2011年9月下旬
エンマコオロギの飼育記録
野外で採集してきたエンマコオロギ(Teleogryllus emma)の成虫♀♂1匹ずつのペアを同居させています。
そこに♂をもう一匹追加すると、♀を巡って♂同士の喧嘩が絶えません。
2匹の♂には体長差があり、大柄な♂が先住者です。
小柄な♂には個体識別のため胸背に油性ペンで白点を描いてあります。
体格で劣るβ♂(白)は喧嘩でいつもα♂(無印)に負け、逃げ回ってばかりいます。
そんなある日、β♂の奇行に気づきました。
容器の隅で地面の小石を一個ずつ口で咥えては横に運んでいるのです。
穴を掘って隠れようとしているのだろうか(穴があったら入りたい)?
β♂が少しでも求愛歌を鳴いたり♀に近づくだけでもα♂の逆鱗に触れ、威嚇の鳴き声を発しながらβ♂白を激しく追い回しています。
※ 撮影のため容器内の隠れ家を取り除いてあります。
コオロギの飼育(特に♀の産卵)のためにはこんな小石だらけの土を入れるのは良くないですね。
【追記】
『ファーブル写真昆虫記10野原のバイオリンひき:コオロギ・バッタのなかま』p2より
コオロギは、気に入った場所をみつけると、入り口から奥の部屋まで、全部自分一人で掘っていきます。(中略)昆虫の世界で成虫が、自分のためのすみかをもっている、ということは、とてもめずらしいことです。同書p9によると、
巣穴をほりはじめるのは、10月の終わり、秋風の中に、初めての寒さが感じられるような頃です。(中略)巣穴を掘る作業は、とてもかんたんです。まず、前脚で土を引っ掻いて、穴を掘り始めます。土の塊は、大顎のはさみをつかって、引き出します。
という訳で、どうやら別に飼育下の異常な行動でも奇行でもなかったようです。
知らなかったなー。
ただし、ファーブルが観察したのはオウシュウクロコオロギという種類で日本産コオロギとは生活史が異なるらしいです。
秋の終りに死んでしまうエンマコオロギにとって、巣穴は隠れ家の役目しか果たしません。(中略)エンマコオロギは、必ずしも自分で巣穴を掘らず、自然の穴を利用したり、石の下や枯葉の重なったその下などに隠れています。(同書p42より)
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