2025年8月中旬・午後12:20頃・晴れ
山麓で遭遇したニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)をこっそり追跡して来たら、水路橋の袂 までたどり着きました。
どうやらカモシカにとっては歩き慣れた道のようで、コンクリートの土台をひょいと登りました。
カモシカはコンクリートの階段を降りて水路橋へ侵入し、姿が見えなくなりました。
深い谷を跨ぐ水路橋を渡っているカモシカをどうしても撮りたかった私が急ぎ足で近づいたら、カモシカに気づかれてしまいました。
カモシカは幅の狭い水路橋を渡り始めた地点で振り返り、私を凝視しています。
濡れた鼻腔がひくひく動き、私の体臭を嗅ぎ取ろうとしています。
ねじった首が疲れたのか、今度は逆から振り返って私を見つめています。
正面から見たニホンカモシカの顔は、眼下腺が腫脹して眠そうな目つきでした。
この個体の耳や角に分かりやすい特徴はありませんでした。
角がやや細いので、若い♂個体かもしれません。
明らかに私を警戒して水路橋を渡る気が失せ、引き返して来ました。
再びコンクリートの階段を少し登りかけて、私と対峙しました。
このとき私は強引に近づいて、カモシカを追い出すように水路橋を再び渡らせようと考えたのですが、作戦失敗です。
野生動物はなかなか思い通りに動いてくれません。
カモシカが階段を登りきったときに、後傾姿勢になり、下腹部にピンクの陰茎(亀頭?)が見えました!(赤丸@3:52〜4:00)
(まさかピンクの「でべそ」ではないですよね?)
ニホンカモシカの外性器はいつも毛で隠れているために、性別を野外で見分けるのはとても難しいのです。
♂の陰茎は初見かもしれません。
今回の個体は、冒頭で歩き去るカモシカの後ろ姿で股間に陰嚢が見えたので、♂だと分かっていました。
私に邪魔されて水路橋を渡るのを諦めたカモシカ♂は、谷沿いの崖を登りはじめました。
どうやらそこも通い慣れた獣道になっているようです。
再び私を振り返って、ペロペロと舌なめずりしました。
手前に蚊柱(ユスリカの群飛)が立っています。
崖に佇むカモシカ♂は、皮膚をピクピク動かしたり、尻尾を振ったりして、しつこく体につきまとう吸血昆虫(ヤブ蚊など)を追い払っています。
急斜面に生えたミズナラ幼木の葉裏の匂いを嗅いでから、顔を擦りつけて眼下腺からの分泌物で匂い付けをしました。(@4:35〜)
私が見ている前で、やんわりと縄張り宣言のマーキングをしたことになります。
この後カモシカ♂は、さらに崖をよじ登って藪の中に姿を消しました。
今回出会った個体♂は、一度も鼻息を荒らげて私を威嚇することはありませんでした。
【考察】
水路橋を渡るカモシカのスクープ映像が撮れなかったのは、残念でした。
欲を出して焦った私の立ち回りが色々とまずかったようで、反省です。
フィールドでは変な欲を出さずに無心で野生動物を追跡・観察・撮影するのが一番ですね。
それでも、野生ニホンカモシカ♂の外性器(陰茎)をちらっと観察できたのは、大きな収穫でした。
排尿姿勢になった時に陰茎や尿道口が解剖学的にどこにあるのか、これで分かりました。
カモシカの♂は立ち止まったままで(腰を落とさず)排尿し、小便は亀頭の尿道口から前方に飛びます。
関連記事(1年前の撮影)▶ ニホンカモシカ排尿姿勢の性差【トレイルカメラ:暗視映像】
ニホンカモシカは水路橋を渡るか?とタイトルに掲げた問題を追求するためには、橋の袂に無人の監視カメラを設置して証拠映像を撮るのが一番です。
運用しているトレイルカメラの数が限られているため、なかなか手が回りません。
ちなみに、ニホンザルの群れが水路橋を我が物顔で渡る様子は、何度も直接観察しています。
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