2020年12月上旬・午前11:40頃・くもり
里山から降りてきた野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れが山麓のリンゴ園に次々と侵入してきました。
食用果実の収穫は既に終わっていて、リンゴの樹々は完全に落葉していました。
収穫後のリンゴ園で一体何を食べに来たのかと不思議に思って観察すると、意外にも主に下草を採食していました。
緑の草本植物を片手で次々にむしり取って口に運んでいます。
下草にはイネ科の雑草やオオバコ、ヨモギなどが見えるものの、採食メニューは初め不明でした。
私に撮られていることに気づくと猿は食事中に背を向けたり木陰に隠れてしまうのです。
私が唯一見分けられた採食メニューは、おそらくシロツメクサと思われるクローバーの葉です。
マメ科のクローバーは土壌を改良する効果もありますし、カバープランツとして積極的に植えているリンゴ園が多いのだそうです。
全ての雑草を目の敵にして除草剤を撒くよりもクローバーでリンゴ園の林床を被覆する方が、リンゴの害虫を捕食する天敵昆虫の密度が高まる、という一石二鳥の効果も期待されています。
春にリンゴの花の受粉を助けてくれるハナバチ類を養うためには、年間を通して下草に花が咲いていることが必要です。
考えてみると、クローバー畑ほど栄養豊富な植物群落は初冬の山林には生えていませんから、ニホンザルの群れが里のリンゴ園に通ってくるのも当然ですね。
食後に猿が糞を残してくれれば、リンゴ園の肥料になります。
冒頭シーンではオオバコの葉も食べた気がします。
猿は明らかに緑の草を選り好みしており、リンゴの落ち葉を拾い食いすることは全くありませんでした。
登場する個体の多くは胸にピンクの長い乳首があるので経産♀ですね。
繁殖期が始まったせいか、ときどき群れのニホンザル同士で喧嘩が勃発します。
近くで悲鳴♪が上がっても、採食中の個体は気にしませんでした。
※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
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