2012/03/10
雪の急斜面を直登し遊動採食するニホンザルの群れ
2012年2月中旬・気温10℃
この冬は野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の追跡、観察に励みました。
今回は我ながら会心作が撮れました♪
普段は虫なんかをチマチマと接写してばかりいる「Σこんちゅーぶ!」ですが、拙ブログ史上最高に壮大な映像をお届けします。
ぜひフルスクリーンの大画面でお楽しみ下さい。
スノーシューでパウダースノーを踏みしめつつ雪山の尾根筋まで登り詰めると、谷の方から風に乗ってニホンザルの鳴き声が聞こえて来ました。
声のする方に進むと案の定、大きな群れと遭遇。
左手の谷から次々に猿が現れ、右手の山を目指して群れが遊動しています。
雪の急斜面を縦列で続々と直登して来ます。
サルも深雪を自力でラッセルするのは大変と見え、先行する猿が通った踏み跡を辿って移動しているようです。
人間の登山なら雪崩を恐れながらつづら折れ(ジグザグ)に登るルートを開拓するはずの急斜面です。
直登はまず考えられないぐらいの勾配なのに、ニホンザルはツボ足で楽々と登って行きます。
ヒトよりも体重が軽く四つ足で分散されるとは言え、さすが野生のサルの身体能力は半端ないですね(驚嘆)。
逆に言うと、ヒトのように楽をするため「急がば回れ」でつづら折れのルートを取るほどの知能がニホンザルには欠けているのだろうか?
ときどき左手の谷からニホンザルの鳴き騒ぐ声がします。
また斜面の下から後続の部隊が登場。
時折こちらを向いて警戒しているようです。
麓の木の枝から子猿と思われる2頭が飛び降りて母猿の後を追います。
先頭の母猿が急斜面を登り切って雪庇に辿り着くと、手を伸ばして立ち木の枝から何か採食しました(冬芽? 木の実? 樹種不明)。
道草を食っている間に子猿が追い抜きました。
群れで遊動しながら各自がときどき採食するようです。
群れへ接近するため撮影の合間に私も少しずつ前進しました。
尾根上は締まった雪質で風紋が出来ています。
うっかり雪庇を踏み抜くと滑落しそうで肝を冷やしました。
斜面の直登コースを選んだ小群はこれで最後。
近づく私に気づいた猿たちが警戒し、奥の林縁を登るルートに変えたのかもしれません。
撮影後に猿が直登したルートを実地検分してみることに。
急斜面を上から見下ろすと、足がすくみました。
スキーでも斜滑降しないと私には無理で、しかも深い新雪なので雪崩を誘発しそうです。
よく晴れた白銀の世界で雄大なパノラマを背景に、厳冬期を生き抜く野生の力強さを目の当たりにして感動しました。
(つづく→「雪山を遊動中にマウントするニホンザル」)
2012/03/09
水を飲むエンマコオロギ♂
2011年12月上旬
エンマコオロギの飼育記録
室内で♀1匹、♂2匹飼っていたエンマコオロギ(Teleogryllus emma)の中で、♂1匹が最後まで生き残りました。
右の触角が途中から欠損しています。
※ この♂も12月下旬に死亡。
コオロギが水を飲む様子がようやく撮れました。
水皿として使っているペットボトルの蓋は直径30mm。
コオロギを飼育するには、きれいな飲み水を常に用意してやらないといけません(食べ物よりも重要)。
映像でご覧のように水が少なくなり汚れていたので、撮影後に取り替えてやりました。
Labels:
バッタ・キリギリス(直翅目),
飲水
2012/03/08
雪面を動く雑木林の影【微速度撮影の習作】
2012年2月上旬・気温5℃→2℃
スノーシューを履いて里山に登りました。
お昼ご飯を食べる大休止のついでに、微速度撮影にトライ。
気持ちのよい晴天だったので、雑木林の雪面に木々の影が日時計のように動いていく様子を作品にしてみました。
三脚を立てて20秒間隔のインターバル撮影を行いました。
仕上がりの映像(100倍速)を見ると、もう少しインターバルを密にしても良かったですね。
撮影時間の1時間で影は15°(=360°÷24h)動くはずです。
インターバル撮影中は影の動き(地球の自転)を実感できませんでしたが、近くの木の影をなぞって雪面に印を付けてみると時間経過と共に確かに影が移動していました。
ところが残念ながら次第に雲が増え、後半は影が消えてしまいました。
天気予報通り、昼過ぎから天気は下り坂に。
午後もずっと晴れてくれれば、夕方の西日で影が伸びてくる様子も撮りたかったです。
撤収前に別撮りした動画から自然の音を抜き出して作品のBGMとしました。
静かな雪山で耳を澄ますと、木の枝からドサッと落雪する音や溶けた雪がポタポタ滴り落ちる水音、上空を飛ぶ飛行機、野鳥の鳴き声などが聞こえてきます。
2012/03/07
ニホンザルが樹上で排便し、雪山を登る
2012年1月下旬
大雪が降りしきる中、スノーシューを履いて雪道を登っていると、遠くからサルの叫び声が聞こえてきました。
辺りを見渡すと、谷(車道※)を挟んで向こう側の急斜面にニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れを発見。
(映像はここから。)
斜面に生えた立ち木の枝に一頭の猿が腰かけています。
樹上でモリモリっと糞を排泄しました(@00:15)。
ズームアウトしたら折悪しく猿が木から下りたようです。
木から下りた猿は群れを追って、雪と潅木で覆われた急斜面を登り始めました。
ラッセルの途中で立ち止まって振り返り、私と目が合いました。
軽快な足取りで登って行きます。
私も群れを追跡しようと、急いで林道をラッセルして少し駆け上がりました。
息せき切って谷の向こう側を振り返ると、一頭のニホンザルが雪の斜面を登り、子猿?が樹上で休んでいました。
※ 同じ日の帰りにこの車道に戻って調べると、雪面の足跡からニホンザルは車道を横断して除雪された絶壁をよじ登って山に入ったことが分かりました。
群れの遊動域が車道で分断されているようで、気の毒な状況です。
2012/03/06
食べかけの熟柿を咥えたままのハシボソガラス【冬の野鳥】
2012年2月上旬
朝、出かけるときに電線に止まったカラスの群れを何気なく見上げると、一羽のハシボソガラス(Corvus corone)が嘴に何かを咥えていました。
カメラでズームして口元を見ると、どうやら熟柿の欠片のようです。
どうしてすぐに食べないのだろうと不思議に思いました。
朝の寒さでカキの実がシャーベットのように凍りついているのだろうか?
鳥は歯が無いので知覚過敏とは無縁な筈です。
好物は最後まで取っておく性格の個体なのかな?
もしかすると求愛給餌の準備なのかもしれない、と思いつきました。
カラスはそのまま山の方に飛び去り熟柿を運んで行きました。
どこかに貯食するのでしょうか?
求愛給餌(きゅうあいきゅうじ)
獲物を求愛相手に差し出すことで行う求愛行動。一般に、雄から雌に対して行い、雌が受け取ることで求愛を受け入れたことを示す。(wikipedia「鳥類用語」の項より)
帰ってからインターネットで検索してみると、確かにカラスも求愛給餌を行うようです。
しかし、果たしてこんな厳冬期に繁殖や子育てをするのだろうか?…と思ったら、3月の雪の日にハシブトガラスの求愛給餌を観察した方のブログを見つけました。
【追記】
『カラスは街の王様だ』p167によると、二月は繁殖期に入り、テリトリー意識が強まる頃なのだそうです。
『スズメの少子化、カラスのいじめ:身近な鳥の不思議な世界』p115によると、カラスの求愛給餌は早春に始まるらしい。東京では2月中旬に見られるとのこと。
【追記2】
ふつうの鳥は果実をその場で飲み込む食べ方しかしない。
しかしハシブトガラスは、果実をクチバシにくわえて持ち去ることで、一口では飲み込めないような大きな果実も持ち去っている。
ハシブトガラスが持ち去る果実(ミツバアケビやビワなど)は生もので貯えてもすぐに腐ってしまう。
そのため、持ち去ってからすぐに食べていると考えられる。
(直江将司『わたしの森林研究―鳥のタネまきに注目して』p119より引用)
ハシブトガラスは体重が500グラムもある。(中略)
そのため、小鳥たちが飲み込めないような大きな果実を食べて、その種子を散布している可能性がある。
もしそうなら、森林改変によって大きな果実の散布者である哺乳類がいなくなっても、ハシブトガラスがその役割をある程度肩代わりしてくれるかもしれない。
(同書p108 より引用)
2012/03/05
2012/03/04
ウスタビガの空繭(蛾)
2012年2月上旬
里山の雑木林で枝先に(樹種不明)ウスタビガ(Rhodinia fugax fugax)の空繭(羽化後の抜け殻)がぶら下がって風に揺れていました。
厳冬期に雪景色の中で鮮やかなペパーミントグリーンを見つけると不思議な(幸せな)気持ちになります。
落葉する前は見事な保護色で見つけたことがありません。
繭の表面に卵が産み付けられていないので、♂の繭かもしれません。※
出口は財布のような構造で軽く閉じられています。
繭の底に排水口が作られているのも不思議。
いつか幼虫を飼育して、この独特な形状の繭(別名:山かます、吊りかます)を紡ぐ様子を観察してみたいものです。
ウスタビガの幼虫はなんと、繭を紡ぎながらキューキュー♪鳴くそうで、益々興味がそそられます。
※ 【追記1】
ウスタビガの繭は、大きさと形のちがいから中の蛹が♂なのか♀なのかは、事前にわかるのだ。(『ぼくは昆虫カメラマン』p101より)
【追記2】
『繭ハンドブック』によると、繭が枝などから落ちないように繋ぐための絹糸でできた柄を「繭柄(けんぺい)」と言うそうです
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縁石に産卵中のウスタビガ♀成虫 |
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