2023/04/16

レッドロビンの生垣で樹液を吸いに来たコガタスズメバチ♀

 

2022年10月上旬・午後14:50頃・晴れ 

市街地でベニカナメモチ(=レッドロビン)の生け垣をコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が飛び回っていました。 
ブーン♪という羽音がかすかに聞こえます。 

赤く色づいた若葉の葉柄に止まったり、剪定した枝の切り口に止まっても、すぐに飛び立ってしまい残念でした。 
樹液の分泌量が少ないのでしょう。 
交通量の多い街なかなのに、思いがけずコガタスズメバチと出会えて嬉しかったです。 

黒いデジカメを近づけてしつこく接写しても、コガタスズメバチ♀に襲われることはありませんでした。 
過去の経験からもこの状況では怖くないと分かっていたので、リラックスして大胆に撮影できました。 
現場でコガタスズメバチだと正しく見分けられたからこそ出来たことで、もしオオスズメバチならもう少し用心が必要です。 (念の為に離れて撮影しましょう。)



コガタスズメバチ♀が居なくなった後にこの生け垣を見て歩くと、マイマイガLymantria dispar japonica)のを見つけました。 
簡略化した粗雑な繭でベニカナメモチの葉に吊り下げられています。 


もしコガタスズメバチのワーカー♀がマイマイガの蛹を見つけたら狩りを行ったでしょうか? 
幼虫のように動かないと獲物として認識できないのかな? 
しかし私は以前、地中で蛹化した蛾を狩るチャイロスズメバチを観察したことがあります。

関連記事(13年前の撮影)▶ チャイロスズメバチの狩りと肉団子作り

固定された蛹は逃げ回ることはできませんが、もし捕食されそうになったら、蛾の蛹も狩蜂を撃退しようと必死で暴れたはずです。

関連記事(8年前の撮影)▶ マイマイガ(蛾)の蛹に触れると暴れる

マイマイガ幼虫は様々な植物を食い荒らすおそるべき害虫ですが、スズメバチやアシナガバチはこれを1匹ずつ丹念に見つけ出して駆除してくれる働きがあります。 

関連記事(7年前の撮影)▶  
マイマイガ(蛾)の幼虫を狩るセグロアシナガバチ♀ 


したがって、なんとなく怖いからという理由でスズメバチやアシナガバチの巣を見つけ次第片っ端から駆除してしまうと、その周辺で害虫の大発生が抑えられなくなります。 

激増した害虫を駆除しようと殺虫剤に頼れば、今度は益虫までとばっちりを食うことになり、生物多様性はさらに貧困になり生態系はますます不安定になります。 
生態系の上位にスズメバチやアシナガバチなど強力な狩蜂がいることは、ヒトが登場する前の太古の昔から確立された当たり前のことです。
自然界の食物連鎖が正常に機能すれば害虫が毎年大発生することはありません。
身の回りにハチがいるなんて1匹たりとも許せない!というのは不寛容な現代人の傲慢な考えで、しっぺ返しを食う羽目になります。
スズメバチの存在も温かい目でなんとか見逃してくれるヒトが少しでも増えて欲しい、というのが私のささやかな願いです。

田舎の古い農家では蔵や家屋の軒下に巨大なスズメバチの巣があったりします。
「危険なスズメバチの巣があんなに大きくなるまで放置するなんてとんでもない!」というのが現代人(都会人)の認識でしょう。
しかし昔はスズメバチが巣を作るとその家は栄える(家内繁盛)という言い伝えがあり、大切に守られていたそうです。
実際にスズメバチ営巣地の周囲では害虫が減り、農作物の収穫が目に見えて増えたのでしょう。
スズメバチの巨大な古巣を丸ごと飾ってある標本を田舎の旅館のロビーなどで見かけますが、子孫繁栄のおめでたい象徴とされていました。
家屋の軒下にあるツバメの巣が大切に守られていたのも同じで、虫を食ってくれる捕食者(益鳥)の役割を昔の人は正しく認識していたことになります。
潔癖症の現代人は糞害を嫌ってツバメの巣を片っ端から叩き落としてしまいます。
ようやく最近ではツバメを守ろうとする優しいヒトが増えてきて、微笑ましいニュースとして毎年取り上げられます。
次はスズメバチやアシナガバチを守る番です。
ことさらヒトが保護しなくても普通に(当たり前のように)共存している世界が理想です。



0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む