2023年10月中旬・午前11:20頃・晴れ
肉牛の飼料用作物として栽培している広大なデントコーン畑で収穫が始まっていました。
大型機械(収穫専用作業車)によるトウモロコシの収穫を初めて見る私は興味津々で、動画に撮りました。
収穫作業の機械化が究極まで進められた結果、専用の車両2台が連携して、最少人数による効率化が実現していました。
最初の大型機械は「細断型ロールベーラ」と呼ばれるのだそうです。
2〜3mも草丈高く育ったデントコーンを根元から刈り取ると、同時に全草を細かく裁断しています。
大きな円筒形に整形したデントコーンの塊をその場に放置して、ロールベーラは先に進みます。
次にキャタピラで動くフォークリフトのような別の作業車(ラッピングマシーン)が登場しました。
ロールベーラが作ったデントコーンの円筒塊を拾い上げると、プラスチックの白いフィルムでぐるぐる巻きに圧縮・梱包しながら運んで行きます。
完成した包みはトウモロコシ畑の一角に並べて置かれました。
完全密封状態で野外に放置されたデントコーンは嫌気性細菌によって発酵し、昔ながらの塔型サイロ施設に詰め込まなくても良質の飼料となるのだそうです。
この辺りは肉牛の畜産が盛んな地域なので、その飼料となるのでしょう。
デントコーンはデンプンの含有量が高く、乾燥時に粒の中央がへこむ(デント)という特徴がある飼料用の品種です。
牧草地などに白い巨大な円筒塊が点々と放置されたり、まとめて置かれたりしている田園風景をこれまで何度も目にしていました。
実際にこれを作る作業を見たのは初めてで、とても勉強になりました。
デントコーン畑で働く車両をタイムラプス映像で記録(微速度撮影)したら面白い動画になりそうですが、この日は三脚を持参してなかったので諦めました。
【参考サイト】
収穫直後のデントコーン畑にハシボソガラス(Corvus corone)が続々と集まっていました。
ロールベーラが取りこぼしたデントコーンの落ち穂を拾い食いしているようです。
トウモロコシ畑に隠れていた昆虫(害虫)を捕食しやすくなったのかもしれません。
ヒトの収穫作業を利用している訳ですから、こうしたカラスの採食行動は、オートライシズムの一種と言えるかもしれません。
騒音を立てて動き回る見慣れない大型作業車が怖いのか、カラスは収穫作業車には近づこうとしませんでした。
関連記事(収穫後の同所で2年前に撮影)▶ トウモロコシの穂を持ち去り刈田に貯食するハシブトガラス(冬の野鳥)
農地で野鳥のオートライシズムを観察したくても、当地ではなかなか見ることができないのが不思議でなりません。
本で読んだ知識では、デントコーン畑で動き回る収穫作業車の周囲に鳥が集まって、急に撹乱されて畑から逃げ惑う昆虫類を次々に捕食するはずと期待していました。
爆音器やカカシ類などを使って収穫間際の農作物を鳥による食害から守る歴史が長かったために、当地の鳥は農家の人に対する恐れが強いのでしょうか?
効果的な農薬散布(殺虫剤の使用)が確立した近年では、そもそも田畑の虫が激減しているのではないか?と疑っています。 (素人の個人的な予想です)
海外では害虫抵抗性や除草剤耐性を付与した遺伝子組み換えのトウモロコシ(GMコーン)が盛んに栽培されていますが、日本では栽培が禁止されています。
デントコーン畑で害虫や雑草の防除を目的として使用される農薬を調べると、アワノメイガやオオタバコガなどの害虫に対して、「トレボン乳剤」や「アファーム乳剤」などの殺虫剤が使われているのだそうです。
ただし、私は稲作水田への農薬散布は毎年のように見ているものの、トウモロコシ畑での農薬散布作業を実際に目撃したことが一度もありません。
無農薬で有機栽培されるデントコーンも存在するのだそうです。
さらに調べると、日本国内では、畑に撒くトウモロコシの種子がネオニコチノイド系殺虫剤で処理されることがあるそうです。(畑への農薬散布を減らすためと謳われていますが、色々と問題があって…。)
具体的には、チアメトキサムなどがデントコーンの種子処理に使用されています。
だとすれば、デントコーンが育った畑で農薬散布をしない理由も害虫が少ない理由も説明できます。
ちなみに、私は完全無農薬の有機栽培を目指すべきだという非現実的な理想論者ではありません。
農業で使われる殺虫剤は必要悪として、今後も減らす工夫をしなければいけない、という穏健な(凡庸な)主張です。
農業害虫以外の虫がとばっちりを食らって農薬で殺される数が多過ぎるのが問題で、急激な温暖化の進行とダブルパンチで虫の絶滅がこのまま進むのはまずい!という危機感があります。
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