2023年10月中旬・午後・晴れ
平地のスギ防風林で、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通う溜め糞場phを久しぶり(17日ぶり)に定点観察しに来ました。
新鮮な糞は追加されていませんでした。
どうやら最近は使われていないようです。
それよりも、このスギ林に大きな異変が起きていました。
植林地(防風林)の真ん中で、新たにスギの倒木が増えて林床に散乱していたのです。
以前、溜め糞場phを監視するためにトレイルカメラを設置したスギ大木の上半分が縦に裂け、幹が真っ二つに折れていたのです。
このような状態を「中折れ」と呼ぶのだそうです。
スギの朽木や枯木ではなく、緑の葉が茂る健康な生木が被害に遭っていました。
秋は台風のシーズンですから、嵐による強風で折れたのでしょうか?
それなら1本だけが倒れるのではなく、広範囲で何本もスギの木がなぎ倒されているはずです。
防風林の中央部で他のスギに囲まれた1本だけ風倒するのは不自然です。
幹の途中で縦に裂け目が入って折損したという状況からも、おそらく落雷したのでしょう。
しかし、その木が焦げたり燃えたりした形跡はありませんでした。
(落雷木に必ずしも焼け焦げ跡が残るとは限らないのだそうです。)
スギの防風林は樹高がほぼ揃っているはずなのに、なぜ中央の1本の木だけに落雷したのか、不思議です。
「出る杭は雷に打たれる」のでしょうか?
その木がたまたま他の木よりも少しだけ高かったり、何らかの理由で他の木よりも電気を通しやすい状態にあった可能性があります(水分含有量が高いなど)。
落雷は必ずしも最も高い木に起こるわけではなく、電荷の分布や樹木の状態など、複数の要因が関係するのだそうです。
その杉の木にもしトレイルカメラを設置したままなら、落雷の過電流で壊れたり燃えたりしたはずなので、助かりました。
初めて入る防風林なら、同じ光景を見ても「倒木の多い荒れたスギ林だなー」と思うだけでしょう。
定点観察に通っていたからこそ、落雷木に気づくことができました。
林業家にとってみれば落雷木は天災による痛い損失でしかありませんが、森林生態学的には良い面もあります。
鬱蒼と育ったスギ林の中には日光がほとんど射さず、他の植物はあまり育つことができません。
落雷でスギ林の中央部に林冠ギャップができたので、ここだけ林床の日当たりが良くなり、新たに植物が育って森の更新が進むことが期待できます。
また、新たなスギ倒木を餌としてキノコなどの分解者が長い年月をかけて腐朽させます。
それまでの間、林床に放置された倒木は小型の哺乳類(野ネズミなど)に隠れ家や餌場を提供してくれます。
落雷(の轟音)にキノコの発生を促進する効果がある、という面白い説があるのですけど、スギ林でも見られるのか楽しみです。
さて、落雷がいつ起きたのか、正確な日時を突き止められるでしょうか?
私が定点観察した9月下旬から10月中旬までの17日間のどこかで落雷したはずです。
今回、Perplexity AIに相談して初めて知ったのですが、気象庁は落雷の詳細なデータを記録しており、過去に遡って落雷の有無を調べることが可能です。
気象庁は雷監視システム(LIDEN: LIghtning DEtection Network system)を使用して落雷を観測しています。
このシステムにより、落雷の場所や時間を5分単位で記録しています。
気象庁のウェブサイトでは、過去の気象データを検索することができます。
少しやってみたのですが、忙しくて調べ切れていません。
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落雷による林冠ギャップ |
中折れしたスギ落雷木 |
真下に散乱する中折れの破片 |
以下は、タヌキの溜め糞場ph:倒木横の様子を撮った写真です。
糞に未消化の種子(銀杏およびリンゴ?)が含まれているのですが、落雷木に気を取られた私は、真面目に調べていません。
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