2012年11月下旬・室温17℃
山中の外壁で採集してきた冬尺蛾の♂3♀1ペアで求愛交尾行動が観察できないかと大き目の飼育容器に入れてみました。
ところが暗くなってから目を離した隙に、翅の退化した♀が止まり木に産卵を始めていることに気づきました。
(後に受精卵であることが判明します。)
採集時に♀は既に交尾済みで産卵場所を探索徘徊していたことになります。
急遽予定を変更して、♀の産卵シーンを微速度撮影することにしました。
4時間18分間(18:27 - 22:45 pm)の様子を15倍速の早回し映像でご覧下さい。
止まり木の太さは直径20mm。
フェルト状に密生した灰色の毛で卵塊は覆われています。
野外で樹皮に産み付けていれば保護色になったはず。
冬尺蛾の観察は初めての経験で、状況がよくわかりませんでした。
実は産卵そのものは既に完了しており、♀は次の段階として腹端の毛束を卵塊表面に植毛しているところだとようやく分かりました。
♀はときどき休憩を挟みながら、産卵・植毛作業を続けます。
初めからある程度毛が付着した状態で産み付けられるのか、それとも植毛・被覆は産卵後に行われるのか、はっきり分かりませんでした。
それでも早回し映像で卵塊の面積は少しずつ大きくなっています。
もう少し早く産卵に気づけばよかったと悔やまれます…。
カマキリやクモの卵嚢作りと違って作業の完了が分かり難く、♀はいつまでも植毛作業を続けています。
切りが無いので4時間強で撮影を止めました。
つづく→「卵塊を毛で覆うシロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)」
『冬尺蛾:厳冬に生きる』p159より
ウスバフユシャク類では産卵されるときに尾端の毛でおおわれることが知られている。これは卵に粘液がついていて、産み出されるときに尾端の毛が付着するためで、シロオビフユシャク属の二種も同じ現象がみられる。
【参考映像】
NHKの公式サイトにて「フユシャクの産卵」(154秒)と題した資料映像が公開されています
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