2024年6月中旬・午前9:50頃・晴れ
郊外を流れる川の堤防路(農道)でシマヘビ(Elaphe quadrivirgata)の幼蛇がウネウネと伸びた状態で農道に静止していました。
しばらく待ってもシマヘビ幼蛇は動きません。
舌の出し入れもなく、まさか死んでいるのでしょうか?
動画を撮りながら私がゆっくり近づいたら、シマヘビ幼蛇は身を翻して道端の草むらに姿を消しました。
細長い体のほとんどは日向に出ていたので、おそらく日光浴をしていたのでしょう。
逃走シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
すばやく蛇行して草むらに隠れました。
威嚇行動は見られず、舌の出し入れなども観察できませんでした。
【考察】
シマヘビは無毒ですが、幼体の時期だけ有毒のマムシにベーツ擬態していると考えられています。
しかし、私の感覚ではフィールドでマムシに出会う頻度(≒生息数)は近年激減しています。
その状況で無毒のヘビがモデルの有毒マムシにベーツ擬態しても効果ないはずです。
捕食者が擬態のモデルとなったマムシを食べようとして毒で痛い目に遭い、その体色パターンを学習しなければ、シマヘビ幼蛇を忌避する行動も起こらないからです。
また、ベーツ擬態が成立するためには、「モデル(マムシ)」と「ミミック(シマヘビ幼蛇)」が同じ捕食者に遭遇しやすい環境で共存していることが重要です(同所性)。
マムシとシマヘビの生息環境は少し違うので、捕食者がマムシを学習する機会が少なくなり、擬態の効果が薄れる可能性が高いでしょう。
そもそも、シマヘビの幼蛇がマムシをモデルとしたベーツ擬態であることを、捕食者を使った実験で本当に証明した研究はないそうです。
実は一部のヒトが「似てる」と主観的に思っているだけかもしれません。
擬態をテーマとした写真集は昔から人気があります。
ロマンがあって面白いのですが、捕食者への忌避効果があるか実証していないのに、動物写真家や自然愛好家が安易に「擬態だ!」と決めつけた例が実は多いのではないかと私は疑っています。
実証が難しいのは百も承知です。
例えば捕食者が紫外線領域も見えるのであれば、その視覚特性を考慮した上でモデルとミミックの見た目が似ているかどうかをせめて検討すべきでしょう。
ヒトの見る可視光の世界だけで決めつけているのは問題です。
もし本当にマムシへの擬態が捕食者対策として有効なら、幼体の時期だけでなく成体になってもマムシに似せ続ければよいはずです。
成体になってシマヘビ特有の体色パターンが現れるのは、マムシとの異種間誤認交尾を避けるため(生殖隔離)かと私は思ったのですが、それは違うらしい。
以下はPerplexity AIの回答です。
成体でマムシに似せ続けない理由として有力なのは、捕食リスクや生態的背景の違いです。 幼蛇は体が小さく、捕食者(鳥や哺乳類など)に狙われやすいため、擬態による捕食回避効果が強く働くと考えられています。 成体になると体が大きくなり、捕食リスクが減少し、また行動範囲や生息環境も変化するため、幼体時に必要だった擬態的模様が不要になる可能性があります。 さらに、成体の体色や模様は「隠蔽(カモフラージュ)」や「環境への適応」といった別の選択圧が働いていると考えられています。 生殖隔離のために体色が変化するという説は、ヘビ類では一般的に支持されていません。 また、マムシとシマヘビは生殖行動や生息環境、繁殖時期が大きく異なるため、異種間交尾のリスク自体が極めて低いと考えられます。 まとめると、シマヘビ幼蛇が成体になるとマムシ的な外見を失うのは、捕食圧や生態的適応の変化によるものであり、「生殖隔離」のためではないと考えられています。
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