2019/03/10

田んぼに実った稲穂を採食するキジ♂(野鳥)



2018年10月中旬

私が田園地帯の農道を歩いていたら、目の前をキジ♂(Phasianus versicolor)が横切り、田んぼへ駆けて行きました。
畦道をトコトコ歩き用水路を跳び越える姿は、繁殖期よりもほっそりした体型に見えます。(秋に換羽するのかな? 若鳥?)

一部の田んぼでは稲刈りがもう始まっていますが、このキジ♂は未だ稲刈り前の区画に向かうと、黄金色に登熟した稲穂を畦道から啄み始めました。
キジがイネ(米)を加害すると知らなかった私は、初めて見るシーンにとても興奮しました。
背の高いキジはスズメのように稲穂に飛びつく必要はありません。
首を少し伸ばせば届く高さに稲穂が頭を垂れるように実っています。
嘴で稲穂をくわえると、引き千切るように採食しています。
畦道を少しずつ歩きながら美味そうに採食を続けます。

ときどき食事を中断すると田んぼから一段高い畦道に登り返したり、背伸びをして辺りを見回したりしました。
縄張り宣言の母衣打ちするかと期待したのですが、一度もやりませんでした。
隣の田んぼに移動すると、稲穂の採食を再開。

食べ放題のパラダイスのはずなのに、食事中のキジはなぜか慎ましく畦道に留まり、田んぼの中央部には決して侵入しない点が興味深く思いました。
キジの習性として、なるべく視界が開けた環境の方が安心するのでしょうか?
しかし上空に飛来したカラスが鳴いた途端にキジ♂は警戒し、稲穂の茂みに慌てて身を隠しました。(@5:17)
稲作農家がキジによる食害を防ぎたいのであれば、こうした観察事例が対策のヒントになるかもしれません。

関連記事(3年前の撮影)▶ キジ♂(野鳥)とハシボソガラスは仲が悪い?
この辺りの田んぼには夏から秋にかけて鳥よけカイト(フクロウ型およびタカ型の凧)があちこちに何個も設置されていました。

▼関連記事
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ところが稲刈りが始まると鳥よけカイトは全て撤去されてしまい、キジに対する防鳥効果は不明です。
少なくとも、鳥追いカイトが飛んでいる真下の田んぼでキジが悠々と稲穂を啄んでいるというシーンは観察していません。

ちなみに、今回のキジが採食していた田んぼは、鳥追いカイトが設置されていなかった区画でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、キジは国鳥なのに狩猟鳥に指定されています。

・キジによる被害はそれほど深刻ではなく、「野菜、マメ、水稲、飼料への被害がある(農作物以外には全国的な統計はない)」(p17表3「日本における有害鳥類」より)
・イネ(水稲)を加害する主な鳥は、スズメ、カラス、ハト、カルガモです。これらの鳥による被害は、種子の播種・出芽期と登熟期に発生します。 (p188より引用)



キジ♂(野鳥)@田んぼ+稲穂採食
キジ♂(野鳥)@田んぼ+稲穂採食

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