2013年9月下旬
林縁を連結飛行しているイトトンボのカップルが居ました。
エメラルドグリーンの金属光沢が美しい種類です。
落ち着いて交尾できる場所を探している様子。
(映像はここから。)
草の茎に止まって交尾を試みるも、どういう訳かなかなか結合出来ず、手間取っています。
…というように見えたのですが、帰ってから調べてみると、少なくとも前半は交尾の準備のために♂が交尾器に精子を移し替えている行動だったらしい(参考サイト)。
止まり木で♂は断続的に腹部を曲げて♀を引き寄せようとするも、♀が非協力的です。
♀♂共に翅は半開きの状態。
♂が痺れを切らしたのか(?)、尾繋がりのまま少し飛んで場所を何度か変えました。
タンデムでゆっくり停空飛翔(ホバリング)しながら林縁で適当な止まり木を探しています。
結局、元の小枝に舞い戻りました。
この間、私は離れた位置にじっとして望遠マクロで狙っているので、私を警戒して逃げたのではない筈です。
飛び立つ際のタンデム飛行の主導権はどちらが握っているのでしょう?
ハイスピード動画に撮れば明らかになったかもしれませんけど、今回は余計なことをせずに我慢して撮影続行。
マユミ?幼木の小枝に♂が止まり直すと♀は脚が届かず、手放しで♂にぶら下がった状態になりました。(これが♂の狙いなのか?)
♂は断続的に腹部を曲げて♀を引き寄せようとするも、依然として♀が乗り気でない(ように見えます)。
♀が腹部をまっすぐに伸ばしたままでぶら下がるのは交尾拒否の意思表示なのでしょうか?
あるいは♂のスタミナを値踏みしているのかな?(妄想)
首根っこを掴まれたままの♀がようやくその気になったのか、あるいは♂の準備ができたのか、腹端を♂の副性器に近づけようとする素振りを示し始めました。
それでも交尾器が上手く結合できず、再び♀はだらんと力無くぶら下がってしまいました。
よほど相性が悪いのか、交尾経験が浅いのか、♀が頑なに交尾拒否しているのか、別種のペアなのか、などと疑い始めた頃、ようやく結合に成功しました!(@6:20)
諦めなかった♂の粘り勝ちか?
本種の交尾はいつもこれほど手間取るのでしょうか?
タンデムの後方に位置する♀が尾部を曲げて交尾を行うので、ハート形になります。
マクロレンズに切り替え、逃げられる覚悟で近づき接写を試みました。
いざ交尾が始まってしまえば意外に鈍感のようです。(没我の境地?)
交尾器の結合部をアップで撮ることができました。
小枝に捕まっているのは♂だけです。
♀は全体重を♂に預け、自らの曲げた腹部を脚で抱え込んでいます。
交尾の終了(ペアの解消)まで見届けたいと思う反面、どうしても種名を正しく知りたい希望が勝りました。
同定するため交尾中のペアを有り合わせの容器で一網打尽に採集しました。
したがって、交尾の所要時間は不明です。
三角紙を折る紙を持ちあわせていなかったので、そのまま持ち帰りました。
捕らえられてもしばらくは♂が把握器で♀の首根っこを掴んで離しません。
尾繋がりのまま容器内で暴れていました。
まずは♀の標本写真。
次は♂の標本写真。
『トンボ入門』を紐解いてみると、♂の胸部側面で見られる以下の特徴からアオイトトンボではなくオオアオイトトンボ(Lestes temporalis)と判明。
- オオアオイトトンボは緑色の上端が第2側縫線まで達する。
- 成熟しても青白い粉を吹かない。
- 翅を半開きにして止まる。♂のみ、腹部の先に青白い粉を吹く。
更にオオアオイトトンボの繁殖行動について調べてみました。
- オオアオイトトンボは、餌場である林の中で♂は♀を射止める。(同書p74-75)
- オオアオイトトンボは水辺の木の枝に多数が集まり”おつながり”の状態で産卵する。(同書p113挿絵)
- 特定の枝に多数が集中して産卵する傾向があるため、集中的に産卵された枝は弱って枯れてしまうことがある。(p112)
交尾の現場は水辺ではないので、産卵場所まで飛んで移動したかもしれません。
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