2008年6月中旬・気温24℃
山道のガードレール側面に営巣しているキボシアシナガバチ(Polistes nipponensis)の定点観察日記。
この巣は普段ガードレール沿いに茂ったススキの葉に隠れて少し陰になっています。
撮影のためにススキをどけたら強い直射日光が巣に当たるようになったせいか、休んでいた女王が動き出しました。
巣房の温度を触角で点検して回り、巣房を冷やす軽い扇風行動を披露してくれました。
ガードレールに映った影絵も実に美しい。
直後に簡易温度計で測った気温は約24℃で体感もそれ程暑くありません。
ガードレールに触れても熱さを感じません。
気温/巣温そのものではなくて、巣温変化(上昇)を感知して解発される行動なのかもしれない。
《参考》
学研『図解自然観察シリーズ 飛ぶ食べる育つ 昆虫たち1:ハチ・アリ・アブ』p20 によると、別種フタモンアシナガバチの場合
「フタモンアシナガバチの巣は高温環境に作られるので、巣の周りの気温が45℃前後になることもある。巣温が30℃前後になると、巣温を下げるために、羽を振動させて風を送る行動を始めるが、更に温度が上がると、水を持ち帰って巣房につけ、気化熱で温度を下げる。」
《追記》
ここで創設女王の姿を見たのはこの日が最後でした。
巣房は15室まで増え産卵も確認できたのに、アリに捕食されたのか卵は全て無くなっていました。
女王の身に何かあったのか、不適切な営巣地と判断して見捨てたのでしょうか。
6月一杯で廃巣と判断して巣を採集し、観察を打ち切りました。
別の巣を観察対象に切り替え、本シリーズはまだ続きます。
つづく→シリーズ#9
0 件のコメント:
コメントを投稿