前回の記事:▶ ニホンアナグマ♀が縄張り侵入者を撃退する間に営巣地で独りで留守番する幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】
2024年6月下旬
シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜)
明るい時間帯に撮れた現場の様子です。
ニホンアナグマ(Meles anakuma)の母子家族が転入してきた営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。
シーン1:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:03〜)
二次林の獣道からやって来たアナグマ成獣が巣口Lの匂いを嗅いでから左へ向かいます。
2つの巣口L、Rの中間地点で地面にスクワット・マーキングしました。
横から腹面を見た際に乳房や乳首が見えないので、この成獣はいつもの母親♀とは別個体のようです。
夜にトレイルカメラが照射する赤外線を反射する目のタペータムが母親♀は右目<左目と不均等なのですが、この個体は左右の目(タペータム)が同じ大きさ(正常)でした。
シーン2:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:29〜)
別アングルで設置した監視カメラで続きが撮れていました。
尻を地面に擦りつけて臭腺や肛門腺で匂い付けをするスクワットマーキングを2回連続で行いました。
やはり腹面に乳房や乳首が見えず、左右の目が均等でした。
鼻面がやや短いので、素人目には♂のようです。
もしかしてヘルパー♂(同じ母親♀から前年に産まれた息子)なのでしょうか?
巣穴Rにも入らず、右へ立ち去りました。
アナグマ♂と入れ替わりでコウモリがセットに飛来しました。
シーン3:6/29・午後21:30(@1:03〜)
数分後に営巣地に戻ってきたアナグマ♂が巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいます。
巣口Lに座って再度スクワットマーキングしてから、手前へノソノソと立ち去りました。
シーン4:6/29・午後21:30(@1:03〜)
別アングルの映像に切り替えます。
巣口Lにスクワットマーキングしてから林内へ向かいます。
林縁でスクワットマーキングを数回繰り返しました。
【考察】
ニホンアナグマの母子(母親♀と幼獣4頭)がこの営巣地に転入してきて以来、ヘルパー♂らしき成獣個体の登場は初めてです。
母親♀が越冬・出産に使った営巣地がどこか別の場所にあるはずです。
そこではヘルパー♂も同居して、巣穴の穴掘りなどを手伝っていたと思われます。
幼獣が離乳して長距離を出歩けるようになると、母子はこの営巣地に引っ越してきたのです。
ヘルパー♂は引っ越しに同伴しなかったのですが、転出した母子の居場所をヘルパー♂が今回ようやく探り当てたのではないかと想像しています。
「ヘルパー♂参上!」と挨拶わりにセットのあちこちにスクワットマーキングを念入りに繰り返していたのでしょう。
このときアナグマの母子家族は巣内で休んでいたと思われますが、採食のため外出中だったのかもしれません。
ヘルパー♂は巣内に入って家族と合流することはなく、あっさり営巣地から立ち去りました。
私は暗視映像で赤外線を反射する目の大きさの違いだけを頼りに母親♀を辛うじて個体識別しているのですが、今回ヘルパー♂がたまたま夜に来てくれたおかげで、母親♀ではないと気づくことができました。
もしも明るい昼間に来ていたら、てっきり成獣は母親♀だと思い込んでいたかもしれません。
つづく→
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