2020年5月上旬
民家の南に面した軒下に設置されてもう使われなくなったCSアンテナの裏側に大きな古い泥巣を見つけました。
パラボラアンテナではなく長方形のタイプでした。
ドロバチの仲間が作った古巣のようですが、造巣時期は分かりません。
かなり大きいので、おそらくスズバチ♀(Oreumenes decoratus)の仕業だろうと予想しました。
(エントツドロバチの可能性は?)
2020年5月中旬
色々と思案した末に、謎の泥巣を発掘・採集してみることにしました。
スズバチの成虫は5〜6月に羽化するので、育房内で越冬した蛹や前蛹がもし得られれば飼育下で羽化を観察できるはずです。
しかし泥巣の上部に開いた小さな穴が羽化孔だとすれば、古い空き巣ということになります。
もう使われていないCSアンテナ全体を台座から取り外し、泥巣を室内で飼育することも考えました。
結局、泥巣だけを採集することに決めました。
まずは泥巣の横に定規を当てて大きさを採寸します。
マイナスドライバーで泥巣の縁を少しずつ削り取ります。
CSアンテナは平面かと思いきや、波打っていました。
アンテナ面を台座に固定するボルトやナットにも泥が付着していて、発掘作業は難航しました。
最後は泥巣の縁に差し込んだドライバをこじって泥巣を営巣基質から剥がしました。
よく乾燥した泥巣はカチカチに固く、今回は剥がす際にメリメリッと紙粘土のような繊維質の感触はありませんでした。
▼関連記事(8、9年前の記録)
・歩道の縁石からスズバチの泥巣を発掘
・スズバチの泥巣に寄生したドロバチヤドリニクバエの羽化
横に細長い育房が縦に3つ並んでいました。
上下の育房はEIC(= empty intercalary cell)と呼ばれる空室でした。
最後に母蜂は寄生されないように巣全体を大量の泥玉で埋めたようです。
やはりスズバチ♀が作った巣のようです。
どうやら母蜂♀が営巣地の周囲で獲物があまり捕れなかったのか、あるいは産卵能力が低い個体だったようです。
中央の育房に残された貯食物?に白いカビが生えていました。
状態が悪くて何だかよく分かりません。
寄生したドロバチヤドリニクバエ?の複数の囲蛹が集合している?
スズバチ幼虫が営繭した後に捕食寄生者に食われて死んだ?
いずれにせよ、健康なスズバチ前蛹は得られませんでした。
もし泥巣を発掘しなかったら、CSアンテナの空巣をいくら監視し続けてもスズバチの羽化は期待できなかった(待ちぼうけ)ことになります。
私はスズバチ♀による造巣過程を未だじっくり観察できていないので、毎年ひたすら探し回っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿