を拡張するニホンアナグマの♀とヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬 

新旧2台のトレイルカメラを設置して2つのアングルから同時にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地(セット)を監視しています。 
二次林の林床に巣穴はRとLの2つ並んでいるのですが、周囲に藪のように生えた多数の灌木に遮られて巣穴Lがよく見えないのが悩みです。 
(巣穴Lの監視が不十分で、見落としがあるかもしれません。)

アナグマの穴掘り行動を初めて観察できて感動しました。


シーン1:4/23・午前4:35・(@0:00〜) 日の出時刻は午前4:51。 
日の出前にアナグマが巣穴Rに頭を突っ込んでいました。 
てっきり、夜這いに来た♂が巣口Rに侵入しようとしているのかと思いきや、巣穴Rから掘った土砂を前脚で外に掻き出していました。 
そのまま巣穴Rの奥へ入りました。 
この個体の性別を見分ける手がかりが得られませんでした。


シーン2:4/23・午後19:57・気温7℃・(@0:38〜) 日の入り時刻は午後18:25。 
約15時間20分後の晩は雨が降っていました。 
セットの奥から登場した♂が右の林縁から回り込んで手前の巣穴Rへ来ました。 
入巣Rするかと思いきや、巣穴Rに頭を突っ込むと、中から土を掻き出し始めました。 

この個体の体型は♂っぽいのですが、求愛の鳴き声を発していませんし、巣穴の主♀が怒って追い払う様子もありません。 
撮影当時の私はてっきり、♂が夜這いに来て、♀が籠城する巣穴へ強引に押し入ろうとしているのかと思いました。 
後にアナグマ関連の本を読むと、巣穴の土木工事は全てヘルパー♂(実家暮らしの若い息子♂)の仕事なのだそうです。 
独立しないで親の子育てを手伝うヘルパーと言えば鳥類でよく知られています。
子育ての練習として♀がヘルパーになるものとばかり思い込んでいた私は、アナグマのヘルパーが♂と知って驚きました。
穴掘りは重労働ですから、上半身の筋肉が隆々と発達したヘルパー♂に任せるように進化したのでしょう。 
ということは、どうやらこの個体はヘルパー♂のようです。 
狭い入口を拡張すると、ようやく入巣R。 


シーン3:4/24・午前0:51・気温4℃・(@1:21〜) 
日付が変わった深夜、雨は上がりました。 
♂がセットの奥をうろついています。 
奥の巣穴Lの横を回り込んでから手前の巣穴Rへ近づいてきました。 
入巣Rせずに、巣口Rで少し穴掘りをしました。 
巣穴Rの外に出ると、身震いして体の土を落とします。 
そのままセットを離れ、右の二次林へ立ち去りました。 


シーン4:4/24・午前5:00・(@2:12〜) 日の出時刻は午前4:50。 
アナグマの巣穴を隠すように生えた細い落葉灌木に青々とした若葉が展葉し始めました。
樹種はマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)と後に判明します。

日の出直後からアナグマ♀が穴掘りしていました。 
巣口Rに頭を突っ込み、後退しながら巣内の土を後ろに掻き出しています。 
上半身の毛皮が黒い土で汚れていて、本来の毛並みの色が分かりません。 
黒い過眼線がくっきりしていてシャープな顔立ちなので、明らかに♂ではなく♀と分かります。 
巣穴の主♀は左右の目の大きさが非対称なのですが、赤外線の暗視映像でしか区別できません。 
明るい昼間は黒い過眼線に隠れて瞳の大きさが見分けられないのです。 
定説に反して♀も穴掘り作業に従事することがあるのか、それとも未成熟の若い♂は♀っぽい体型に見えるのか、この点が今の私には分かりません。 
(外性器をしっかり確かめたいのに、なかなか見ることができません。)
外で身震いしてから入巣Rしました。 


シーン5:4/24・午前5:03・(@3:11〜) 
約1分30秒後にカメラが起動すると、ずんぐりむっくりした♂が巣口Rの右に来ていました。 (よそから来たのではなく、出巣Rした直後だと思われます。) 
体に土汚れも無く、明らかにさっきとは別の個体です。 
巣口Rの匂いを嗅ぎ回ると、この♂個体も穴掘りを始めました。 
巣口Rを拡げようと前脚で掻き出した土砂を後ろに跳ね上げています。 
そのまま入巣Rしました。 

アナグマ関連の本を読んで勉強するまで私はヘルパーの存在を知らず、アナグマの♀♂つがいが春は同じ巣穴で暮らしているのかと動画を見て勝手に解釈していました。 


シーン6:4/24・午後18:28・(@4:41〜) 日の入り時刻は午後18:26。 
夕方まで近くの田畑を耕耘していたトラクターの騒音がようやく止みました。 
日没直後に♂がセット付近をうろついています。 
巣口Rの窪みに入ると、右に向かって穴を掘り始めました。 

夜這いに来た♂ではなく、ヘルパーの♂だと考えています。 
よそから求愛に来た♂が暇潰しで穴を掘っているという可能性もあるのですが、それなら巣内の♀(またはヘルパー)が怒って直ちに撃退するはずです。 


シーン7:4/27・午後18:26・(@5:20〜) 日の入り時刻は午後18:28。 
3日後は日没直前から♀が活動開始。 
巣穴Rの外を少しうろついてから、巣口Rの縁で穴を掘り始めました。 
拡張した巣口Rに入ってしばらくすると、巣口Rから♀が顔を出しました。 
そこで1.5分間の録画時間が終了しました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。






【追記】
少し古い本ですが、鈴木欣司『アナグマ・ファミリーの1年』(2000年)によると、著者の観察したヘルパーは♀でした。
 アナグマのヘルパーは、イギリスなどにすむヨーロッパアナグマでは知られています。ヨーロッパアナグマは、開けた牧草地などに「セット」とよばれるたくさんの巣穴を掘り、そのなかで「クラン」とよばれる母親、おばあさん、姉妹など血縁どうしのグループをつくって生活をしているからです。
 ところが日本にすむニホンアナグマは、「クラン」はつくらないで、単独で生活しています。(中略)
(著者が観察している:しぐま註)フィーダーに前年生まれた♀が残り、ヘルパーがたんじょうしたのはなぜでしょうか。
 わたしたちは、フィーダーをふくむこの近辺は、食べ物に困ることが絶対にないからだと推測しました。
 自分の食べる分がへるようだったとしたら、母さんアナグマは、何がなんでも子どもを追いだしたでしょう。残ることをゆるした♀の子どもに、子育てを手つだわせることで、育児負担は少なくなり、赤ちゃんアナグマの安全もまもれる。♀の子どもにとっても、子育てを手つだうことが、自分の子育てのときに役に立つのです。
 わたしたちが観察しているフィーダーでは、前年生まれた子どもが残ることは、母親にとっても残った子どもにとっても、利益が生まれたのでした。(p22〜23より引用)

その後、ニホンアナグマでヘルパー♂の存在が明らかになったのは、常識外れというか、かなり大きなパラダイムシフトだったに違いありません。
無人カメラという文明の利器による長期観察(カメラトラップ)が可能になった功績が大きいです。


動物の死骸を独り占めする恐妻家のトビ(野鳥)

 

2023年4月下旬・午後14:55頃・くもり 

春の刈田で2羽のトビMilvus migrans)が仲良く(?)並んでいました。 
ズームインしてみると、右の個体(♀?)が何か哺乳類の死骸をついばんでいました。 
死後かなり日数が経っているようで、ずたぼろの死骸は損壊が激しく、何の動物か全く見分けられません。 
黒灰色の毛皮に血痕は付いていませんでした。 
なんとなく長毛品種のイエネコかと推測したものの、定かではありません。 
冬の間に行き倒れた動物が深い雪の下に埋もれ、春の雪解けで死骸が再び露出したのかな?
野生動物の轢死体(ロードキル)かもしれません。 

関連記事(7ヶ月前に現場近くで撮影)▶ 車に轢かれたニホンイタチの死骸に群がるハエ他

 

左の個体(♂?)は横で物欲しそうに見てるだけです。 
♀は獲物を♂とシェアするつもりはないようです。
2羽の間で力関係の序列が既にできているようで、餌を巡って直接的な争奪戦は起こりませんでした。 
この2羽は♀♂つがいなのでしょうか。 
トビは体格にやや性差があることが知られています(♀>♂)。 

やがて♀が死骸を独り占めするために咥えたまま飛び立ち、少し離れた休耕地に運びました。(@0:48〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、トビ♀は飛翔中に、ぼろきれのように風でなびく細長い死骸を嘴から足の鉤爪へと器用に持ち直していました。 

♂から離れると、♀は落ち着いて死骸を啄み始めました。 
カラスと並んでトビは屍肉食性の掃除屋(スカベンジャー)として有名ですが、実際に食事シーンを観察するのは初めてです。 

そこへ背後から追いすがるように♂が飛来しました。 
♀の頭上を通り過ぎる際に鉤爪で襲いかかる素振りを見せたものの、ただの威嚇(ブラフ)で激しい喧嘩にはなりませんでした。 
不意打ちされても♀はさほど動揺せず、獲物を離そうとしません。 
♂は少し奥の休耕地に着陸したものの、遂に諦めて飛び去りました。 

興味深いのは次のシーンです。 
諦めて飛び去りかけた♂が、休耕地に一瞬だけ舞い降りました。(@2:57〜) 
トビ♂が空中で何か白い物を落としたので、てっきり腹立ち紛れに脱糞したのかと撮影しながら私は思いました。 
ところが1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、♂はタッチダウンの瞬間に地表から何か白いゴミを鉤爪で素早く拾っていました。 
獲物ではないと悟ると、すぐに空中投棄しました。 
餌にありつけなかった♂が欲求不満を解消するためにやった代償行動かもしれません。
代償行動     【ダイショウコウドウ】
substitute behavior
 ある目標を達成しようとする欲求が何らかの障害によって充足できない時に,その目標と機能的に類似した他の目標を達成することによって,初めの欲求の充足を図ろうとする行動をいう。代償の仕方は目標の変更と手段の変更とに大別できるが,もともと目標の満足をすべて含むわけではなく,部分的解決や満足となることが多い。社会的な価値の高い方向に代償が行われる場合は昇華とよばれる。適応機制の一つと考えられる。(有斐閣『心理学辞典』より引用)

♂が居なくなった後も、♀は獲物を横取りされまいと嘴に咥えたまま周囲を油断なく見張っています。 
警戒を解くと、腐肉を食べ始めました。 
残念ながら、ここでカメラのバッテリーが切れてしまいました。 
私が急いで交換している間に、トビ♀は更に遠くへ獲物を持ち去ってしまい、見失いました。 

できればトビ♀♂が動物の死骸を見つけるところから観察したかったです。 
早い者勝ちだったのでしょうか?
繁殖期が始まりますから、もしかすると♂が先に見つけたのに、パートナーの♀に獲物を譲ったのかもしれません。(求愛給餌
しかし、それだと♂がやった威嚇飛行や代償行動と辻褄が合いませんね…。
動画に登場する2羽のトビの性別を外見で見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて欲しいです。


【追記】
平凡社『日本動物大百科3鳥類I』でトビの性差について調べると、(p147より引用)
サイズ
全長:♂51〜66cm、♀57〜66cm。 
翼長:♂36〜51cm、♀45〜51cm。 
翼開長:♂129〜162cm、♀139〜160cm。 
体重:♂630〜1150g、♀750〜1240g。

特徴
♂は♀に比べ色が薄く体羽の縁が白っぽい。また、耳羽もはっきりしている。♀は縁が赤褐色。飛翔中、♂は下面が白っぽく見え、個体によっては縦縞模様に見える。♀は下面が暗赤褐色に見える。幼鳥は♂成鳥よりもクリーム色をおびるため、♂よりも明るく、縦縞模様もはっきりしている。飛翔中には、尾の先端の1本の太い横縞模様とクリーム色の縁が目立つ。


2023/11/19

小川の丸木橋を夜に渡り獲物を探すイエネコ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬・午後20:47 

小川に架かる丸木橋を自動撮影カメラで監視していると、久しぶりにイエネコFelis silvestris catus)が登場しました。 
17〜19日前に来ていた黒猫とは違う品種です。 
カメラが起動したときには、丸木橋を右から左へ渡る途中でした。 
左岸の崖穴を少しだけ気にしてから、左岸の茂みに姿を消しました。 
茂みに覆われた岸辺には小魚が潜んでいるのでしょう。




夜の小川を泳ぐ小魚の群れと鯉【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月下旬・午前3:06・気温6℃ 

川岸のニセアカシアが小川を跨ぐように倒れた天然の丸木橋を自動センサーカメラで見張っていると、意外な生き物が撮れていました。 
画面の左から右へ小川が緩やかに流れています。 

深夜未明にトレイルカメラが起動した理由が分からなかったのですけど、小川の水中をよく見ると、多数の小魚がいました。 
白く光る目がスイーッ、スイーッとゆっくり動いています。 
群れをなして整然と泳ぐのではなく、ばらばらに泳ぎ回っていました。 
よく見ると、大きな魚も1匹遊泳していました。 
おそらくコイ(鯉;Cyprinus carpio)と思われます。 

この小川は街なかを流れてきた用水路ですから、魚が潜んでいるとしたら、本流の川から遡上してきた個体でしょう。

4倍速の早回し映像にした方が魚の動きが分かりやすいので、まずそちらをご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。(@0:15〜) 

変温動物の魚類が水中で動き回っても、トレイルカメラのセンサーは反応しないはずです。 
きっと恒温動物の野ネズミなどが素早く横切ったのか、風揺れなどカメラの誤作動で起動したのでしょう。 
此岸に繁茂する草木をできる限り刈り取って赤外線の白飛びを抑えたら、水中の魚がよく見えるようになったようです。 

丸木橋を渡る様々な野生動物(肉食獣)や魚食性の野鳥が小川の岸辺を気にしていたのは、これらの魚群を狙っていたのだと分かりました。 



最後は明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子を示して終わります。
日中は物陰に隠れているのか、魚影を見たことがありません。 
後日(5月中旬)、現場入りした際に左岸の水中から大きな魚がパシャン♪と跳ねる水音を聞きました。

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