2014/12/24
クロヒカゲの眼状紋はオオスズメバチ♀に通用するか?【ハイスピード動画】
2014年9月上旬
里山の雑木林で1匹のオオスズメバチ(Vespa mandarinia japonica)のワーカー♀がコナラの樹液を吸っていました。
蜂が飛び立つ瞬間を引きの絵で記録するつもりで240-fpsのハイスピード動画に撮り始めたら、ちょっとしたドラマが始まりました。
幹の下から一頭のクロヒカゲ(Lethe diana)が登って来ました。
少しずつ樹液スポットに近づいて来ます。
正面から対峙し睨み合い。
クロヒカゲは翅裏の眼状紋を見せつけ威嚇しているつもりなのでしょうか?
意外にオオスズメバチも多少たじろいでいる印象を受けました(警戒姿勢)。
日本のスズメバチは天敵であるヒト(日本人)の黒髪や黒い目玉を目掛けて襲い掛かってくることが知られています。
クロヒカゲも万一襲われた時に眼状紋へ攻撃の矛先を逸らして致命傷を避けようとする戦略なのかもしれません。
やがて警戒を解くとオオスズメバチは吸汁を再開。
神経戦に痺れを切らしたオオスズメバチが歩いてクロヒカゲに詰め寄りました。(占有行動)
その迫力に負けたクロヒカゲは飛んで逃げ、幹の背後に回り込みました。
目障りなお邪魔虫を追い払ったオオスズメバチは満足気に身繕いすると、木を登り下りしています。
負けたとは言え、最強のスズメバチに立ち向かっていく強気の蝶がいることに驚きました。
クロヒカゲにしてみれば、ライバルを追い払えなくても口吻を伸ばして樹液に届く距離までなんとか近づければ良い訳です。
眼状紋の有無に関わらず、蝶や蛾の成虫をスズメバチ類が狩って獲物にする例を見聞きしたことはありません。
翅がかさばる割に肉団子になる部分(胸部に詰まった飛翔筋)の割合が少ないので、わざわざ狩る気にならないのでしょう。
したがって、眼状紋の擬態が対スズメバチの自衛戦術として効果があるのかどうか、不明です。
この続きをスローモーションでお見せしても映像的にあまり面白くないので割愛しましたが、実はつづきの未公開映像があります。
クロヒカゲが未練がましくまた飛来して幹の下方に止まりました。
オオスズメバチが油断なく見下ろしている間にクロヒカゲは歩いて幹を登り、別の樹液スポットを見つけて平和に吸汁を始めましたとさ。
めでたしめでたし。
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